固定資産税の6つの納付方法
固定資産税の納付方法は、年々多様化しています。「クレジットカードやスマホ決済でポイントが貯まる」と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、決済手数料や還元率の違いを理解していないと、逆に損をする可能性があります。
この記事では、固定資産税の6つの納付方法を手数料・ポイント還元率・手軽さで比較し、自分に合った最適な納付方法を選べるよう、総務省や各決済サービス事業者の公式情報を元に詳しく解説します。
納付方法の選び方を理解し、少しでもお得に固定資産税を納められるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税の納付方法は窓口、口座振替、コンビニ、クレジットカード、スマホ決済、ペイジーの6つ
- クレジットカード納付は決済手数料(1万円あたり約80円)が発生、還元率1.0%以上なら得になる可能性
- スマホ決済は手数料無料が多く、クレジットカードチャージ経由で0.5-1.5%還元が主流(2025年時点)
- 自治体により対応する決済方法が異なるため、納税通知書や自治体ホームページで確認が必須
- 損益分岐点を計算し、総合的に判断することが重要
固定資産税の納付方法は、2023年4月に導入された地方税統一QRコード(eL-QR)により、多様化しました。以下の6つの方法から選択できます。
- 窓口納付: 市区町村・金融機関の窓口で現金納付
- 口座振替: 金融機関口座から自動引落
- コンビニ納付: コンビニエンスストアで24時間納付可能
- クレジットカード納付: インターネット経由でクレジットカード決済
- スマホ決済: PayPay、LINE Pay、楽天ペイ等のスマホ決済アプリ
- ペイジー: ATM・インターネットバンキング経由の納付
ただし、自治体により対応する決済方法が異なります。納税通知書に記載されたQRコードや自治体ホームページで、利用可能な納付方法を必ず確認してください。
(参考: 総務省 地方税統一QRコード制度)
各方法を詳細比較
窓口納付(市区町村・金融機関)
特徴:
- 市区町村の窓口または指定金融機関で現金納付
- 手数料無料
- ポイント還元なし
- 平日日中のみ営業(一部土曜日営業あり)
メリット:
- 決済手数料がかからない
- 領収書が即座に発行される
- 窓口で相談しながら納付できる
デメリット:
- 平日日中に窓口に行く必要がある
- 混雑時は待ち時間が長い
- ポイント還元がない
おすすめの人: 平日日中に時間が取れる、領収書を即座に受け取りたい、ポイント還元にこだわらない
口座振替
特徴:
- 金融機関口座から納期限に自動引落
- 手数料無料
- ポイント還元なし
- 事前に口座振替の申込が必要
メリット:
- 納め忘れを防止できる
- 決済手数料がかからない
- 納付の手間がかからない
デメリット:
- ポイント還元がない
- 口座残高不足で引落不能になるリスク
- 一度設定すると、変更手続きが必要
おすすめの人: 納め忘れを防ぎたい、毎年同じ方法で納付したい、ポイント還元にこだわらない
コンビニ納付
特徴:
- 全国のコンビニエンスストアで24時間納付可能
- 手数料無料
- ポイント還元なし
- 納付書の金額が30万円以下の場合のみ利用可能
メリット:
- 24時間いつでも納付できる
- 決済手数料がかからない
- 自宅や職場近くのコンビニで納付可能
デメリット:
- ポイント還元がない
- 30万円を超える納付書は利用不可
- 現金納付のみ(一部コンビニでは電子マネー可)
おすすめの人: 24時間営業の利便性を重視、30万円以下の納付書、ポイント還元にこだわらない
クレジットカード納付
特徴:
- インターネット経由でクレジットカード決済
- 決済手数料が発生(1万円あたり約80円)
- カードのポイント還元率により得or損が変わる
- 24時間納付可能
決済手数料:
| 納付額 | 決済手数料(目安) |
|---|---|
| 1万円 | 約80円 |
| 5万円 | 約400円 |
| 10万円 | 約800円 |
| 20万円 | 約1,600円 |
(参考: 三菱UFJニコス クレジットカード納付の解説)
損益分岐点の計算例:
固定資産税10万円をクレジットカード(還元率1.0%)で納付する場合:
- 決済手数料: 800円
- ポイント還元: 10万円 × 1.0% = 1,000円
- 差引: +200円の得
還元率0.5%のカードの場合:
- 決済手数料: 800円
- ポイント還元: 10万円 × 0.5% = 500円
- 差引: -300円の損
一般的な損益分岐点: 還元率1.0%以上なら得、0.8%以下なら損する可能性があります。
注意点:
- 自治体により上限額がある(30-100万円)
- 一部のクレジットカードは税金・公共料金でポイント付与対象外
- 還元率が半減するカードもある(例:通常1.0%→税金0.5%)
クレジットカードで納付する前に、カード会社の規約を確認してください。
おすすめの人: 還元率1.0%以上のクレジットカードを保有、ポイント還元を最大化したい
スマホ決済(PayPay、LINE Pay、楽天ペイ等)
特徴:
- スマホ決済アプリで納付書のQRコードを読み取り決済
- 手数料無料が多い(2025年時点)
- クレジットカードチャージ経由で0.5-1.5%還元が主流
- 24時間納付可能
2025年時点の状況:
2024年にスマホ決済各社の直接還元(PayPayボーナス等)がほぼ終了しました。現在は、クレジットカードでスマホ決済アプリにチャージし、カードのポイントを獲得する方法が主流です。
主なスマホ決済サービス:
| サービス | 手数料 | 還元方法 |
|---|---|---|
| PayPay | 無料 | クレジットカードチャージで0.5-1.0%還元 |
| LINE Pay | 無料 | Visa LINE Payカードで0.5-1.0%還元 |
| 楽天ペイ | 無料 | 楽天カードチャージで1.0%還元 |
| au PAY | 無料 | auカードチャージで1.0%還元 |
(参考: 2025年固定資産税の最もお得な支払い方法)
損益計算例:
固定資産税10万円を楽天ペイ(楽天カードチャージ、還元率1.0%)で納付する場合:
- 決済手数料: 0円
- ポイント還元: 10万円 × 1.0% = 1,000円
- 差引: +1,000円の得
スマホ決済は手数料無料のため、クレジットカード納付より有利です。
注意点:
- 自治体により対応するスマホ決済サービスが異なる
- チャージ上限額がある(1回30万円等)
- クレジットカードチャージに対応していないサービスもある
納税通知書のQRコード(eL-QR)対応状況を確認してください。
おすすめの人: スマホ決済アプリを日常的に使用、クレジットカードチャージ経由で還元を受けたい、手数料無料でポイントを貯めたい
ペイジー
特徴:
- ATM・インターネットバンキング経由で納付
- 手数料無料(金融機関により異なる)
- ポイント還元なし
- 24時間納付可能(インターネットバンキングの場合)
メリット:
- 決済手数料がかからない(一部金融機関を除く)
- ATMやインターネットバンキングで24時間納付可能
- 口座から直接引落のため安全
デメリット:
- ポイント還元がない
- 一部金融機関は手数料が発生する場合がある
おすすめの人: インターネットバンキングを日常的に使用、ポイント還元にこだわらない、安全性を重視
納付方法の選び方(比較表)
| 納付方法 | 手数料 | ポイント還元 | 24時間納付 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 窓口納付 | 無料 | なし | × | ★★☆☆☆ |
| 口座振替 | 無料 | なし | 自動 | ★★★☆☆ |
| コンビニ納付 | 無料 | なし | ○ | ★★★☆☆ |
| クレジットカード | 約0.8% | 0.5-1.5% | ○ | ★★★★☆ |
| スマホ決済 | 無料 | 0.5-1.5% | ○ | ★★★★★ |
| ペイジー | 無料 | なし | ○ | ★★★☆☆ |
おすすめ順位:
- スマホ決済(クレジットカードチャージ経由): 手数料無料+ポイント還元で最もお得
- クレジットカード(還元率1.0%以上): ポイント還元で得になる可能性
- 口座振替: 納め忘れ防止、手数料無料
- コンビニ納付: 24時間対応、手数料無料
- ペイジー: インターネットバンキング利用者向け
- 窓口納付: 平日日中のみ、ポイント還元なし
納付時の注意点
自治体により対応方法が異なる
全ての自治体が6つの納付方法に対応しているわけではありません。納税通知書に記載された納付方法、または自治体ホームページで確認してください。
納期限を過ぎた場合
納期限を過ぎると、延滞金が発生します。延滞金の利率は自治体により異なりますが、年率2.4-14.6%程度です。ポイント還元以上に損失が大きいため、必ず納期限内に納付してください。
領収書が必要な場合
クレジットカード・スマホ決済・ペイジーでは、領収書が発行されません。領収書が必要な場合(確定申告等)は、窓口納付またはコンビニ納付を選択してください。
税金はポイント付与対象外のカードもある
一部のクレジットカードは、税金・公共料金でポイント付与対象外、または還元率が半減します。カード会社の規約を事前に確認してください。
(参考: 固定資産税のクレジットカード納付方法)
まとめ
固定資産税の納付方法は、窓口、口座振替、コンビニ、クレジットカード、スマホ決済、ペイジーの6つから選択できます。
2025年時点では、スマホ決済(クレジットカードチャージ経由)が最もお得です。手数料無料でポイント還元0.5-1.5%を受けられるためです。次いで、クレジットカード納付(還元率1.0%以上)が有利ですが、決済手数料(1万円あたり約80円)を考慮して損益分岐点を計算してください。
自治体により対応する決済方法が異なるため、納税通知書や自治体ホームページで確認が必須です。損益分岐点を計算し、自分に合った納付方法を選びましょう。
