土地を買うには何から始める?購入の流れと準備を解説

公開日: 2025/10/31

土地を買うには何から始めればいい?

土地購入を初めて検討する際、「何から手をつければいいか分からない」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、土地購入の全体の流れ(予算決定→エリア選定→物件探し→現地確認→契約→登記)を6ステップに分解し、各ステップで必要な情報・書類・費用を、国土交通省国税庁の公式情報を元に解説します。

初めて土地を購入する方でも、全体像を把握し、最初のステップを踏み出せるようになります。

この記事のポイント

  • 土地購入は予算決定→エリア選定→物件探し→現地確認→契約→登記の6ステップで進む
  • 予算は土地代+諸費用(土地代の7-10%)で計画が必要
  • 現地確認では用途地域・接道義務・インフラ・地盤の4点を必ず確認
  • 諸費用の内訳は仲介手数料・登記費用・不動産取得税・印紙税等
  • 重要事項説明書・売買契約書は専門家のアドバイスを受けて慎重に確認

土地購入の全体の流れを理解する

土地購入は、以下の6ステップで進みます。全体の期間目安は3-6ヶ月程度です。

  1. 予算決定と資金計画を立てる
  2. エリア選定と土地探しを始める
  3. 現地確認と購入前の徹底チェック
  4. 売買契約と重要事項説明を受ける
  5. 決済・引渡しと所有権移転登記
  6. 土地購入後の手続き

各ステップで何をするのか、何を確認するのかを明確にすることで、「何から手をつければいいか分からない」という不安を解消できます。次のセクションから、各ステップの詳細を説明します。

ステップ1:予算決定と資金計画を立てる

土地購入には、土地代だけでなく諸費用が土地代の7-10%程度必要です。

諸費用の内訳

項目 内容 目安額
仲介手数料 土地代の3%+6万円+消費税 土地代3000万円の場合、約105万円
登記費用 司法書士報酬+登録免許税 5-10万円+固定資産税評価額の1.5%(2026年3月まで)
不動産取得税 固定資産税評価額の3%(2027年3月まで) 30-50万円
印紙税 売買契約書に貼付 1-3万円

(出典: 国税庁 不動産等を売却した方へ

相場の確認方法

予算を決める前に、希望エリアの相場を確認しましょう。国土交通省の土地総合情報システムでは、実際の取引価格データを基にした相場確認が可能です。

また、不動産情報ライブラリでは、地価公示・不動産市場データを集約しており、信頼性の高い統計データと市場動向の把握ができます。

ステップ2:エリア選定と土地探しを始める

エリア選定では、通勤・通学の利便性、生活施設(スーパー、病院、学校等)へのアクセス、予算の兼ね合いを考慮して候補地を絞ります。

希望条件を整理する

  • 通勤・通学: 最寄駅までの距離、通勤時間
  • 生活利便性: スーパー、病院、学校、公園等へのアクセス
  • 予算: 相場を確認した上で、現実的な予算内で探す
  • 土地の広さ: 希望する建物の建築に必要な面積

物件情報を収集する

不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME'S等)や地元の不動産会社を活用して物件情報を収集し、複数の候補地をリストアップします。この段階では「絶対にここ」と決めず、広く情報収集することが重要です。

ステップ3:現地確認と購入前の徹底チェック

土地購入で失敗しないために、現地確認では以下の4点を必ずチェックしてください。

用途地域・建ぺい率・容積率を確認する

用途地域(住居系・商業系・工業系)と建ぺい率・容積率を市区町村の都市計画課で確認し、希望する建物が建てられるかチェックします。

宅地建物取引業法により、重要事項説明で用途地域や建築制限は必ず説明されますが、購入前に自分で確認しておくことをおすすめします。

接道義務を満たすか確認する

建築基準法で定められた接道義務(原則として幅員4m以上の道路に2m以上接する)を満たさない土地は、建築確認が取れず建物が建てられません(再建築不可物件)。

接道義務を満たさない土地は市場価値が大幅に低下するため、必ず確認してください。

インフラ整備状況を確認する

上下水道・ガス・電気の引込状況を確認します。未整備の場合、引込工事費用(数十万円~数百万円)が別途必要となる可能性があります。特に郊外や造成地では注意が必要です。

地盤の強さ・災害リスクを確認する

地盤の強さはハザードマップや地盤サポートマップで確認します。軟弱地盤の場合、地盤改良工事で数百万円の追加費用が発生する可能性があります。

洪水・土砂災害・地震等の災害リスクも、各自治体が公表するハザードマップで確認しましょう。

ステップ4:売買契約と重要事項説明を受ける

購入する土地が決まったら、売買契約を締結します。契約前に宅地建物取引士から重要事項説明を受け、以下の点を確認してください。

重要事項説明書で確認すべき事項

  • 権利関係: 所有権、抵当権の有無
  • 法的制約: 用途地域、建築制限、接道状況
  • インフラ整備状況: 上下水道・ガス・電気の引込状況
  • 境界確定の有無: 隣地との境界線が確定しているか

境界が未確定の場合、隣地とのトラブルや追加測量費用(20-50万円程度)が発生するリスクがあります。売買契約前に売主に境界確定を依頼するか、境界確定特約を契約書に盛り込むことを推奨します。

売買契約書の内容を確認する

売買契約書で代金・支払時期・引渡日・契約不適合責任等を確認し、不明点があれば必ず質問してください。契約締結時に手付金(売買代金の5-10%程度)を支払います。

また、宅建業者の事務所以外で契約した場合、8日以内であればクーリングオフ制度により契約解除が可能です。

ステップ5:決済・引渡しと所有権移転登記

契約後、残代金を支払い、土地の引渡しを受けます。同時に所有権移転登記を行い、法務局で登記を完了させます。

所有権移転登記の手続き

登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的です(報酬5-10万円程度)。登録免許税(固定資産税評価額の1.5%、2026年3月までは軽減措置、通常は2%)を納付します。

国土交通省 用地取得のあらましによると、登記完了後、登記識別情報通知(権利証)を受領し、土地の所有者となります。

まとめ:土地購入を成功させるための3つのポイント

土地購入を成功させるための3つのポイントは以下の通りです。

  1. 予算は土地代+諸費用(7-10%)で計画: 諸費用を見落とすと資金不足になるリスクがあります
  2. 現地確認で用途地域・接道義務・インフラ・地盤を必ずチェック: 購入後に「建物が建てられない」「地盤改良工事で追加費用」となるリスクを防ぎます
  3. 重要事項説明書・売買契約書は専門家のアドバイスを受けて慎重に確認: 司法書士や不動産会社のアドバイスを受けることをおすすめします

次のアクションとして、まず国土交通省の土地総合情報システムで希望エリアの相場を調べ、不動産会社に相談することから始めましょう。

よくある質問

Q1土地購入にかかる諸費用はどれくらいですか?

A1土地代の7-10%程度が目安です。内訳は仲介手数料(土地代の3%+6万円+消費税)、登記費用(司法書士報酬5-10万円+登録免許税)、不動産取得税(固定資産税評価額の3%、2027年3月まで)、印紙税等です。例えば土地代3000万円の場合、諸費用は210-300万円程度となります。

Q2接道義務を満たさない土地は購入できないのですか?

A2購入自体は可能ですが、建築確認が取れず建物が建てられません(再建築不可物件)。接道義務は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接する必要があり、満たさない土地は市場価値が大幅に低下します。購入前に必ず接道状況を確認し、建築可能かどうかを市区町村の建築指導課に問い合わせることをおすすめします。

Q3境界が未確定の土地は購入しても大丈夫ですか?

A3境界未確定の場合、隣地とのトラブルや追加測量費用(20-50万円程度)が発生するリスクがあります。売買契約前に売主に境界確定を依頼するか、境界確定特約を契約書に盛り込むことを推奨します。境界確定には土地家屋調査士が実施し、隣地所有者の立会いと合意が必要となります。

Q4地盤が弱い土地を購入したらどうなりますか?

A4地盤改良工事が必要となり、数百万円の追加費用が発生する可能性があります。購入前にハザードマップや地盤サポートマップで地盤の強さを確認し、必要に応じて地盤調査(5-10万円程度)を実施すべきです。地盤改良工事費用は地盤の状態により大きく変動するため、事前の調査が重要です。