元金均等返済とは?元利均等との違いとメリット・デメリット

公開日: 2025/11/6

元金均等返済とは何か

住宅ローンを組む際、「元金均等返済」と「元利均等返済」のどちらを選ぶべきか迷う方は多いでしょう。この2つの返済方法は、返済額の計算方法が異なり、総返済額や月々の負担にも違いが出ます。

この記事では、元金均等返済の仕組み、元利均等返済との違い、メリット・デメリット、向いている人の特徴を、住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。

住宅ローンを検討中の方が、自分に合った返済方法を選べるようになります。

この記事のポイント

  • 元金均等返済は毎月の元金返済額が一定で、利息は残高に応じて減少するため、返済額が徐々に減る
  • 元利均等返済は毎月の返済額(元金+利息)が一定で、返済計画が立てやすい
  • 元金均等返済の方が総返済額は少ないが、初期の返済額が高く、返済余力が必要
  • 元金均等返済は収入が高い・返済余力がある人、元利均等返済は安定した返済を重視する人に向いている
  • 金融機関によっては元金均等返済を取り扱っていない場合があるため、事前確認が必要

元金均等返済の仕組み:毎月の元金が一定

元金均等返済とは、毎月の元金返済額を一定にし、残高に応じた利息を加えて返済する方法です。元金が一定額ずつ減るため、利息も徐々に減少し、月々の返済額が減っていくのが特徴です。

元金と利息の計算方法

元金均等返済では、以下のように計算します。

  • 元金返済額:借入額 ÷ 返済回数(一定)
  • 利息:残高 × 金利 ÷ 12(毎月減少)
  • 月々の返済額:元金返済額 + 利息(徐々に減少)

例えば、3000万円を35年(420回)、金利1.5%で借りた場合、毎月の元金返済額は約7.14万円(3000万円 ÷ 420回)です。初回の利息は約3.75万円(3000万円 × 1.5% ÷ 12)で、月々の返済額は約10.89万円です。

返済が進むにつれて残高が減るため、利息も減少します。最終回の利息は約89円で、月々の返済額は約7.15万円まで減ります。

返済額が徐々に減る仕組み

元金均等返済では、元金返済額が一定のため、残高が減るにつれて利息も減少します。これにより、月々の返済額が徐々に減っていきます。

返済開始当初は返済額が高いですが、年数が経つにつれて負担が軽くなるのが特徴です。収入が高く、初期の返済に余裕がある方に適しています。

元利均等返済との違い:どちらを選ぶべきか

元金均等返済と元利均等返済は、返済額の計算方法が異なります。それぞれのメリット・デメリットを比較表で整理します。

項目 元金均等返済 元利均等返済
毎月の返済額 徐々に減る 一定
初期の返済額 高い 低い
総返済額 少ない 多い
返済計画 変動するため立てにくい 一定で立てやすい
向いている人 収入が高い、返済余力がある 安定した返済を重視

(出典: 価格.com住宅ローン比較

元利均等返済の仕組み

元利均等返済は、毎月の返済額(元金+利息)を一定にする返済方法です。返済開始当初は利息の割合が高く、返済が進むにつれて元金の割合が増えます。

月々の返済額が一定のため、返済計画が立てやすく、家計管理がしやすいのが特徴です。初期の返済額が低いため、多くの方が選択しています。

総返済額の違い

元金均等返済の方が、元利均等返済より総返済額が少なくなります。価格.comによると、3000万円を35年、金利1.5%で借りた場合、総返済額の差は約55万円です。

  • 元金均等返済:総返済額 約3779万円
  • 元利均等返済:総返済額 約3834万円

この差は、元金均等返済の方が早く元金を減らすため、利息が少なくなるためです。

どちらを選ぶべきか:収入・返済余力で判断

元金均等返済は総返済額が少ないですが、初期の返済額が高いため、返済余力が必要です。収入が高く、初期の返済に余裕がある方に適しています。

元利均等返済は月々の返済額が一定で、返済計画が立てやすいため、安定した返済を重視する方に適しています。初期の返済額を抑えたい方にもおすすめです。

元金均等返済のメリット

元金均等返済には、総返済額が少ない、返済額が減る、元金が早く減るという3つのメリットがあります。

総返済額が少ない(利息が少ない)

元金均等返済の最大のメリットは、総返済額が少ないことです。元金を早く減らすため、利息が少なくなります。

価格.comによると、3000万円を35年、金利1.5%で借りた場合、元利均等返済と比較して約55万円の利息削減が可能です。

返済額が徐々に減る(家計負担が軽くなる)

元金均等返済では、月々の返済額が徐々に減るため、年数が経つにつれて家計負担が軽くなります。

返済開始当初は返済額が高いですが、10年後・20年後には返済額が大幅に減少します。子供の教育費がかかる時期や、老後の生活費を考えると、返済額が減ることは大きなメリットです。

元金が早く減る(借り換えや繰上げ返済に有利)

元金均等返済では、元金を早く減らすため、残高が早く減ります。これにより、借り換えや繰上げ返済を行う際に有利です。

残高が少ない方が、借り換え時の手数料負担が少なく、繰上げ返済の効果も高くなります。

元金均等返済のデメリット

元金均等返済には、初期の返済額が高い、返済計画が立てにくい、取扱金融機関が限定的というデメリットもあります。

初期の返済額が高い(返済余力が必要)

元金均等返済の最大のデメリットは、初期の返済額が高いことです。住宅ローン比較によると、3000万円を35年、金利1.5%で借りた場合、初回の返済額は約10.89万円で、元利均等返済(約9.19万円)より約1.7万円高くなります。

収入が高く、返済余力がある方でないと、初期の返済が負担になる可能性があります。

返済計画が立てにくい(月々の返済額が変動)

元金均等返済では、月々の返済額が徐々に減るため、返済計画が立てにくいというデメリットがあります。家計管理がしにくく、予算を立てる際に不便です。

ただし、返済予定表を事前に確認すれば、将来の返済額を把握できます。金融機関に返済予定表を作成してもらい、長期的な資金計画を立てることが重要です。

取扱金融機関が限定的(事前確認が必要)

価格.comによると、一部の金融機関では元金均等返済を取り扱っていません。ネット銀行を中心に、元利均等返済のみの金融機関が増えています。

元金均等返済を希望する場合は、事前に金融機関に確認する必要があります。取扱いがない場合は、別の金融機関を検討するか、元利均等返済を選択することになります。

元金均等返済が向いている人

元金均等返済は、以下のような方に適しています。

収入が高い・返済余力がある人

初期の返済額が高いため、収入が高く、返済余力がある方に適しています。月収の25%以内で返済できる場合、無理なく返済できる可能性が高いです。

総返済額を抑えたい人

総返済額を抑えたい方には、元金均等返済がおすすめです。元利均等返済と比較して、数十万円の利息削減が可能です。

将来的に返済額を減らしたい人

年数が経つにつれて返済額が減るため、将来的に返済額を減らしたい方に適しています。子供の教育費がかかる時期や、老後の生活費を考えると、返済額が減ることは大きなメリットです。

元利均等返済が向いている人

元利均等返済は、以下のような方に適しています。

安定した返済を重視する人

月々の返済額が一定のため、返済計画が立てやすく、家計管理がしやすいです。安定した返済を重視する方に適しています。

初期の返済額を抑えたい人

初期の返済額が低いため、返済開始当初の負担を抑えたい方に適しています。住宅購入直後は家具・家電の購入等で出費が多いため、初期の返済額を抑えることは重要です。

取扱金融機関を広く選びたい人

多くの金融機関が元利均等返済を取り扱っているため、金融機関を広く選びたい方に適しています。ネット銀行を含め、選択肢が豊富です。

まとめ:自分に合った返済方法を選ぼう

元金均等返済は、毎月の元金返済額が一定で、利息が徐々に減少するため、返済額が減っていく返済方法です。総返済額が少ないですが、初期の返済額が高いため、返済余力が必要です。

元利均等返済は、月々の返済額が一定で、返済計画が立てやすいですが、総返済額は元金均等返済より多くなります。

収入が高く、返済余力がある方は元金均等返済、安定した返済を重視する方は元利均等返済が適しています。

次のアクションは、複数の金融機関で返済シミュレーションを実施し、総返済額・月々の返済額を比較することです。信頼できる金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1元金均等返済と元利均等返済の違いは何ですか?

A1元金均等返済は毎月の元金返済額が一定で、利息が徐々に減少するため、返済額が減ります。元利均等返済は毎月の返済額(元金+利息)が一定です。元金均等の方が総返済額は少ないですが、初期の返済額が高くなります。収入や返済余力に応じて選びましょう。

Q2元金均等返済の総返済額はどれくらい少ないですか?

A23000万円を35年、金利1.5%で借りた場合、元金均等返済の総返済額は約3779万円、元利均等返済は約3834万円で、約55万円の差があります(価格.com調べ)。借入額や金利、返済期間により差は変動しますが、元金均等の方が利息が少なくなります。

Q3元金均等返済の初期の返済額はどれくらい高いですか?

A33000万円を35年、金利1.5%で借りた場合、初回の返済額は約10.89万円で、元利均等返済(約9.19万円)より約1.7万円高くなります。返済が進むにつれて返済額は減少し、最終回は約7.15万円まで減ります。初期の返済余力が必要です。

Q4元金均等返済を取り扱っている金融機関はどこですか?

A4メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)、地方銀行、信用金庫等の多くが取り扱っています。ただし、ネット銀行を中心に、元利均等返済のみの金融機関が増えています。元金均等返済を希望する場合は、事前に金融機関に確認することをおすすめします。

Q5元金均等返済から元利均等返済に変更できますか?

A5返済方法の変更は、金融機関の規定により異なります。一般的には、返済方法の変更は困難で、変更できる場合でも手数料がかかることが多いです。契約前に返済方法を慎重に選び、返済シミュレーションを実施して、自分に合った方法を選ぶことが重要です。