住宅ローン控除初年度は年末調整と確定申告の両方が必要?手続きを解説

公開日: 2025/11/11

住宅ローン控除初年度は年末調整と確定申告の両方が必要?手続きを解説

住宅ローンを組んで初年度を迎える会社員の多くが、「年末調整だけで住宅ローン控除を受けられるのか」という疑問を抱きます。結論から言うと、初年度は確定申告が必須であり、年末調整だけでは控除を受けられません。

この記事では、住宅ローン控除初年度の手続き、確定申告の必要性と方法を、国税庁の公式情報を元に解説します。

2年目以降は年末調整で簡単に手続きできるようになるため、初年度の確定申告を正しく行うことが重要です。

この記事のポイント

  • 住宅ローン控除初年度は確定申告が必須、年末調整だけでは控除を受けられない
  • 会社は従業員の住宅ローン取得情報を持たないため、本人が税務署に申告する必要がある
  • 確定申告の期限は通常2月16日〜3月15日だが、還付申告は5年以内なら提出可能
  • 2年目以降は税務署から送られる証明書を会社に提出すれば年末調整で控除を受けられる
  • e-Tax(電子申告)と書面提出の両方が可能で、e-Taxは還付金の受取が早い

住宅ローン控除初年度は確定申告が必須、年末調整だけではNG

住宅ローンを組んだ初年度は、会社員であっても確定申告が必須です。国税庁の説明によると、年末調整だけでは住宅ローン控除を受けることができません。

2年目以降は年末調整で手続き可能になりますが、初年度のみ確定申告が必要となります。この点を理解していないと、控除を受けられず、数十万円の還付金を逃すことになります。

初年度に確定申告が必須となる理由

初年度のみ確定申告が必須となる理由は、会社が従業員の住宅ローン取得情報を把握していないためです。

会社は初年度の住宅ローン情報を把握していない

年末調整は、会社が従業員の所得税を精算する手続きです。しかし、会社は従業員がいつ住宅ローンを組んだか、どの物件を購入したかといった情報を持っていません。

そのため、初年度は本人が税務署に対して確定申告を行い、住宅ローン控除の適用を受ける必要があります。

年末調整では対応できない控除の仕組み

住宅ローン控除は、年末時点のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除できる制度です。三菱UFJ銀行の説明によると、2025年時点では子育て世帯や若者夫婦世帯への借入限度額の拡充も行われています。

初年度の確定申告を行うことで、税務署は「この人は住宅ローン控除の対象者だ」と把握し、2年目以降は税務署から証明書が送られて年末調整で対応可能になります。

初年度の確定申告の具体的な手順

初年度の確定申告は、以下の4ステップで進めます。初めての方でも迷わないよう、具体的な手順を解説します。

①必要書類を準備する

確定申告には、以下の書類が必要です。事前に準備しておくことで、スムーズに手続きを進められます。

書類名 取得先 備考
登記事項証明書 法務局 全部事項証明書または一部事項証明書。オンライン申請も可能
売買契約書 不動産会社 購入時に受け取った契約書の写し
住宅ローン年末残高証明書 金融機関 毎年10月頃に送付される
源泉徴収票 勤務先 年末または翌年1月に受け取る
マイナンバーカード 市区町村 本人確認書類として使用

マネーフォワードによると、登記事項証明書は法務局窓口だけでなく、オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)でも取得可能です。

②確定申告書を作成する

確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。画面の指示に従って入力すれば、自動的に計算されるため、初めての方でも安心です。

入力項目の例

  • 年収・所得税額(源泉徴収票から転記)
  • 住宅ローンの年末残高(年末残高証明書から転記)
  • 物件の取得価格(売買契約書から転記)
  • 床面積(登記事項証明書から転記)

③税務署に提出する(e-Taxまたは書面)

確定申告書の提出方法は、e-Tax(電子申告)と書面提出の2つがあります。

提出方法 メリット デメリット
e-Tax 自宅から24時間申告可能、還付金の受取が早い(約2〜3週間) マイナンバーカード・ICカードリーダーが必要
書面提出 税務署窓口で相談しながら提出可能、郵送も可 還付金の受取に時間がかかる(約1〜2ヶ月)

e-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはマイナンバーカード読取対応のスマートフォン)が必要です。ITに不慣れな方は、書面提出でも問題ありません。

④還付金を受け取る

確定申告後、指定した銀行口座に還付金が振り込まれます。e-Taxの場合は約2〜3週間、書面提出の場合は約1〜2ヶ月が目安です。

還付金額は、年末ローン残高の0.7%と所得税額のいずれか少ない方となります。所得税から控除しきれなかった分は、翌年度の住民税から控除されます(上限あり)。

2年目以降は年末調整で手続き可能

初年度の確定申告を完了すると、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けられるようになります。

税務署から送られる「住宅借入金等特別控除証明書」

初年度の確定申告後、税務署から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」が控除適用年数分まとめて送られてきます。

この証明書は、2年目以降の年末調整で使用する重要な書類です。紛失しないよう大切に保管してください。紛失した場合は、税務署に再発行を依頼できます。

金融機関から送られる「年末残高証明書」

金融機関からは、毎年10月頃に「住宅ローン年末残高証明書」が送付されます。この証明書は、年末調整で毎年必要となります。

会社への提出方法

2年目以降の年末調整では、以下の2つの書類を会社に提出します。

  • 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(税務署から送付)
  • 住宅ローン年末残高証明書(金融機関から送付)

この2つを提出すれば、会社が年末調整で住宅ローン控除を適用してくれます。初年度のように確定申告をする必要はありません。

住宅ローン控除初年度の確定申告でよくある質問

初年度の確定申告に関して、多くの方が抱く疑問に回答します。

まとめ:住宅ローン控除初年度は確定申告を忘れずに

住宅ローン控除の初年度は、会社員であっても確定申告が必須です。年末調整だけでは控除を受けられないため、期限内(通常2月16日〜3月15日)に手続きを完了しましょう。

必要書類(登記事項証明書、売買契約書、住宅ローン年末残高証明書、源泉徴収票)を事前に準備し、国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作成すれば、初めての方でもスムーズに手続きできます。

2年目以降は、税務署から送られる証明書と金融機関の年末残高証明書を会社に提出すれば、年末調整で簡単に控除を受けられるようになります。不明点があれば、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q1住宅ローン控除初年度は年末調整だけではダメですか?

A1初年度は確定申告が必須です。会社は従業員の住宅ローン取得情報を持たないため、年末調整では対応できません。本人が税務署に確定申告を行い、住宅ローン控除の適用を受ける必要があります。2年目以降は、税務署から送られる証明書を会社に提出すれば年末調整で控除を受けられるようになります。

Q2確定申告の期限を過ぎてしまったらどうなりますか?

A2還付申告は5年以内であれば提出可能です。確定申告の期限(通常2月16日〜3月15日)を過ぎても諦めず、速やかに税務署に相談してください。ただし、早めの手続きが推奨されます。期限を過ぎると還付金の受取が遅れる可能性がありますが、控除自体は受けられます。

Q3必要書類を紛失した場合はどうすればよいですか?

A3各書類は再発行が可能です。登記事項証明書は法務局で再取得できます(オンライン申請も可)。売買契約書は不動産会社に再発行を依頼してください。住宅ローン年末残高証明書は金融機関に再発行を申請できます。源泉徴収票は勤務先に再発行を依頼しましょう。手続きに時間がかかる場合があるため、早めに対応することをおすすめします。

Q4e-Taxと書面提出、どちらがおすすめですか?

A4e-Taxは自宅から24時間申告可能で、還付金の受取も早い(約2〜3週間)というメリットがあります。ただし、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはマイナンバーカード読取対応のスマートフォン)が必要です。ITに不慣れな方や、税務署で相談しながら手続きしたい方は、書面提出でも問題ありません。

Q5住宅ローン控除の適用条件は何ですか?

A5主な条件は以下の通りです。①本人が居住すること(投資用不可)、②床面積50㎡以上(新築の場合、2024年以降は40㎡以上も可能。ただし合計所得金額1,000万円以下)、③借入期間10年以上、④合計所得金額2,000万円以下。その他、新築・中古・リフォーム等により要件が異なるため、詳細は国税庁のタックスアンサーや税務署で確認することをおすすめします。