住宅ローン仮審査通過後の本審査通過率とは
住宅ローンの仮審査に通過した後、「本審査も必ず通るのか」と不安に感じる方は少なくありません。一般的に仮審査通過後の本審査通過率は80-90%と言われますが、これはあくまで目安であり、個人の状況や金融機関によって大きく異なります。
この記事では、本審査通過率の実態、仮審査と本審査の違い、通過率を高める具体的な方法を、住宅金融支援機構や金融庁の公式情報を元に解説します。
仮審査通過後も油断せず、審査期間中の注意点を理解することで、安心して本審査に臨めるようになります。
この記事のポイント
- 仮審査通過後の本審査通過率は一般的に80-90%だが、個人差が非常に大きい
- 仮審査はスコアリング中心、本審査は人的審査・物件評価・健康状態確認が追加される
- 審査期間中の新規借入、転職、延滞は本審査で落ちる最大の理由
- 信用情報の事前確認、健康状態の把握が通過率向上の鍵
- 落ちた場合でも理由を解消すれば再挑戦可能
仮審査と本審査の違い
住宅ローンの審査は2段階で行われます。仮審査と本審査では審査項目が大きく異なるため、仮審査通過=本審査通過ではありません。
仮審査の審査項目(スコアリング中心)
仮審査では、主に申込者の属性情報を元にスコアリング(点数化)で評価します。
- 年収: 安定した収入があるか
- 勤続年数: 通常1年以上が目安
- 既存借入: クレジットカードやカードローンの残高
- 信用情報: 過去の延滞記録の有無
仮審査は比較的短期間(1-3日程度)で結果が出ることが多く、自動審査システムで処理されるのが一般的です。
本審査の審査項目(人的審査+物件評価+健康状態)
本審査では、仮審査の内容に加えて以下の項目が詳細にチェックされます。
| 審査項目 | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| 人的審査 | 収入証明書・源泉徴収票の確認、雇用形態の再確認 | 高 |
| 物件評価 | 担保評価額の算定(LTV: 物件評価額に対する融資額の割合) | 高 |
| 健康状態 | 団体信用生命保険の加入審査 | 高 |
| 信用情報 | 審査期間中の借入状況の再確認 | 高 |
(出典: 金融庁)
本審査は1-2週間程度かかり、金融機関の担当者が人的に審査を行います。
団体信用生命保険の加入審査
団体信用生命保険(団信)は、契約者が死亡・高度障害になった際にローン残債が保険金で完済される保険です。多くの金融機関では団信への加入が住宅ローンの必須条件となっており、健康状態に問題があると本審査で落ちる可能性があります。
持病や既往歴がある場合は、引受条件が緩和されたワイド団信や、団信不要のフラット35を検討してください。
本審査通過率の実態
一般的な通過率(80-90%)の根拠
2025年時点の一般的な統計では、仮審査通過後の本審査通過率は80-90%と言われています。これは、仮審査で大まかな審査基準をクリアしている申込者が、本審査でも問題なく通過するケースが多いためです。
ただし、この数値はあくまで目安であり、2025年の投資家実態調査でも、個人の状況によって通過率が大きく変動することが示されています。
金融機関による差異
金融機関の種類によって審査基準や通過率は異なります。
| 金融機関種別 | 審査の厳しさ | 特徴 |
|---|---|---|
| メガバンク | 厳しめ | 勤続年数・年収基準が高い。安定性重視 |
| 地方銀行 | 中程度 | 地域密着型。柔軟な対応もあり |
| ネット銀行 | やや緩め | 審査スピード重視。団信審査は厳しい場合も |
| フラット35 | 独自基準 | 団信不要。勤続年数の制限が緩い |
複数の金融機関で事前審査を受けることで、自分に合った金融機関を見つけやすくなります。
個人差が大きい理由
本審査通過率は以下の要因で大きく変動します。
- 信用情報の状態: 延滞記録があると通過率が大幅に下がる
- 健康状態: 団信に加入できない場合、多くの金融機関で落ちる
- 物件の担保評価: 評価額が購入価格を大きく下回ると融資額が減額される
- 審査期間中の行動: 新規借入や転職があると審査基準を満たさなくなる
本審査で落ちる主な理由
仮審査通過後、本審査で落ちる典型的な理由を5つの類型で解説します。
審査期間中の新規借入
最も多い失敗理由です。仮審査通過後に以下のような新規借入を行うと、返済負担率(DTI: Debt To Income)が基準を超え、本審査で落ちる可能性が非常に高くなります。
- カードローン
- 自動車ローン
- クレジットカードの分割払い
- 新規クレジットカードの申込
審査期間中は一切の新規借入を避けてください。
転職・退職による雇用形態の変化
転職や退職により勤続年数がリセットされると、審査基準を満たさなくなる可能性があります。特に勤続年数1年未満の場合、多くの金融機関で審査通過が難しくなります。
本審査終了まで、転職・退職は控えることを強く推奨します。
クレジットカードや既存ローンの延滞
61日以上の延滞があると信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に記録され、本審査でほぼ確実に落ちます。審査期間中は既存の支払いを確実に行い、延滞しないよう最大限の注意が必要です。
健康状態の悪化
本審査では団体信用生命保険の加入審査が行われます。以下のような健康状態では団信に加入できず、多くの金融機関で本審査に落ちる可能性があります。
- 高血圧、糖尿病などの持病
- がん、心臓病などの既往歴
- 精神疾患の治療中
持病や既往歴がある場合は、ワイド団信(引受条件緩和型)や団信不要のフラット35を検討してください。
物件評価額の不足
物件の担保評価額が購入価格を大きく下回る場合、融資額が減額されたり審査に落ちる可能性があります。特に以下のような物件は要注意です。
- 築年数が古い(築30年以上)
- 再建築不可物件
- 市場価格が不安定なエリア
事前に金融機関に物件情報を伝え、担保評価の見込みを確認しておくと安心です。
本審査通過率を高める方法
本審査通過率を高めるための具体的なアクションを5つ紹介します。
信用情報の事前確認(CIC、JICC、KSC)
本審査前に、自分の信用情報を確認しておくことを強く推奨します。信用情報機関は3つあり、それぞれ500-1,000円程度で開示請求できます。
- CIC: クレジットカード・信販系
- JICC: 消費者金融・信販系
- KSC: 銀行系
延滞記録や誤った情報がないか確認し、問題があれば早期に解消してください。
審査期間中のNG行為を避ける
審査期間中は以下の行為を絶対に避けてください。
- 新規借入: カードローン、自動車ローン、クレジットカード分割払い
- 転職・退職: 勤続年数がリセットされる
- 延滞: 既存ローンやクレジットカードの支払い遅延
これらの行為は本審査で落ちる最大の理由です。
収入証明の正確性を確保
本審査では、源泉徴収票や確定申告書などの収入証明書類が詳細にチェックされます。提出書類に誤りや不備があると審査が遅れたり、最悪の場合は審査に落ちる可能性があります。
書類は事前に複数部準備し、内容に誤りがないか確認してください。
健康診断と団信の検討
健康状態に不安がある場合は、事前に健康診断を受けて現状を把握してください。持病や既往歴がある場合は、以下の選択肢を検討します。
- ワイド団信: 引受条件が緩和された団信(保険料が割高)
- フラット35: 団信不要で申込可能(金利がやや高め)
金融機関に事前相談することで、自分に合った選択肢が見つかります。
物件選定のポイント
物件の担保評価額は、築年数、立地、再建築可否などで決まります。以下のポイントを確認してください。
- 築年数: 築浅物件ほど担保評価が高い
- 立地: 駅近、人気エリアは評価が高い
- 再建築可否: 再建築不可物件は評価が低い
物件情報を金融機関に事前に伝え、担保評価の見込みを確認しておくと安心です。
まとめ:仮審査通過後も油断せず慎重に
住宅ローンの仮審査通過後、本審査通過率は一般的に80-90%と言われますが、これはあくまで目安であり、個人の状況や金融機関によって大きく異なります。
仮審査はスコアリング中心ですが、本審査では人的審査、物件評価、健康状態確認が追加されるため、審査期間中の行動が非常に重要です。新規借入、転職、延滞を絶対に避け、信用情報の事前確認と健康状態の把握を行ってください。
本審査で落ちた場合でも、理由を解消すれば再挑戦可能です。信用情報の延滞解消(61日以上の延滞は5年間記録)、転職後1年以上経過、健康状態の改善などが必要になります。
信頼できる金融機関や専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー)に相談しながら、慎重に審査に臨みましょう。
