固定資産税はどのくらいかかる?年間コストを把握しよう
不動産購入を検討する際、「固定資産税がいくらかかるか」は重要な関心事です。物件価格だけでなく、毎年のランニングコストとして固定資産税を把握しておくことで、無理のない資金計画を立てることができます。
この記事では、戸建て・マンション・土地のみの3パターンで、立地(都市部・地方)と価格帯別の具体的な税額目安を、総務省・国土交通省等の公式情報を元に解説します。
購入検討者が年間のランニングコストを正確にイメージできるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税の基本計算式は「評価額×1.4%」で、市街化区域では都市計画税(最大0.3%)が併課される
- 新築戸建ての目安は年間10-15万円(軽減後)、中古マンションは年間8-10万円、更地は年間14万円程度
- 住宅用地特例で土地の税額が1/6(200㎡以下)に軽減され、新築住宅は3-7年間建物の税額が1/2に軽減される
- 都市部と地方では評価額が大きく異なり、立地によって税額が10倍以上変動する場合もある
固定資産税の計算方法の基礎
固定資産税は、土地・建物を所有する人が毎年納める地方税です。総務省によると、基本的な計算式は以下の通りです。
基本計算式:評価額×税率1.4%
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税標準 | 固定資産税評価額 |
| 標準税率 | 1.4% |
| 計算式 | 評価額 × 1.4% |
固定資産税は、市町村が決定した固定資産税評価額に税率1.4%をかけて計算されます。
都市計画税の併課:市街化区域では最大0.3%
市街化区域内の不動産には、固定資産税に加えて都市計画税が課税されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税対象 | 市街化区域内の不動産 |
| 税率 | 最大0.3%(自治体によって異なる) |
| 計算式 | 評価額 × 0.3% |
(出典: 総務省)
都市計画税は固定資産税と併せて納付します。市街化区域に該当するかどうかは、自治体の都市計画課に確認してください。
評価額は時価の約70%
総務省の固定資産評価基準によると、固定資産税評価額は、時価(市場価格)の約70%に設定されています。
| 項目 | 評価方法 |
|---|---|
| 土地 | 時価の約70% |
| 建物 | 新築時の建築費の約50-60% |
このため、実際の税負担は時価ベースで計算する場合よりも低くなります。
戸建ての固定資産税はどのくらいかかる?
戸建ての固定資産税は、土地と建物の合計で計算されます。
新築戸建ての相場:年間10~15万円
SUUMOの調査によると、新築戸建て(東京郊外、土地1000万円+建物1500万円)の税額シミュレーションは以下の通りです:
| 項目 | 評価額 | 課税標準額 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 土地(200㎡以下) | 1,000万円 | 167万円(1/6軽減) | 約2.3万円 |
| 建物(新築3年間) | 1,500万円 | 1,500万円 | 約10.5万円(1/2軽減後) |
| 都市計画税 | - | - | 約1.5万円 |
| 合計(初年度) | - | - | 約14万円 |
| 合計(4年目以降) | - | - | 約21万円 |
(参考: SUUMO)
住宅用地特例で土地の税額が1/6に軽減
住宅用地には、課税標準額を大幅に軽減する特例があります。
| 区分 | 軽減内容 |
|---|---|
| 200㎡以下の部分 | 課税標準額を評価額の1/6に軽減 |
| 200㎡超の部分 | 課税標準額を評価額の1/3に軽減 |
この特例により、土地の固定資産税は大きく抑えられます。
新築軽減措置で建物の税額が3年間1/2に
新築住宅には、一定期間建物の固定資産税を1/2に軽減する措置があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 戸建て住宅 | 新築後3年間、税額を1/2に軽減 |
| マンション等 | 新築後5年間、税額を1/2に軽減 |
| 長期優良住宅 | 戸建て5年間、マンション7年間に延長 |
| 適用期限 | 令和8年3月31日まで |
(出典: 国土交通省)
新築軽減措置が終了すると、建物の税額が約2倍になるため、4年目以降の税額が大きく上がる点に注意してください。
マンションの固定資産税はどのくらいかかる?
マンションの固定資産税は、戸建てと比べて土地の持ち分が少ないため、相対的に低くなる傾向があります。
中古マンションの相場:年間8~10万円
中古マンション(都市部、評価額1500万円)の税額シミュレーション:
| 項目 | 評価額 | 課税標準額 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 土地(持ち分) | 300万円 | 50万円(1/6軽減) | 約0.7万円 |
| 建物 | 1,200万円 | 1,200万円 | 約16.8万円 |
| 都市計画税 | - | - | 約0.5万円 |
| 合計 | - | - | 約18万円 |
(参考: SUUMO)
中古マンションは新築軽減措置がないため、税額が高くなる傾向があります。ただし、建物の評価額は経年減価で下がるため、築年数が古いほど税額は低くなります。
新築マンションの軽減措置:5年間税額が1/2に
新築マンションは5年間(長期優良住宅は7年間)、建物の固定資産税が1/2に軽減されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 軽減期間 | 新築後5年間 |
| 長期優良住宅 | 7年間に延長 |
| 軽減内容 | 建物の税額を1/2に軽減 |
新築マンションの場合、初年度は年間8-10万円程度、6年目以降は15-18万円程度になることが多いです。
築年数による評価額の変動
固定資産評価基準によると、マンションの建物評価額は、築年数に応じて下がります。
| 築年数 | 評価額の目安 |
|---|---|
| 新築 | 建築費の約60% |
| 10年 | 新築時の約70% |
| 20年 | 新築時の約50% |
| 30年以上 | 新築時の約40%以下 |
築年数が古いほど、固定資産税は低くなります。
土地のみの固定資産税はどのくらいかかる?
建物がない土地(更地)の固定資産税は、住宅用地特例が適用されないため、高額になります。
更地の相場:年間14万円程度(評価額1000万円の場合)
更地(評価額1000万円)の税額シミュレーション:
| 項目 | 評価額 | 課税標準額 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 土地(更地) | 1,000万円 | 1,000万円(軽減なし) | 約14万円 |
| 都市計画税 | - | - | 約3万円 |
| 合計 | - | - | 約17万円 |
更地は住宅用地特例(1/6軽減)が適用されないため、住宅が建っている土地と比べて税額が約6倍になります。
住宅用地特例が適用されない理由
住宅用地特例は、「住宅が建っている土地」に限定されます。更地や駐車場として利用している土地には適用されません。
地域差の影響:都市部と地方で10倍以上の差
土地の評価額は、立地(都市部・地方)によって大きく異なります。
| 地域 | 評価額の目安 | 税額の目安(1000㎡) |
|---|---|---|
| 東京都心 | 1億円以上 | 年間140万円以上 |
| 東京郊外 | 3000万円 | 年間42万円 |
| 地方都市 | 500万円 | 年間7万円 |
| 過疎地 | 100万円以下 | 年間1.4万円以下 |
(参考: マネーフォワード)
都市部と地方では評価額が10倍以上異なる場合もあり、税額も大きく変動します。
まとめ:固定資産税は立地と物件種別で大きく変動
固定資産税の相場は、戸建て年間10-15万円、マンション年間8-10万円、更地年間14万円程度です。ただし、これらはあくまで目安であり、立地(都市部・地方)、評価額、築年数によって大きく変動します。
住宅用地特例で土地の税額が1/6(200㎡以下)に軽減され、新築住宅は3-7年間建物の税額が1/2に軽減されるため、購入初期は負担が軽くなります。
新築軽減措置が終了する4年目以降(マンションは6年目以降)は税額が約2倍になるため、資金計画には余裕を持たせることが重要です。
購入前に、自治体の税務課で「固定資産評価証明書」を取得し、正確な評価額を確認することをおすすめします。評価額×1.4%(+都市計画税0.3%)で概算し、年間のランニングコストを把握しましょう。
