中古マンション購入ガイド|注意点・流れ・費用を完全解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

なぜ中古マンション購入が注目されるのか

マンション購入を検討する際、「新築と中古、どちらを選ぶべきか」「中古マンションの購入で失敗しないためには何をチェックすればいいのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、中古マンション購入の流れ、注意点(築年数、修繕履歴、管理状況)、諸費用、住宅ローン、リフォームの要否を、公式情報を元に解説します。初めて中古マンションを購入する方でも、必要な知識を網羅的に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 中古マンションは築20-25年で価格下落が止まり、資産価値が安定する傾向がある
  • 諸費用は物件価格の5-10%が目安(新築の3-5%より高い)
  • 1981年6月1日以降に建築確認申請が受理された物件(新耐震基準)が推奨
  • リフォームは専有部分のみ可能で、全面リノベーションは800万-1,000万円が目安
  • 住宅ローンとリフォーム費用を一体化して借りることで金利を抑えられる

2024年、東京23区の新築マンション平均価格は1億円を突破し、中古マンションへの需要が高まっています。2025年の中古マンション市場は、立地・築年数・省エネ性能による価格の二極化が進んでおり、物件選びの重要性が増しています。

中古マンション購入の流れ

中古マンションの購入から引き渡しまでは、最短1ヶ月、通常1-2ヶ月かかります。以下、4つの主要ステップを解説します。

(1) 資金計画と予算設定

まず、物件価格だけでなく諸費用(物件価格の5-10%)を含めた総額を把握します。住宅ローンを利用する場合、借入額、金利、返済期間を検討します。

2025年1月より住宅ローン金利は少しずつ上昇傾向にあり、月々の返済額が増加する可能性があります。最新の金利は金融機関の公式サイトで確認しましょう。

(2) 物件探しと内見(15-30分/件が目安)

不動産ポータルサイトや不動産会社を通じて物件を探し、内見を実施します。内見時間は1物件あたり15-30分が目安です。

内見時のチェックポイント

  • 日当たり・風通し
  • 水回り設備(キッチン、浴室、トイレ)の劣化状態
  • 配管の位置・状態(後述するリフォームの可否に影響)
  • 共用部分(エントランス、廊下、ゴミ置き場)の清掃状況

(3) 購入申込と売買契約

購入を決めたら購入申込書を提出します。売買契約は購入申込から1週間-10日後に実施されるのが一般的です。

契約時には手付金(物件価格の5-10%)を支払います。契約内容は宅地建物取引士(宅建士)が「重要事項説明」として詳細に説明してくれます。不明点は必ず確認しましょう。

(4) 住宅ローン審査と決済・引き渡し(最短1ヶ月、通常1-2ヶ月)

住宅ローンの審査を経て、融資が承認されたら決済(残代金の支払い)を行い、物件が引き渡されます。

引き渡し時には登記手続きを行い、所有権が買主に移転します。登記費用は司法書士に依頼する場合、5-10万円程度が目安です。

購入時の重要な注意点

中古マンション購入時には、以下の4つのポイントを必ずチェックしましょう。

(1) 築年数と耐震基準(1981年6月1日基準)

1981年6月1日以降に建築確認申請が受理された建物は「新耐震基準」で建てられています。新耐震基準は、震度6強-7程度の地震でも倒壊しない設計基準です。

新耐震基準を満たさない物件(1981年5月以前)は、住宅ローン控除の対象外となる場合があります。また、2025年の中古マンション市場では、耐震基準を満たさない物件の価格が下落する傾向にあります。

(2) 修繕履歴と長期修繕計画の確認

長期修繕計画がしっかり立てられていない物件は、将来的に大規模修繕で高額な費用負担が発生する可能性があります。

以下を不動産会社や管理組合に確認しましょう。

  • 過去の大規模修繕の実施時期・内容
  • 次回の大規模修繕予定
  • 修繕積立金の残高・積み立て状況

(3) 管理費・修繕積立金の滞納状況

管理費や修繕積立金を滞納している入居者がいる物件は避けるべきです。滞納が多いと、管理組合の財政が悪化し、大規模修繕が実施できなくなるリスクがあります。

管理組合の総会議事録を閲覧し、滞納状況や管理組合の運営状況を確認することを推奨します。

(4) 配管・設備の劣化状態

配管(給水管・排水管)や電気設備の劣化は、購入後のリフォーム費用に大きく影響します。特に築30年以上の物件では、配管の全面交換が必要になる場合があります。

ホームインスペクション(住宅診断)を利用すると、建築士が専門的な視点で物件の状態を診断してくれます。費用は5-10万円程度ですが、購入後のトラブルを防ぐためには有効です。

諸費用と税金の内訳

中古マンション購入時の諸費用は、物件価格の5-10%が目安です(新築は3-5%)。以下、主な項目を解説します。

(1) 諸費用の総額(物件価格の5-10%)

項目 内容 目安額(物件価格3,000万円の場合)
仲介手数料 物件価格の3%+6万円+消費税 約105万円
登記費用 登録免許税、司法書士報酬 30-50万円
固定資産税精算金 所有期間に応じた精算 5-10万円
住宅ローン手数料 事務手数料、保証料 60-80万円
火災保険 10年一括払い 20-30万円
合計 約220-280万円

(2) 仲介手数料の計算方法

仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限が定められています。

  • 物件価格の3% + 6万円 + 消費税(物件価格400万円超の場合)

例:物件価格3,000万円の場合

  • (3,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1 = 105.6万円

(3) 登記費用と税金

登記費用には、登録免許税(国税)と司法書士報酬が含まれます。

  • 登録免許税(所有権移転登記):固定資産税評価額の2%(土地は1.5%)
  • 司法書士報酬:5-10万円

(4) 固定資産税の精算(1月1日時点の所有者に課税)

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。年の途中で購入した場合、売主と精算するのが一般的です。

例:7月1日に購入した場合

  • 売主負担:1月1日-6月30日(181日分)
  • 買主負担:7月1日-12月31日(184日分)

固定資産税の標準税率は1.4%です。詳細は物件所在地の自治体にご確認ください。

住宅ローンとリフォーム

(1) 住宅ローン控除の適用要件

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、所得税から一定額を控除できる制度です。

中古マンションで住宅ローン控除を受けるための主な要件は以下の通りです。

  • 新耐震基準(1981年6月1日以降に建築確認申請が受理)に適合
  • 床面積が50㎡以上(一部条件で40㎡以上も対象)
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上

控除額・期間は物件により異なります。詳細は国税庁の公式サイトでご確認ください。

(2) リフォーム費用の目安(全面リノベ800万-1,000万円)

中古マンションのリフォーム費用は、施工範囲により大きく異なります。

リフォーム内容 費用目安
全面リノベーション 800万-1,000万円
キッチン交換 150万-300万円
浴室改修 100万-150万円
トイレ交換 20万-50万円
フローリング張替え 10万-20万円/畳

リフォーム費用は物件の状態・施工範囲により異なるため、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼することを推奨します。

(3) 住宅ローンとリフォーム費用の一体化

住宅ローンでは、物件購入価格とリフォーム費用を一体化して借りることが可能です。これにより、リフォームローン(金利2-4%程度)を別途組むよりも金利を抑えられます。

一体化のメリット

  • 住宅ローン金利(0.5-1.5%程度)でリフォーム費用も借りられる
  • 複数のローンを管理する手間が省ける
  • 返済計画が立てやすい

金融機関により対応が異なるため、事前に確認しましょう。

(4) リフォーム可能範囲(専有部分のみ)

中古マンションのリフォームは「専有部分」のみ可能です。共用部分(玄関ドア外側、窓、バルコニー等)は管理組合の許可が必要、または不可です。

リフォーム可能な専有部分

  • 室内の壁・床・天井
  • キッチン、浴室、トイレ等の設備
  • 配管(共用部分に影響しない範囲)

リフォーム不可の共用部分

  • 玄関ドアの外側
  • 窓(サッシ・ガラス)
  • バルコニー(床・手すり)

管理規約によりリフォーム可能範囲が制限されている場合があります。購入前に必ず管理規約を確認しましょう。

まとめ:中古マンション購入の判断基準

中古マンション購入は、物件価格だけでなく諸費用(物件価格の5-10%)、築年数、管理状況、リフォーム費用を総合的に判断する必要があります。

新耐震基準(1981年6月1日以降)を満たし、長期修繕計画が適切に立てられている物件を選ぶことが重要です。中古マンションは築20-25年で価格下落が止まり、資産価値が安定する傾向があります。

リフォームを検討する場合、住宅ローンとリフォーム費用を一体化して借りることで金利を抑えられます。専有部分のみリフォーム可能であるため、管理規約を事前に確認しましょう。

信頼できる不動産会社、宅建士、建築士(ホームインスペクション)、税理士に相談しながら、無理のない資金計画を立てることを推奨します。

よくある質問

Q1築年数の目安は?

A11981年6月1日以降に建築確認申請が受理された建物(新耐震基準)が推奨されます。中古マンションは築20-25年で価格下落が止まり、資産価値が安定する傾向があります。築年数だけでなく、管理状況や修繕履歴も含めて総合的に判断しましょう。

Q2修繕積立金のチェック方法は?

A2長期修繕計画の有無、修繕履歴、管理組合の健全性を確認します。管理費や修繕積立金を滞納している入居者がいる物件は避けるべきです。不動産会社や管理組合に問い合わせ、管理組合の総会議事録を閲覧することを推奨します。

Q3諸費用はいくらかかる?

A3物件価格の5-10%が目安です(新築は3-5%)。仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)、登記費用(30-50万円)、固定資産税精算金、住宅ローン手数料(60-80万円)、火災保険(20-30万円)等が含まれます。物件価格とは別に準備が必要です。

Q4住宅ローン控除は使える?

A4新耐震基準(1981年6月1日以降に建築確認申請が受理)に適合し、床面積が50㎡以上、住宅ローンの返済期間が10年以上の物件が対象です。控除額・期間は物件により異なるため、詳細は国税庁の公式サイトで確認するか、税理士やFPへの相談を推奨します。

Q5リフォームはどこまでできる?

A5専有部分(室内の壁・床・天井、キッチン、浴室等)のみ可能です。共用部分(玄関ドア外側、窓、バルコニー等)は不可です。管理規約によりリフォーム可能範囲が制限されている場合があるため、購入前に必ず確認しましょう。全面リノベーションの費用は800万-1,000万円が目安です。

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Room Match編集部

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