マンション購入・賃貸を検討する前に知っておくべきこと
マンションの購入や賃貸を検討する際、「物件の寿命はどのくらいなのか」「高層マンションと低層マンションの違いは何か」「どのエリアを選ぶべきか」など、様々な疑問が生まれるのではないでしょうか。
この記事では、マンションの寿命・耐用年数の基礎知識、高層マンションの特徴、エリア選びのポイント、2025年の市場動向を、SUUMOやみずほ不動産販売の公式情報を元に解説します。
初めてマンションを購入・賃貸する方でも、適切な判断基準を持てるようになります。
この記事のポイント
- マンションの法定耐用年数は47年だが、実際の寿命は適切な管理により68年以上、最長100年以上住める可能性がある
- 高層マンション(15階以上)は眺望・セキュリティに優れるが、エレベーター待ちや気圧変化のデメリットも存在する
- 新耐震基準(1981年6月以降)を満たし、修繕計画が適切なマンションは築年数が古くても選択肢になる
- 2025年のマンション市場は都心部では価格高騰が続く一方、郊外では安定または下落する二極化が進行している
- 購入と賃貸の選択はライフスタイルや将来計画により異なるため、専門家への相談を推奨する
マンションの寿命・耐用年数の基礎知識
マンション選びで多くの方が気にするのが「あと何年住めるのか」という寿命の問題です。ここでは、法定耐用年数と実際の寿命の違い、長く住めるマンションの条件を解説します。
(1) 法定耐用年数47年と実際の寿命68年以上の違い
法定耐用年数とは、税法上の減価償却計算に使う年数のことです。鉄筋コンクリート造マンションの場合、法定耐用年数は47年と定められています。
しかし、これは「47年で住めなくなる」という意味ではありません。SUUMOによると、実際のマンションの寿命は適切な管理により68年以上、場合によっては100年以上住める可能性があります。
| 概念 | 年数 | 意味 |
|---|---|---|
| 法定耐用年数 | 47年 | 税法上の減価償却期間 |
| 実際の寿命 | 68年以上 | 適切な管理下での居住可能年数 |
| 最長寿命 | 100年超 | 最良の管理・修繕を実施した場合 |
(出典: SUUMO)
重要な注意点:
- 法定耐用年数を過ぎても居住は可能ですが、住宅ローンの借入期間が短縮される可能性があります
- 金融機関によっては「築年数+返済期間≦60年」等の制約があるため、事前確認が必要です
(2) 長く住めるマンションの条件
マンションの寿命を延ばすには、適切な管理・修繕が欠かせません。長く住めるマンションの条件は以下の通りです。
修繕積立金が適切に積み立てられている:
- 大規模修繕に備えて、毎月の修繕積立金が計画通り積み立てられているかを確認
- 積立金が不足しているマンションは、将来的に修繕ができず寿命が短くなる可能性がある
管理組合が健全に機能している:
- 管理組合の議事録や総会資料を確認し、意思決定がスムーズに行われているかをチェック
- 2022年開始の管理計画認定制度により、マンション管理組合の管理計画を地方公共団体が認定する仕組みもある
適切な修繕計画が立てられている:
- 10〜15年ごとの大規模修繕計画が明確に策定されているか
- 過去の修繕履歴を確認し、定期的にメンテナンスが実施されているか
(3) 築年数が古いマンションでも問題ないケース
築年数が古いマンションでも、以下の条件を満たしていれば購入・賃貸の選択肢になります。
新耐震基準(1981年6月以降)を満たしている:
- 新耐震基準は1981年6月以降に建築確認を受けた建物に適用される、より厳しい耐震基準です
- 旧耐震基準(1981年5月以前)のマンションは、耐震診断や補強工事の実施状況を確認する必要があります
修繕履歴が明確:
- 外壁塗装、防水工事、配管更新等の履歴を確認
- 定期的にメンテナンスされているマンションは寿命が長い
立地条件が良好:
- 駅近、商業施設充実、治安の良さなど、立地条件が良ければ築年数が古くても資産価値を保ちやすい
高層マンションと低層マンションの違い
高層マンション(15階以上)は近年人気が高まっていますが、メリットだけでなくデメリットも存在します。ここでは、高層マンションと低層マンションの違いを詳しく解説します。
(1) 高層マンション(15階以上)のメリット
SUUMOによると、高層マンションには以下のメリットがあります。
眺望が良い:
- 高層階からは市街地や海、山などの景色を楽しめる
- 開放感があり、日当たりも良好なことが多い
防虫効果が高い:
- 高層階では蚊やハエなどの虫が侵入しにくい
- 網戸を開けて換気しやすい
セキュリティが高い:
- オートロック、防犯カメラ、コンシェルジュサービスなどが充実
- 共用部の管理が行き届いていることが多い
駅近立地が多い:
- 高層マンションは都心部や駅前に建設されることが多く、通勤・通学に便利
(2) 高層マンションのデメリットと注意点
一方で、高層マンションには以下のデメリットも存在します。
エレベーター待ち時間が長い:
- 朝夕の通勤・通学時間帯はエレベーターが混雑し、待ち時間が発生する
- 災害時(地震、火災等)はエレベーターが停止し、避難が困難になる可能性がある
強風の影響を受けやすい:
- 高層階では風が強く、洗濯物が干しにくい
- 台風時は窓ガラスへの負荷が大きい
気圧変化による体調不良:
- 高層階では気圧が低くなるため、頭痛やめまいを感じる方もいる
- 購入前に試住や短期賃貸での確認を推奨する
管理費・修繕積立金が高め:
- 共用施設(エレベーター、エントランス、駐車場等)が充実している分、管理費・修繕積立金が高額になる傾向がある
(3) タワーマンション(20階以上)の特徴
タワーマンションとは、一般的に20階以上・高さ60m超の超高層マンションを指します。高層マンション(15階以上)よりもさらに高く、以下の特徴があります。
| 項目 | 高層マンション | タワーマンション |
|---|---|---|
| 階数 | 15階以上 | 20階以上 |
| 高さ | 制限なし | 60m超 |
| 共用施設 | 一般的 | 充実(プール、ジム、ラウンジ等) |
| 価格帯 | 比較的幅広い | 高額 |
(出典: HOME4U)
タワーマンションは共用施設が充実している反面、管理費・修繕積立金が高額になりやすいため、ランニングコストを考慮した資金計画が重要です。
マンション選びのポイント(築年数・立地・管理状態)
マンション選びでは、築年数だけでなく、立地や管理状態も重要な判断基準になります。ここでは、具体的なチェックポイントを解説します。
(1) 新耐震基準(1981年6月以降)の確認
マンション購入時に最も重要な確認事項の一つが、新耐震基準を満たしているかどうかです。
新耐震基準とは:
- 1981年6月以降に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準
- 旧耐震基準(1981年5月以前)より厳しく、震度6強の地震でも倒壊しない設計が求められる
確認方法:
- 建築確認日(建物の設計図書で確認可能)が1981年6月以降かをチェック
- 仲介業者や売主に確認を依頼することも可能
旧耐震基準のマンションを購入する場合:
- 耐震診断や耐震補強工事の実施状況を確認
- 住宅ローン控除の対象外になる可能性があるため、税理士への相談を推奨
(2) 修繕計画と管理組合の健全性
マンションの寿命は、修繕計画と管理組合の健全性に大きく左右されます。
修繕計画のチェックポイント:
- 10〜15年ごとの大規模修繕計画が明確に策定されているか
- 過去の修繕履歴(外壁塗装、防水工事、配管更新等)を確認
- 修繕積立金の残高が十分か(不足している場合、将来的に一時金徴収の可能性)
管理組合の健全性のチェックポイント:
- 管理組合の議事録や総会資料を確認し、意思決定がスムーズか
- 管理費・修繕積立金の滞納率が低いか(滞納率5%以下が目安)
- 2022年開始の管理計画認定制度による認定を受けているか
(3) エリア選びの視点(都心vs郊外、駅近vs閑静)
エリア選びは、ライフスタイルや将来計画に合わせて判断することが重要です。
都心部のメリット・デメリット:
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 通勤・通学時間が短い | 物件価格・賃料が高い |
| 商業施設・飲食店が充実 | 騒音が多い |
| 資産価値を保ちやすい | 広い物件が少ない |
郊外のメリット・デメリット:
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 物件価格・賃料が安い | 通勤・通学時間が長い |
| 広い物件を選びやすい | 商業施設が少ない |
| 静かで自然が多い | 資産価値の下落リスク |
駅近vs閑静なエリア:
- 駅近(徒歩5分以内)は利便性が高く、資産価値を保ちやすい
- 閑静なエリアは静かで子育てに適しているが、再販時の需要が限られる可能性がある
2025年のマンション市場動向と価格予測
2025年のマンション市場は、都心部と郊外で明暗が分かれています。ここでは、最新の市場動向と価格予測を解説します。
(1) 都心部と郊外の二極化
みずほ不動産販売の調査によると、2025年のマンション市場は都心部と郊外の二極化が進行しています。
都心部(東京23区、大阪市、名古屋市等):
- 新築マンション価格は引き続き高騰(東京23区では平均1億円超)
- 好立地物件は需要が高く、価格上昇が継続
- 投資目的の購入も多く、市場が活発
郊外(都心部以外のエリア):
- 新築マンション価格は6,000万円前後で推移
- 一部エリアでは価格が安定または下落
- 「次善の立地」(駅徒歩10分以内、商業施設近く等)が注目される可能性
(2) 金利上昇の影響と住宅ローン計画
2025年は金利上昇がマンション購入の資金計画に大きな影響を及ぼします。
政策金利の動向:
- 2025年2月時点の政策金利は0.5%(2024年比で上昇)
- SUUMOジャーナルによると、今後も段階的に金利が上昇する可能性がある
住宅ローンへの影響:
- 変動金利型住宅ローンの金利上昇により、返済負担が増加
- 固定金利型住宅ローンも金利が上昇傾向
- 借入額を抑える、返済期間を短縮する等の対策が必要
資金計画のポイント:
- 金利上昇を考慮し、返済額に余裕を持たせる
- 頭金を多めに用意し、借入額を減らす
- 固定金利型と変動金利型のメリット・デメリットを比較し、自身のリスク許容度に合わせて選択
(3) 新築vs中古マンションの価格動向
2025年は新築・中古マンションともに価格が上昇していますが、動向には違いがあります。
新築マンション:
- 建築費高騰(資材費・人件費の上昇)により、価格上昇が継続
- 首都圏の供給戸数は前年比13%増の26,000戸と予測される
- 都心部では1億円超、他エリアでは6,000万円前後
中古マンション:
- 成約価格は2024年12月で4,935万円(前年同月比+3.2%)と上昇継続
- 新築価格高騰により、中古マンションへの需要が高まっている
- 築浅(築10年以内)の物件は新築に近い価格で取引されることも
新築vs中古の選び方:
| 項目 | 新築マンション | 中古マンション |
|---|---|---|
| 価格 | 高め | 比較的安い |
| 設備 | 最新 | 築年数により異なる |
| 住宅ローン控除 | 最大13年間 | 築年数により短縮される場合あり |
| 立地 | 郊外が多い | 都心部にも多い |
| 入居時期 | 建築中の場合、1〜2年後 | 即入居可能 |
(出典: SUUMOジャーナル)
まとめ|購入・賃貸の判断基準とチェックリスト
マンションの購入・賃貸を検討する際は、寿命・耐用年数、高層マンションの特徴、エリア選び、市場動向を総合的に判断することが重要です。
法定耐用年数は47年ですが、実際の寿命は適切な管理により68年以上、場合によっては100年以上住める可能性があります。高層マンション(15階以上)は眺望・セキュリティに優れる一方、エレベーター待ちや気圧変化のデメリットも存在するため、ライフスタイルに合った選択が必要です。
2025年のマンション市場は都心部では価格高騰が続く一方、郊外では安定または下落する二極化が進行しています。金利上昇の影響も考慮し、無理のない資金計画を立てましょう。
購入と賃貸の選択はライフスタイルや将来計画により異なるため、信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら、慎重に検討することを推奨します。
マンション選びのチェックリスト:
- 新耐震基準(1981年6月以降)を満たしているか
- 修繕計画が明確で、積立金が十分か
- 管理組合が健全に機能しているか
- 立地条件(駅距離、商業施設、治安等)が希望に合っているか
- 高層マンションの場合、デメリット(エレベーター待ち、気圧変化等)を許容できるか
- 金利上昇を考慮した資金計画を立てているか
- 新築・中古のメリット・デメリットを比較したか
- 専門家(宅地建物取引士、税理士等)に相談したか
