不動産投資ローンの金利相場と低金利で借りるコツ【2025年最新】

公開日: 2025/10/26

投資不動産ローンの金利相場を知ろう

不動産投資を始める際、「投資ローンの金利はどれくらいなのか」「住宅ローンと比べてなぜ高いのか」という疑問を持つ方は少なくありません。実際、投資不動産ローン(アパートローン)の金利は住宅ローンより高く設定されており、金融機関や物件の収益性によって大きく異なります。

この記事では、投資不動産ローンの金利相場(2025年時点)、住宅ローンとの違い、低金利で借りるための5つのポイントを解説します。金融庁の公式調査などのデータを元に、実務的な選択指針を提示します。

この記事のポイント

  • 投資ローンの金利相場は変動金利2.5%程度、固定金利3-4%程度(2025年時点)
  • 住宅ローン(0.5-2.0%)より高い理由は、家賃収入のリスクが給与収入より高いため
  • 金利を下げる5つのポイント:物件選定、自己資金増額、属性強化、複数金融機関比較、交渉術
  • 2024年3月のマイナス金利解除、7月の利上げにより金利上昇リスクに注意が必要
  • ノンバンクは審査が甘いが金利が高い(3-6%、物件によっては7-15%)ため慎重に判断

投資ローンと住宅ローンの違い

投資不動産ローンと住宅ローンは、用途が異なるだけでなく、金利や審査基準も大きく異なります。

返済原資の違い(家賃収入 vs 給与収入)

最も大きな違いは、返済原資です。

  • 投資ローン: 家賃収入を返済原資とする。空室リスクがあり、家賃収入が途絶えると返済が困難になる。
  • 住宅ローン: 給与収入を返済原資とする。安定した給与収入が見込める場合、返済リスクが低い。

このリスクの違いが、金利差に反映されています。

審査基準の違い(物件収益性 vs 個人属性)

投資ローンは、個人の年収・勤続年数・勤務先などの属性に加え、物件の収益性・担保価値も審査されます。一方、住宅ローンは主に個人属性(返済能力)が重視されます。

項目 投資ローン 住宅ローン
返済原資 家賃収入 給与収入
審査基準 個人属性+物件収益性・担保価値 個人属性(年収・勤続年数等)
金利相場 1.5-4.0% 0.5-2.0%
頭金 物件価格の1-3割 0-2割(フルローンも可)
用途 投資用物件のみ 自己居住用のみ

(出典: HEDGE GUIDE

金利差の理由(リスク評価の差)

投資ローンの金利が住宅ローンより高い理由は、リスク評価の差です。家賃収入は空室・家賃下落・滞納などのリスクがあり、給与収入より変動が大きいため、金融機関はスプレッド(上乗せ金利)を加算します。

重要な注意: 住宅ローンを投資用物件に不正利用すると、金銭消費貸借契約違反となり、一括返済を求められます。また、虚偽申告は詐欺罪に該当する可能性があります。金利差(住宅ローン0.5-2.0% vs 投資ローン1.5-4.0%)に惑わされないよう注意してください。

金利の決まり方と金融機関別の金利水準

投資ローンの金利はどのように決まるのでしょうか。

金利決定の仕組み(基準金利+スプレッド)

投資ローンの金利は、「基準金利+スプレッド」で決まります。

  • 基準金利: 短期プライムレート(日本銀行の政策金利に連動)
  • スプレッド: 金融機関のリスク評価に基づく上乗せ金利。物件の収益性、借主の属性、頭金の額などで変動。

スプレッドを縮小する方法は、後述の「低金利で借りるための5つのポイント」で詳しく解説します。

金融機関別の金利相場(メガバンク・地銀・ノンバンク)

INVASE(インベース)の2025年最新調査によると、金融機関別の金利相場は以下の通りです。

金融機関タイプ 金利相場 特徴
メガバンク 1.0-2.0% 審査が厳しいが低金利
地方銀行 1.5-4.0% 地域・物件により幅がある
ネット銀行 1.5-2.5% オンライン完結、審査が早い
ノンバンク 2.5-4.5% 審査が甘いが高金利(物件・属性で7-15%も)

(出典: INVASE

地方銀行の金利は、地域の競争環境や物件の立地により1.5-4.0%と幅があります。複数の地方銀行を比較することをおすすめします。

具体的な金融機関の金利例(モゲチェックより):

  • 住信SBIネット銀行: 1.57%〜
  • 西京銀行: 1.50-1.75%
  • オリックス銀行: 2.30-3.675%

変動金利と固定金利の選択基準

投資ローンには変動金利と固定金利があります。

項目 変動金利 固定金利
金利水準(2025年) 2.5%程度 3-4%程度
メリット 固定金利より低金利 金利上昇リスクなし、返済額確定
デメリット 金利上昇リスクあり 変動金利より高金利
向いている人 金利上昇に耐えられる収支設計、短期保有 リスク回避重視、長期保有

2024年3月にマイナス金利政策が解除され、7月には短期プライムレートが引き上げられました。金融庁の分析(2024年7月)でも、金利上昇環境下のリスク管理が重要視されています。変動金利で借りている場合、金利上昇により返済額が増加し、収支が悪化する可能性があるため注意が必要です。

低金利で借りるための5つのポイント

投資ローンの金利を下げるための具体的な方法を5つ紹介します。

1. 物件選定(収益性・担保価値の高い物件)

物件の収益性(表面利回り、実質利回り)と担保価値(立地、築年数、建物状態)が高いと、金融機関のリスクが下がるため、金利優遇を受けやすくなります。

  • 高収益物件: 駅近、都市部、築浅、管理状態が良好
  • 低収益物件: 郊外、築古、空室率が高い

物件選定の段階で、金融機関が評価しやすい物件を選ぶことが重要です。

2. 自己資金の増額(LTVを下げる)

頭金を物件価格の1-3割入れると、LTV(Loan To Value:物件の担保評価額に対する融資額の割合)が下がり、金融機関のリスクが軽減されます。その結果、金利優遇を受けやすくなります。

例えば、物件価格1億円で頭金2割(2000万円)を入れると、借入額は8000万円(LTV 80%)となります。頭金が多いほど、審査も有利になります。

3. 属性強化(年収・勤続年数・勤務先)

個人属性(年収・勤続年数・勤務先の信頼性)が高いと、金融機関は「返済能力が高い」と判断し、金利優遇を受けやすくなります。

  • 高評価: 年収700万円以上、勤続年数3年以上、上場企業・公務員
  • 低評価: 年収400万円未満、勤続年数1年未満、自営業・フリーランス

属性を強化するには、転職前にローンを組む、または年収アップ後に申し込むことが有効です。

4. 複数金融機関の比較(金利差1%で総支払額1,500万円差)

複数の金融機関に審査を申し込み、金利を比較することが重要です。金利差1%で、総支払額が約1,500万円変わる可能性があります(借入1億円、25年返済、元利均等返済、ボーナス払いなしで試算)。

例えば:

  • 金利2%の場合: 総返済額 約1億2,700万円
  • 金利3%の場合: 総返済額 約1億4,200万円
  • 差額: 約1,500万円

最初に提示された金利で契約せず、必ず複数社を比較しましょう。

5. 金利交渉術(他行の提示金利を活用)

複数の金融機関から提示された金利を活用し、「A銀行では2.0%と言われたが、御行ではどうか」と交渉することで、金利を下げられる可能性があります。

金融機関は競合を意識しているため、他行の条件を提示することで、金利優遇の余地が生まれます。

金利上昇リスクと注意点

投資ローンを組む際は、金利上昇リスクや注意点を理解しておくことが重要です。

2024年以降の金利動向(マイナス金利解除、利上げ)

2024年3月にマイナス金利政策が解除され、7月には短期プライムレートが引き上げられました。金融庁の分析(2024年7月)でも、地方銀行の不動産業向け融資動向が注視されています。

変動金利で借りている場合、金利上昇により返済額が増加し、収支が悪化する可能性があります。金利上昇に耐えられる収支設計(家賃収入 > 返済額 + 経費)を事前に確認してください。

空室リスクと金利負担の二重苦

投資ローンは家賃収入を返済原資とするため、空室が発生すると返済が困難になります。金利が高い(1.5-4.0%)ほど、空室時の負担が大きくなります。

デットクロスとは、減価償却費が減少し、ローン元金返済が増えることで、会計上の利益は出るが手元資金が減少する状態です。金利が高いほど早期に発生しやすく、キャッシュフロー悪化のリスクがあります。一般的に、木造アパートでは築15-20年頃、金利3%以上の場合は早期に発生する可能性があります。投資計画時に長期シミュレーションを行い、デットクロスの時期を把握しておくことが重要です。

ノンバンクの高金利リスク(3-6%、物件によっては7-15%)

ノンバンク(信販会社、消費者金融系)は審査が甘いですが、金利が高い(3-6%、物件・属性によっては7-15%)ため、収益性が低下し、投資失敗のリスクが高まります。

まずはメガバンクや地方銀行での借入を検討し、審査落ちの場合の最終手段として考えるべきです。ノンバンクで借りる場合は、収益シミュレーションを厳密に行い、高金利でも収益が出るかを確認してください。

まとめ:投資ローンの金利は比較と交渉で下げられる

投資不動産ローンの金利は、住宅ローンより高い(2025年時点で変動金利2.5%程度、固定金利3-4%程度)ですが、物件選定・自己資金増額・複数金融機関比較・交渉で下げることが可能です。

金利差1%で総支払額が約1,500万円変わるため(借入1億円、25年返済の場合)、複数の金融機関に審査を申し込み、条件を比較することが重要です。2024年以降の金利上昇リスクや、空室リスクとの二重苦にも注意が必要です。

次のアクションとして、複数の金融機関(メガバンク、地方銀行、ネット銀行)に相談し、物件の収益性を精査してください。金利上昇に耐えられる収支設計を事前に確認し、無理のない投資計画を立てましょう。

よくある質問

Q1投資ローンの審査に通るための頭金はどれくらい必要ですか?

A1物件価格の1-3割が目安です。頭金が多いほどLTV(融資比率)が下がり、金融機関のリスクが軽減されるため、金利優遇を受けやすくなります。頭金が1割未満だと審査通過が困難になる可能性があります。例えば、物件価格1億円で頭金2割(2000万円)を入れると、借入額は8000万円(LTV 80%)となり、審査で有利になります。自己資金を増やすことで、金利を下げる交渉の余地も生まれます。

Q2住宅ローンを投資用物件に使うとどうなりますか?

A2住宅ローンは自己居住用のみに使用でき、投資用物件に使用することは禁止されています。発覚すると一括返済を求められ、法的問題に発展する可能性があります。金利差(住宅ローン0.5-2.0% vs 投資ローン1.5-4.0%)に惑わされないよう注意してください。金融機関は物件の使用状況を定期的に確認しており、不正利用は必ず発覚します。

Q3デットクロスとは何ですか?投資ローンとの関係は?

A3デットクロスとは、減価償却費が減少し、ローン元金返済が増えることで、会計上の利益は出るが手元資金が減少する状態です。金利が高いほど早期に発生しやすく、キャッシュフロー悪化のリスクがあります。投資計画時に長期シミュレーションを行い、デットクロスの時期を把握しておくことが重要です。金利を下げることで、デットクロスの発生を遅らせることができます。

Q4変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきですか?

A4変動金利は固定金利より低金利(2025年時点で2.5%程度 vs 3-4%程度)ですが、金利上昇リスクがあります。金利上昇に耐えられる収支設計(家賃収入 > 返済額 + 経費)があれば変動金利も選択肢です。一方、リスクを避けたい場合や長期保有を予定している場合は固定金利が適しています。2024年以降の金利動向(マイナス金利解除、利上げ)を注視し、慎重に判断してください。

Q5ノンバンクの投資ローンは避けるべきですか?

A5ノンバンクは審査が甘いですが、金利が高い(3-6%、物件・属性によっては7-15%)ため、収益性が低下し、投資失敗のリスクが高まります。まずはメガバンクや地方銀行での借入を検討し、審査落ちの場合の最終手段として考えるべきです。ノンバンクで借りる場合は、収益シミュレーションを厳密に行い、高金利でも収益が出るかを確認してください。