住宅ローンのつなぎ融資とは?仕組み・金利・必要なケースを解説

公開日: 2025/10/27

住宅ローンのつなぎ融資とは

注文住宅や建て替えを検討する際、「着工金や中間金の支払いはどうすればいいのか」と不安を感じる方は少なくありません。住宅ローンは建物完成後にしか実行されないため、建築期間中の資金をどう調達するかが課題となります。

この記事では、つなぎ融資の仕組み、金利・費用、必要なケース、注意点を、住宅金融支援機構金融庁の情報を元に解説します。

注文住宅や建て替えを検討している方が、つなぎ融資の仕組みを正しく理解し、利用すべきか判断できるようになります。

この記事のポイント

  • つなぎ融資は、建物完成前に着工金・中間金を支払うための短期融資
  • 金利は2-4%程度で住宅ローン(0.5-1%程度)より高く、利息は住宅ローン実行時に一括返済
  • フラット35利用時はつなぎ融資が必須、民間ローンは分割実行型商品もあり
  • 注文住宅や建て替えでは必要だが、建売・中古住宅では不要
  • 建築中止時もつなぎ融資の返済義務は残るため、施工会社の信用調査を推奨

つなぎ融資が必要なケース

注文住宅の建築

注文住宅を建てる場合、工事の進捗に応じて以下のように代金を支払います。

支払時期 支払項目 割合
契約時 着工金 工事費の30%程度
上棟時 中間金 工事費の30%程度
引渡し時 残金 工事費の40%程度

例えば、工事費が3000万円の場合、着工金900万円、中間金900万円、残金1200万円を支払います。

住宅ローンは建物完成・引渡し後にしか実行されないため、着工金・中間金の支払いにつなぎ融資を利用します。

建て替え

建て替えの場合も、注文住宅と同様に着工金・中間金の支払いが必要です。既存建物の解体費用もつなぎ融資でカバーできる場合があります。

つなぎ融資が不要なケース

以下のケースでは、一般的につなぎ融資は不要です。

  • 建売住宅: 引渡し時に一括決済のため不要
  • 中古住宅: 引渡し時に一括決済のため不要
  • 分割実行型住宅ローン: 工事の進捗に応じて住宅ローンを分割実行できる商品(ただし取扱金融機関は少ない)

つなぎ融資の金利と費用

金利水準

つなぎ融資の金利は2-4%程度で、住宅ローン(0.5-1%程度)より高く設定されています(各金融機関の公式サイトによる)。

金利が高い理由:

  • 短期融資であり、金融機関の事務コストが相対的に高い
  • 無担保融資である(建物が完成していないため抵当権を設定できない)
  • リスクが高い(建築中止のリスク等)

利息の支払い方法

つなぎ融資の利息は、住宅ローン実行時に一括返済します。建築期間中は利息の支払いはありませんが、元金に上乗せされて住宅ローンに組み込まれる形となります。

例えば、着工金900万円を6ヶ月間借りた場合(金利3%)、利息は以下の通りです。

利息 = 900万円 × 3% × 6ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 約13.5万円

この利息は住宅ローン実行時に元金と一緒に返済されます。

その他の費用

つなぎ融資には金利以外にも以下の費用がかかります。

  • 融資手数料: 10-20万円程度
  • 印紙代: 数千円~数万円

借入期間は数ヶ月~1年程度と短期ですが、金利負担と諸費用を合わせると数十万円になる場合があります。

つなぎ融資の利用方法と注意点

申込方法と審査

つなぎ融資は、住宅ローンと同じ金融機関で申し込みます。審査は住宅ローンと一体で実施され、住宅ローンが承認されればつなぎ融資も同時に承認されるケースが多いです。

別々の審査ではないため、手続きは比較的スムーズに進みます。

フラット35でのつなぎ融資

フラット35は建物完成後にしか融資実行されないため、注文住宅や建て替えではつなぎ融資が必須です。

フラット35を取り扱う金融機関の多くがつなぎ融資も提供していますが、金利・手数料は金融機関により異なります。複数の金融機関で見積もりを取ることを推奨します。

分割実行型住宅ローンとの違い

分割実行型住宅ローンは、つなぎ融資を利用せず、工事の進捗に応じて住宅ローンを分割実行できる商品です。

メリット:

  • つなぎ融資の高い金利負担がない
  • 住宅ローン金利(0.5-1%程度)が適用される

デメリット:

  • 取扱金融機関が少ない
  • 建築期間中から住宅ローンの返済が始まる(賃貸住まいの場合、家賃とローン返済の二重負担)

つなぎ融資と分割実行型住宅ローン、どちらが有利かは個々の状況により異なります。金融機関に相談して判断してください。

つなぎ融資のリスクと対処法

建築中止時のリスク

つなぎ融資の最大のリスクは、建築中止時でも返済義務が残ることです。

施工会社が倒産した場合や、契約トラブルで建築が中止になった場合でも、借入金は返済する必要があります。建物が完成しなければ住宅ローンも実行されないため、つなぎ融資の返済資金を自己資金で用意しなければなりません。

対処法:

  • 契約前に施工会社の信用調査を行う
  • 施工会社の経営状況、過去の実績を確認
  • 完成保証制度を提供している施工会社を選ぶ

金利上昇リスク

つなぎ融資の金利は変動金利が一般的です。建築期間が長引いた場合、金利上昇により利息負担が増える可能性があります。

対処法:

  • 建築期間を短く設定できる施工会社を選ぶ
  • 工事の進捗を定期的に確認し、遅延を防ぐ

返済計画の確認

つなぎ融資の利息は住宅ローン実行時に一括返済されるため、住宅ローンの借入額が増えます。

例えば、つなぎ融資の利息が50万円の場合、住宅ローンの借入額は当初予定より50万円多くなります。

対処法:

  • つなぎ融資の利息を含めた総返済額を事前に試算
  • 返済可能か慎重に確認
  • 月々の返済額が予算内に収まるか確認

まとめ

つなぎ融資は、注文住宅や建て替えで着工金・中間金の支払いに必要な短期融資です。金利は2-4%で住宅ローンより高く、利息は住宅ローン実行時に一括後払いとなります。

フラット35利用時はつなぎ融資が必須です。民間ローンでは分割実行型商品もありますが、取扱金融機関は少ないです。

建築中止時もつなぎ融資の返済義務は残るため、施工会社の信用調査が重要です。また、利息を含めた総返済額を事前に試算し、返済可能か確認してください。

複数の金融機関で見積もりを取り、専門家(FP、銀行)に相談しながら、利用を判断することを推奨します。

よくある質問

Q1つなぎ融資の審査は住宅ローンとは別ですか?

A1住宅ローンと一体で審査されます。住宅ローンが承認されればつなぎ融資も同時に承認されるケースが多く、別々の審査ではありません。つなぎ融資は住宅ローンと同じ金融機関で申し込み、手続きは比較的スムーズに進みます。ただし、つなぎ融資の金利・手数料は金融機関により異なるため、複数の金融機関で見積もりを取ることを推奨します。

Q2フラット35でもつなぎ融資は必要ですか?

A2フラット35は建物完成後にしか融資実行されないため、注文住宅や建て替えではつなぎ融資が必須です。フラット35を取り扱う金融機関の多くがつなぎ融資も提供していますが、金利・手数料は金融機関により異なります。民間ローンでは工事の進捗に応じて分割実行できる商品もあり、つなぎ融資が不要な場合もありますが、取扱金融機関は少ないです。

Q3つなぎ融資の利息はいつ支払うのですか?

A3住宅ローン実行時に一括返済します。利息は元金に上乗せされ、住宅ローンに組み込まれる形となります。建築期間中は利息の支払いはありません。例えば、着工金900万円を6ヶ月間借りた場合(金利3%)、利息は約13.5万円となり、この利息は住宅ローン実行時に元金と一緒に返済されます。住宅ローンの借入額が当初予定より増えるため、返済計画の確認が重要です。

Q4建築中止になったらつなぎ融資はどうなりますか?

A4返済義務は残ります。施工会社が倒産した場合や契約トラブルで建築が中止になった場合でも、借入金は返済する必要があります。建物が完成しなければ住宅ローンも実行されないため、つなぎ融資の返済資金を自己資金で用意しなければなりません。契約前に施工会社の信用調査を行い、経営状況や過去の実績を確認することを推奨します。完成保証制度を提供している施工会社を選ぶことも有効です。