買ってはいけない土地の特徴|避けるべきサインと見極め方を解説

公開日: 2025/11/11

買ってはいけない土地とは?購入前に知るべき4つのリスク

初めての土地購入を検討する際、「どんな土地を避けるべきか」が分からず不安に感じる方は少なくありません。購入後に「家が建てられない」「災害リスクが高い」「権利トラブルに巻き込まれた」といった問題が発覚すると、取り返しがつきません。

本記事では、国土交通省の公式情報を元に、法的・物理的・環境的・権利関係の4つのリスクを持つ土地の特徴と、購入前に確認すべきポイントを解説します。

この記事のポイント

  • 法的リスク:接道義務を満たさない(再建築不可)、市街化調整区域(建築制限あり)、セットバック要(敷地面積が減る)
  • 物理的リスク:浸水リスク(ハザードマップで確認)、地盤が弱い(軟弱地盤)、がけ地・急傾斜地、土壌汚染
  • 環境的リスク:騒音・振動(幹線道路・鉄道沿い)、日照・通風不良、悪臭(工場・廃棄物処理施設近く)
  • 権利関係のリスク:境界が未確定、抵当権・差押え登記がある
  • 購入前に重要事項説明書・登記簿謄本・ハザードマップ・現地調査で必ず確認

法的リスクのある土地|建築制限で家が建てられない

接道義務を満たさない土地(再建築不可)

建築基準法第43条により、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があります。これを「接道義務」と言います。

接道義務を満たさない土地は、現在の建物を解体すると新たな建築ができない「再建築不可物件」となります。

再建築不可物件のリスク:

  • 住宅ローンが組みにくい(金融機関が担保価値を低く評価)
  • 資産価値が大幅に低い
  • 将来の建て替えができない

購入前に法務局で公図・地積測量図を確認し、接道状況を必ず確認しましょう。

市街化調整区域の土地(建築制限あり)

都市計画法により、「市街化調整区域」は「市街化を抑制すべき区域」と定められており、原則として住宅や店舗の建築が制限されます。

建築可能なケース:

  • 農業従事者の住宅
  • 既存宅地(一定の要件を満たす場合)
  • 開発許可を受けた区域

ただし、都道府県知事の許可が必要で、許可基準は自治体により異なり、手続きが複雑です。購入前に必ず自治体の都市計画課に確認しましょう。

セットバックが必要な土地(敷地面積が減る)

道路幅員が4m未満の場合、建築基準法により**道路中心から2m後退(セットバック)**する必要があります。

セットバックにより、実質的な敷地面積が減少し、建築できる建物の大きさが制限されます。セットバック部分は私有地ですが、道路として提供する必要があり、建物を建てることはできません。

物理的リスクのある土地|災害・地盤・汚染のリスク

ハザードマップで浸水リスクを確認

国土交通省のハザードマップポータルサイトで、洪水・土砂災害・津波のリスクを確認できます。

ハザードマップで確認すべき事項:

  • 洪水浸水想定区域(河川の氾濫リスク)
  • 土砂災害警戒区域(がけ崩れ・土石流のリスク)
  • 津波浸水想定区域(海岸近くの土地)

浸水想定区域でも、リスクの程度と価格次第では選択肢になる場合もあります。ただし、浸水頻度が高い地域や土砂災害警戒区域は避けるべきです。

火災保険・地震保険の加入可否、保険料も確認しましょう。

地盤が弱い土地(軟弱地盤)

地盤が弱い土地は、建物の沈下・傾斜のリスクがあります。地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良工事(費用50-100万円程度)が必要です。

軟弱地盤のサイン:

  • 過去に水田・池・沼だった土地
  • 埋立地
  • 谷底・低地

自治体の地盤情報データベースや、地盤サポートマップ等のサービスで事前に確認できます。

がけ地・急傾斜地

がけ地・急傾斜地は、建築基準法の「がけ条例」により建築制限がかかる場合があります。

がけ条例の基準(自治体により異なる):

  • がけの高さが2m以上
  • 勾配が30度以上
  • がけの下端から一定距離内(がけ高さの2倍程度)

がけ地の場合、擁壁の設置(費用数百万円~)が必要になることもあります。

土壌汚染のリスク

過去に工場・ガソリンスタンド・クリーニング店があった土地は、土壌汚染のリスクがあります。

土壌汚染対策法により、一定規模以上の土地取引や特定施設の廃止時に、指定調査機関による土壌汚染状況調査が義務化されます。

調査方法は以下の通りです。

  1. 地歴調査(過去の土地利用状況を確認)
  2. 概況調査(表層土壌のサンプリング)
  3. 詳細調査(汚染が疑われる場合)

土壌汚染が判明した場合、浄化費用(数百万円~数千万円)がかかることもあります。

環境的リスクのある土地|騒音・日照・悪臭の問題

騒音・振動の多い土地(幹線道路・鉄道沿い)

幹線道路・鉄道沿い・工場近くの土地は、騒音・振動の問題があります。

騒音のレベル:

  • 住宅地の環境基準:昼間55dB以下、夜間45dB以下
  • 幹線道路沿い:70-80dB(会話が困難なレベル)

騒音レベルは時間帯で大きく異なるため、現地調査(平日・休日、朝・昼・夕の時間帯別)で確認することが重要です。

日照・通風が悪い土地

建物に囲まれた土地、北向きの土地は、日照・通風が悪くなります。

日照不足の影響:

  • 室内が暗く、照明費用がかさむ
  • 湿気が多く、カビが発生しやすい
  • 洗濯物が乾きにくい

現地調査で、日照時間(特に冬至の時期)を確認しましょう。

悪臭のある土地(工場・廃棄物処理施設近く)

廃棄物処理施設・下水処理場・工場近くの土地は、悪臭の問題があります。

悪臭は風向きにより変わるため、現地調査で複数回訪問し、風向き別に確認することをおすすめします。

権利関係のリスク|登記簿・境界で後からトラブル

境界が未確定の土地

境界が未確定の土地は、隣地とのトラブルの原因になります。

境界確定の重要性:

  • 境界未確定のまま売却すると、買主とのトラブルに
  • 隣地所有者との境界トラブル(訴訟リスク)
  • 建築時に境界が確定していないと、建築確認が下りない場合がある

確定測量図(境界標の位置を示した測量図)の有無を確認し、未確定なら売主に測量を依頼しましょう。測量費用は50-100万円程度です。

抵当権・差押え登記がある土地

登記簿謄本に抵当権・差押え登記がある土地は、所有権移転に問題が生じる可能性があります。

抵当権のリスク:

  • 売主が住宅ローンを完済していない場合、抵当権が残る
  • 抵当権が抹消されないまま売却されると、買主が競売リスクを負う

差押え登記のリスク:

  • 税金滞納等で差押えられた土地は、所有権移転ができない場合がある

購入前に法務局で登記簿謄本を取得し、抵当権・差押え登記の有無を必ず確認しましょう。

購入前に必ず確認すべき4つのチェックポイント

重要事項説明書で法的制限を確認

不動産会社は、宅地建物取引業法により、契約前に「重要事項説明書」で法的制限を説明する義務があります。

重要事項説明書で確認すべき事項:

  • 接道義務を満たしているか
  • 市街化調整区域かどうか
  • セットバックが必要か
  • がけ条例の制限はあるか
  • 災害リスク(ハザードマップの説明)

不明点は必ず質問し、理解できるまで説明を求めましょう。

登記簿謄本で権利関係を確認

法務局で登記簿謄本を取得し、以下を確認します。

  • 所有者(売主が真の所有者か)
  • 抵当権・差押え登記の有無
  • 地積(面積が登記簿と実測で一致するか)

登記簿謄本は誰でも取得可能で、手数料は600円(窓口)、490円(オンライン)です。

ハザードマップで災害リスクを確認

国土交通省のハザードマップポータルサイトで、洪水・土砂災害・津波のリスクを確認します。

自治体の公式サイトでも、より詳細なハザードマップが公開されている場合があります。

現地調査で環境を確認

現地調査は、**最低3回(平日・休日、朝・昼・夕の時間帯を変えて)**訪問しましょう。

現地調査で確認すべき事項:

  • 騒音・振動(時間帯で大きく異なる)
  • 日照(特に冬至の時期)
  • 近隣住民の様子(夜間の騒音トラブルのリスク)
  • 雨天時の水はけ
  • 夜間の街灯・治安

可能なら季節を変えて(夏・冬)訪問すると、より正確にリスクを把握できます。

まとめ|土地購入は慎重に、リスクと価格のバランスを見極めよう

買ってはいけない土地の特徴を、法的・物理的・環境的・権利関係の4つのリスクに分けて解説しました。

重要なポイント:

  • 法的リスク(接道義務・市街化調整区域)は購入前に必ず確認
  • 物理的リスク(ハザードマップ・地盤・土壌汚染)は調査で把握
  • 環境的リスク(騒音・日照・悪臭)は現地調査で確認
  • 権利関係のリスク(境界・抵当権)は登記簿謄本で確認

問題のある土地でも、リスクを理解し、価格が安ければ選択肢になる場合もあります。重要なのは、事前のリスク把握と対策の検討です。

次のアクションとして、信頼できる不動産会社や専門家(弁護士・不動産鑑定士・土地家屋調査士)に相談し、詳細な調査を依頼することをおすすめします。

土地購入は人生で最も高額な買い物の一つです。慎重に検討し、後悔のない選択をしましょう。

よくある質問

Q1買ってはいけない土地を購入してしまった場合、どうすればよいですか?

A1法的リスク(再建築不可等)は解消困難です。リスクを開示した上で売却するか、用途変更(駐車場・資材置場等)を検討しましょう。物理的リスク(地盤)は地盤改良工事で対応可能な場合もあります。専門家(弁護士・不動産鑑定士)に相談することをおすすめします。

Q2ハザードマップで浸水リスクがある土地は絶対に買わない方がいいですか?

A2リスクの程度と価格次第です。浸水想定区域でも、盛土や高床式住宅でリスク軽減可能です。ただし、浸水頻度が高い地域や土砂災害警戒区域は避けるべきです。火災保険・地震保険の加入可否、保険料も確認しましょう。

Q3市街化調整区域の土地でも家を建てられるケースはありますか?

A3都道府県知事の許可を得れば建築可能な場合があります(例:農業従事者の住宅、既存宅地、開発許可を受けた区域)。ただし、許可基準は自治体により異なり、手続きが複雑です。購入前に必ず自治体の都市計画課に確認しましょう。

Q4土地購入時の現地調査は何回くらい行けばよいですか?

A4最低3回(平日・休日、朝・昼・夕の時間帯を変えて)訪問しましょう。騒音・日照・近隣住民の様子は時間帯で大きく異なります。雨天時の水はけ、夜間の街灯・治安も確認しましょう。可能なら季節を変えて(夏・冬)訪問すると、より正確にリスク把握可能です。