固定資産税何年で下がる戸建て|評価替えと減税終了の影響

公開日: 2025/11/4

戸建ての固定資産税はいつ・どのタイミングで下がるのか

戸建てを購入した後、「固定資産税はいつ頃から下がるのか」と気になる方は多いでしょう。特に、新築時の優遇措置が終わる4年目に税額が上がることに驚く方もいます。

この記事では、戸建ての固定資産税が下がるタイミングと理由を、総務省・国土交通省の公式情報を元に時系列で解説します。

新築1-3年目の減額措置、4年目の優遇終了、3年ごとの評価替え、築25年以降の評価額下限について理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 新築1-3年目は減額措置で建物分が1/2、4年目に優遇終了で「元に戻る」(実質増税)
  • その後は3年ごとの評価替えで経年減点補正率により徐々に下がる
  • 木造戸建ては築27年で評価額が下限(再建築価格の2割)に達する
  • 土地部分は経年劣化しないため基本的に横ばい(地価変動の影響を受ける)

新築1-3年目の減額措置|建物分が1/2になる仕組み

新築住宅を購入すると、最初の3年間(耐火建築物は5年間)は固定資産税の建物部分が1/2に減額されます。これは国土交通省が定める新築住宅の減額措置です。

減額措置の適用期間と要件

減額措置の適用要件は以下の通りです(令和8年3月31日まで適用)。

項目 内容
適用期間 新築後3年間(耐火建築物は5年間)
減額率 建物部分の固定資産税を1/2に
床面積要件 50㎡以上280㎡以下
対象 建物のみ(土地は対象外)

例えば、建物の固定資産税評価額が1000万円の場合、以下のように計算されます。

  • 評価額1000万円 × 税率1.4% = 14万円(本来の税額)
  • 減額措置適用: 14万円 × 1/2 = 7万円(1-3年目の税額)

この減額措置により、新築時の税負担は大幅に軽減されます。

4年目に税額が「上がる」理由

4年目になると減額措置が終了し、税額は「元に戻ります」。これは「上がる」のではなく、「優遇が終わって本来の税額に戻る」だけです。

  • 1-3年目: 7万円(減額措置適用)
  • 4年目: 14万円(減額措置終了)

税額が2倍になるため、「実質的に増税された」と感じる方が多いのです。建物の評価額自体は下がっているのですが、減額措置の終了による影響の方が大きいため、税額が上がるように見えます。

築年数別の税額推移|経年減点補正率で徐々に下がる

4年目以降は、建物の経年劣化により評価額が徐々に下がっていきます。これは「経年減点補正率」という仕組みで決まります。

経年減点補正率とは

固定資産税の評価額は、以下の式で計算されます。

評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率

  • 再建築価格: その建物を評価時点で新築する場合の建築費
  • 経年減点補正率: 築年数の経過による劣化を反映する率

経年減点補正率は、総務省の固定資産評価基準で定められており、築年数が増すほど低下します。

木造戸建ての減価率(築5年0.64→築27年0.20)

木造戸建ての経年減点補正率は以下のように推移します。

築年数 経年減点補正率 評価額(再建築価格1000万円の場合)
新築 1.00 1000万円
築5年 0.64 640万円
築10年 0.49 490万円
築20年 0.20 200万円
築27年以降 0.20(下限) 200万円

(出典: 神戸地方法務局

木造戸建ては築27年で経年減点補正率が下限の0.20(再建築価格の2割)に達し、それ以降は横ばいとなります。

非木造(鉄骨・RC)の場合

鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造)の建物は、木造よりも耐用年数が長いため、経年減点補正率の下限到達まで45年以上かかります。

構造 下限到達年数 下限値
木造 27年 0.20
鉄骨造 35年以上 0.20
RC造 45年以上 0.20

マンション(RC造)の場合、木造戸建てよりも評価額の下がり方が緩やかです。

注意: 再建築価格はインフレにより上昇することがあります。経年減点補正率が下がっても、再建築価格が上昇すると評価額が横ばい・増加する場合があります。

3年ごとの評価替え|地価・再建築費の変動を反映

固定資産税の評価額は、3年ごとに見直されます。これを「評価替え」といいます。

評価替えで下がる仕組み

総務省の評価替え制度によると、次回の評価替えは令和6年度(2024年)です。

評価替えでは、以下の2つの要素が反映されます。

  • 建物: 経年減点補正率の更新により、築年数に応じて評価額が下がる
  • 土地: 地価の変動により、評価額が増減する

建物は経年劣化で下がる傾向ですが、土地は地価に連動するため、横ばい・上昇もあり得ます。

次回評価替えは令和6年度(2024年)

評価替えは3年ごとに実施されます。最近の評価替え年度は以下の通りです。

  • 令和3年度(2021年)
  • 令和6年度(2024年)
  • 令和9年度(2027年)

評価替えの結果、建物が下がっても土地が上がると、「固定資産税全体」では下がり幅が小さい場合があります。

注意: 自治体により税率が異なります。標準税率は1.4%ですが、条例で1.6%等に設定している自治体もあります。実際の税額は市区町村により変わります。

長期的な税額の推移|築25年以降は評価額下限に達する

木造戸建ての場合、築20-25年程度で評価額が約2割(下限)まで下がります。それ以降は、評価額が横ばいとなります。

木造は築25年で評価額が約2割まで

経年減点補正率の仕組みによると、木造戸建ては築27年で経年減点補正率が下限の0.20に達します。再建築価格が1000万円の場合、評価額は200万円で固定されます。

このため、長期的には固定資産税の建物部分は下がりますが、下限到達後は横ばいとなります。

土地部分は下がらない

固定資産税は「建物」と「土地」の合計です。建物は経年劣化で下がりますが、土地は経年劣化しないため、基本的に下がりません。

土地の固定資産税は地価に連動します。地価が上昇すれば土地の評価額も上がり、地価が下落すれば評価額も下がります。

また、住宅用地には「住宅用地の特例」が適用され、以下のように評価額が軽減されます。

区分 軽減率
小規模住宅用地(200㎡以下) 評価額の1/6
一般住宅用地(200㎡超) 評価額の1/3

この特例により、土地の固定資産税は大幅に軽減されています。

「固定資産税全体」では、建物部分の下落幅が限定的なため、劇的には下がりません。土地部分が下がらないことも、全体の下がり幅を抑える要因となっています。

まとめ|固定資産税の推移を正しく理解する

戸建ての固定資産税は、新築1-3年目は減額措置で低く、4年目に優遇終了で「元に戻る」ため一時的に増額します。その後は3年ごとの評価替えで徐々に下がり、木造は築25年程度で評価額が下限(再建築価格の2割)に達します。

ただし、土地部分は下がらないため、「固定資産税全体」では下がり幅が限定的です。また、再建築価格の上昇(インフレ)や地価上昇により、評価額が横ばい・増加する場合もあります。「必ず下がる」とは限りません。

毎年送られてくる課税明細書で評価額を確認し、長期的な資金計画を立てることが重要です。不明点がある場合は、市区町村の固定資産税課に相談しましょう。

よくある質問

Q1固定資産税は必ず下がりますか?

A1建物は経年劣化で下がる傾向ですが、再建築価格の上昇(インフレ)により評価額が下がらない場合もあります。また、土地は地価に連動するため、横ばい・上昇もあり得ます。「必ず下がる」とは限りません。経年減点補正率が下がっても、再建築価格が上昇すると評価額が横ばいになることがあります。

Q24年目に固定資産税が上がるのはなぜですか?

A2新築減額措置(3年間建物分1/2)の終了により「元に戻る」ためです。「上がる」のではなく「優遇が終わる」だけですが、税額が2倍になるため実質的に増税されたと感じる方が多いです。建物評価額1000万円の場合、1-3年目は7万円程度、4年目は14万円程度になります。

Q3マンションと戸建てで固定資産税の下がり方は違いますか?

A3構造による違いが大きいです。木造戸建ては築27年で経年減点補正率が下限(0.20)に到達しますが、鉄骨・RC造マンションは45年以上かかります。また、マンションは土地持分が小さいため土地部分の税額も少なく、全体としては戸建てより税額が低い傾向にあります。

Q4固定資産税を安くする方法はありますか?

A4住宅用地の特例(小規模住宅用地は評価額の1/6)は自動適用されます。新築時の減額措置(3年間)も要件を満たせば適用されます。評価額に誤りがあると思われる場合は、市区町村の固定資産税課に審査申出が可能です。ただし、評価額を下げる裏技のようなものはありません。毎年の課税明細書で評価額を確認することが重要です。