土地の価格調べ方完全ガイド|5つの指標と無料サイト活用法

公開日: 2025/10/27

土地の価格を調べる前に知っておくべき「一物五価」

土地の価格を調べようとして、「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」など複数の価格が出てきて混乱したことはありませんか?

この記事では、土地の価格を示す5つの指標(実勢価格、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額)の違いと、それぞれの調べ方を、国土交通省国税庁の公式情報を元に解説します。

無料で使える公的サイトの操作手順も具体的に紹介しますので、初めての方でも土地の適正価格を自分で調べられるようになります。

この記事のポイント

  • 1つの土地に「実勢価格」「公示地価」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」の5つの価格指標が存在する
  • 路線価は公示地価の約80%、固定資産税評価額は約70%であり、実勢価格とは異なる
  • 国土交通省や国税庁の無料サイトで、各指標を自分で調べることができる
  • 土地の形状・接道状況・用途地域などの個別性により、実勢価格は大きく変動する
  • 最終的には複数の不動産業者への査定依頼や専門家への相談を推奨する

5つの価格指標とその違い

1つの土地に複数の価格が存在することを「一物五価(または一物四価)」と呼びます。それぞれの指標は目的と水準が異なるため、混同しないよう明確に区別する必要があります。

指標 公表機関 公表時期 基準日 用途 水準(公示地価比)
実勢価格 - 取引時 - 実際の売買価格 約110-120%(不動産市場調査)
公示地価 国土交通省 毎年3月 1月1日 取引の目安 100%(基準)
基準地価 都道府県 毎年9月 7月1日 公示地価の補完 約100%
路線価 国税庁 毎年7月 1月1日 相続税・贈与税計算 約80%(財産評価基本通達)
固定資産税評価額 市区町村 3年ごと - 固定資産税計算 約70%(地方税法)

(出典: 主な公的土地評価一覧(国土交通省)を基に作成)

実勢価格:実際に売買された価格

実勢価格は、実際に不動産が売買された価格です。公示地価より高いことが多く(約110-120%、不動産市場調査)、立地・形状・接道状況・売主の事情等により決まります。

公示地価:毎年3月公表、取引の目安

地価公示法に基づき国土交通省が毎年3月に公表する、1月1日時点の標準地1㎡あたりの正常な価格です。一般の土地取引の指標となります。

基準地価:毎年9月公表、公示地価の補完

都道府県が毎年9月に公表する、7月1日時点の基準地1㎡あたりの価格です。公示地価の補完的指標で、都市計画区域外も対象としています。

路線価:毎年7月公表、相続税評価用(公示地価の約80%)

国税庁が毎年7月に公表する、道路に面する土地1㎡あたりの価格です。相続税・贈与税の計算に使用され、財産評価基本通達により公示地価の約80%の水準に設定されています。

固定資産税評価額:3年ごと更新、固定資産税計算用(公示地価の約70%)

市区町村が3年ごとに評価替えする、固定資産税・都市計画税・不動産取得税の計算基準です。地方税法により公示地価の約70%の水準に設定されています。

無料で使える公的サイトの操作手順

それぞれの価格指標は、国土交通省や国税庁の無料サイトで調べることができます。

国土交通省「不動産情報ライブラリ」で実勢価格を検索

不動産情報ライブラリでは、平成17年第3四半期以降の実際の不動産取引価格を検索できます。

操作手順:

  1. サイトにアクセスし、「不動産取引価格情報検索」を選択
  2. 都道府県・市区町村・地区を指定
  3. 取引時期・土地面積・用途地域などの条件を設定
  4. 検索結果から周辺の取引事例を確認

実勢価格は個別の土地によって大きく異なるため、複数の取引事例を参照することが重要です。

国土交通省「標準地・基準地検索システム」で公示地価・基準地価を検索

標準地・基準地検索システムでは、公示地価と基準地価を都道府県・市区町村単位で検索できます。

操作手順:

  1. 「都道府県」「市区町村」を選択
  2. 「用途」(住宅地・商業地等)を指定
  3. 検索結果から最寄りの標準地を選択
  4. 標準地の所在地・㎡単価・前年比を確認

公示地価・基準地価は標準地の価格であり、実際の土地とは形状・接道状況が異なる場合があります。

国税庁「財産評価基準書」で路線価を検索

財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)では、全国の路線価を8年分参照できます。

操作手順:

  1. 調べたい年分(令和7年分等)を選択
  2. 都道府県・市区町村を選択
  3. 路線価図または評価倍率表を選択
  4. 地図上で該当する道路の路線価を確認(単位:千円/㎡)

路線価は相続税・贈与税の計算に使用されるため、実勢価格より低く設定されています(公示地価の約80%)。

全国地価マップで4種類を一括比較

全国地価マップでは、固定資産税路線価・相続税路線価・公示地価・都道府県地価調査の4種類を1つのマップで視覚的に比較できます。

操作手順:

  1. サイトにアクセスし、調べたい地域を地図上で検索
  2. 「固定資産税路線価」「相続税路線価」「公示地価」「都道府県地価調査」から表示する情報を選択
  3. 地図上で該当する地点をクリックして価格を確認

複数の指標を同時に確認できるため、価格の相場感をつかむのに便利です。

土地の個別性が価格に与える影響

同じ路線価の土地でも、実勢価格は個別の条件により大きく異なります。

形状(長方形 vs 不整形地)

長方形の整形地は利用効率が高く、価格が高くなる傾向があります。一方、不整形地(三角形、旗竿地等)は利用しにくいため、価格が下がります。

接道状況(幅員、方角)

道路の幅員(4m以上か未満か)、接道する方角(南向きか北向きか)、角地か否かによって価格は大きく変動します。

用途地域・インフラ整備状況

第一種低層住居専用地域と商業地域では、建築できる建物が異なるため価格水準も異なります。また、上下水道・ガスの整備状況も価格に影響します。

公的指標はあくまで目安であり、個別の土地評価には専門家(不動産業者、不動産鑑定士)の判断が必要です。

最新の地価動向(2025年)

令和7年地価公示(国土交通省)によると、2022年以降、全国的に地価は上昇傾向にあります。

古いデータ(2020年以前等)に基づいて価格を判断すると、現在の適正価格を誤る可能性があります。土地の価格を調べる際は、必ず最新年度のデータを使用してください。

複数の不動産業者への査定依頼と次のステップ

公的指標で概算を把握した後、実際の売却価格を知るには、複数の不動産業者への査定依頼が必要です。

査定依頼のポイント:

  • 最低3社以上に依頼し、査定額を比較する
  • 査定額の根拠(近隣の取引事例、土地の個別性等)を確認する
  • 一括査定サイトを利用する場合、個人情報の取扱いに注意する

相続や裁判など正式な評価が必要な場合は、不動産鑑定士への依頼(費用20-50万円程度、土地の評価額や地域により異なります)を検討してください。

まとめ:土地の適正価格を自分で調べる方法

土地の価格には5つの指標があり、それぞれ目的と水準が異なります。路線価は公示地価の約80%、固定資産税評価額は約70%、実勢価格は約110-120%が目安です。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」「標準地・基準地検索システム」、国税庁の「財産評価基準書」、「全国地価マップ」を活用することで、無料で各指標を調べることができます。

ただし、土地の形状・接道状況・用途地域などの個別性により、実勢価格は大きく変動します。最終的には複数の不動産業者への査定依頼や、専門家(不動産鑑定士)への相談をおすすめします。

よくある質問

Q1路線価と実勢価格の関係は?

A1路線価は公示地価の約80%、実勢価格は公示地価の約110-120%が目安です。したがって、路線価の1.25倍程度(80% × 1.25 ≒ 100%、100% × 1.1-1.2 ≒ 110-120%)が実勢価格の概算となります。ただし、土地の形状・接道状況・用途地域などの個別性により、実勢価格は大きく変動するため、あくまで目安としてご利用ください。

Q2固定資産税評価額から売却価格を推測できますか?

A2固定資産税評価額は公示地価の約70%のため、評価額を0.7で割ると公示地価の概算が分かります。さらに実勢価格は公示地価の約110-120%が目安ですが、土地の形状・接道状況・用途地域などの個別性により大きく異なるため、あくまで概算です。正確な売却価格を知るには、複数の不動産業者への査定依頼が必要です。

Q3公示地価と基準地価の違いは何ですか?

A3公示地価は国土交通省が毎年3月に公表(1月1日時点)し、主に都市計画区域内を対象とします。基準地価は都道府県が毎年9月に公表(7月1日時点)し、公示地価の補完的指標として都市計画区域外も対象としています。両者とも一般の土地取引の指標となりますが、公表時期と調査地点が異なります。

Q4不動産鑑定士に依頼する費用はどのくらいですか?

A4土地の評価額や面積により異なりますが、一般的に20-50万円程度です。相続や裁判など正式な評価が必要な場合に依頼します。通常の売却であれば、不動産業者への無料査定で十分です。複数の業者に査定を依頼し、査定額の根拠を確認することをおすすめします。