全国保証の住宅ローンとは何か
住宅ローンを検討する際、「全国保証」という名前を目にして、「どんな会社なのか」「審査は厳しいのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
全国保証株式会社は、住宅ローンの保証業務を専門に行う保証会社です。金融機関が住宅ローンを提供する際、全国保証が保証人の役割を果たします。この記事では、全国保証の仕組み、保証料の相場、審査基準、メリット・デメリットを解説します。
全国保証の役割を理解することで、住宅ローン選びの判断材料が増えます。
この記事のポイント
- 全国保証は住宅ローンの保証会社で、借主が返済できなくなった場合に金融機関に代位弁済する
- 保証料は借入額の2%前後が相場で、一括前払い型と金利上乗せ型がある
- 審査は他の保証会社と同程度で、年収・勤続年数・信用情報が重視される
- 全国保証を利用すると連帯保証人が不要になるメリットがある
- 保証料は金融機関によって異なるため、複数の金融機関を比較することが重要
全国保証株式会社の役割と仕組み
全国保証とは何か
全国保証株式会社は、1970年に設立された住宅ローン保証専業の会社です。金融機関が住宅ローンを提供する際、借主が返済できなくなるリスクを軽減するため、全国保証が保証人の役割を果たします。
主な株主:
- 地方銀行(横浜銀行、千葉銀行、静岡銀行等)
- 信用金庫
- その他金融機関
全国保証は地方銀行系の保証会社で、全国の多くの金融機関が提携しています。
保証会社の仕組み
住宅ローンの保証会社は、借主が返済できなくなった場合に、金融機関に対して代位弁済(立て替え払い)を行います。
代位弁済後の流れ:
- 借主が返済不能になる
- 全国保証が金融機関に代位弁済
- 借主は全国保証に対して返済義務を負う(債権者が金融機関から全国保証に変わる)
- 全国保証が借主から債権回収を行う
注意点:代位弁済されても、借主の返済義務がなくなるわけではありません。債権者が変わるだけで、返済は継続する必要があります。
なぜ保証会社が必要なのか
金融機関は、住宅ローンを提供する際に以下のリスクを抱えます。
- 貸し倒れリスク:借主が返済できなくなり、融資額を回収できない
- 担保処分リスク:不動産を競売にかけても、融資額を回収できない可能性がある
保証会社を利用することで、金融機関はリスクを軽減でき、より多くの人に住宅ローンを提供できます。借主にとっても、連帯保証人を立てる必要がなくなるメリットがあります。
全国保証の保証料:相場と支払方法
保証料の相場
全国保証の保証料は、借入額の2%前後が相場です。金融機関や借主の信用状況によって異なります。
例:借入額3,000万円、返済期間35年の場合 → 保証料は約60万円(2%で計算)
保証料は一括前払い型と金利上乗せ型の2種類があります。
支払方法1:一括前払い型(外枠方式)
住宅ローン契約時に保証料を一括で支払う方法です。
メリット:
- 金利が低くなる
- 総返済額が抑えられる
デメリット:
- 初期費用が高額になる
- 繰上返済時に保証料の一部が返還されるが、全額ではない
支払方法2:金利上乗せ型(内枠方式)
保証料を金利に上乗せして、毎月の返済に含める方法です。
メリット:
- 初期費用を抑えられる
- 手元資金を温存できる
デメリット:
- 金利が年0.2%程度上乗せされる
- 総返済額が一括前払い型より高くなる
例:借入額3,000万円、金利1.0%、返済期間35年の場合
- 一括前払い型:保証料60万円、月々返済額約8.5万円
- 金利上乗せ型:保証料0円、金利1.2%、月々返済額約8.7万円
どちらを選ぶかは、初期費用と総返済額のバランスで判断しましょう。
保証料が安くなるケース
以下の条件を満たすと、保証料が割引される可能性があります。
- 頭金が多い:借入額が物件価格の80%以下等
- 勤続年数が長い:同じ会社に10年以上勤務している等
- 年収が高い:安定した収入がある
- 信用情報に問題がない:過去にローン延滞・債務整理の経験がない
金融機関によって割引条件が異なるため、複数の金融機関を比較することが重要です。
全国保証の審査基準と通りやすさ
審査で重視されるポイント
全国保証の審査では、以下のポイントが重視されます。
| 項目 | 審査基準の目安 | 
|---|---|
| 年収 | 返済負担率が年収の30~35%以内 | 
| 勤続年数 | 3年以上(自営業は3期分の決算書) | 
| 信用情報 | 過去5年以内にローン延滞・債務整理がない | 
| 健康状態 | 団体信用生命保険に加入できる | 
| 担保評価 | 物件の担保価値が十分にある | 
他の保証会社との比較
全国保証の審査は、他の保証会社(全国信用保証、オリコ等)と同程度とされています。
審査が比較的厳しい保証会社:
- 全国信用保証(地方銀行系、審査基準が高め)
審査が比較的通りやすい保証会社:
- オリコ(信販系、審査スピードが速い)
全国保証は中間的な位置づけで、審査基準は一般的です。
審査に落ちる主な理由
全国保証の審査に落ちる主な理由は以下の通りです。
- 信用情報に問題がある:過去にクレジットカードの延滞、ローンの滞納、債務整理の経験がある
- 返済負担率が高すぎる:年収に対する住宅ローンの返済額が30~35%を超える
- 勤続年数が短い:転職したばかりで収入の安定性が低いと判断される
- 自営業で収入が不安定:決算書の内容が赤字、債務超過等
- 団体信用生命保険に加入できない:健康状態に問題があり、保険に加入できない
審査に不安がある場合は、事前に金融機関に相談することを推奨します。
全国保証を利用するメリットとデメリット
メリット1:連帯保証人が不要
全国保証を利用することで、連帯保証人を立てる必要がなくなります。親や親族に保証人を依頼する心理的負担を避けられます。
メリット2:金融機関の選択肢が広がる
全国保証は全国の多くの金融機関と提携しているため、地方銀行・信用金庫等の幅広い選択肢があります。
メリット3:保証料の割引制度がある
頭金が多い、勤続年数が長い等の条件を満たすと、保証料が割引される可能性があります。
デメリット1:保証料が高額
保証料は借入額の2%前後(3,000万円の借入で約60万円)と高額です。初期費用を抑えたい場合は金利上乗せ型を選べますが、総返済額が増えます。
デメリット2:代位弁済後も返済義務は残る
全国保証が代位弁済しても、借主の返済義務はなくなりません。債権者が金融機関から全国保証に変わるだけで、返済は継続する必要があります。
デメリット3:保証会社を選べない
保証会社は金融機関が指定するため、借主が選ぶことはできません。全国保証を利用したい場合は、全国保証と提携している金融機関を選ぶ必要があります。
全国保証と他の保証会社の比較
主要な保証会社と全国保証を比較します。
| 保証会社 | 特徴 | 保証料の相場 | 審査難易度 | 
|---|---|---|---|
| 全国保証 | 地方銀行系、全国の金融機関と提携 | 借入額の2%前後 | 中程度 | 
| 全国信用保証 | 地方銀行系、審査基準が高め | 借入額の2%前後 | やや厳しい | 
| オリコ | 信販系、審査スピードが速い | 借入額の2%前後 | やや通りやすい | 
| JCOM | 都市銀行系、審査基準が高い | 借入額の2%前後 | 厳しい | 
保証会社は金融機関が指定するため、複数の金融機関に事前審査を申し込み、条件を比較することが推奨されます。
全国保証の住宅ローンを選ぶ際のポイント
複数の金融機関を比較する
全国保証は複数の金融機関と提携しているため、金融機関によって金利・保証料・審査基準が異なります。以下の項目を比較しましょう。
- 金利(固定金利・変動金利)
- 保証料(一括前払い型・金利上乗せ型)
- 事務手数料
- 繰上返済手数料
- 団体信用生命保険の内容(がん保障特約等)
保証料の支払方法を検討する
初期費用を抑えたい場合は金利上乗せ型、総返済額を抑えたい場合は一括前払い型を選びましょう。
判断基準:
- 手元資金が少ない → 金利上乗せ型
- 手元資金に余裕がある → 一括前払い型
事前審査を活用する
住宅ローンの事前審査(仮審査)は無料で、複数の金融機関に同時に申し込むことができます。事前審査で承認されれば、本審査に進める可能性が高いです。
事前審査の結果を比較し、最も条件の良い金融機関を選びましょう。
まとめ:全国保証の住宅ローンを理解して賢く選ぼう
全国保証株式会社は、住宅ローンの保証会社として、借主が返済できなくなった場合に金融機関に代位弁済を行います。保証料は借入額の2%前後が相場で、一括前払い型と金利上乗せ型があります。
全国保証を利用することで連帯保証人が不要になるメリットがある一方、保証料が高額というデメリットもあります。審査は他の保証会社と同程度で、年収・勤続年数・信用情報が重視されます。
次のアクションとして、以下を推奨します。
- 複数の金融機関を比較:金利・保証料・事務手数料を比較し、最も条件の良い金融機関を選ぶ
- 事前審査を活用:無料の事前審査で承認される可能性を確認
- 保証料の支払方法を検討:初期費用と総返済額のバランスで判断
住宅ローンは数千万円の借入で、総返済額は数百万円単位で変わることがあります。全国保証の仕組みを理解し、賢く住宅ローンを選びましょう。
