固定資産税の納期の基本
固定資産税の納付期限を確認したい方、年4回と聞いたが具体的な日付を知りたい方、期限を過ぎたらどうなるか不安な方は少なくありません。
この記事では、固定資産税の納期を全国主要自治体別(東京23区、政令指定都市、一般市区町村)に整理し、期限を過ぎた場合の延滞金の計算方法を、総務省や各自治体の公式情報を元に解説します。
納期を正確に把握することで、延滞金の発生を防ぎ、安心して固定資産税を納付できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税の納期は年4回、市町村が条例で定めるため自治体により異なる
- 東京23区は6月・9月・12月・2月、政令指定都市は4月・7月・12月・2月が一般的
- 納期限の翌日から延滞金が発生(2025年は1ヶ月以内2.4%、以降8.7%)
- 督促状発送後も未納が続くと財産の差押えに至る
- 払えない場合は市区町村に相談し、分割納付や徴収猶予を申請できる
主要自治体の2025年納期
固定資産税の納期は自治体により大きく異なります。必ず自分の自治体の納期を確認してください。
東京23区(6月・9月・12月・2月)
東京都主税局によると、2025年度の東京23区の納期限は以下の通りです。
| 期別 | 納期限 |
|---|---|
| 第1期 | 6月30日 |
| 第2期 | 9月30日 |
| 第3期 | 12月27日 |
| 第4期 | 3月2日 |
東京23区は他の自治体と比較して納期開始が遅い(6月開始)のが特徴です。
政令指定都市(横浜・大阪等、4月・7月・12月・2月が一般的)
政令指定都市では4月開始が一般的です。横浜市の例を示します。
| 期別 | 納期限 |
|---|---|
| 第1期 | 4月30日 |
| 第2期 | 7月31日 |
| 第3期 | 12月25日 |
| 第4期 | 2月28日 |
大阪市、名古屋市、福岡市等の政令指定都市も4月・7月・12月・2月が一般的です。
一般市区町村(4-6月開始が多い、自治体により異なる)
一般市区町村は自治体により大きく異なりますが、4-6月開始が多い傾向にあります。納期のバラツキは、自治体の財政事情や事務処理の都合によります。
納期を確認する方法:
- 自治体の公式ウェブサイト(「固定資産税 納期」で検索)
- 納税通知書(毎年4-6月に郵送)
- 自治体の税務課窓口への問い合わせ
納期限を過ぎた場合の流れを時系列で解説
納期限を過ぎると、督促状→差押えという流れに進みます。早期に対処することで差押えを回避できます。
①納期限経過後〜督促状発送(20日間の猶予)
納期限を過ぎても、すぐに延滞金が課されるわけではありません。地方税法により、納期限から20日以内に督促状が発送されます。
この20日間の猶予期間中に納付すれば、延滞金は発生しますが(納期限の翌日から計算)、督促状発送前に納付すれば延滞金が少額で済みます。
②督促状到着〜指定期限(延滞金発生)
督促状が到着すると、納期限の翌日から延滞金が発生していることが明示されます。2025年の延滞金率は、納期限翌日から1ヶ月以内が年2.4%、1ヶ月経過後が年8.7%です(京都市)。
督促状には新しい納付期限が指定されており、この期限までに納付すれば延滞金を抑えられます。
③督促状の期限後〜差押え(財産調査・差押予告)
督促状の指定期限を過ぎても未納が続くと、市区町村は財産調査(預金口座、給与、不動産等の調査)を開始します。
法的には督促状発送後10日経過すると差押え可能(地方税法第331条第1項)ですが、実際は財産調査、差押予告通知書を経て差押えが実行される流れが一般的です(弁護士法人みずき)。
差押えは給与、預金、不動産等が対象となります。放置すると必ず差押えに至るため、早期に市区町村に相談することが重要です。
延滞金の計算方法と具体例
延滞金は納期限の翌日から発生します。2025年の延滞金率と計算方法を説明します。
2025年の延滞金率
京都市によると、2025年の延滞金率は以下の通りです。
- 納期限翌日から1ヶ月以内: 年2.4%(特例基準割合+1%)
- 1ヶ月経過後: 年8.7%(特例基準割合+7.3%)
計算式と具体例
計算式: 税額 × 延滞金率 × 延滞日数 ÷ 365日
具体例: 固定資産税10万円を3ヶ月延滞した場合
- 1ヶ月以内(30日): 10万円×2.4%×30日÷365日 = 197円
- 1ヶ月経過後(60日): 10万円×8.7%×60日÷365日 = 1,430円
- 延滞金合計: 197円 + 1,430円 = 1,627円
1,000円未満の端数処理
延滞金が1,000円未満の場合は切り捨てとなります。このため、納税額が少額で延滞期間が短い場合は、延滞金が発生しない可能性があります。
ただし、上記の例のように1,000円を超える場合は、延滞金を納付する必要があります。延滞金は原則として減免されないため、納期限厳守が重要です。
払えない場合の対処法
経済的理由で固定資産税を払えない場合は、放置せず市区町村の納税相談窓口に相談してください。
市区町村の納税相談窓口に早期相談
払えない場合は、必ず市区町村の納税相談窓口に相談してください。相談することで、以下の対応が可能になります。
- 分割納付: 月々の分割払いに変更
- 徴収猶予: 事業継続・生活維持困難な場合に申請できる納税猶予制度
- 換価の猶予: すでに差押えられた財産の売却を猶予
誠実な納税意思を示し、分割納付計画を提示することで、柔軟な対応を得られる可能性があります。
分割納付・徴収猶予の申請
東京都主税局によると、徴収猶予の要件は以下の通りです。
徴収猶予の要件:
- 事業継続・生活維持困難な状況にある
- 誠実な納税意思がある
- 他の税目に滞納がない
- 納期限から6ヶ月以内に申請
徴収猶予が認められると、原則1年以内の分割納付計画に基づき納付できます。ただし、延滞金は原則免除されません。
放置すると差押えに至るため、早期相談が最も重要です。
まとめ
固定資産税の納期は年4回、自治体により異なります(東京23区は6月・9月・12月・2月、政令指定都市は4月・7月・12月・2月が一般的)。
納期限の翌日から延滞金が発生し、督促状発送後も未納が続くと差押えに至ります。払えない場合は放置せず、必ず市区町村の納税相談窓口に相談し、分割納付や徴収猶予を申請してください。
次のアクションとして、自治体ウェブサイトで2025年の納期を確認、納期限をカレンダーに登録、払えない場合は早急に相談しましょう。早めの対処で延滞金を抑え、差押えのリスクを回避できます。
