固定資産税の平均額はいくら?戸建て・マンション別の相場と計算方法

公開日: 2025/10/27

固定資産税の平均額はいくら?マイホーム購入前に知っておきたい基本知識

マイホーム購入を検討する際、「固定資産税が毎年どれくらいかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、戸建て・マンション・土地の固定資産税平均額、計算方法、軽減措置を、総務省国土交通省等の公式情報を元に解説します。

初めて不動産を購入する方でも、毎年の負担額を正確に把握し、予算計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 戸建て住宅の固定資産税平均は年間10~15万円(土地+建物、軽減措置適用後)
  • マンションの固定資産税平均は年間8~12万円(専有部分のみ、土地は持分割合で按分)
  • 土地のみの固定資産税平均は年間5~10万円(更地は住宅用地特例なし)
  • 計算方法は①固定資産税評価額の確認、②軽減措置の適用、③税額計算の3ステップ
  • 新築住宅の減額措置は期限があり、終了後は税額が約2倍に増加するため注意が必要

固定資産税の平均額はいくら?物件種別ごとの相場

固定資産税の平均額は、物件の種類や地域によって大きく異なります。

一戸建ての固定資産税平均:年間10~15万円

一戸建て住宅の固定資産税は、土地と建物を合わせて年間10~15万円が一般的な相場です。

これは、以下の条件を前提とした金額です。

  • 物件価格2,000万~4,000万円程度
  • 土地面積100~150㎡程度
  • 住宅用地の特例適用(200㎡まで評価額×1/6)
  • 新築住宅の減額措置適用(3年間、税額の1/2減額)

HOME4Uによると、軽減措置を適用しない場合は年間20~30万円になる場合もあるため、軽減措置の活用が重要です。

マンションの固定資産税平均:年間8~12万円

マンションの固定資産税は、専有部分(部屋)のみを対象とし、土地は持分割合で按分されるため、年間8~12万円が一般的な相場です。

オカネコマガジンによると、マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)で耐用年数が長く、建物の固定資産税評価額が高めですが、土地の持分が少ないため、戸建てより若干安い傾向があります。

土地のみの固定資産税平均:年間5~10万円

土地のみを所有している場合、固定資産税は年間5~10万円が目安です。

ただし、更地(建物が建っていない土地)の場合は住宅用地の特例が適用されないため、住宅が建っている土地と比較して税額が約6倍になります。

空き家を解体して更地にする場合は、固定資産税の負担が大幅に増加することに注意が必要です。

地域差について

固定資産税の平均額は地域によっても大きく異なります。

  • 首都圏(東京・神奈川等): 年間15~25万円(土地評価額が高い)
  • 近畿圏(大阪・京都等): 年間12~20万円
  • 地方都市: 年間8~15万円

地価が高い都市部ほど、固定資産税も高くなる傾向があります。

固定資産税の計算方法を3ステップで解説

固定資産税の計算は、以下の3ステップで行います。

ステップ1:固定資産税評価額を確認する

固定資産税評価額は、市区町村が決定する評価額で、毎年送られてくる課税明細書に記載されています。

購入前に評価額を知りたい場合は、以下の方法で概算できます。

  • 固定資産税評価額 = 時価(市場価格)の約70%

例:購入価格3,000万円の物件の場合、固定資産税評価額は約2,100万円

総務省によると、固定資産税評価額は3年ごとに見直されます。

ステップ2:軽減措置を適用する

固定資産税には、住宅を対象とした軽減措置があります。

住宅用地の特例

住宅の敷地として使われている土地の固定資産税を軽減する制度です。

  • 200㎡まで: 評価額 × 1/6
  • 200㎡超: 評価額 × 1/3

この特例により、土地の課税標準額が大幅に減少します。

新築住宅の減額措置

国土交通省によると、新築住宅の固定資産税は以下の期間、税額の1/2に減額されます。

  • 一戸建て: 3年間
  • マンション(3階建て以上の耐火・準耐火建築物): 5年間

この措置は2026年3月31日までの期間限定です(2025年時点)

長期優良住宅の減額延長

長期優良住宅(耐久性・省エネ性等の基準を満たした住宅)の場合、減額期間が延長されます。

  • 一戸建て: 5年間
  • マンション: 7年間

ステップ3:税額を計算する

軽減措置適用後の課税標準額に、税率を掛けて税額を計算します。

固定資産税 = 課税標準額 × 標準税率1.4%

総務省によると、標準税率は1.4%ですが、市町村が条例で変更することも可能です。

固定資産税を軽減する3つの方法

固定資産税の負担を抑えるために、以下の軽減措置を活用しましょう。

住宅用地の特例(200㎡まで評価額の1/6)

住宅の敷地として使われている土地は、200㎡まで固定資産税評価額の1/6に軽減されます。

この特例は自動的に適用されるため、申請は不要です。

新築住宅の減額措置(3年間または5年間、税額の1/2減額)

新築住宅を購入した場合、一定期間は固定資産税が半額になります。

  • 一戸建て: 3年間
  • マンション: 5年間

この措置は2026年3月31日までの期間限定であり、一部自治体では申請が必要な場合があるため、市区町村の税務課に確認することを推奨します。

長期優良住宅の減額延長(一戸建て5年間、マンション7年間)

長期優良住宅の認定を受けた住宅では、減額期間が延長されます。

  • 一戸建て: 3年間 → 5年間
  • マンション: 5年間 → 7年間

長期優良住宅の認定には、建築時に所定の申請が必要です。

HOME4Uによると、これらの軽減措置を活用することで、年間数万円~十数万円の節税が可能です。

固定資産税の具体的な計算例(新築戸建て)

具体例として、以下の条件で固定資産税を計算します。

物件条件:

  • 土地: 100㎡、固定資産税評価額2,000万円
  • 建物: 固定資産税評価額1,500万円
  • 新築一戸建て

計算手順

ステップ1:土地の課税標準額

住宅用地の特例(200㎡まで評価額×1/6)を適用します。

  • 土地の課税標準額 = 2,000万円 × 1/6 = 333万円

ステップ2:建物の課税標準額

建物の評価額はそのまま課税標準額となります。

  • 建物の課税標準額 = 1,500万円

ステップ3:固定資産税の計算(軽減措置適用前)

課税標準額に標準税率1.4%を掛けます。

  • 固定資産税 = (333万円 + 1,500万円) × 1.4% = 25.7万円

ステップ4:新築住宅の減額措置適用後

一戸建ての新築減額(3年間、税額の1/2減額)を適用します。

  • 固定資産税 = 25.7万円 × 1/2 = 12.8万円

この金額が、新築後3年間の固定資産税です。4年目以降は25.7万円に戻るため、税額が約2倍になります。

軽減措置が期限切れになると税額が急増

新築住宅の減額措置は期限があるため、終了後は税額が約2倍に増加します。

住宅ローンの返済計画を立てる際は、減額措置終了後の税額も考慮することが重要です。

都市計画税と固定資産税の違い

固定資産税とは別に、都市計画税が課税される場合があります。

都市計画税とは

都市計画税は、市街化区域内の土地・建物に課税される地方税です。

東京都主税局によると、都市計画税の税率は**最高0.3%**で、固定資産税と併せて納付します。

  • 固定資産税: 1.4%
  • 都市計画税: 0.3%
  • 合計: 1.7%

固定資産税との違い

項目 固定資産税 都市計画税
課税対象 全国の土地・建物 市街化区域内のみ
税率 標準1.4% 最高0.3%
軽減措置 住宅用地特例あり 住宅用地特例あり

都市計画税は市街化区域に指定されている地域のみに課税されるため、市街化調整区域や非線引き区域では課税されません。

ご自身の物件が市街化区域内にあるかどうかは、市区町村の都市計画課で確認できます。

まとめ:固定資産税の平均額と計算のポイント

固定資産税の平均額は、一戸建て10~15万円/年、マンション8~12万円/年、土地のみ5~10万円/年が目安です。

計算方法は、①固定資産税評価額の確認、②軽減措置の適用、③税額計算(課税標準額×1.4%)の3ステップです。住宅用地の特例(200㎡まで評価額×1/6)や新築住宅の減額措置(3年間または5年間、税額の1/2減額)を活用すれば、税負担を大幅に抑えられます。

ただし、新築減額は期限切れで税額が約2倍に増加するため、住宅ローンの返済計画を立てる際は、減額措置終了後の税額も考慮することが重要です。

毎年送られてくる課税明細書を確認し、軽減措置が正しく適用されているかチェックしましょう。不明点がある場合は、市区町村の税務課に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q1固定資産税は住宅ローンに含められますか?

A1固定資産税は住宅ローンに含められません。購入後、毎年4月~6月頃に市区町村から納税通知書が送られ、年4回に分けて納付します。住宅ローンの返済とは別に、固定資産税の支払いを考慮した予算計画を立てることが重要です。毎年10~15万円程度の支出を見込んでおくと安心です。

Q2築年数が古くなると固定資産税は下がりますか?

A2建物の固定資産税評価額は築年数とともに下がります。木造住宅の場合、築20年で新築時の約20%まで評価額が下がるとされています。ただし、土地の固定資産税評価額は地価の変動により上下するため、一概には言えません。建物の評価額が下がっても、土地の評価額が上がれば、固定資産税全体は増加する場合もあります。

Q3軽減措置の適用には申請が必要ですか?

A3住宅用地の特例は自動的に適用されるため、申請は不要です。一方、新築住宅の減額措置は、一部自治体で申請が必要な場合があります。長期優良住宅の減額延長は、建築時に所定の申請が必要です。詳細は市区町村の税務課に確認することを推奨します。申請漏れで軽減措置を受けられないと、年間数万円~十数万円の損失になる可能性があります。

Q4固定資産税の納付時期はいつですか?

A4固定資産税の納税通知書は、毎年4月~6月頃に市区町村から送られます。納付は年4回に分けて行うのが一般的で、納付月は自治体により異なりますが、多くの場合4月、7月、12月、2月などです。一括納付を選択することもでき、自治体によっては若干の割引がある場合もあります。納付期限を過ぎると延滞金が発生するため、期限内に納付しましょう。