住宅ローンが通らない理由と現状を把握する
住宅ローン審査に落ちてしまうと、「どうすればいいのか」「もう住宅は購入できないのか」と不安に感じる方は少なくありません。
実は、オカネコマガジンによると、住宅ローン審査に落ちる人は14.3%にも上ります。決して珍しいことではなく、あなただけが特別なわけではありません。
この記事では、住宅ローン審査に通らない主な原因と、具体的な改善策、代替手段を解説します。諦める前に、できることがまだあるかもしれません。
この記事のポイント
- 審査に通らない主な原因は、信用情報・返済負担率・勤続年数・健康状態・物件評価の5つ
- 信用情報は開示請求で確認可能、他ローン完済や収入合算で改善できる場合がある
- フラット35、ペアローン、親子リレー等の代替手段も検討の余地あり
- 虚偽申告・多重申込・悪質業者利用は絶対に避ける
審査に通らない5つの主な原因と確認方法
住宅ローン審査に通らない原因は、大きく分けて5つあります。まずは自分がどの原因に該当するかを確認しましょう。
信用情報に傷がある(延滞・債務整理の記録)
過去にクレジットカードやローンの延滞、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)をした場合、信用情報に記録が残ります。
延滞は完済後5年、債務整理は5年、自己破産は10年間記録されます。この期間中は、住宅ローンの審査に通りにくくなります。
日本信用情報機構(JICC)で信用情報の開示請求(スマホで数時間〜数日で確認可能)ができますので、まずは自分の信用情報を確認することをおすすめします。
返済負担率が高い(年収の35%超)
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。金融機関の審査基準は30-35%が上限で、理想は20-25%です。
SUUMOによると、返済負担率の計算には住宅ローンだけでなく、カーローン・カードローン・教育ローン等の他ローンも含まれます。
他ローンがある場合、返済負担率が35%を超えて審査に通らないケースが多くあります。
勤続年数が短い・収入が不安定
SUUMOの解説によると、金融機関は勤続年数1年以上を目安としています。転職直後や勤続年数が短い場合、審査に通りにくくなります。
また、自営業・フリーランス・歩合制の仕事等、収入が不安定な場合も審査が厳しくなる傾向があります。
健康状態が団信の基準を満たさない
多くの金融機関では、住宅ローン契約時に団体信用生命保険(団信)への加入が必須です。持病や既往症がある場合、団信の審査に通らず、住宅ローンも組めないケースがあります。
物件評価が低い・担保価値不足
購入予定の物件の担保価値が低い場合、金融機関が融資額を減額したり、審査に通らなかったりすることがあります。築年数が古い、再建築不可の物件等は要注意です。
今からできる改善策:審査に通るための具体的な対策
審査に通らない原因が分かったら、以下の改善策を検討しましょう。
信用情報を確認して延滞を解消する
JICCで信用情報の開示請求を行い、延滞や債務整理の記録があるかを確認します。延滞がある場合は即座に解消(完済)しましょう。完済後5年で記録は削除されます。
記録が残っている期間中は、残念ながら審査に通りにくいため、時間が経つのを待つ必要があります。
他ローンを完済して返済負担率を下げる
オカネコマガジンによると、カーローン・カードローン等の他ローンを完済することで、返済負担率を下げ、審査通過率を上げることができます。
可能であれば、住宅ローン申込前に他ローンを完済することをおすすめします。
勤続年数を満たすまで待つ(時間が必要)
勤続年数が1年未満の場合、1年以上経過するまで待つことが有効です。転職直後の方は、焦らず勤続年数を満たしてから申し込むことを検討しましょう。
時間が必要な場合は、賃貸で生活を続けながら貯金を増やし、頭金を増額することも良い選択です。
頭金を増額して借入額を減らす
頭金を増額することで借入額を減らし、審査通過率を上げることができます。物件価格の20-30%の頭金があると、審査に有利になります。
審査に通らない時の代替手段5選
民間住宅ローンに通らない場合、以下の代替手段を検討しましょう。
フラット35を検討する(健康状態・勤続年数が比較的緩やか)
住宅金融支援機構のフラット35は、健康状態・勤続年数の基準が民間住宅ローンより比較的緩やかです。
団信加入が任意(加入しなくても借りられる)、勤続年数不問という点が大きなメリットです。ただし、金利が民間住宅ローンより高い(約1.9% vs 0.8%)ため、トータルコストで比較が必要です。
ペアローンで世帯収入を合算
ペアローンとは、夫婦それぞれが債務者となり2本のローンを組む方式です。世帯収入を合算することで借入額を増やせ、双方が住宅ローン控除を受けられるメリットがあります。
親子リレーローンで親の収入を活用
親子リレーローンは、親子が連帯債務者となり、親が高齢でも審査に通りやすい仕組みです。将来、子が返済を引き継ぐことが前提です。
ただし、親が返済中に死亡すると子が全額返済を引き継ぐ、相続時に揉める可能性等のデメリットもあります。将来の返済計画と相続対策を事前に確認すべきです。
物件価格を見直して借入額を削減
購入予定の物件価格を見直し、借入額を削減することで審査通過率を上げることができます。希望エリアや物件タイプを変更することも検討しましょう。
賃貸継続・貯金増額後の再挑戦
無理に借りるより、賃貸を続けながら貯金を増やし、頭金を増額してから再挑戦するのも建設的な選択です。
信用情報の記録が消えるまで(5-10年)待つ、勤続年数を満たす、他ローンを完済する等、改善策を実行してから再度申し込むことで、審査通過率が上がる可能性があります。
絶対にやってはいけない3つのこと
住宅ローン審査に通らない場合でも、以下のことは絶対に避けてください。
虚偽申告(年収・勤続年数・他借入を偽る)は詐欺罪
リクルートフィナンシャルサービスによると、年収・勤続年数・他借入を偽ると詐欺罪(刑法246条)に問われる可能性があります。
発覚すると、残債の一括返済請求、刑事告訴のリスクがあります。絶対に虚偽申告はしないでください。
短期間の多重申込は「申込ブラック」で信用悪化
短期間(3-6ヶ月)に複数の金融機関へ申込むと、「申込ブラック」として信用情報に記録され、「返済に困っている」と判断されて審査に不利になります。
1社ずつ丁寧に申込み、落ちた場合は原因を改善してから次へ進むべきです。
「ブラックOK」等の悪質業者は高金利・トラブルリスク
「ブラックでも借りられる」「必ず通る」を謳う業者は、高金利(年10-20%)・違法な手数料・トラブルのリスクがあります。
正規の金融機関を選び、怪しい業者には近づかないようにしましょう。
まとめ:冷静に、建設的に次の一歩を選ぶ
住宅ローン審査に通らない原因は、信用情報・返済負担率・勤続年数・健康状態・物件評価の5つが主です。まずは自分の状況を正確に把握し、改善策(信用情報確認・他ローン完済・勤続年数待機・頭金増額)を検討しましょう。
フラット35、ペアローン、親子リレー等の代替手段も選択肢です。虚偽申告・多重申込・悪質業者利用は絶対に避けてください。
無理に借りるより、賃貸継続や貯金増額後の再挑戦も建設的な選択です。読者を追い詰めず、冷静で現実的な判断を心がけましょう。
専門家(FP・金融機関)への相談を次のアクションとして、自分に合った方法を見つけていきましょう。
