土地が売れない理由と効果的な売却方法を解説

公開日: 2025/11/4

土地が売れないときに最初に確認すべきこと

土地を売却しようとしても買い手がつかず、何ヶ月も売れ残っている状況に不安を感じていませんか。土地の売却期間は平均約3ヶ月とされていますが、それを超えても売れない場合は何らかの原因があります。

この記事では、土地が売れない原因を「土地側の問題」「価格設定の問題」「販売方法の問題」の3つに分類し、それぞれの具体的な対処法を国土交通省・法務局等の公式情報を元に解説します。売却以外の選択肢も紹介しますので、冷静な判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • 土地が売れない原因は「境界未確定」「法的制約」「価格設定」「立地・土地条件」「販売方法」の5つに分類できる
  • 価格を下げる前に境界確定測量(費用30-80万円・期間3-4ヶ月)や建築可能性の確認を優先すべき
  • 法的制約(接道義務違反・市街化調整区域等)がある土地は価格に関わらず売れない場合がある
  • 不動産会社の変更や媒介契約の見直しで販売力を改善できる可能性がある
  • 売却以外の選択肢(有効活用・等価交換・相続土地国庫帰属制度)も視野に入れることが重要

土地が売れない原因

土地が売れない場合、以下の5つのいずれか、または複数が原因となっているケースがほとんどです。

境界が未確定

境界が確定していない土地は、買主の住宅ローン審査で問題になり、売却を妨げる大きな原因となります。金融機関は担保となる土地の範囲が明確でないと融資を渋るためです。

境界確定測量は、土地家屋調査士が隣地所有者の立会いのもとで境界を確定する作業です。費用は30-80万円、期間は3-4ヶ月程度かかりますが、売却をスムーズに進めるためには実施を推奨します。

法的制約(接道義務違反・市街化調整区域等)

建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接すること)を満たしていない土地は、再建築不可となり買主が限定されます。また、都市計画法で定められた市街化調整区域は原則として建築が認められず、住宅ローンも組みにくいため、買い手がつきにくいです。

これらの法的制約がある土地は、価格を下げても売れない場合があります。まず市役所の建築指導課で建築可能性を確認し、買主に正確な情報を提示することが重要です。

価格設定が適切でない

周辺の取引事例と比較して価格が高すぎる場合、買い手はつきません。国土交通省の不動産取引価格情報検索で周辺の取引事例を確認し、市場相場を把握することができます。

ただし、価格を下げる前に土地の現況(境界・建築可能性等)を正確に把握し、必要な対処を行うことを優先してください。

立地・土地条件の問題

駅から遠い、周辺環境が悪い、土地の形状がいびつ(旗竿地・間口が狭い等)、高低差がある、といった土地条件は買主の評価を下げる要因となります。

これらの条件は変えることができませんが、土地の特性を活かした買主(駐車場事業者・資材置き場を探している事業者等)を探すことで売却できる可能性があります。

販売方法が適切でない

不動産会社の販売力不足も売れない原因の一つです。広告掲載が少ない、内見希望者がいない、販売活動の報告がない等の場合は、不動産会社の変更を検討すべきです。

3ヶ月以上売れない場合は、媒介契約の更新時に他社への変更や、媒介契約の種類(一般媒介・専任媒介・専属専任媒介)の見直しを検討してください。

売却を成功させる対処法

土地が売れない場合、以下の対処法を優先順位をつけて実行することで売却できる可能性が高まります。

境界確定測量を実施する

境界が未確定の場合、まず境界確定測量を実施してください。費用は30-80万円、期間は3-4ヶ月かかりますが、買主の住宅ローン審査をスムーズに進めるためには必要な投資です。

測量が完了すると「確定測量図」が作成され、登記簿に反映されます。これにより買主は安心して購入を検討できるようになります。

土地活用の可能性を明確にする

市街化調整区域や接道義務違反の土地でも、農地転用や開発許可を取得できる場合があります。市役所の建築指導課で建築可能性を確認し、買主に正確な情報を提示することで、購入を検討しやすくなります。

建築可能性が明確になれば、買主は資金計画を立てやすくなり、売却がスムーズに進む可能性が高まります。

価格を見直す

境界確定や建築可能性の確認を行った上で、それでも売れない場合は価格の見直しを検討してください。周辺の取引事例を参考に、市場相場に合った価格設定をすることが重要です。

ただし、法的制約がある土地は価格を下げても売れない場合があるため、まず土地の現況を正確に把握することを優先してください。

不動産会社の変更を検討する

3ヶ月以上売れない場合、不動産会社の販売活動を評価してください。広告掲載が少ない、内見希望者がいない、販売活動の報告がない等の場合は、販売力不足の可能性があります。

媒介契約の更新時に他社への変更を検討し、複数の不動産会社に相談してみてください。

媒介契約の種類を変更する

一般媒介契約(複数社に依頼可能)の場合、不動産会社が積極的に販売活動を行わないケースがあります。専任媒介契約(1社のみに依頼、レインズ登録義務あり)に変更することで、不動産会社の販売意欲を高められる可能性があります。

専任媒介契約では、不動産会社は2週間に1回以上の販売活動報告義務があるため、販売状況を把握しやすくなります。

売却以外の選択肢

どうしても売却できない場合、以下の選択肢も視野に入れてください。

土地の有効活用(駐車場・太陽光発電等)

売却を急がない場合、土地を駐車場や太陽光発電に活用し、固定資産税を賄う方法があります。初期投資は必要ですが、長期的には安定した収入を得られる可能性があります。

等価交換

デベロッパーに土地を提供し、建物を建設してもらった後、完成した建物の一部と土地を交換する方法です。土地活用の一種で、初期投資なしで収益物件を持つことができます。

ただし、デベロッパーの選定や契約条件の確認が重要ですので、専門家(不動産会社・税理士)に相談してください。

相続土地国庫帰属制度

2023年4月に施行された相続土地国庫帰属制度では、相続または遺贈で取得した土地を国に返還できます。

ただし、以下の要件を満たす必要があり、10年分の管理費相当額(20-80万円程度)の負担金を納付する必要があります。

  • 建物がない
  • 担保権(抵当権等)がない
  • 境界が明確
  • 土壌汚染がない
  • 訴訟の対象になっていない

要件が厳しく、簡単に国に返せるわけではないため、事前に法務局に相談してください。

まとめ

土地が売れない場合、まず原因を正確に把握することが重要です。境界確定や建築可能性の明確化など、価格を下げる前にやるべきことがあります。

法的制約(接道義務違反・市街化調整区域等)がある土地は、価格に関わらず売れない場合もあるため、専門家(不動産会社・土地家屋調査士・税理士)への相談を推奨します。

売却以外の選択肢(有効活用・等価交換・相続土地国庫帰属制度)も視野に入れ、冷静に判断してください。

よくある質問

Q1境界確定測量は必ず必要ですか?

A1必須ではありませんが、境界が未確定だと買主の住宅ローン審査で問題になり、売却を妨げる大きな原因となります。金融機関は担保となる土地の範囲が明確でないと融資を渋るためです。費用は30-80万円、期間は3-4ヶ月かかりますが、売却をスムーズに進めるために実施を推奨します。測量が完了すると「確定測量図」が作成され、登記簿に反映されます。

Q2市街化調整区域の土地はどうしても売れませんか?

A2売却は可能ですが、原則建築不可のため買主が限定されます。都市計画法で市街化を抑制するエリアと定められており、住宅ローンも組みにくいです。農地として活用したい人、開発許可を取得できる業者等が対象となり、価格は市街化区域より低くなる傾向があります。市役所で建築可能性を確認し、専門の不動産会社に相談してください。

Q3不動産会社を変更するタイミングは?

A33ヶ月以上売れない場合、販売活動の報告内容を確認してください。広告掲載が少ない、内見希望者がいない等の場合は販売力不足の可能性があります。媒介契約は通常3ヶ月で更新されるため、更新時に他社への変更を検討しましょう。複数の不動産会社に相談し、販売戦略を比較することで、より効果的な販売方法が見つかる可能性があります。

Q4相続土地国庫帰属制度は誰でも利用できますか?

A4相続または遺贈で取得した土地が対象です。建物がない、担保権がない、境界が明確等の要件を満たし、10年分の管理費相当額(20-80万円程度)の負担金を納付する必要があります。2023年4月に施行された制度ですが、要件が厳しく、簡単に返還できるわけではありません。事前に法務局に相談し、要件を満たしているか確認してください。

Q5価格を下げればすぐ売れますか?

A5法的制約(接道義務違反・市街化調整区域等)がある土地は、価格を下げても売れない場合があります。建築基準法の接道義務を満たしていない土地は再建築不可となり、買主が限定されるためです。まず土地の法的状況を市役所で確認し、境界確定や建築可能性の明確化等の対処法を実行してから価格見直しを検討してください。