住宅ローンに車のローンを上乗せできる?リスクと代替案を解説

公開日: 2025/11/6

住宅ローンに車のローンを上乗せできる?結論と理由

住宅購入と同時期に車の購入を検討している方の中には、「住宅ローンに車の費用を含められないか」と考える方もいるでしょう。住宅ローンは低金利(0.5-1%程度)なので、マイカーローン(2-4%)より有利に見えるかもしれません。

しかし、結論から言うと、住宅ローンに車のローンを上乗せすることは契約違反でありNGです。

この記事では、上乗せできない理由、発覚時のリスク、合法的な代替案を解説します。

この記事のポイント

  • 住宅ローンは資金使途が「住宅取得費用」に限定され、車購入費は対象外
  • 上乗せが発覚すると、一括返済請求・住宅ローン控除取消・信用情報への記録等のリスク
  • マイカーローン(金利2-4%)や多目的ローンが合法的な代替案
  • 住宅ローンとマイカーローンの併用は可能だが、返済比率に注意

住宅ローンへの上乗せの可否:資金使途の制限とは

SBI住まいとお金の知恵袋によると、住宅ローンは資金使途が「住宅取得費用」に限定されています。

住宅取得費用に含まれるもの

住宅ローンの対象となるのは以下の費用です。

  • 土地・建物の購入代金
  • 諸費用(登記費用、仲介手数料、火災保険等)
  • 外構工事費用(駐車場、庭の整備等、住宅に付随するもの)
  • 家具・家電(一部金融機関では諸費用ローンとして対応)

住宅取得費用に含まれないもの

以下の費用は住宅ローンの対象外です。

  • 車購入費
  • 生活費
  • 旅行費用
  • 教育費
  • 事業資金

車は「住宅取得費用」ではないため、住宅ローンに含めることはできません。

「バレなければ大丈夫」は間違い

「契約書に書かなければバレない」と考える方もいるかもしれませんが、まるっとローンの解説によると、金融機関の定期調査、税務調査、保険金請求時の調査等、複数の発覚経路があります。

発覚時のペナルティは非常に重いため、絶対に上乗せしてはいけません。

上乗せが発覚した場合のリスク

資金使途違反が発覚すると、以下のような重大なペナルティが科せられる可能性があります。

残債の一括返済請求(期限の利益喪失)

契約違反により、「期限の利益喪失」となり、残債を一括返済しなければならなくなります。数千万円の一括返済は現実的に不可能なため、最悪の場合、住宅を手放すことになります。

住宅ローン控除の取消

国税庁によると、住宅ローン控除は資金使途が「住宅取得」に限定されています。車購入費を含めると控除対象外となり、既に受けた控除額(最大13年間で最大409万円)の返還を求められる可能性があります。

信用情報への記録

一括返済請求に応じられない場合、信用情報機関に事故情報が記録され、将来のローン・クレジットカード審査に悪影響を及ぼします。

抵当権実行(競売)

最悪の場合、金融機関が抵当権を実行し、住宅が競売にかけられる可能性があります。

虚偽申告による詐欺罪の可能性

資金使途を偽って融資を受けた場合、詐欺罪(刑法246条)に問われる可能性があります。刑事告訴のリスクもあるため、絶対に虚偽申告はしないでください。

合法的な代替案:マイカーローンと多目的ローン

住宅ローンに上乗せできない以上、合法的な方法で車を購入する必要があります。

マイカーローン(金利2-4%)

マイカーローンは車購入専用のローンで、金利は2-4%程度です。住宅ローン(0.5-1%)より高いですが、資金使途が明確で合法的です。

マイカーローンには、銀行系(金利2-3%、審査厳しめ)とディーラー系(金利3-4%、審査緩やか)があります。

多目的ローン(金利5-10%程度)

多目的ローンは、資金使途が自由なローンです。車・家具・旅行等に利用でき、用途制限がありません。金利は住宅ローンより高い(5-10%程度)ですが、柔軟に利用できます。

諸費用ローンで家具・家電を借りる

一部金融機関では、外構工事費用や家具・家電の購入費用を「諸費用ローン」として住宅ローンに含められる場合があります。車は含められませんが、家具・家電を諸費用ローンで借り、浮いた自己資金で車を購入する方法もあります。

住宅ローンとマイカーローンの併用:審査への影響と注意点

住宅ローンとマイカーローンの併用は可能ですが、以下の点に注意が必要です。

返済負担率の計算(住宅ローン+マイカーローン)

SUUMOによると、金融機関の審査では、住宅ローンとマイカーローンの年間返済額を合算した「返済負担率」が30-35%以内かを確認します。

例えば、年収500万円の場合、年間返済額の上限は150-175万円(月12.5-14.5万円)です。住宅ローンの返済額が月12万円なら、マイカーローンは月0.5-2.5万円までとなります。

住宅ローン審査への影響

マイカーローンが既にある場合、住宅ローンの借入可能額が減る可能性があります。住宅購入を優先する場合、マイカーローンを完済してから住宅ローンを申し込む方が有利です。

申込順序のポイント

住宅ローンとマイカーローンを併用する場合、住宅ローンを先に申し込むことをおすすめします。住宅ローン審査後にマイカーローンを申し込めば、住宅ローンの借入可能額を確保できます。

金利の比較と総支払額のシミュレーション

住宅ローン(低金利)とマイカーローン(高金利)では、総支払額にどのくらい差が出るのでしょうか。

車購入費300万円を5年で借りた場合

ローン種類 金利 月々返済額 総支払額 利息総額
住宅ローン(仮定) 0.8% 約5.1万円 約306万円 約6万円
銀行系マイカーローン 2.5% 約5.3万円 約318万円 約18万円
ディーラー系マイカーローン 4.0% 約5.5万円 約330万円 約30万円

住宅ローン(仮定)とディーラー系マイカーローンの利息差は約24万円です。一見、住宅ローンの方が有利に見えますが、契約違反のリスク(一括返済請求・住宅ローン控除取消等)を考えると、合法的なマイカーローンを選ぶべきです。

まとめ:合法的な方法で、安心して住宅と車を手に入れよう

住宅ローンに車のローンを上乗せすることは、資金使途違反であり契約違反です。発覚すると、残債の一括返済請求、住宅ローン控除の取消、信用情報への記録、最悪の場合は抵当権実行(競売)等の重大なリスクがあります。

マイカーローン(金利2-4%)や多目的ローン(金利5-10%)は、住宅ローンより金利が高いですが、合法的で安心して利用できます。住宅ローンとマイカーローンの併用は可能ですが、返済負担率(30-35%以内)に注意が必要です。

「バレなければ大丈夫」という考えは危険です。合法的な方法で、安心して住宅と車を手に入れましょう。金融機関や信頼できるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談しながら、無理のない返済計画を立てることをおすすめします。

よくある質問

Q1住宅ローンに車の費用を含めるとバレますか?

A1金融機関の定期調査、税務調査、保険金請求時の調査等、複数の発覚経路があります。「バレなければ大丈夫」という考えは危険です。発覚すると、残債の一括返済請求、住宅ローン控除の取消、信用情報への記録等の重大なペナルティがあります。絶対に資金使途違反はしないでください。

Q2住宅ローン控除が取り消されるとどうなりますか?

A2住宅ローン控除は年末残高の0.7%を最大13年間所得税から控除する制度です。資金使途違反で取り消されると、既に受けた控除額(最大409万円)の返還を求められる可能性があります。加えて、延滞税や加算税が課されることもあり、金銭的な負担が非常に大きくなります。

Q3マイカーローンと住宅ローンはどちらを先に申し込むべきですか?

A3住宅ローンを先に申し込むことをおすすめします。住宅ローン審査後にマイカーローンを申し込めば、住宅ローンの借入可能額を確保できます。マイカーローンが既にある場合、返済負担率が上がり、住宅ローンの借入可能額が減る可能性があります。住宅購入を優先する場合、マイカーローンを完済してから住宅ローンを申し込む方が有利です。

Q4返済負担率とは何ですか?

A4返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。金融機関の審査基準は30-35%が上限です。住宅ローンとマイカーローンを併用する場合、両方の年間返済額を合算して計算します。例えば、年収500万円の場合、年間返済額の上限は150-175万円(月12.5-14.5万円)です。