土地の値段を決める要因とは
土地の購入や売却を検討する際、「なぜこの土地は高いのか」「適正価格はいくらなのか」と疑問に感じる方は多いでしょう。
この記事では、土地の値段を決める7大要因(立地・アクセス、用途地域・容積率、土地の形状・面積、接道状況、地盤・災害リスク、周辺環境、需給バランス)を、国土交通省や国税庁の公式情報を元に解説します。
同じエリアでも価格が2-3倍違う理由を理解し、適正価格を見極めるための知識を身につけることができます。
この記事のポイント
- 土地価格は立地・用途地域・形状・接道・地盤等の7要因で決まる
- 駅徒歩5分と15分で坪単価が30-50%違う
- 容積率200%と400%で価格が2倍差になることもある
- 接道義務を満たさない土地(再建築不可)は価格が50-70%下落
- 価格相場は国土交通省の土地総合情報システム・公示地価・路線価で確認可能
土地の値段を決める7大要因
土地価格は、以下の7つの要因によって決まります。
- 立地・アクセス: 駅からの徒歩分数、主要道路との距離
- 用途地域・容積率: 都市計画法で定める建築制限
- 土地の形状・面積: 整形地か不整形地か、南向き道路か北向き道路か
- 接道状況: 建築基準法の接道義務を満たすか、角地か
- 地盤・災害リスク: 液状化危険度、ハザードマップ
- 周辺環境: 学校・病院・商業施設の有無
- 需給バランス: エリアの人気度、売り手と買い手の力関係
同じエリアでも、これらの要因により価格が2-3倍違うことがあります。以下、各要因を詳しく解説します。
立地・アクセスと価格の関係
駅徒歩分数の影響
駅からの徒歩分数は、土地価格に最も大きな影響を与える要因の一つです。
- 駅徒歩5分: 最も高価(基準価格)
- 駅徒歩10分: 不動産鑑定の実務では基準価格の80-90%程度
- 駅徒歩15分: 不動産鑑定の実務では基準価格の50-70%程度
駅徒歩10分以内が人気ゾーンで、価格が高い傾向にあります。駅徒歩5分と15分では、坪単価が30-50%違うこともあります。
主要道路・高速ICとの距離
主要道路沿いは利便性が高い反面、騒音・振動により住宅地としての評価が下がることもあります。
- 商業地: 主要道路沿いは高評価(集客性が高い)
- 住宅地: 一本奥の静かな通りが高評価(騒音を避ける)
高速ICに近い土地は、商業地・物流拠点として高評価ですが、住宅地としては影響が限定的です。
用途地域・容積率と価格の関係
用途地域の種類と価格差
都市計画法で定める用途地域13種類のうち、以下の順に価格が高い傾向があります。
| 用途地域 | 建築可能な建物 | 容積率 | 価格水準 | 
|---|---|---|---|
| 商業地域 | 店舗・オフィス・高層ビル | 最大1000% | 最高 | 
| 住居地域 | 主に住宅、一部店舗 | 200-500% | 中 | 
| 工業地域 | 工場・倉庫 | 200-400% | 低 | 
(出典: 国土交通省)
商業地域は店舗・オフィスが建築可能で容積率も高いため、住居地域より価格が高くなります。
容積率が高いほど価格が上がる理由
容積率は、敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。
- 容積率200%: 100㎡の土地に延床200㎡(例:100㎡×2階建て)まで建築可能
- 容積率400%: 100㎡の土地に延床400㎡(例:100㎡×4階建て)まで建築可能
容積率が高いほど高層建築が可能になり、土地の利用価値が上昇します。同じ立地でも、容積率200%と400%で価格が2倍差になることがあります。
土地の形状・面積・接道状況と価格
整形地と不整形地の価格差
土地の形状は、価格に大きな影響を与えます。
- 整形地(正方形・長方形): 使いやすく、不動産業界の一般的な目安では不整形地より10-30%高価
- 不整形地(三角形・L字型): デッドスペースが多く、価格が下がる
また、道路の向きも重要です。
- 南向き道路: 日当たりが良く、北向き道路より10-20%高価
- 北向き道路: 日当たりがやや劣る
接道義務と再建築不可物件
建築基準法で定める接道義務は、「幅員4m以上の道路に2m以上接すること」です。
接道義務を満たさない土地は、再建築不可物件となり、建て替えができません。このため、価格が50-70%下落します。
- 接道義務を満たす土地: 建て替え可能、価格は標準
- 再建築不可物件: 建て替え不可、価格が50-70%下落
角地(2面道路)は、利便性が高く価格が高い傾向にあります。
購入前に、接道状況を必ず確認してください。
地盤・災害リスクと価格
地盤の状態と災害リスクは、土地価格に大きな影響を与えます。
液状化危険度
埋立地・旧河川敷・低地は、地震時に液状化するリスクが高く、一般的な地盤改良費用(100-300万円)が必要です。
液状化危険度が高いエリアの土地は、同じ立地でも20-30%安価になります。
土砂災害・浸水リスク
土砂災害警戒区域・浸水想定区域は、価格が20-50%下落します。
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、災害リスク・都市計画情報を統合表示でき、土地価格の決定要因を多角的に把握できます。
購入前に、ハザードマップで災害リスクを事前確認することが必須です。
土地価格の4つの指標(一物四価)と調べ方
土地には、4つの公的価格が存在します(一物四価)。
| 指標 | 内容 | 水準 | 調べ方 | 
|---|---|---|---|
| 実勢価格 | 実際の取引価格 | 100%(基準) | 土地総合情報システム | 
| 公示地価 | 国が毎年公表する標準価格 | 実勢価格と±10-30% | 土地総合情報システム | 
| 路線価 | 相続税評価の基準 | 公示地価の約80% | 国税庁 | 
| 固定資産税評価額 | 固定資産税の基準 | 公示地価の約70% | 市町村の固定資産税課 | 
実勢価格(実際の取引価格)
実勢価格は、実際に取引された価格です。国土交通省の土地総合情報システムで検索可能です。
実勢価格は、公示地価から10-30%程度乖離することが多く、個別要因(立地・形状・接道等)により変動します。
公示地価(国の標準価格)
公示地価は、国土交通省が毎年1月1日時点の土地価格を評価し、3月に公表する標準価格です(2025年(令和7年)1月1日時点の最新データは2025年3月公表予定)。全国約26,000地点で実施され、不動産鑑定士2名以上が評価します。
一般の土地取引価格の指標となり、土地価格の目安として広く利用されます。
路線価(相続税評価)
路線価は、国税庁が毎年7月に公表する相続税評価額の基準です。公示地価の約80%水準で設定され、土地価格の目安として広く利用されます。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税の基準で、公示地価の約70%水準です。市町村の固定資産税課で確認できます。
まとめ
土地価格は、立地・用途地域・形状・接道・地盤等の7要因で決まり、同じエリアでも2-3倍の差が生じます。
駅徒歩分数・容積率・整形地が特に重要で、駅徒歩5分と15分で坪単価が30-50%違い、容積率200%と400%で価格が2倍差になることもあります。接道義務を満たさない土地(再建築不可)は価格が50-70%下落するため、購入前に必ず確認してください。
価格相場は、国土交通省の土地総合情報システム・公示地価・路線価で確認可能です。
次のアクション:ハザードマップで災害リスクを確認し、用途地域・容積率を確認し、複数の価格指標で適正価格を判断してください。信頼できる不動産会社や不動産鑑定士に相談しながら、総合的な判断を行いましょう。
