土地の価格を調べる5つの方法|無料サイトから専門家依頼まで徹底比較

公開日: 2025/10/26

土地の価格を調べる方法とは?無料で使える5つの手段

土地の売買や相続で適正価格を知りたい時、「どこで調べればいいのか分からない」と悩む方は少なくありません。

この記事では、土地の価格を調べる5つの方法(国土交通省の公的サイト、路線価、固定資産税評価額、全国地価マップ、不動産会社の無料査定)を、国土交通省国税庁の公式情報を元に解説します。

目的別にどの方法を選ぶべきかが分かり、無料で適正な価格感を掴めるようになります。

この記事のポイント

  • 土地価格を調べる方法は5つあり、目的(相続税計算、売却検討、購入検討)に応じて使い分ける
  • 1つの土地には複数の価格(公示地価・路線価・固定資産税評価額・実勢価格)が存在する
  • 国土交通省・国税庁の公的サイトは完全無料で、信頼性の高い価格情報を提供している
  • 路線価や固定資産税評価額から実勢価格を逆算できるが、あくまで推計値である
  • 売却を検討する場合は、不動産会社の無料査定を複数社に依頼して比較することが重要

土地価格の5つの種類(一物四価)とは

土地の価格を調べる前に、1つの土地に複数の価格が存在する「一物四価(五価)」を理解しておきましょう。

4つの公的価格と実勢価格

価格の種類 公表機関 評価時点 公表時期 目的 公示地価との比率
公示地価 国土交通省 1月1日 3月 土地取引の指標 100%
基準地価 都道府県 7月1日 9月 公示地価を補完 100%
路線価 国税庁 1月1日 7月 相続税・贈与税計算 約80%
固定資産税評価額 市区町村 1月1日 4-6月 固定資産税の課税基準 約70%
実勢価格 - - - 実際の売買価格 市場の需給で変動

(出典: 国土交通省国税庁

なぜ複数の価格があるのか?

公示地価は土地取引の指標、路線価は相続税計算用、固定資産税評価額は課税用と、それぞれ目的が異なります。

路線価は公示地価の約80%、固定資産税評価額は約70%に設定されており、これにより納税者の負担を調整しています。

方法①:国土交通省の公的サイトで無料で調べる

最も信頼性が高いのは、国土交通省が提供する公的サイトです。

地価公示・基準地価で標準地の価格を調べる

不動産情報ライブラリでは、地価公示と基準地価を検索できます。

調べ方

  1. 不動産情報ライブラリにアクセス
  2. 「地価公示・都道府県地価調査」を選択
  3. 住所または地図から標準地を検索
  4. 1㎡あたりの価格を確認

標準地とは、その地域の代表的な土地のことです。自分の土地と条件が近い標準地を参考にすることで、おおよその価格感が分かります。

不動産取引価格情報検索で実際の成約価格を見る

土地総合情報システムでは、2006年から蓄積された約430万件の実際の取引価格を検索できます。

調べ方

  1. 土地総合情報システムにアクセス
  2. 時期と地域を選択
  3. 取引価格、面積、取引時期を確認

過去の参考値であるため、最新の市場価格とは乖離している場合があります。直近1年以内のデータを優先して参照しましょう。

方法②:路線価から実勢価格を逆算する

相続税評価に使われる路線価から、実勢価格を推計できます。

国税庁の路線価図の見方

国税庁の路線価図では、道路に面した土地の1㎡あたりの価格が確認できます。

路線価図に「300D」と記載されている場合、路線価は300千円/㎡(30万円/㎡)を意味します。

路線価÷0.8で実勢価格を推計する計算式

路線価は公示地価の約80%に設定されているため、以下の計算式で実勢価格を逆算できます。

実勢価格の推計 = 路線価 ÷ 0.8

例:路線価が30万円/㎡の場合

実勢価格の推計 = 30万円 ÷ 0.8 = 37.5万円/㎡

ただし、これはあくまで推計値です。市場の需給状況により、実際の売買価格とは異なる場合があります。特に人気エリアでは、実勢価格が推計値を大きく上回ることがあります。

方法③:固定資産税評価額から推計する

毎年届く固定資産税課税明細書から、実勢価格を推計できます。

固定資産税課税明細書での確認方法

固定資産税課税明細書は、毎年4-6月に市区町村から送られてきます。「価格」または「評価額」の欄に記載されているのが、固定資産税評価額です。

明細書が手元にない場合は、市区町村の税務課で固定資産評価証明書を取得できます。

評価額÷0.7で実勢価格を計算

固定資産税評価額は公示地価の約70%に設定されているため、以下の計算式で実勢価格を推計できます。

実勢価格の推計 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7

例:固定資産税評価額が2,100万円の場合

実勢価格の推計 = 2,100万円 ÷ 0.7 = 3,000万円

固定資産税評価額は3年ごとの評価替えで更新されるため、最新の市場価格とは乖離している場合があります。評価年度を確認し、なるべく直近の評価額を使いましょう。

方法④:全国地価マップで4つの価格を一括確認

全国地価マップは、4つの公的価格を地図上で視覚的に確認できる無料サイトです。

確認できる価格

  • 固定資産税路線価
  • 相続税路線価
  • 地価公示価格
  • 都道府県地価調査価格

使い方

  1. 全国地価マップにアクセス
  2. 住所または地番で検索
  3. 地図上で4つの価格を確認

複数の価格を一度に比較できるため、価格感を掴みやすいのが特徴です。

方法⑤:不動産会社の無料査定で正確な価格を知る

売却を検討する場合は、不動産会社の無料査定が最も正確です。

複数社の査定を比較する理由

1社だけでなく、3社以上に依頼して査定額を比較することが重要です。

不動産会社によって査定額が数百万円異なることもあります。これは、会社の得意エリア、販売力、査定方法の違いによるものです。

複数社の査定額を比較することで、適正価格の範囲が見えてきます。

一括査定サイトの営業電話リスクと対処法

一括査定サイトは便利ですが、複数社から営業電話が来るリスクがあります。

対処法

  • 匿名査定サービスを利用する
  • 電話番号入力不要のサービスを選ぶ
  • 連絡可能な時間帯を指定する
  • メール連絡を希望する旨を伝える

売却を急いでいない場合は、まず1-2社に絞って査定を依頼し、対応を見てから追加で依頼する方法もあります。

まとめ:目的に合わせて複数の方法を組み合わせる

土地の価格を調べる方法は5つあり、目的に応じて使い分けることが重要です。

  • 相続税計算:路線価をそのまま使用
  • 売却検討:不動産会社の無料査定を複数社に依頼
  • 購入検討:成約事例と路線価を併用して相場を確認
  • 固定資産税の確認:固定資産税課税明細書で評価額を確認

1つの方法だけでなく、複数の方法を組み合わせることで、より正確な価格感を掴めます。

公的サイトで大まかな相場を把握し、不動産会社の査定で個別の条件を反映した価格を知ることで、適正な判断ができるようになります。

不明点や個別の事情がある場合は、不動産鑑定士や税理士に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q1土地の価格を調べるのに費用はかかりますか?

A1国土交通省や国税庁の公的サイト、全国地価マップは完全無料で利用できます。不動産会社の査定も、売却前提の場合は基本的に無料です。正式な不動産鑑定士による鑑定評価を依頼する場合は、20万円〜50万円程度の費用がかかります。

Q2路線価と実勢価格はどのくらい違いますか?

A2路線価は公示地価の約80%に設定されているため、路線価÷0.8で実勢価格の目安を計算できます。ただし、市場の需給状況により実際の売買価格とは乖離する場合があります。特に人気エリアでは実勢価格が推計値を大きく上回る傾向があるため、参考値として考えることが重要です。

Q3古い価格データは参考になりますか?

A3公示地価は毎年更新、路線価は毎年7月公表、固定資産税評価額は3年ごと更新されます。市場価格は常に変動するため、なるべく最新のデータを参照することをおすすめします。不動産取引価格情報検索では取引時期を確認し、直近1年以内のデータを優先しましょう。

Q4自分で調べた価格と不動産会社の査定額が違う理由は?

A4公示地価・路線価は「標準的な土地」の価格です。実際の土地は形状・接道状況・周辺環境・日当たり等の個別要因で価格が変動します。不動産会社はこれらの個別要因を加味して査定するため、公的価格と差が出ます。複数社の査定を比較して適正価格を判断することが重要です。