土地探しの進め方完全ガイド!失敗しない土地選びのコツと注意点

公開日: 2025/10/27

土地探しの進め方がわからない方へ

注文住宅を建てるために土地を探したいけれど、「どこから手をつければいいのか」「良い土地をどう見分ければいいのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、土地探しの具体的な手順、良い土地の判断基準、見落としがちな注意点を、国土交通省等の公的情報を元に解説します。

初めて土地を購入する方でも、失敗しない土地選びができるようになります。

この記事のポイント

  • 土地探しは予算・エリア設定→情報収集→現地確認→役所調査→購入判断の5ステップで進める
  • 良い土地の判断基準は用途地域・接道状況・地盤・インフラ・周辺環境の5つ
  • 境界未確定・擁壁・地盤改良等の見落としは後々のトラブル・追加費用につながる
  • 安すぎる土地には訳あり(擁壁要・地盤改良必要・接道義務違反等)の可能性が高い

土地探しの具体的な5ステップ

土地探しは以下の5つのステップで段階的に進めます。

ステップ1: 予算とエリア・条件を決める

まず、総予算(土地代+建築費+諸費用)を明確にし、土地にかけられる予算を算出します。土地代は総予算の3〜4割が目安です。

エリアは通勤時間・学校区・生活利便性を考慮して優先順位をつけます。「絶対に外せない条件」と「妥協できる条件」を事前に家族で話し合っておくことが重要です。

ステップ2: 情報収集(ポータルサイト・地元不動産会社・土地総合情報システム)

土地情報の収集方法は主に3つです。

  • 不動産ポータルサイト(SUUMO・アットホーム等): 広く公開されている物件を検索できるが、人気物件は即座に売れるため掲載時点の情報に注意
  • 地元不動産会社: 未公開物件の情報を持っている場合が多く、エリアの詳しい情報も得られる
  • 土地総合情報システム: 国土交通省が提供する実際の取引価格データで相場を確認できる

複数の情報源を併用し、相場感を掴むことが重要です。

ステップ3: 現地確認

気になる土地が見つかったら、必ず複数回(朝・昼・夕方、平日・休日)現地を訪問します。

現地確認のチェックリスト:

  • 土地の形状(整形地か不整形地か)・高低差
  • 日当たり・風通し(南側に高い建物がないか)
  • 道路幅・接道状況(幅員4m以上か、接道2m以上か)
  • 隣地との境界(境界標があるか)
  • 電柱・ゴミ置き場・擁壁の位置(建築プランに影響)
  • 周辺環境(騒音源・商業施設・学校・病院等)

不明点があれば不動産会社に質問し、写真・メモで記録しておきましょう。

ステップ4: 役所調査

土地購入前に、必ず市区町村の都市計画課・建築指導課で以下を確認します。

  • 用途地域: 建てられる建物の種類・建ぺい率・容積率
  • 建築制限: 高さ制限・日影規制・がけ条例等
  • 上下水道・ガスの引込み状況: 本管からの距離・引込み工事の要否
  • ハザードマップ: 洪水・土砂災害・地震のリスク
  • 埋蔵文化財包蔵地: 該当する場合は発掘調査が必要(費用・期間に影響)

特に接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する必要)を満たさない土地は、原則建築不可(再建築不可物件)となるため注意が必要です。

ステップ5: 購入判断と契約

現地確認・役所調査の結果を総合的に判断し、購入を決定します。

契約前に確認すべき事項:

  • 境界確定測量が完了しているか(未確定の場合は売主負担で実施を条件に)
  • 地中埋設物(古い基礎・浄化槽等)の有無
  • 土壌汚染・地歴調査(以前の土地利用)
  • 契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の範囲

不明点は不動産会社・司法書士・土地家屋調査士に相談しましょう。

良い土地の判断基準とチェックリスト

良い土地を見分けるための5つの判断基準を解説します。

用途地域と建ぺい率・容積率

用途地域は都市計画法で定められた13種類の地域区分で、建てられる建物の種類・建ぺい率・容積率が異なります。

用途地域 建ぺい率 容積率 特徴
第一種低層住居専用地域 30-60% 50-200% 低層住宅専用、静かな環境
第一種中高層住居専用地域 30-60% 100-500% 中高層住宅可、利便性高い
第一種住居地域 50-80% 100-500% 住宅+店舗、利便性最も高い
準工業地域 50-80% 100-500% 工場可、騒音・振動リスク

(出典: SUUMO

住宅を建てる場合、第一種・第二種低層住居専用地域または第一種中高層住居専用地域が適しています。

接道状況(接道義務の確認)

建築基準法第43条で定める接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)を満たさない土地は、原則建築不可(再建築不可物件)となります。

接道状況の確認ポイント:

  • 前面道路の幅員(4m以上か)
  • 接道長さ(2m以上か)
  • 道路の種類(建築基準法上の道路か、私道か)
  • セットバックの要否(4m未満の道路の場合、道路中心線から2mの位置まで後退が必要)

詳細はHOME4Uの解説を参照してください。

地盤とハザードマップ

地盤調査は土地購入後にしか実施できませんが、事前にハザードマップ・古地図で地盤の強弱を推測できます。

軟弱地盤の場合、地盤改良工事(50〜300万円)が必要になります。地盤ネットの地盤サポートマップで周辺の地盤情報を確認しましょう。

また、国土交通省のハザードマップポータルサイトで洪水・土砂災害・地震のリスクを確認することも重要です。

インフラ(上下水道・ガス・電気)

上下水道・ガス・電気の引込み状況を確認します。

  • 上下水道: 本管からの距離、引込み工事の要否(費用50〜100万円)
  • ガス: 都市ガスかプロパンガスか(プロパンの場合は割高)
  • 電気: 電柱からの距離、引込み工事の要否

インフラが未整備の場合、引込み工事費用が高額になるため注意が必要です。

周辺環境(日当たり・騒音等)

日当たり・風通し、騒音源(幹線道路・線路・工場等)、商業施設(スーパー・コンビニ)、学校・病院・公園等の距離を確認します。

特に南側に高い建物がある場合、日当たりが悪くなる可能性があります。将来的な建築計画(隣地の空き地に高層建物が建つ可能性)も不動産会社に確認しましょう。

現地確認のチェックリスト

現地確認は複数回(朝・昼・夕方、平日・休日)訪問し、以下をチェックします。

土地の形状・高低差・隣地との関係

  • 土地の形状: 整形地(正方形・長方形)か不整形地(三角形・台形等)か。不整形地は建築プランが制約される
  • 高低差: 道路より高い土地は盛土・擁壁が必要、道路より低い土地は排水に注意
  • 隣地との境界: 境界標(コンクリート杭・金属プレート等)があるか、境界確定測量が完了しているか

日当たり・風通し

  • 南側に高い建物がないか(3階建て以上の建物は日影に注意)
  • 周囲が密集している場合、風通しが悪くなる可能性
  • 時間帯により日当たりが変わるため、複数回訪問

道路幅・接道状況

  • 前面道路の幅員を実測(メジャーで測る、または不動産会社に確認)
  • 接道長さ(2m以上か)
  • セットバックの要否(4m未満の道路の場合は要確認)

電柱・ゴミ置き場・擁壁の位置

  • 電柱: 建築プランに影響する位置にある場合、移設費用(10〜30万円)が必要
  • ゴミ置き場: 敷地内または隣接地にある場合、臭い・カラス被害のリスク
  • 擁壁: 高さ・傾き・ひび割れを確認、老朽化している場合は補修・建て替え費用(数百万円)が必要

見落としがちな注意点とリスク

土地購入時に見落としがちな4つの注意点を解説します。

境界未確定の土地

境界確定測量が完了していない土地は、以下のリスクがあります。

  • 住宅ローンが組めない(金融機関が担保評価できない)
  • 隣地所有者とのトラブル(境界紛争)
  • 建築確認申請が通らない

境界確定測量の費用は35〜80万円で、通常は売主負担です。購入前に境界確定を条件とするか、購入価格から測量費を値引き交渉しましょう。

詳細はSUUMOの解説を参照してください。

擁壁のある土地

擁壁(土留め)のある土地は、以下のリスクがあります。

  • 擁壁の崩壊リスク(地震・豪雨時)
  • 擁壁の管理責任(境界との関係)
  • 点検・補修費用(数十万円〜数百万円)

擁壁の状態(高さ・傾き・ひび割れ・水抜き穴の有無)を専門家(土地家屋調査士・建築士)に確認してもらいましょう。

地盤改良が必要な土地のリスク

地盤調査は土地購入後にしか実施できないため、地盤改良費用(50〜300万円)が後から判明するリスクがあります。

地盤改良の種類と費用:

工法 適用地盤 費用目安
表層改良工事 軟弱層2m以内 30〜50万円
柱状改良工事 軟弱層2〜8m 50〜100万円
鋼管杭工事 軟弱層8m以上 100〜300万円

(出典: 三菱地所ホーム

ハザードマップ・古地図・周辺の地盤情報で事前に推測し、予算に余裕を持たせることが重要です。

安すぎる土地の注意点(訳あり物件)

相場の7〜8割以下の安すぎる土地は、以下の訳ありの可能性があります。

  • 擁壁要・地盤改良必要
  • 接道義務違反(再建築不可物件)
  • 建築制限が厳しい(がけ条例等)
  • 境界未確定
  • 事故物件・心理的瑕疵

不動産会社に安い理由を確認し、総費用(土地代+追加工事費)で判断しましょう。

まとめ:失敗しない土地選びのために

土地探しは予算・エリア設定→情報収集→現地確認→役所調査→購入判断の5ステップで進めます。良い土地の判断基準(用途地域・接道状況・地盤・インフラ・周辺環境)を理解し、現地確認を複数回行うことが重要です。

境界未確定・擁壁・地盤改良の見落としは後々のトラブル・追加費用につながるため、不明点は不動産会社・役所・専門家(土地家屋調査士・建築士)に確認しましょう。

安すぎる土地には訳がある可能性が高いため、表面的な安さに飛びつかず、総合的に判断することが失敗しない土地選びのポイントです。信頼できる不動産会社と相談しながら、焦らず進めることをおすすめします。

よくある質問

Q1土地探しはどれくらいの期間がかかりますか?

A1平均4ヶ月〜1年程度です。人気エリア・条件次第では2年以上かかる場合もあります。情報収集と現地確認を並行し、焦らず進めることが重要です。100点満点の土地は稀なため、優先順位をつけて「絶対に外せない条件」と「妥協できる条件」を明確にしましょう。

Q2再建築不可の土地を見分ける方法は?

A2接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)を満たさない土地が再建築不可です。役所の建築指導課で「建築確認申請が可能か」を確認するか、不動産会社に「再建築可能か」と質問しましょう。再建築不可物件は建て替え・増築・改築が原則不可能で、住宅ローンも組めないため資産価値が著しく低くなります。

Q3境界確定されていない土地は買わない方がいいですか?

A3原則、境界確定済みが望ましいです。未確定の場合は売主負担で測量・確定を条件に契約するか、購入価格から測量費(35-80万円)を値引き交渉しましょう。境界未確定の土地は住宅ローンが組めない、隣地所有者とのトラブルのリスクがあります。境界確定には隣地所有者の立会いが必要で、1〜3ヶ月程度かかる場合もあります。

Q4地盤改良費用はどれくらいかかりますか?

A450〜300万円と幅広く、地盤の状態により異なります。表層改良工事(軟弱層2m以内)30-50万円、柱状改良工事(軟弱層2-8m)50-100万円、鋼管杭工事(軟弱層8m以上)100-300万円が目安です。地盤調査は土地購入後にしか実施できないため、ハザードマップ・古地図・周辺の地盤情報で事前に推測し、予算に余裕を持たせることが重要です。