住宅購入の諸費用は?内訳・目安・抑えるポイント

公開日: 2025/11/4

住宅購入の諸費用とは何か

住宅購入を検討する際、「物件価格以外にどれくらい必要なのか」「諸費用はいつ支払うのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、住宅購入時の諸費用の内訳、目安額、支払いタイミング、抑えるポイントを、国土交通省・国税庁の公式情報を元に解説します。新築・中古、マンション・戸建ての違いも含め、初めて住宅を購入する方でも必要な資金を正確に把握できるようになります。

諸費用は物件価格の5-10%程度が目安ですが、内訳を理解することで節約できる部分もあります。

この記事のポイント

  • 住宅購入の諸費用は物件価格の5-10%が目安(新築5-8%、中古8-10%)
  • 税金(不動産取得税・印紙税・登録免許税)、手数料(仲介手数料・登記費用・住宅ローン手数料)、保険(火災保険・地震保険)が主な内訳
  • 諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、現金で用意が必要
  • 軽減措置(住宅用家屋の特例・登録免許税の軽減)を活用することで諸費用を抑えられる場合がある
  • 支払いタイミングは契約時・決済時・入居後の3段階に分かれる

住宅購入の諸費用の内訳

住宅購入時には、物件価格以外に以下の諸費用が必要です。内訳を理解し、総額で資金計画を立てることが重要です。

税金(不動産取得税・印紙税・登録免許税)

住宅購入時には以下の税金が課されます。

税目 計算方法 目安額(3,000万円の新築マンションの場合) 軽減措置
不動産取得税 固定資産税評価額×3% 30-50万円 新築住宅:評価額から最大1,200万円控除
印紙税 売買契約書・住宅ローン契約書に貼付 2-3万円 軽減措置あり(2025年時点では2024年3月31日まで、最新情報を確認してください)
登録免許税 固定資産税評価額×税率 10-20万円 住宅用家屋:土地0.3%、建物0.15%に軽減(2027年3月31日まで)

国税庁によると、印紙税の軽減措置は2024年3月31日までとされていました。最新情報を確認してください。

手数料(仲介手数料・登記費用・住宅ローン手数料)

不動産会社・司法書士・金融機関への報酬が必要です。

仲介手数料(中古物件の場合):

  • 計算式:売買価格×3%+6万円+消費税
  • 例:3,000万円の中古マンションの場合、最大105.6万円
  • 新築物件は仲介手数料不要(売主が不動産会社のため)

登記費用

  • 登録免許税:固定資産税評価額×税率
  • 司法書士報酬:10-20万円程度

住宅ローン手数料

  • 融資手数料:融資額×2%程度(定率型)または固定額3-10万円(定額型)
  • 保証料:融資額×2%程度または金利上乗せ

保険(火災保険・地震保険)

住宅ローンを組む場合、火災保険への加入が義務付けられます。

  • 火災保険:10年一括払いで20-40万円程度(建物の構造・面積により異なる)
  • 地震保険:5年で5-15万円程度(地域により異なる)

複数社見積もりで10-20%削減可能です。

その他の諸費用

  • 修繕積立基金(新築マンションの場合):20-50万円
  • 管理準備金(新築マンションの場合):5-10万円
  • 引越し費用:10-30万円
  • 家具・家電購入費:50-100万円

諸費用の目安と物件種別による違い

諸費用の目安は物件価格の5-10%ですが、物件種別により異なります。

物件種別 諸費用の目安 理由
新築マンション 物件価格の5-8% 仲介手数料不要、修繕積立基金・管理準備金が必要
中古マンション 物件価格の8-10% 仲介手数料が必要
新築戸建て 物件価格の5-8% 仲介手数料不要(建売の場合)
中古戸建て 物件価格の8-10% 仲介手数料が必要

計算例(3,000万円の新築マンション):

  • 諸費用の目安:3,000万円×6% = 180万円
  • 総額:3,000万円 + 180万円 = 3,180万円

諸費用を含めた総額で資金計画を立てることが重要です。

諸費用の支払いタイミング

諸費用は契約時・決済時・入居後の3段階に分かれて支払います。

契約時(手付金・印紙税)

  • 手付金:売買代金の5-10%程度(物件価格の一部として充当)
  • 印紙税:売買契約書に貼付(1-3万円)

決済時(残代金・諸費用の大部分)

  • 残代金(物件価格 - 手付金)
  • 仲介手数料(中古物件の場合)
  • 登記費用(登録免許税 + 司法書士報酬)
  • 住宅ローン手数料・保証料
  • 火災保険料
  • 修繕積立基金・管理準備金(新築マンションの場合)

入居後(不動産取得税・その他)

  • 不動産取得税:取得から6ヶ月-1年後に納税通知書が届く
  • 引越し費用・家具家電購入費

支払いタイミングを把握し、資金を計画的に準備してください。

諸費用を抑えるポイント

諸費用を抑える方法はいくつかあります。

軽減措置の活用

不動産取得税の軽減措置

  • 新築住宅:固定資産税評価額から最大1,200万円控除
  • 要件:床面積50㎡以上240㎡以下

登録免許税の軽減措置(2027年3月31日まで):

  • 土地:2.0% → 0.3%(本則2.0%、軽減後0.3%)
  • 建物(住宅用家屋):0.4% → 0.15%(本則0.4%、軽減後0.15%)

国土交通省の公式サイトで要件を確認してください。

火災保険の見直し

複数社見積もりで10-20%削減可能です。補償内容を比較し、必要な補償のみを選択することで保険料を抑えられます。

登記手続きの自己対応

登記手続きを自分で行うことで、司法書士費用(10-20万円)を節約できます。ただし、書類作成・法務局への申請が必要なため、時間と手間がかかります。

諸費用ローンの検討

一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入が可能です。ただし、住宅ローンよりも金利が高く設定されることが多いため、注意が必要です。

諸費用は住宅ローンに含められるのか

基本的に諸費用は住宅ローンに含められません。諸費用は現金で用意する必要があります。

一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入が可能ですが、以下の点に注意してください。

  • 金利が高い:住宅ローン金利+0.5-1.0%程度
  • 審査が厳しい:年収・勤続年数等の要件が厳しい場合がある
  • 総返済額が増える:金利が高いため、総返済額が増加

諸費用は現金で用意することが推奨されます。資金計画を立てる際は、物件価格+諸費用の総額を考慮してください。

まとめ:諸費用を含めた総額で資金計画を立てる

住宅購入の諸費用は物件価格の5-10%が目安です。税金(不動産取得税・印紙税・登録免許税)、手数料(仲介手数料・登記費用・住宅ローン手数料)、保険(火災保険・地震保険)を合わせると数百万円になります。

諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、現金で用意が必要です。軽減措置を活用したり、火災保険を見直したりすることで、諸費用を抑えることも可能です。

支払いタイミングは契約時・決済時・入居後の3段階に分かれます。事前に正確な金額を把握し、計画的に資金を準備しましょう。

信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てることをおすすめします。

よくある質問

Q1住宅購入の諸費用は住宅ローンに含められますか?

A1基本的には含められません。諸費用は現金で用意する必要があります。ただし、一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入が可能です。この場合、住宅ローンよりも金利が高く設定されることが多いため、注意が必要です。詳細は金融機関にご確認ください。

Q2新築と中古で諸費用は違いますか?

A2新築は物件価格の5-8%、中古は8-10%が目安です。中古物件は仲介手数料(売買価格×3%+6万円+消費税)が必要なため、諸費用が高くなります。新築物件は仲介手数料不要ですが、修繕積立基金・管理準備金(20-60万円)が必要です。

Q3諸費用を抑える方法はありますか?

A3軽減措置を活用することで諸費用を抑えられます。不動産取得税は新築住宅で最大1,200万円控除、登録免許税は2027年3月31日まで軽減措置があります。火災保険は複数社見積もりで10-20%削減可能です。登記手続きを自己対応すれば司法書士費用(10-20万円)を節約できますが、時間と手間がかかります。

Q4諸費用はいつ支払うのですか?

A4契約時(手付金・印紙税)、決済時(残代金・仲介手数料・登記費用・住宅ローン手数料・保険料等)、入居後(不動産取得税・引越し費用)の3段階に分かれます。決済時に諸費用の大部分を支払うため、事前に現金を準備しておく必要があります。

Q53,000万円のマンションを購入する場合、諸費用はいくらですか?

A5新築マンションの場合、物件価格の約6%で180万円程度が目安です。内訳は不動産取得税30-50万円、登記費用30-40万円、住宅ローン手数料・保証料60-100万円、火災保険20-40万円、修繕積立基金20-50万円等です。中古マンションの場合、仲介手数料(約105万円)が追加され、合計約250万円が目安です。