土地の値段を決める7大要因と価格相場の調べ方

公開日: 2025/10/27

土地の値段を決める要因とは

土地の購入や売却を検討する際、「なぜこの土地は高いのか」「適正価格はいくらなのか」と疑問に感じる方は多いでしょう。

この記事では、土地の値段を決める7大要因(立地・アクセス、用途地域・容積率、土地の形状・面積、接道状況、地盤・災害リスク、周辺環境、需給バランス)を、国土交通省国税庁の公式情報を元に解説します。

同じエリアでも価格が2-3倍違う理由を理解し、適正価格を見極めるための知識を身につけることができます。

この記事のポイント

  • 土地価格は立地・用途地域・形状・接道・地盤等の7要因で決まる
  • 駅徒歩5分と15分で坪単価が30-50%違う
  • 容積率200%と400%で価格が2倍差になることもある
  • 接道義務を満たさない土地(再建築不可)は価格が50-70%下落
  • 価格相場は国土交通省の土地総合情報システム・公示地価・路線価で確認可能

土地の値段を決める7大要因

土地価格は、以下の7つの要因によって決まります。

  1. 立地・アクセス: 駅からの徒歩分数、主要道路との距離
  2. 用途地域・容積率: 都市計画法で定める建築制限
  3. 土地の形状・面積: 整形地か不整形地か、南向き道路か北向き道路か
  4. 接道状況: 建築基準法の接道義務を満たすか、角地か
  5. 地盤・災害リスク: 液状化危険度、ハザードマップ
  6. 周辺環境: 学校・病院・商業施設の有無
  7. 需給バランス: エリアの人気度、売り手と買い手の力関係

同じエリアでも、これらの要因により価格が2-3倍違うことがあります。以下、各要因を詳しく解説します。

立地・アクセスと価格の関係

駅徒歩分数の影響

駅からの徒歩分数は、土地価格に最も大きな影響を与える要因の一つです。

  • 駅徒歩5分: 最も高価(基準価格)
  • 駅徒歩10分: 不動産鑑定の実務では基準価格の80-90%程度
  • 駅徒歩15分: 不動産鑑定の実務では基準価格の50-70%程度

駅徒歩10分以内が人気ゾーンで、価格が高い傾向にあります。駅徒歩5分と15分では、坪単価が30-50%違うこともあります。

主要道路・高速ICとの距離

主要道路沿いは利便性が高い反面、騒音・振動により住宅地としての評価が下がることもあります。

  • 商業地: 主要道路沿いは高評価(集客性が高い)
  • 住宅地: 一本奥の静かな通りが高評価(騒音を避ける)

高速ICに近い土地は、商業地・物流拠点として高評価ですが、住宅地としては影響が限定的です。

用途地域・容積率と価格の関係

用途地域の種類と価格差

都市計画法で定める用途地域13種類のうち、以下の順に価格が高い傾向があります。

用途地域 建築可能な建物 容積率 価格水準
商業地域 店舗・オフィス・高層ビル 最大1000% 最高
住居地域 主に住宅、一部店舗 200-500%
工業地域 工場・倉庫 200-400%

(出典: 国土交通省

商業地域は店舗・オフィスが建築可能で容積率も高いため、住居地域より価格が高くなります。

容積率が高いほど価格が上がる理由

容積率は、敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。

  • 容積率200%: 100㎡の土地に延床200㎡(例:100㎡×2階建て)まで建築可能
  • 容積率400%: 100㎡の土地に延床400㎡(例:100㎡×4階建て)まで建築可能

容積率が高いほど高層建築が可能になり、土地の利用価値が上昇します。同じ立地でも、容積率200%と400%で価格が2倍差になることがあります。

土地の形状・面積・接道状況と価格

整形地と不整形地の価格差

土地の形状は、価格に大きな影響を与えます。

  • 整形地(正方形・長方形): 使いやすく、不動産業界の一般的な目安では不整形地より10-30%高価
  • 不整形地(三角形・L字型): デッドスペースが多く、価格が下がる

また、道路の向きも重要です。

  • 南向き道路: 日当たりが良く、北向き道路より10-20%高価
  • 北向き道路: 日当たりがやや劣る

接道義務と再建築不可物件

建築基準法で定める接道義務は、「幅員4m以上の道路に2m以上接すること」です。

接道義務を満たさない土地は、再建築不可物件となり、建て替えができません。このため、価格が50-70%下落します。

  • 接道義務を満たす土地: 建て替え可能、価格は標準
  • 再建築不可物件: 建て替え不可、価格が50-70%下落

角地(2面道路)は、利便性が高く価格が高い傾向にあります。

購入前に、接道状況を必ず確認してください。

地盤・災害リスクと価格

地盤の状態と災害リスクは、土地価格に大きな影響を与えます。

液状化危険度

埋立地・旧河川敷・低地は、地震時に液状化するリスクが高く、一般的な地盤改良費用(100-300万円)が必要です。

液状化危険度が高いエリアの土地は、同じ立地でも20-30%安価になります。

土砂災害・浸水リスク

土砂災害警戒区域・浸水想定区域は、価格が20-50%下落します。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、災害リスク・都市計画情報を統合表示でき、土地価格の決定要因を多角的に把握できます。

購入前に、ハザードマップで災害リスクを事前確認することが必須です。

土地価格の4つの指標(一物四価)と調べ方

土地には、4つの公的価格が存在します(一物四価)。

指標 内容 水準 調べ方
実勢価格 実際の取引価格 100%(基準) 土地総合情報システム
公示地価 国が毎年公表する標準価格 実勢価格と±10-30% 土地総合情報システム
路線価 相続税評価の基準 公示地価の約80% 国税庁
固定資産税評価額 固定資産税の基準 公示地価の約70% 市町村の固定資産税課

(出典: 国土交通省国税庁

実勢価格(実際の取引価格)

実勢価格は、実際に取引された価格です。国土交通省の土地総合情報システムで検索可能です。

実勢価格は、公示地価から10-30%程度乖離することが多く、個別要因(立地・形状・接道等)により変動します。

公示地価(国の標準価格)

公示地価は、国土交通省が毎年1月1日時点の土地価格を評価し、3月に公表する標準価格です(2025年(令和7年)1月1日時点の最新データは2025年3月公表予定)。全国約26,000地点で実施され、不動産鑑定士2名以上が評価します。

一般の土地取引価格の指標となり、土地価格の目安として広く利用されます。

路線価(相続税評価)

路線価は、国税庁が毎年7月に公表する相続税評価額の基準です。公示地価の約80%水準で設定され、土地価格の目安として広く利用されます。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、固定資産税の基準で、公示地価の約70%水準です。市町村の固定資産税課で確認できます。

まとめ

土地価格は、立地・用途地域・形状・接道・地盤等の7要因で決まり、同じエリアでも2-3倍の差が生じます。

駅徒歩分数・容積率・整形地が特に重要で、駅徒歩5分と15分で坪単価が30-50%違い、容積率200%と400%で価格が2倍差になることもあります。接道義務を満たさない土地(再建築不可)は価格が50-70%下落するため、購入前に必ず確認してください。

価格相場は、国土交通省の土地総合情報システム・公示地価・路線価で確認可能です。

次のアクション:ハザードマップで災害リスクを確認し、用途地域・容積率を確認し、複数の価格指標で適正価格を判断してください。信頼できる不動産会社や不動産鑑定士に相談しながら、総合的な判断を行いましょう。

よくある質問

Q1公示地価と実際の取引価格はどれくらい違いますか?

A1公示地価は標準的な土地の評価額で、実際の取引価格(実勢価格)とは10-30%程度乖離することが多いです。立地・形状・接道等の個別要因により実勢価格は変動します。国土交通省の土地総合情報システムで、実際の取引価格を検索できます。

Q2容積率が高いとなぜ土地価格が上がるのですか?

A2容積率が高いほど高層建築が可能になり、土地の利用価値が上昇するためです。例えば容積率200%なら2階建て、400%なら4階建てが可能で、同じ土地面積でもより多くの床面積を確保でき、収益性が高まります。商業地では容積率が土地価格に直結します。

Q3再建築不可物件はどれくらい安くなりますか?

A3接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)を満たさない土地は再建築不可で、建て替えができないため価格が50-70%下落します。購入前に接道状況を必ず確認し、将来の建て替え計画がある場合は再建築不可物件を避けてください。

Q4液状化リスクが高いエリアの土地は避けるべきですか?

A4液状化リスクが高い土地でも、地盤改良(100-300万円)で対策可能です。ただし同じ立地でも20-30%安価になるため、地盤改良費用を考慮して総額で判断してください。国土交通省の不動産情報ライブラリでハザードマップを確認し、災害リスクを事前に把握することが重要です。