住宅ローン4月の金利動向:新年度の変化と注意点
4月は新年度の始まりであり、金融政策の節目となることが多い時期です。「住宅ローンの金利が4月に変わるのでは」と気になる方も少なくありません。
この記事では、2025年4月の住宅ローン金利の動向、変動金利と固定金利の仕組み、借り換えの判断基準を日本銀行や住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。
金利の仕組みを正しく理解することで、冷静に対応策を判断できるようになります。
この記事のポイント
- 2025年4月、主要銀行の変動金利基準金利が+0.25%一斉上昇
- 変動金利は年2回(4月・10月)見直され、実際の返済額への適用は2ヶ月後
- 固定金利は長期金利に連動し、変動金利とは異なる動きをする
- 借り換えの判断は諸費用を含めた総返済額で行うべき
- 将来の金利予測は不確実性を前提に、柔軟な対応が重要
2025年4月の金利動向:変動金利が+0.25%上昇
2025年4月、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の主要4行は、変動金利の基準金利を一斉に+0.25%引き上げました。これは、日本銀行が2025年1月に政策金利を0.5%に引き上げたことを受けた動きです。
主要銀行の金利比較(2025年4月時点)
| 金融機関 | 変動金利基準金利 | 変化幅 |
|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 2.475% | +0.25% |
| みずほ銀行 | 2.475% | +0.25% |
| 三井住友銀行 | 2.475% | +0.25% |
| りそな銀行 | 2.475% | +0.25% |
(出典: Business Insider Japan)
注意: 上記は基準金利です。実際に適用される金利は「基準金利 - 優遇幅」で計算されます。優遇幅は審査により個別に決定されるため、実際の適用金利は表示より低くなるのが一般的です。
変動金利の見直しタイミングと実際の適用時期
変動金利型住宅ローンは、年2回(4月と10月)に金利が見直されます。ただし、実際の返済額への適用は見直しから2ヶ月後となります。
- 4月見直し → 6月返済分から適用
- 10月見直し → 12月返済分から適用
つまり、2025年4月に基準金利が上昇しても、実際に返済額が変わるのは6月からとなります。
金利上昇の背景:日銀の金融政策決定
政策金利の引き上げと変動金利への影響
日本銀行は2025年1月、政策金利を0.5%に引き上げました。この決定が、変動金利の基準となる短期プライムレートを押し上げ、結果として住宅ローンの変動金利が上昇しました。
変動金利と短期プライムレートの連動:
- 変動金利型住宅ローンは、短期プライムレート(銀行が優良企業に短期で貸し出す際の最優遇金利)に連動
- 日銀の政策金利引き上げ → 短期プライムレート上昇 → 変動金利上昇
固定金利と長期金利の連動
一方、固定金利型住宅ローンは、長期金利(10年国債利回り)に連動します。長期金利は市場の期待インフレ率や金融政策の先行き見通しで変動するため、変動金利とは異なる動きをすることがあります。
金融政策決定会合の影響: 日本銀行は年8回、金融政策決定会合を開催し、政策金利や金融市場調節方針を決定します。この会合の結果は住宅ローン金利に大きな影響を与えるため、住宅ローン利用者は定期的にチェックすることをおすすめします。
固定金利の動向:フラット35は2025年10月時点で1.890%
フラット35の金利推移
住宅金融支援機構が提供するフラット35(全期間固定金利型住宅ローン)は、2025年10月時点で1.890%となっています。
フラット35は長期金利(10年国債利回り)に連動するため、日銀の金融政策や市場の金利動向により変動します。
固定金利を選ぶメリット・デメリット
メリット:
- 返済額が確定し、家計管理がしやすい
- 金利上昇リスクを回避できる
デメリット:
- 変動金利より金利が高い
- 金利が下がった場合でも返済額は変わらない
利用者の約8割が変動金利を選択していますが、金利上昇局面では固定金利への関心が増加する傾向にあります。
今後の金利見通し:2026年末までに政策金利1.1%予測
エコノミストの予測と不確実性
エコノミスト約40名の調査では、政策金利が2026年12月末までに約1.1%に上昇するとの予測があります(出典: SBI新生銀行)。
ただし、これはあくまで予測であり、経済環境や日銀の政策判断により変動する可能性がある点に注意が必要です。
金利上昇局面での対応策
金利上昇局面では、以下の対応策を検討できます。
- 繰上げ返済: 元本を減らして将来の利息負担を軽減
- 借り換え: より低い金利の金融機関に切り替え
- 固定金利への切り替え: 将来の金利上昇リスクを回避
断定的な予測ではなく、不確実性を前提に柔軟に対応する姿勢が重要です。
借り換えの判断基準とシミュレーション方法
3つの目安
借り換えを検討する際の一般的な目安は、以下の3つです。
- 金利差1%以上: 現在のローン金利と借り換え先の金利差が1%以上
- 残債1000万円以上: 住宅ローン残高が1000万円以上
- 残期間10年以上: 返済期間が10年以上残っている
ただし、これはあくまで目安であり、実際には借り換え諸費用を含めた総返済額で判断する必要があります。
借り換え諸費用を考慮した総返済額の比較
借り換えには以下の諸費用がかかります。
| 項目 | 目安額 |
|---|---|
| 融資手数料 | 借入額の2.2%程度 |
| 登記費用 | 5-10万円 |
| 印紙税 | 2万円程度 |
| 保証料 | (ある場合)数十万円 |
| 合計 | 数十万円 |
これらの諸費用を考慮し、「総返済額が実際に減るのか」をシミュレーションツールで試算することが重要です。
シミュレーションツールの活用
多くの金融機関や不動産情報サイトが、無料の借り換えシミュレーションツールを提供しています。これらを活用して、具体的な効果を試算しましょう。
重要: シミュレーション結果はあくまで試算であり、「絶対に得」ではありません。個別の条件(審査結果、優遇幅等)により実際の効果は異なる可能性があります。
まとめ:4月の金利変動を冷静に判断し、長期視点で対応を
2025年4月は変動金利が+0.25%上昇しましたが、慌てて借り換えや固定金利への切り替えを決断する必要はありません。
金利動向を継続的にウォッチし、総返済額で判断することが重要です。借り換えを検討する場合は、諸費用を含めたシミュレーションを必ず実施してください。
将来の金利予測は不確実性を伴うため、複数のシナリオを想定し、柔軟に対応する姿勢が求められます。金融機関や専門家に相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。
