不動産取得税とは?土地購入時の計算方法と軽減措置を解説

公開日: 2025/10/26

不動産取得税とは?土地購入時の計算方法と軽減措置を解説

「土地取得税」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれませんが、正式名称は「不動産取得税」です。

この記事では、不動産取得税の仕組み、計算方法(3ステップ)、軽減措置の申請方法、非課税ケース、納税タイミングと申告期限を総務省の公式情報を元に解説します。

不動産取得税は、土地や建物を取得した際に都道府県が課税する地方税で、納税通知書は取得後3-6ヶ月後に届くため「忘れた頃に請求される」ことに注意が必要です。

この記事のポイント

  • 「土地取得税」は俗称で正式名称は「不動産取得税」、土地・建物取得時に都道府県が課税する地方税
  • 税率は原則4%だが2027年3月末まで土地・住宅は3%に軽減
  • 宅地評価特例(評価額×1/2)と軽減税率(3%)は2027年3月末までの期限付き
  • 納税通知書は取得後3-6ヶ月後に届く「忘れた頃に請求される」税金
  • 軽減措置は申告が必要で、申告しないと軽減前の税額が請求される

不動産取得税の基礎知識(課税対象と税率)

課税対象(売買・贈与・新築)

不動産取得税は、土地や建物を有償(売買)・無償(贈与)で取得、または新築した際に課税される地方税です。課税主体は都道府県で、法的根拠は地方税法第73条の2です。

課税対象:

  • 売買
  • 贈与
  • 新築
  • 増改築(床面積増加)

非課税ケース(相続・法人合併)

以下のケースは非課税です。

  • 相続による取得: 地方税法で相続は非課税事由と定められている
  • 法人合併
  • 公共用地の取得

相続と贈与を混同しないよう注意してください。贈与による取得は課税対象(税率3%、2027年3月末まで)です。

税率(原則4%、2027年3月末まで土地は3%)

税率は原則4%ですが、2027年3月末までに取得した土地・住宅は3%に軽減される特例措置があります。

この特例は期限付きのため、2027年4月以降に取得する場合は4%に戻る可能性があります(延長される可能性もありますが、現時点では不明)。

登録免許税(不動産登記時に国に納める国税)とは異なる税金である点を明記し、混同を防いでください。

不動産取得税の計算方法(3ステップ)

ステップ1: 固定資産評価額を確認

固定資産評価額は市町村が決定する不動産の評価額で、不動産取得税の計算基準となります。実勢価格(取引価格)の7割程度が目安です。

固定資産評価額は、納税通知書に記載されています。取得前に知りたい場合は、市町村の固定資産課税台帳で確認できます。

ステップ2: 宅地評価特例を適用(評価額×1/2)

2027年3月末までに取得した宅地は、固定資産評価額を1/2に軽減する特例措置があります。

計算例:
評価額2,000万円の宅地 → 2,000万円 × 1/2 = 1,000万円に軽減

ステップ3: 税率をかける(3%)

土地は3%の税率をかけます。

計算例:
1,000万円 × 3% = 30万円

具体例

例1: 評価額2,000万円の宅地を2025年に取得した場合
2,000万円 × 1/2 × 3% = 30万円

例2: 評価額1,500万円の宅地
1,500万円 × 1/2 × 3% = 22.5万円

この計算はあくまで基本形で、住宅用地の軽減措置を適用すればさらに減額される可能性があります(次章で詳述)。

住宅用地の軽減措置(新築・中古の要件別)

新築住宅の軽減措置(12万円控除)

一定要件を満たす新築住宅の場合、固定資産評価額から最大1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)を控除できます。

要件:

  • 床面積50㎡以上240㎡以下(戸建ては50㎡以上)

計算例:
評価額1,500万円の新築住宅
(1,500万円 - 1,200万円)× 3% = 9万円(軽減前は45万円)

中古住宅の軽減措置(築年数により控除額変動)

中古住宅の場合、築年数により控除額が変動します。

  • 1997年4月以降の新築: 1,200万円控除
  • それ以前: 築年数に応じて350-1,200万円

軽減措置の申請方法と必要書類

軽減措置は申告が必要で、申告しないと軽減前の税額が請求されます。

必要書類:

  • 売買契約書
  • 登記事項証明書
  • 住民票等

申請先: 不動産所在地の都道府県税事務所

申告期限: 都道府県により異なる(東京都30日、大阪府20日、原則60日)ため、必ず確認してください。

納税のタイミングと申告期限・延滞税のリスク

納税通知書の送付時期(取得後3-6ヶ月後)

納税通知書は取得後3-6ヶ月後に都道府県税事務所から届きます。「忘れた頃に請求される」ため、手元資金を確保しておく必要があります。

申告期限(取得から60日以内、都道府県により異なる)

申告期限は都道府県により異なります。

都道府県 申告期限
東京都 30日以内
大阪府 20日以内
その他 原則60日以内

不動産所在地の都道府県税事務所に確認してください。期限内に申告しないと軽減措置が受けられず、数十万円の損失を招く可能性があります。

延滞税のリスク(年7.3-14.6%)

納期限までに納税しない場合、延滞税が課されます(納期限の翌日から2ヶ月まで年7.3%、以降年14.6%、2025年時点)。

支払いが困難な場合は、都道府県税事務所に相談すれば分納が認められる場合もあるため、放置せず早めに相談してください。

まとめ:軽減措置の申請を忘れずに

「土地取得税」は俗称で正式には「不動産取得税」です。土地・住宅の税率は2027年3月末まで3%、宅地評価特例で評価額が1/2に軽減されます。

住宅用地の軽減措置(新築は最大1,200万円控除)を活用すれば大幅に減税できますが、申告しないと軽減されないため、取得後早めに申請してください。申告期限は都道府県により異なる(30-60日)ため、不動産所在地の都道府県税事務所に確認してください。

納税通知書は取得後3-6ヶ月後に届くため、手元資金を確保しておきましょう。相続による取得は非課税です。

まずは固定資産評価額を確認し、不動産所在地の都道府県税事務所に軽減措置の申請方法を問い合わせることから始めてください。

よくある質問

Q1不動産取得税はいつ納税するのですか?

A1納税通知書は取得後3-6ヶ月後に都道府県税事務所から届きます。通知書に記載された納期限(通常は届いてから30日程度)までに納税してください。「忘れた頃に請求される」ため、事前に資金を準備しておくことが重要です。

Q2登録免許税と不動産取得税の違いは何ですか?

A2登録免許税は不動産登記時に国に納める国税です。不動産取得税は土地・建物取得時に都道府県に納める地方税です。課税主体、納税タイミング、税率が異なります。登録免許税は登記時に即座に納税、不動産取得税は取得後3-6ヶ月後に納税します。

Q3軽減措置はどうやって申請するのですか?

A3不動産所在地の都道府県税事務所に必要書類(売買契約書、登記事項証明書、住民票等)を提出します。申告期限は都道府県により異なる(東京都30日、大阪府20日、原則60日)ため、必ず確認してください。申告しないと軽減されません。

Q4相続で土地を取得した場合も不動産取得税はかかりますか?

A4相続による取得は非課税です。地方税法で相続は非課税事由と定められています。ただし、贈与による取得は課税対象(税率3%、2027年3月末まで)です。相続と贈与を混同しないよう注意してください。