住宅ローン保証料とは?相場と返金の仕組み

公開日: 2025/10/27

住宅ローン保証料とは

初めて住宅ローンを組む際、「保証料」という聞き慣れない費用項目に戸惑う方は少なくありません。「いくらかかるのか」「返金されるのか」「保証料0円の銀行との違いは何か」といった疑問を抱える方も多いでしょう。

この記事では、住宅ローン保証料の仕組み、相場、返金条件、保証料0円の銀行との違いを、金融庁住宅金融支援機構、各金融機関の公式情報を元に解説します。

住宅ローン保証料の全体像を理解し、自身に合った選択ができるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローン保証料は保証会社が銀行のリスクを肩代わりするための費用で、借主が保証会社に支払う
  • 支払方法は一括前払い型(借入額の約2%)と金利上乗せ型(金利+0.2%程度)の2種類がある
  • 一括型は総額が安いが初期費用が高く、金利型は初期費用が安いが総額が高い
  • 繰り上げ返済・借り換え時に残期間分が返金されるが、事務手数料が差し引かれるため全額返金ではない
  • 保証料0円の銀行は融資事務手数料が高額(借入額の2.2%程度)なため、総額と返金可能性の両面で比較が必要

住宅ローン保証料の仕組み

住宅ローン保証料とは、借主が返済できなくなった時に保証会社が銀行に代位弁済するための費用です。三菱UFJ銀行によると、保証料は借主が保証会社に支払いますが、代位弁済後も借主の債務は残り、保証会社から請求されます

保証会社と代位弁済の役割

保証会社は、借主が返済不能になった際に銀行に一括返済する役割を担います。これを代位弁済といいます。代位弁済後、保証会社が債権者となり、借主に対して請求権を持ちます。

重要なポイント: 保証料は借主を保護する保険ではなく、銀行のリスクを軽減するための費用です。保証料を支払っても、返済不能になれば保証会社から請求されるため、借主の債務は消えません。

保証料の目的

銀行が保証会社を利用する理由は、貸し倒れリスクを軽減し、より多くの人に住宅ローンを提供できるようにするためです。保証会社が審査を行うことで、銀行は貸出基準を緩和できる側面があります。

保証料の支払方法と相場

住宅ローン保証料の支払方法には、**一括前払い型(外枠方式)金利上乗せ型(内枠方式)**の2種類があります。三菱UFJ銀行によると、どちらを選ぶかで初期費用と総額が変わります。

一括前払い型(外枠方式)の特徴と相場

一括前払い型は、借入時に保証料を一括で支払う方式です。2025年時点では、借入額の約2%が相場で、3000万円を借り入れる場合は約60万円が目安となります。

メリット:

  • 総返済額が安い(金利上乗せ型より30-50万円程度安い)
  • 繰り上げ返済・借り換え時に残期間分が返金される

デメリット:

  • 初期費用が高い(頭金・諸費用に加えて保証料が必要)

金利上乗せ型(内枠方式)の特徴と相場

金利上乗せ型は、保証料を金利に上乗せして毎月支払う方式です。金利が年0.2%程度上乗せされます。

メリット:

  • 初期費用が安い(借入時の現金負担が少ない)

デメリット:

  • 総返済額が高い(一括型より30-50万円程度高い)
  • 繰り上げ返済・借り換え時に返金されない

どちらを選ぶべきか

モゲチェックのシミュレーションによると、30年返済で総額差が30-50万円程度になるため、繰り上げ返済・借り換えの予定がある場合は一括型が有利です。ただし、初期費用を抑えたい場合は金利型も選択肢となります。

項目 一括前払い型 金利上乗せ型
初期費用 高い(約60万円) 低い(0円)
総返済額 少なめ 多め(+30-50万円)
返金 あり(残期間分) なし
向いている人 初期資金に余裕がある、繰り上げ返済予定 初期資金を抑えたい

(試算条件: 借入額3000万円、返済期間30年、金利0.5%)

保証料の返金条件と計算方法

一括前払い型の保証料は、繰り上げ返済・借り換え時に残期間分が返金されます。ただし、埼玉りそな銀行によると、事務手数料が差し引かれるため全額返金ではありません

返金されるケース(繰り上げ返済・借り換え)

保証料が返金される主なケースは以下の2つです。

  • 繰り上げ返済(一部または全額): 残期間・残高に応じて返金
  • 借り換え: 他の金融機関に借り換える際に返金

返金額の計算方法

返金額は残期間・残高に応じて保証会社が計算します。アットホームの解説によると、例えば30年ローンを10年で完済した場合、残り20年分が返金対象となります。ただし、事務手数料(1-2万円)が差し引かれます

具体例:

  • 借入額: 3000万円
  • 保証料: 60万円(一括前払い)
  • 10年後に完済: 返金額は約30-35万円(事務手数料差し引き後)

返金されないケース・注意点

以下のケースでは保証料が返金されません。

  • 金利上乗せ型: 保証料が金利に含まれるため返金なし
  • ノンバンク融資: 保証会社を介さない場合は返金なし
  • 全額返金ではない: 事務手数料差し引き後の金額となる

アットホームによると、返金額は保証会社の規定により異なるため、借入前に金融機関に確認することが重要です。

保証料0円の銀行との違い

ネット銀行等の一部金融機関は「保証料0円」を謳っていますが、SBI新生銀行によると、多くの場合は融資事務手数料が高額に設定されています

保証料なしの銀行の仕組み

保証料0円の銀行は、保証会社を介さずに銀行自身が審査・融資を行います。そのため保証料は不要ですが、融資事務手数料が借入額の2.2%程度と高額になるケースが多いです。

事務手数料との比較(総額で判断)

3000万円を借り入れる場合の費用を比較します。

項目 保証料ありの銀行 保証料0円の銀行
保証料 約60万円(一括前払い) 0円
融資事務手数料 約3-5万円 約66万円(2.2%)
初期費用合計 約63-65万円 約66万円
返金可能性 あり(残期間分) なし

(試算条件: 借入額3000万円)

結論: 初期費用はほぼ同額ですが、保証料ありの銀行は繰り上げ返済・借り換え時に返金される可能性があるため、総額で有利になる場合があります。繰り上げ返済・借り換えの予定がある場合は、保証料ありの銀行も検討する価値があります。

フラット35は保証料不要

住宅金融支援機構が提供するフラット35は保証料不要です。住宅金融支援機構が融資するため、民間銀行のような保証会社を介さない仕組みです。ただし、融資事務手数料(借入額の1.1-2.2%程度)は別途必要です。

保証料に関する注意点

住宅ローン保証料を検討する際の注意点をまとめます。

保証料率は審査内容により異なる

モゲチェックによると、保証料率は金融機関・保証会社・審査内容により異なります。同じ金融機関でも、借主の信用情報や年収により保証料率が変わる場合があります。

事前に複数社で見積もりを取ることをおすすめします

総額と返金可能性の両面で比較

「保証料0円=お得」と単純に判断せず、総額(保証料+融資事務手数料)と返金可能性の両面で比較することが重要です。繰り上げ返済・借り換えの予定がある場合は、返金可能な一括保証料型が有利になる場合があります。

返金額は保証会社の規定による

保証料の返金額は保証会社の規定により異なります。借入前に金融機関に返金条件・金額を確認しておくことをおすすめします。

まとめ

住宅ローン保証料は、保証会社が銀行のリスクを肩代わりするための費用で、借主が支払います。支払方法は一括前払い型(借入額の約2%)と金利上乗せ型(金利+0.2%程度)の2種類があり、一括型は総額が安いが初期費用が高く、金利型は初期費用が安いが総額が高いという特徴があります。

一括前払い型は繰り上げ返済・借り換え時に残期間分が返金されますが、事務手数料が差し引かれるため全額返金ではありません。保証料0円の銀行でも融資事務手数料が高額(借入額の2.2%程度)なケースが多く、総額・返金可能性の両面で比較が必要です。

複数の金融機関で見積もりを取得し、自身のライフプラン(繰り上げ返済・借り換えの予定)に合わせて選択しましょう。金融機関や住宅ローンアドバイザーに相談しながら、無理のない返済計画を立てることが重要です。

よくある質問

Q1保証料と事務手数料の違いは何ですか?

A1保証料は保証会社への支払いで、繰り上げ返済時に一部返金されます。融資事務手数料は銀行への支払いで返金されません。保証料0円の銀行は事務手数料が高額(借入額の2.2%程度)なため、総額と返金可能性の両面で比較が必要です。3000万円を借り入れる場合、保証料ありの銀行は約60万円(返金あり)、保証料0円の銀行は事務手数料約66万円(返金なし)となります。

Q2保証料の返金額はどれくらいですか?

A2残期間・残高に応じて保証会社が計算します。例えば30年ローンを10年で完済した場合、残り20年分が返金対象ですが、事務手数料(1-2万円)が差し引かれます。借入額3000万円、保証料60万円(一括前払い)の場合、10年後の返金額は約30-35万円程度となります。全額返金ではなく、保証会社の規定により異なるため、借入前に金融機関に確認することをおすすめします。

Q3保証料を払っても自分の債務は残るのですか?

A3はい、残ります。保証会社が銀行に代位弁済した後も、借主の債務は消えず、保証会社から請求されます。保証料は借主を保護する保険ではなく、銀行のリスクを軽減するための費用です。返済不能になれば保証会社が債権者となり、借主に対して請求権を持ちます。保証料を支払っても、返済義務がなくなるわけではないことを理解しておくことが重要です。

Q4フラット35には保証料がかかりますか?

A4フラット35は保証料不要です。住宅金融支援機構が融資するため、民間銀行のような保証会社を介さない仕組みです。ただし、融資事務手数料(借入額の1.1-2.2%程度)は別途必要となります。3000万円を借り入れる場合、融資事務手数料は約33-66万円となります。保証料は不要ですが、融資事務手数料は返金されないため、総額で比較することが重要です。