固定資産税とは?計算方法と支払い時期を解説

公開日: 2025/10/27

固定資産税とは?わかりやすく解説

初めて不動産を所有する際、「固定資産税はいくらかかるのか」「いつどうやって支払うのか」と不安に感じる方は少なくありません。固定資産税は毎年支払う税金ですが、仕組みを理解していないと予想外の負担になることもあります。

この記事では、固定資産税の基本から計算方法、支払い時期、軽減措置まで、総務省の公式情報を元に解説します。

この記事のポイント

  • 固定資産税は毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に課される市町村税
  • 計算式は「固定資産税評価額×標準税率1.4%」(自治体により異なる)
  • 住宅用地は最大6分の1、新築住宅は3-5年間半額の軽減措置がある
  • 納税通知書は毎年4-6月頃に届き、年4回または一括払いで支払う
  • 空き家は特定空家等に指定されると軽減措置が適用されず、実質6倍に

固定資産税は、土地・建物の所有者に課される地方税です。総務省によると、2023年度の固定資産税収は9.8兆円で、市町村税収の41%を占める重要な財源です。

固定資産税の基本

  • 課税対象:土地・建物(償却資産も対象だが本記事では省略)
  • 納税義務者:毎年1月1日時点の所有者
  • 税率:標準税率1.4%(自治体により異なる場合あり)
  • 納期:年4回(4月・7月・12月・2月頃が一般的)

不動産を所有している限り、毎年課税されます。

固定資産税の計算方法:評価額×1.4%

固定資産税の計算式は以下の通りです。

固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 標準税率1.4%

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額は、市町村が3年ごとに評価替えする価格です。総務省によると、土地は公示価格の約70%、建物は再建築価格の50-70%が目安です。

評価替えの基準年度は、令和3年(2021年)、令和6年(2024年)、令和9年(2027年)…と3年ごとです。

標準税率1.4%

標準税率は1.4%ですが、自治体の財政事情により1.5%や1.6%を採用する場合もあります。自分の自治体の税率は、納税通知書または自治体のウェブサイトで確認できます。

計算例(土地・建物)

  • 土地の固定資産税評価額:2,000万円
  • 建物の固定資産税評価額:1,000万円
  • 標準税率:1.4%

計算

  • 土地:2,000万円 × 1.4% = 28万円
  • 建物:1,000万円 × 1.4% = 14万円
  • 合計:42万円

ただし、住宅用地や新築住宅の軽減措置が適用される場合、実際の税額は大幅に下がります。

住宅用地の軽減措置:最大6分の1に減額

住宅用地は、固定資産税が大幅に軽減されます。大阪市によると、以下の特例が適用されます。

小規模住宅用地(200㎡まで評価額を6分の1に)

住宅1戸あたり200㎡までの部分は、固定資産税評価額が6分の1に軽減されます。都市計画税も3分の1に軽減されます。

  • 土地200㎡、評価額2,000万円
  • 軽減前:2,000万円 × 1.4% = 28万円
  • 軽減後:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.7万円
  • 差額:23.3万円の軽減

一般住宅用地(200㎡超の部分は3分の1に)

200㎡を超える部分は、固定資産税評価額が3分の1に軽減されます。都市計画税も3分の2に軽減されます。

  • 土地300㎡、評価額3,000万円
  • 200㎡まで(評価額2,000万円):2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.7万円
  • 100㎡分(評価額1,000万円):1,000万円 × 1/3 × 1.4% = 4.7万円
  • 合計:9.4万円(軽減前は42万円)

適用要件と注意点

住宅用地の特例は、「住宅の敷地として利用」されていることが要件です。空き家の場合でも、特定空家等に指定されない限り、軽減措置は適用されます。

ただし、特定空家等(倒壊の危険、衛生上有害、景観を著しく損なう等)に指定されると、軽減措置が適用されなくなり、実質6倍に増加します。

新築住宅の減額措置:建物の固定資産税が3年間半額

新築住宅は、建物の固定資産税が期間限定で半額になります。

新築戸建て(3年間、評価額120㎡まで2分の1)

新築戸建ては、建物の固定資産税評価額120㎡までの部分が3年間、2分の1に減額されます。

  • 建物評価額1,000万円(120㎡以内)
  • 軽減前:1,000万円 × 1.4% = 14万円
  • 軽減後:1,000万円 × 1/2 × 1.4% = 7万円
  • 3年間で21万円の軽減

新築マンション(5年間、評価額120㎡まで2分の1)

新築マンション(3階建て以上の耐火・準耐火建築物)は、建物の固定資産税評価額120㎡までの部分が5年間、2分の1に減額されます。

認定長期優良住宅の場合

認定長期優良住宅は、減額期間が延長されます。

  • 新築戸建て:3年間 → 5年間
  • 新築マンション:5年間 → 7年間

注意点

  • 土地の固定資産税は軽減されない
  • 減額期間終了後(築4年目または築6年目)から税額が2倍近く上がる

固定資産税の支払い方法と納付時期

固定資産税の納税通知書は、毎年4-6月頃に市町村から送付されます。

納税通知書の送付時期(毎年4-6月頃)

三菱UFJ銀行によると、納税通知書は毎年4-6月頃に送付されます。自治体により送付時期が異なるため、詳細は自治体のウェブサイトで確認してください。

年4回払いと一括払い

固定資産税は、年4回の分割払いまたは一括払いを選択できます。

年4回払い

  • 第1期:4月頃
  • 第2期:7月頃
  • 第3期:12月頃
  • 第4期:2月頃

一括払い

  • 第1期の納期限までに全額を支払う
  • 一部の自治体では、一括払いで割引がある場合も

支払方法(窓口・コンビニ・口座振替・クレジットカード)

以下の方法で支払えます。

  • 市町村窓口・金融機関:納税通知書を持参
  • コンビニエンスストア:納付書のバーコードで支払い
  • 口座振替:事前登録で自動引き落とし
  • クレジットカード:自治体により対応状況が異なる
  • スマホ決済:PayPay、LINE Pay等(自治体により異なる)

納付期限を過ぎると、延滞金(年7.3-14.6%)が課されます。必ず期限内に納付してください。

まとめ:固定資産税は軽減措置で大幅に下がる

固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で計算されますが、住宅用地は最大6分の1、新築住宅は3-5年間半額の軽減措置があります。実際の税額は、計算上の税額より大幅に低くなります。

納税通知書は毎年4-6月頃に送付され、年4回または一括払いで支払います。納付期限を過ぎると延滞金が課されるため、期限内に納付してください。

空き家は、特定空家等に指定されると軽減措置が適用されなくなり、実質6倍に増加します。適切な管理を心がけましょう。

よくある質問

Q1固定資産税はいつから払うのですか?

A1不動産を取得した翌年から納税義務が発生します。毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となります。例えば2025年3月に購入した場合、2026年度分から固定資産税を支払います。ただし、売買契約時に日割り計算で前所有者と清算することが一般的です。

Q2固定資産税を払わないとどうなりますか?

A2納付期限を過ぎると延滞金(年7.3-14.6%)が課されます。滞納が続くと督促状が送付され、最終的に財産差押えの可能性もあります。延滞金は本税に加算されるため、負担が大きくなります。必ず期限内に納付してください。

Q3固定資産税評価額はどこで確認できますか?

A3毎年4-6月頃に市町村から送付される「固定資産税課税明細書」で確認できます。または市町村窓口で「固定資産税評価証明書」を取得できます(手数料300円程度)。縦覧制度(毎年4-5月頃)を利用すると、近隣の評価額も閲覧可能です。

Q4空き家の固定資産税が6倍になるのは本当ですか?

A4特定空家等に指定された場合のみです。倒壊の危険、衛生上有害、景観を著しく損なう等の条件に該当し、市町村が特定空家等に指定すると、住宅用地の軽減措置(6分の1)が適用されなくなり、実質6倍になります。適切な管理を心がけることで、特定空家等の指定を避けられます。

Q5固定資産税と都市計画税の違いは何ですか?

A5両方とも土地・建物に課される地方税です。固定資産税は標準税率1.4%、都市計画税は標準税率0.3%(市街化区域内のみ課税)です。計算方法は同じで、住宅用地の軽減措置も同様に適用されます(固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1)。