住宅ローン借り換えとは?メリット・デメリットと得する条件

公開日: 2025/11/6

住宅ローン借り換えとは何か?なぜ今注目されているのか

住宅ローンの返済中に「借り換えで金利負担を減らせるのでは?」と考える方は少なくありません。特に2025年は、日銀のマイナス金利解除後の金利動向が注目され、借り換えを検討する好機とされています。

この記事では、住宅ローン借り換えの仕組み、メリット・デメリット、得する条件を、金融庁・住宅金融支援機構の公式情報をもとに解説します。借り換えで本当に得するのか、手数料込みでの試算が重要であることがわかります。

この記事のポイント

  • 借り換えは別金融機関で新規ローンを組み、既存ローンを一括返済する手法
  • メリットは金利差による総返済額削減(1%差で数百万円削減も)
  • デメリットは手数料(30-100万円)と団信再加入のリスク
  • 得する条件の目安は「残高1000万円以上、残期間10年以上、金利差1%以上」だが手数料込み試算必須

住宅ローン借り換えの仕組み:3つのステップで理解する

住宅ローン借り換えとは、別の金融機関で新規にローンを組み、既存のローンを一括返済する手法です。三菱UFJ銀行によると、具体的な流れは以下の3ステップです。

新金融機関で新規ローン契約を締結

まず、新しい金融機関で住宅ローンの審査を受け、契約を締結します。審査では、収入・勤続年数・信用情報が確認されます。新規借入と同様の審査基準が適用されるため、転職や収入減少があると審査に通らないリスクがあります。また、団信(団体信用生命保険)への再加入が必要で、健康状態により加入できない場合は借り換えが実行できません。

既存ローンを一括返済する

新金融機関から融資が実行されたら、その資金で既存の住宅ローンを一括返済します。返済時には、残債額の確認と一括返済手数料(金融機関により異なるが1-3万円程度)が発生します。

抵当権の抹消と設定を行う

既存ローンを完済したら、旧金融機関の抵当権を抹消し、新金融機関の抵当権を設定する登記手続きが必要です。この手続きには司法書士への報酬(10-20万円程度)と登録免許税がかかります。

住宅ローン借り換えのメリット:金利差で総返済額を削減

借り換えの主なメリットは、金利差による総返済額の削減です。

総返済額の削減(金利差1%で数百万円の差)

住宅金融支援機構によると、金利が1%低い金融機関へ借り換えることで、数百万円の削減が期待できます。例えば、残債3000万円・残期間25年・金利1.5%のローンを、金利0.5%の金融機関へ借り換えた場合、総返済額で約300万円の削減が可能です(手数料を除く)。

月々の返済額を減らして家計を改善

借り換えにより、月々の返済額を減らすこともできます。例えば、金利1.5%・残債3000万円・残期間25年のローンの月々返済額は約12万円ですが、金利0.5%へ借り換えると約10.6万円へ減少します。月1.4万円の家計改善は、教育費や老後資金の積み立てに活用できます。

金利タイプの変更(固定⇔変動)

借り換えにより、金利タイプを変更することも可能です。変動金利から固定金利へ変更すれば、将来の金利上昇リスクを回避できます。2025年1月時点では日銀の利上げで変動金利が上昇傾向にあるため、固定金利への借り換えを検討する好機とされています。逆に、固定金利から変動金利へ変更すれば、低金利のメリットを享受できます。

住宅ローン借り換えのデメリットと費用:手数料は30万~100万円

借り換えには、メリットだけでなく、デメリットや費用も伴います。

事務手数料(借入額の2.2%が一般的)

ダイヤモンド不動産研究所によると、事務手数料は借入額の2.2%(定率型)が一般的です。借入額3000万円なら約66万円の手数料がかかります。一部金融機関では定額型(3-5万円)もありますが、その場合は金利が高めに設定されていることが多いため、総返済額で比較することが重要です。

保証料と登記費用(合計で数十万円)

保証料は、返済期間35年の場合、借入金額の約2.06%が一般的な相場です。借入額3000万円なら約62万円です。金利に上乗せする型(0.2%程度)もあります。登記費用は、抵当権の抹消・設定で司法書士報酬と登録免許税を合わせて10-20万円程度です。

これらの費用を合計すると、30-100万円程度が必要です。金利差によるメリットが費用を上回るかを、必ず試算しましょう。

団信再加入のリスク(健康状態により加入不可)

借り換え時には、団信(団体信用生命保険)への再加入が必要です。健康状態が悪化していると加入できず、借り換えが実行できないリスクがあります。一部金融機関ではワイド団信(持病があっても加入可能)がありますが、金利上乗せ(0.3%程度)が必要です。

新たな審査が必要(収入・勤続年数の再確認)

借り換えは新規借入と同様の審査が行われます。転職・収入減少・他の借入増加等があると、審査に通らないリスクがあります。事前審査(仮審査)で融資可能性を確認してから、本審査に進むことが推奨されます。

借り換えで得する条件:3つの目安と注意点

借り換えで得するかどうかは、以下の条件を目安に判断します。

一般的な目安「残高1000万円以上、残期間10年以上、金利差1%以上」

住宅金融支援機構の調査によると、借り換えメリットが出やすい目安は「①残高1000万円以上、②残期間10年以上、③金利差1%以上」とされています。この条件を満たすと、手数料を支払っても総返済額の削減効果が大きくなる可能性があります。

ただし、この目安はあくまで参考です。手数料の金額は金融機関により異なるため、個別に試算することが重要です。

手数料込みでシミュレーション必須

借り換えで本当に得するかは、手数料込みでの試算が必須です。事務手数料・保証料・登記費用の合計を、金利差による削減額と比較しましょう。多くの金融機関が、公式サイトで借り換え試算ツールを提供しています。複数社で試算し、最もメリットが大きい金融機関を選びましょう。

借り換えと条件変更の違い

借り換えと似た手法に「条件変更」があります。条件変更は、同一金融機関内で金利引き下げ交渉や返済期間変更を行う手法です。借り換えほど手数料がかからず(5-10万円程度)、審査も簡素化されることが多いため、まず現在の金融機関に条件変更の可能性を相談することも検討しましょう。

また、返済期間を10年未満に短縮すると住宅ローン控除が適用されなくなり、税制メリットを失う点にも注意が必要です。

まとめ:借り換えは手数料込みの試算が成功のカギ

住宅ローン借り換えは、別金融機関で新規ローンを組み、既存ローンを一括返済する手法です。金利差により総返済額を削減できるメリットがある一方、手数料(30-100万円)や団信再加入のリスクもあります。

得する条件の目安は「残高1000万円以上、残期間10年以上、金利差1%以上」ですが、必ず手数料込みでシミュレーションしてください。金融機関の試算ツールを活用し、複数社を比較することをおすすめします。

専門家(ファイナンシャルプランナー)への相談も有効です。信頼できる金融機関と相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1住宅ローン借り換えの手数料総額はいくらですか?

A1一般的には30万~100万円です。事務手数料(借入額の2.2%)、保証料(借入額の約2.06%)、登記費用(10-20万円)の合計です。借入額3000万円の場合、事務手数料66万円+保証料62万円+登記費用15万円で合計約130万円が目安です。金融機関により異なるため、複数社で試算して比較することが重要です。

Q2借り換えの審査は厳しいですか?

A2新規借入と同様の審査(収入・勤続年数・信用情報)が必要です。転職や収入減少があると審査に通らないリスクがあります。また、団信への再加入が必要で、健康状態が悪化していると加入できない場合があります。ワイド団信(持病があっても加入可能)もありますが、金利上乗せ(0.3%程度)が必要です。事前審査で確認しましょう。

Q3借り換え時に団信に再加入できないとどうなりますか?

A3団信加入が融資条件の場合、健康状態により加入不可なら借り換えできません。一部金融機関ではワイド団信(持病があっても加入可能)がありますが、金利上乗せ(0.3%程度)が必要です。また、団信なしで借入可能な金融機関(フラット35等)もありますが、万一の際にローン残債が残るリスクがあります。家族と相談して判断しましょう。

Q4借り換えのベストなタイミングはいつですか?

A4一般的には、金利が低い時期、残高・残期間が多い時期が有利です。2025年1月時点では日銀の利上げで変動金利が上昇傾向にあるため、固定金利への借り換えを検討する好機とされています。ただし、手数料(30-100万円)込みで試算し、削減効果が手数料を上回るかを確認することが必須です。金融機関の試算ツールを活用しましょう。