固定資産税とは?わかりやすく解説
初めて不動産を所有する際、「固定資産税はいくらかかるのか」「いつどうやって支払うのか」と不安に感じる方は少なくありません。固定資産税は毎年支払う税金ですが、仕組みを理解していないと予想外の負担になることもあります。
この記事では、固定資産税の基本から計算方法、支払い時期、軽減措置まで、総務省の公式情報を元に解説します。
この記事のポイント
- 固定資産税は毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に課される市町村税
- 計算式は「固定資産税評価額×標準税率1.4%」(自治体により異なる)
- 住宅用地は最大6分の1、新築住宅は3-5年間半額の軽減措置がある
- 納税通知書は毎年4-6月頃に届き、年4回または一括払いで支払う
- 空き家は特定空家等に指定されると軽減措置が適用されず、実質6倍に
固定資産税は、土地・建物の所有者に課される地方税です。総務省によると、2023年度の固定資産税収は9.8兆円で、市町村税収の41%を占める重要な財源です。
固定資産税の基本:
- 課税対象:土地・建物(償却資産も対象だが本記事では省略)
- 納税義務者:毎年1月1日時点の所有者
- 税率:標準税率1.4%(自治体により異なる場合あり)
- 納期:年4回(4月・7月・12月・2月頃が一般的)
不動産を所有している限り、毎年課税されます。
固定資産税の計算方法:評価額×1.4%
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 標準税率1.4%
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額は、市町村が3年ごとに評価替えする価格です。総務省によると、土地は公示価格の約70%、建物は再建築価格の50-70%が目安です。
評価替えの基準年度は、令和3年(2021年)、令和6年(2024年)、令和9年(2027年)…と3年ごとです。
標準税率1.4%
標準税率は1.4%ですが、自治体の財政事情により1.5%や1.6%を採用する場合もあります。自分の自治体の税率は、納税通知書または自治体のウェブサイトで確認できます。
計算例(土地・建物)
例:
- 土地の固定資産税評価額:2,000万円
- 建物の固定資産税評価額:1,000万円
- 標準税率:1.4%
計算:
- 土地:2,000万円 × 1.4% = 28万円
- 建物:1,000万円 × 1.4% = 14万円
- 合計:42万円
ただし、住宅用地や新築住宅の軽減措置が適用される場合、実際の税額は大幅に下がります。
住宅用地の軽減措置:最大6分の1に減額
住宅用地は、固定資産税が大幅に軽減されます。大阪市によると、以下の特例が適用されます。
小規模住宅用地(200㎡まで評価額を6分の1に)
住宅1戸あたり200㎡までの部分は、固定資産税評価額が6分の1に軽減されます。都市計画税も3分の1に軽減されます。
例:
- 土地200㎡、評価額2,000万円
- 軽減前:2,000万円 × 1.4% = 28万円
- 軽減後:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.7万円
- 差額:23.3万円の軽減
一般住宅用地(200㎡超の部分は3分の1に)
200㎡を超える部分は、固定資産税評価額が3分の1に軽減されます。都市計画税も3分の2に軽減されます。
例:
- 土地300㎡、評価額3,000万円
- 200㎡まで(評価額2,000万円):2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.7万円
- 100㎡分(評価額1,000万円):1,000万円 × 1/3 × 1.4% = 4.7万円
- 合計:9.4万円(軽減前は42万円)
適用要件と注意点
住宅用地の特例は、「住宅の敷地として利用」されていることが要件です。空き家の場合でも、特定空家等に指定されない限り、軽減措置は適用されます。
ただし、特定空家等(倒壊の危険、衛生上有害、景観を著しく損なう等)に指定されると、軽減措置が適用されなくなり、実質6倍に増加します。
新築住宅の減額措置:建物の固定資産税が3年間半額
新築住宅は、建物の固定資産税が期間限定で半額になります。
新築戸建て(3年間、評価額120㎡まで2分の1)
新築戸建ては、建物の固定資産税評価額120㎡までの部分が3年間、2分の1に減額されます。
例:
- 建物評価額1,000万円(120㎡以内)
- 軽減前:1,000万円 × 1.4% = 14万円
- 軽減後:1,000万円 × 1/2 × 1.4% = 7万円
- 3年間で21万円の軽減
新築マンション(5年間、評価額120㎡まで2分の1)
新築マンション(3階建て以上の耐火・準耐火建築物)は、建物の固定資産税評価額120㎡までの部分が5年間、2分の1に減額されます。
認定長期優良住宅の場合
認定長期優良住宅は、減額期間が延長されます。
- 新築戸建て:3年間 → 5年間
- 新築マンション:5年間 → 7年間
注意点:
- 土地の固定資産税は軽減されない
- 減額期間終了後(築4年目または築6年目)から税額が2倍近く上がる
固定資産税の支払い方法と納付時期
固定資産税の納税通知書は、毎年4-6月頃に市町村から送付されます。
納税通知書の送付時期(毎年4-6月頃)
三菱UFJ銀行によると、納税通知書は毎年4-6月頃に送付されます。自治体により送付時期が異なるため、詳細は自治体のウェブサイトで確認してください。
年4回払いと一括払い
固定資産税は、年4回の分割払いまたは一括払いを選択できます。
年4回払い:
- 第1期:4月頃
- 第2期:7月頃
- 第3期:12月頃
- 第4期:2月頃
一括払い:
- 第1期の納期限までに全額を支払う
- 一部の自治体では、一括払いで割引がある場合も
支払方法(窓口・コンビニ・口座振替・クレジットカード)
以下の方法で支払えます。
- 市町村窓口・金融機関:納税通知書を持参
- コンビニエンスストア:納付書のバーコードで支払い
- 口座振替:事前登録で自動引き落とし
- クレジットカード:自治体により対応状況が異なる
- スマホ決済:PayPay、LINE Pay等(自治体により異なる)
納付期限を過ぎると、延滞金(年7.3-14.6%)が課されます。必ず期限内に納付してください。
まとめ:固定資産税は軽減措置で大幅に下がる
固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で計算されますが、住宅用地は最大6分の1、新築住宅は3-5年間半額の軽減措置があります。実際の税額は、計算上の税額より大幅に低くなります。
納税通知書は毎年4-6月頃に送付され、年4回または一括払いで支払います。納付期限を過ぎると延滞金が課されるため、期限内に納付してください。
空き家は、特定空家等に指定されると軽減措置が適用されなくなり、実質6倍に増加します。適切な管理を心がけましょう。
