固定資産税を軽減する7つの方法と特例措置を徹底解説

公開日: 2025/11/11

固定資産税を軽減する7つの方法とは

固定資産税の負担を減らしたいと考えている持ち家の方は少なくありません。「どんな軽減措置があるのか」「自分は適用対象なのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。

この記事では、固定資産税を軽減する7つの方法を「自動適用」と「申請必須」に分類し、総務省・国土交通省の公式情報を元に詳しく解説します。

軽減措置を正しく理解することで、申請漏れを防ぎ、固定資産税の負担を抑えることができます。

この記事のポイント

  • 固定資産税の軽減方法は「自動適用」(住宅用地特例・新築軽減)と「申請必須」(耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修・災害減免・評価額の不服申立て)に分類される
  • 住宅用地特例は200㎡以下で課税標準額を1/6に、新築住宅は3-7年間税額を1/2に軽減
  • 耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修は改修完了後3ヶ月以内の申請が必須で、期限を逃すと軽減を受けられない
  • 評価額の不服申立ては納税通知書受領後3ヶ月以内に固定資産評価審査委員会へ申出が必要

自動適用される特例(申請不要)

固定資産税の軽減措置のうち、以下の2つは申請不要で自動的に適用されます。

住宅用地特例:課税標準額を1/6または1/3に軽減

住宅用地(住宅が建っている土地)には、課税標準額を大幅に軽減する特例があります。

区分 軽減内容
200㎡以下の部分 課税標準額を評価額の1/6に軽減
200㎡超の部分 課税標準額を評価額の1/3に軽減
適用条件 住宅が建っていること
申請 不要(自動適用)

(出典: 総務省

この特例により、住宅用地の固定資産税は大きく抑えられます。例えば、評価額1,000万円の土地(200㎡以下)の場合、課税標準額は約167万円となり、固定資産税は約2.3万円(1.4%)となります。

新築住宅の軽減:3〜7年間、税額を1/2に軽減

新築住宅には、一定期間建物の固定資産税を1/2に軽減する措置があります。

項目 内容
戸建て住宅 新築後3年間、税額を1/2に軽減
マンション等 新築後5年間、税額を1/2に軽減
長期優良住宅 戸建て5年間、マンション7年間に延長
適用期限 令和8年3月31日まで
申請 不要(自動適用)

(出典: 国土交通省

例えば、新築戸建て(建物評価額1,500万円)の場合、通常は年間21万円(1,500万円×1.4%)ですが、3年間は10.5万円に軽減されます。

申請が必要な軽減措置

以下の3つの改修減額措置は、改修完了後3ヶ月以内の申請が必須です。申請期限を過ぎると、その年度の軽減は受けられません。

耐震改修の減額:翌年度の税額を1/2に

昭和57年1月1日以前に建てられた住宅を耐震改修した場合、翌年度の固定資産税が1/2に減額されます。

項目 内容
対象住宅 昭和57年1月1日以前の住宅
改修要件 現行の耐震基準に適合する改修
減額内容 翌年度の税額を1/2に減額
減額期間 1年間
申請期限 改修完了後3ヶ月以内

(参考: 座間市

耐震改修は地震対策として重要ですが、申請を忘れると軽減を受けられません。改修前に自治体の税務課に確認し、必要書類を準備しておくことをおすすめします。

バリアフリー改修の減額:翌年度の税額を1/3に

65歳以上の者、要介護認定者、障害者が居住する住宅をバリアフリー改修した場合、翌年度の固定資産税が1/3に減額されます。

項目 内容
対象者 65歳以上、要介護認定者、障害者が居住
改修要件 廊下の拡幅、階段の勾配緩和、浴室改良等
改修費用 50万円超(補助金等を除く)
減額内容 翌年度の税額を1/3に減額
減額期間 1年間
申請期限 改修完了後3ヶ月以内

(参考: 座間市

バリアフリー改修は、高齢者の安全な生活を支えるために重要です。自治体の補助金制度と併用できる場合もあるため、事前に確認しましょう。

省エネ改修の減額:翌年度の税額を1/3に

平成26年4月1日以前に建てられた住宅を省エネ改修した場合、翌年度の固定資産税が1/3に減額されます。

項目 内容
対象住宅 平成26年4月1日以前の住宅
改修要件 窓の断熱改修(必須)+ 床・天井・壁の断熱改修
改修費用 60万円超(補助金等を除く)
減額内容 翌年度の税額を1/3に減額
減額期間 1年間
申請期限 改修完了後3ヶ月以内

(参考: 座間市

省エネ改修は、冷暖房費の削減にもつながります。改修前に自治体や国土交通省の補助金制度を確認し、申請期限を逃さないようにしましょう。

その他の軽減方法

災害による減免

震災・風水害・火災等により固定資産が損壊した場合、自治体の判断で減免されることがあります。

項目 内容
対象 災害により損壊した固定資産
減免内容 自治体の判断(損壊の程度による)
申請 必須(自治体の税務課に申請)

減免の基準は自治体によって異なるため、被災後は速やかに自治体の税務課に相談してください。

固定資産評価審査委員会への不服申立て

固定資産の評価額が不当に高いと感じる場合、固定資産評価審査委員会に不服申立てができます。

項目 内容
申立期限 納税通知書受領日の翌日から3ヶ月以内
申立先 固定資産評価審査委員会
対象年度 評価替え年度(3年ごと)に限定される場合が多い

(参考: 南房総市

不服申立ては、評価方法に明らかな誤りがある場合に限られます。単に「高い」と感じるだけでは認められにくいため、具体的な根拠を準備する必要があります。

申請時の注意点とよくある失敗

改修減額措置(耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修)は申請漏れが多いため、以下の点に注意してください。

改修前に自治体へ確認

改修工事を始める前に、自治体の税務課に以下を確認しましょう。

  • 軽減措置の適用要件
  • 必要な書類(工事明細書、証明書等)
  • 申請期限(改修完了後3ヶ月以内)

申請期限を逃さない

改修完了後3ヶ月以内の申請が必須です。期限を過ぎると、その年度の軽減は受けられません。

よくある失敗例:

  • 改修工事を完了したが、申請を忘れた
  • 申請期限(3ヶ月)を過ぎてしまった
  • 必要書類が揃わず、期限内に申請できなかった

補助金制度との併用

自治体や国土交通省の補助金制度と併用できる場合があります。改修前に確認し、申請を検討しましょう。

(参考: 国土交通省リフォーム促進税制

個別具体的な税務相談は税理士に

この記事は一般的な情報提供であり、個別のケースには適用されない場合があります。具体的な税額や申請方法については、税理士や自治体の税務課にご相談ください。

まとめ:軽減措置を活用して固定資産税を抑える

固定資産税の軽減措置は、自動適用される特例(住宅用地特例、新築軽減)と申請が必要な軽減措置(耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修、災害減免、評価額の不服申立て)に分類されます。

特に、改修減額措置は改修完了後3ヶ月以内の申請が必須です。申請期限を逃すと、その年度の軽減は受けられません。改修前に自治体の税務課に確認し、必要書類を準備しておくことが重要です。

自分に適用できる軽減措置を確認し、申請期限を逃さないよう注意しましょう。自治体の補助金制度も併せて活用することで、固定資産税の負担を大きく抑えることができます。

よくある質問

Q1固定資産税の軽減措置は併用できますか?

A1一部は併用可能です。例えば、住宅用地特例と新築軽減は同時に適用されます。これにより、土地の課税標準額が1/6になり、建物の税額も3-7年間1/2に軽減されます。ただし、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修の減額措置は、同一年度に1つまでとされています。詳細は自治体の税務課に確認してください。自治体によって運用が異なる場合があります。

Q2申請を忘れた場合、遡って適用されますか?

A2原則として適用されません。申請期限(改修完了後3ヶ月以内等)を過ぎると、その年度の軽減は受けられません。例えば、耐震改修を2024年6月に完了した場合、2024年9月末までに申請が必要です。期限を過ぎると、2025年度の税額軽減は受けられません。改修前に自治体の税務課に確認し、必要書類を準備しておくことが重要です。

Q3リフォーム業者に申請を代行してもらえますか?

A3業者が必要書類(工事明細書、証明書等)を準備することは多いですが、最終的な申請は所有者本人が自治体の税務課へ提出する必要があります。業者に任せきりにせず、自分で申請期限や必要書類を確認しましょう。特に、改修完了後3ヶ月以内という期限は厳格ですので、業者との連絡を密にし、期限内に確実に申請できるよう準備してください。

Q4固定資産税の評価額が高すぎると感じたらどうすればいい?

A4納税通知書受領日の翌日から3ヶ月以内に、固定資産評価審査委員会へ不服申立てができます。ただし、評価替え年度(3年ごと)に限定される場合が多く、評価方法に明らかな誤りがある場合に限られます。単に「高い」と感じるだけでは認められにくいため、具体的な根拠(近隣の評価額との比較、評価基準の誤り等)を準備する必要があります。詳細は自治体の税務課にご相談ください。