固定資産税はどのくらいかかる?戸建て・マンション・土地の相場を解説

公開日: 2025/11/11

固定資産税はどのくらいかかる?年間コストを把握しよう

不動産購入を検討する際、「固定資産税がいくらかかるか」は重要な関心事です。物件価格だけでなく、毎年のランニングコストとして固定資産税を把握しておくことで、無理のない資金計画を立てることができます。

この記事では、戸建て・マンション・土地のみの3パターンで、立地(都市部・地方)と価格帯別の具体的な税額目安を、総務省・国土交通省等の公式情報を元に解説します。

購入検討者が年間のランニングコストを正確にイメージできるようになります。

この記事のポイント

  • 固定資産税の基本計算式は「評価額×1.4%」で、市街化区域では都市計画税(最大0.3%)が併課される
  • 新築戸建ての目安は年間10-15万円(軽減後)、中古マンションは年間8-10万円、更地は年間14万円程度
  • 住宅用地特例で土地の税額が1/6(200㎡以下)に軽減され、新築住宅は3-7年間建物の税額が1/2に軽減される
  • 都市部と地方では評価額が大きく異なり、立地によって税額が10倍以上変動する場合もある

固定資産税の計算方法の基礎

固定資産税は、土地・建物を所有する人が毎年納める地方税です。総務省によると、基本的な計算式は以下の通りです。

基本計算式:評価額×税率1.4%

項目 内容
課税標準 固定資産税評価額
標準税率 1.4%
計算式 評価額 × 1.4%

固定資産税は、市町村が決定した固定資産税評価額に税率1.4%をかけて計算されます。

都市計画税の併課:市街化区域では最大0.3%

市街化区域内の不動産には、固定資産税に加えて都市計画税が課税されます。

項目 内容
課税対象 市街化区域内の不動産
税率 最大0.3%(自治体によって異なる)
計算式 評価額 × 0.3%

(出典: 総務省

都市計画税は固定資産税と併せて納付します。市街化区域に該当するかどうかは、自治体の都市計画課に確認してください。

評価額は時価の約70%

総務省の固定資産評価基準によると、固定資産税評価額は、時価(市場価格)の約70%に設定されています。

項目 評価方法
土地 時価の約70%
建物 新築時の建築費の約50-60%

このため、実際の税負担は時価ベースで計算する場合よりも低くなります。

戸建ての固定資産税はどのくらいかかる?

戸建ての固定資産税は、土地と建物の合計で計算されます。

新築戸建ての相場:年間10~15万円

SUUMOの調査によると、新築戸建て(東京郊外、土地1000万円+建物1500万円)の税額シミュレーションは以下の通りです:

項目 評価額 課税標準額 税額
土地(200㎡以下) 1,000万円 167万円(1/6軽減) 約2.3万円
建物(新築3年間) 1,500万円 1,500万円 約10.5万円(1/2軽減後)
都市計画税 - - 約1.5万円
合計(初年度) - - 約14万円
合計(4年目以降) - - 約21万円

(参考: SUUMO

住宅用地特例で土地の税額が1/6に軽減

住宅用地には、課税標準額を大幅に軽減する特例があります。

区分 軽減内容
200㎡以下の部分 課税標準額を評価額の1/6に軽減
200㎡超の部分 課税標準額を評価額の1/3に軽減

この特例により、土地の固定資産税は大きく抑えられます。

新築軽減措置で建物の税額が3年間1/2に

新築住宅には、一定期間建物の固定資産税を1/2に軽減する措置があります。

項目 内容
戸建て住宅 新築後3年間、税額を1/2に軽減
マンション等 新築後5年間、税額を1/2に軽減
長期優良住宅 戸建て5年間、マンション7年間に延長
適用期限 令和8年3月31日まで

(出典: 国土交通省

新築軽減措置が終了すると、建物の税額が約2倍になるため、4年目以降の税額が大きく上がる点に注意してください。

マンションの固定資産税はどのくらいかかる?

マンションの固定資産税は、戸建てと比べて土地の持ち分が少ないため、相対的に低くなる傾向があります。

中古マンションの相場:年間8~10万円

中古マンション(都市部、評価額1500万円)の税額シミュレーション:

項目 評価額 課税標準額 税額
土地(持ち分) 300万円 50万円(1/6軽減) 約0.7万円
建物 1,200万円 1,200万円 約16.8万円
都市計画税 - - 約0.5万円
合計 - - 約18万円

(参考: SUUMO

中古マンションは新築軽減措置がないため、税額が高くなる傾向があります。ただし、建物の評価額は経年減価で下がるため、築年数が古いほど税額は低くなります。

新築マンションの軽減措置:5年間税額が1/2に

新築マンションは5年間(長期優良住宅は7年間)、建物の固定資産税が1/2に軽減されます。

項目 内容
軽減期間 新築後5年間
長期優良住宅 7年間に延長
軽減内容 建物の税額を1/2に軽減

新築マンションの場合、初年度は年間8-10万円程度、6年目以降は15-18万円程度になることが多いです。

築年数による評価額の変動

固定資産評価基準によると、マンションの建物評価額は、築年数に応じて下がります。

築年数 評価額の目安
新築 建築費の約60%
10年 新築時の約70%
20年 新築時の約50%
30年以上 新築時の約40%以下

築年数が古いほど、固定資産税は低くなります。

土地のみの固定資産税はどのくらいかかる?

建物がない土地(更地)の固定資産税は、住宅用地特例が適用されないため、高額になります。

更地の相場:年間14万円程度(評価額1000万円の場合)

更地(評価額1000万円)の税額シミュレーション:

項目 評価額 課税標準額 税額
土地(更地) 1,000万円 1,000万円(軽減なし) 約14万円
都市計画税 - - 約3万円
合計 - - 約17万円

更地は住宅用地特例(1/6軽減)が適用されないため、住宅が建っている土地と比べて税額が約6倍になります。

住宅用地特例が適用されない理由

住宅用地特例は、「住宅が建っている土地」に限定されます。更地や駐車場として利用している土地には適用されません。

地域差の影響:都市部と地方で10倍以上の差

土地の評価額は、立地(都市部・地方)によって大きく異なります。

地域 評価額の目安 税額の目安(1000㎡)
東京都心 1億円以上 年間140万円以上
東京郊外 3000万円 年間42万円
地方都市 500万円 年間7万円
過疎地 100万円以下 年間1.4万円以下

(参考: マネーフォワード

都市部と地方では評価額が10倍以上異なる場合もあり、税額も大きく変動します。

まとめ:固定資産税は立地と物件種別で大きく変動

固定資産税の相場は、戸建て年間10-15万円、マンション年間8-10万円、更地年間14万円程度です。ただし、これらはあくまで目安であり、立地(都市部・地方)、評価額、築年数によって大きく変動します。

住宅用地特例で土地の税額が1/6(200㎡以下)に軽減され、新築住宅は3-7年間建物の税額が1/2に軽減されるため、購入初期は負担が軽くなります。

新築軽減措置が終了する4年目以降(マンションは6年目以降)は税額が約2倍になるため、資金計画には余裕を持たせることが重要です。

購入前に、自治体の税務課で「固定資産評価証明書」を取得し、正確な評価額を確認することをおすすめします。評価額×1.4%(+都市計画税0.3%)で概算し、年間のランニングコストを把握しましょう。

よくある質問

Q1固定資産税は毎年いくらずつ下がりますか?

A1建物は経年劣化で評価額が下がるため、固定資産税も相応に減少します。木造は約25年、鉄筋コンクリート造は約60年で評価額が下限に達します。土地は市場価格で変動するため、一概に下がるとは限りません。また、新築軽減措置が終了する4年目(マンションは6年目)以降は、建物の税額が約2倍になる点に注意してください。長期的には下がりますが、軽減措置終了時には一時的に上がります。

Q2固定資産税はクレジットカードで支払えますか?

A2多くの自治体でクレジットカード払いが可能です。ただし、決済手数料(税額の0.8~1.0%程度)がかかるため、ポイント還元率と比較して得か判断が必要です。例えば、還元率1%のカードなら手数料と相殺されますが、0.5%のカードなら損になります。口座振替やコンビニ払いは手数料無料ですので、手数料とポイント還元を比較して支払い方法を選びましょう。

Q3固定資産税の通知書が届く前に税額を知る方法はありますか?

A3自治体の税務課で「固定資産評価証明書」を取得すれば、評価額が分かります。評価額×1.4%(+都市計画税0.3%)で概算可能です。新築の場合、完成後3~6ヶ月で家屋調査が行われ、翌年度から課税されます。購入前に正確な税額を知りたい場合は、売主に前年度の納税通知書を見せてもらうか、自治体に評価額を問い合わせることをおすすめします。

Q4固定資産税が高すぎると感じたら再評価を依頼できますか?

A4納税通知書に記載された「審査申出期間」(通知書受領後3ヶ月以内)に、固定資産評価審査委員会に審査申出が可能です。ただし、評価方法に明らかな誤りがある場合に限られ、単に「高い」と感じるだけでは認められにくいです。具体的な根拠(近隣の評価額との比較、評価基準の誤り等)を準備する必要があります。詳細は自治体の税務課にご相談ください。