土地ありで平屋を新築する場合の費用感を把握しよう
「すでに土地を持っているけど、平屋を新築するといくらかかるのか」と疑問に感じる方は少なくありません。土地を所有している場合、建物本体の費用と諸費用が主な支出となりますが、その相場は坪数や設備グレードにより大きく異なります。
この記事では、土地ありの場合の平屋新築費用について、坪数別の相場、費用の内訳、費用を抑えるポイントを解説します。国土交通省の建築統計やハウスメーカーの公開情報を元にした内容です。
費用の目安を正確に把握し、無理のない資金計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 土地ありの場合、建物本体価格は2,000万円前後が相場（坪単価60-80万円）
- 平屋は2階建てより坪単価が10-20%高くなる傾向がある
- 諸費用は総費用の5-10%が目安で、登記費用・保険・ローン手数料が含まれる
- シンプルな間取り・複数社見積もり・補助金活用で費用を抑えられる
平屋新築の費用を構成する基本要素
平屋新築の費用を理解するため、まず基本要素を押さえましょう。
(1) 坪単価とは何か
坪単価とは、建物の延べ床面積1坪（約3.3㎡）あたりの建築費用のことです。
坪単価 = 建物本体価格 ÷ 延べ床面積（坪）
例えば、建物本体価格2,100万円で30坪の平屋を建てる場合、坪単価は70万円となります。2025年時点の平屋の坪単価相場は60-80万円が標準的で、都市部では90万円以上になることもあります。
(2) 建物本体価格と総費用の違い
平屋新築の費用は、建物本体価格と総費用に分けて考える必要があります。
| 項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 建物本体価格 | 建物そのものの建築費（基礎、躯体、屋根、内装等） | 費用の80-90% |
| 諸費用 | 登記費用、火災保険、ローン手数料、引越し費用等 | 総費用の5-10% |
| 外構・付帯工事 | 駐車場、フェンス、植栽、給排水引込み等 | 100-300万円 |
総費用は建物本体価格の1.1-1.2倍程度になると考えておくと安全です。
(3) 平屋が2階建てより割高になる理由
同じ床面積の場合、平屋は2階建てより坪単価が10-20%高くなる傾向があります。
理由:
- 基礎面積が2倍: 30坪の平屋は30坪の基礎が必要、30坪の2階建ては15坪の基礎で済む
- 屋根面積が2倍: 同様に、屋根の施工面積も増加
- 資材・施工費の増加: 基礎と屋根は建築費の中で高コスト部分
ただし、平屋は階段スペースが不要なため、有効面積は広くなるメリットがあります。
土地ありの場合の平屋新築費用相場【坪数別】
土地を所有している場合の建物本体価格の相場を坪数別に紹介します。
(1) 25-30坪の平屋（1,500万〜2,400万円）
25-30坪はコンパクトな平屋の人気サイズです。2-3LDKの間取りが中心となります。
| 坪数 | 坪単価60万円の場合 | 坪単価80万円の場合 |
|---|---|---|
| 25坪 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 28坪 | 1,680万円 | 2,240万円 |
| 30坪 | 1,800万円 | 2,400万円 |
コンパクトな平屋なら1,000万円台から建築可能なケースもあり、設備のグレードを調整することで費用を抑えられます。
(2) 30-35坪の平屋（2,000万〜2,800万円）
30-35坪はゆとりある平屋のサイズです。3-4LDKの間取りで、子育て世帯に人気があります。
| 坪数 | 坪単価60万円の場合 | 坪単価80万円の場合 |
|---|---|---|
| 30坪 | 1,800万円 | 2,400万円 |
| 32坪 | 1,920万円 | 2,560万円 |
| 35坪 | 2,100万円 | 2,800万円 |
この価格帯では、設備や仕様のグレードにより費用に差が出やすくなります。
(3) 2025年の坪単価相場（60-80万円）
2025年の木造平屋の坪単価相場は以下の通りです。
| 構造・仕様 | 坪単価相場 |
|---|---|
| ローコスト（木造） | 40-55万円 |
| 標準仕様（木造） | 60-80万円 |
| 高仕様（木造） | 80-100万円 |
| 都市部（木造） | 90万円以上 |
2019年から2025年にかけて建築資材費が上昇しており、以前より費用が高くなっている点に注意が必要です。
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費用の内訳と諸費用の詳細
平屋新築にかかる費用の内訳を詳しく見ていきましょう。
(1) 建物本体価格の内訳（基礎・躯体・屋根・内装）
建物本体価格は以下の要素で構成されています。
| 項目 | 内容 | 比率目安 |
|---|---|---|
| 基礎工事 | べた基礎、布基礎等 | 10-15% |
| 躯体工事 | 柱、梁、壁の構造部分 | 25-30% |
| 屋根工事 | 屋根材、防水処理 | 10-15% |
| 内装工事 | 床、壁紙、天井 | 15-20% |
| 設備工事 | キッチン、バス、トイレ、給排水 | 20-25% |
平屋は基礎と屋根の比率が高くなるため、この部分の仕様選びが総費用に大きく影響します。
(2) 諸費用の内訳（登記・保険・ローン手数料）
諸費用は建物本体価格以外にかかる費用で、総費用の5-10%が目安です。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 建物表題登記・保存登記 | 10-15万円 |
| 火災保険（10年一括） | 15-30万円 |
| 住宅ローン手数料 | 借入額の1-2% |
| 印紙税 | 1-3万円 |
| 引越し費用 | 10-30万円 |
| 仮住まい費用（必要な場合） | 数万〜数十万円 |
建物本体価格2,000万円の場合、諸費用は100-200万円程度を想定してください。
(3) 外構工事・付帯工事の費用
外構工事・付帯工事は見落としやすい費用です。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 駐車場（土間コンクリート） | 20-50万円 |
| フェンス・門扉 | 30-80万円 |
| 植栽・造園 | 20-50万円 |
| 給排水引込み工事 | 30-80万円 |
| 地盤改良（必要な場合） | 50-150万円 |
外構工事は100-300万円程度を見込んでおくと安心です。
平屋新築費用を抑えるポイントと注意点
費用を抑えつつ、快適な平屋を建てるためのポイントを紹介します。
(1) シンプルな間取り・デザインで費用削減
複雑な形状の建物は施工費が増加します。以下の工夫で費用を抑えられます。
- 正方形・長方形の形状: 凹凸の少ないシンプルな外観
- 屋根形状をシンプルに: 切妻屋根や片流れ屋根がコスト効率が良い
- 設備グレードの調整: キッチン・バスの仕様を見直す
(2) 複数社から見積もりを取得して比較
建築費用は業者により大きく異なるため、最低3社以上から見積もりを取得して比較することを推奨します。
- ハウスメーカー: 品質・保証が安定、費用は高め
- 工務店: 地域密着でコストパフォーマンスが良い場合も
- ローコスト住宅メーカー: 規格化により低価格を実現
(3) 住宅ローン控除・補助金の活用
土地ありで新築する場合も、住宅ローン控除は適用可能です。
住宅ローン控除（2025年時点）:
- 最長13年間、年末借入残高の**0.7%**を所得税から控除
- 子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が優遇（認定住宅5,000万円等）
詳細は国土交通省「住宅ローン減税」で確認できます。
省エネ住宅の場合は、国や自治体の補助金も活用できる可能性があります。
(4) 平屋建築時の注意点（採光・防犯・防音）
平屋には特有の注意点があります。事前に対策を検討しましょう。
| 注意点 | 内容 | 対策例 |
|---|---|---|
| 採光・通風 | 中心部に光が届きにくい | 中庭、高窓、天窓の設置 |
| 防犯 | 全居室が1階で侵入リスク | 面格子、防犯ガラス、センサーライト |
| 防音 | 部屋同士が近接し生活音が伝わりやすい | 間取りの工夫、遮音材の使用 |
| プライバシー | 外部から見えやすい | 植栽、フェンス、窓の配置 |
まとめ：土地ありの平屋新築で失敗しないために
土地ありで平屋を新築する場合、建物本体価格は2,000万円前後が相場で、2025年の坪単価は60-80万円が標準的です。諸費用は総費用の5-10%、外構工事は100-300万円を見込んでおきましょう。
平屋は2階建てより坪単価が10-20%高くなる傾向がありますが、シンプルな間取り・複数社見積もり比較・住宅ローン控除や補助金の活用で費用を抑えることが可能です。
具体的な費用や税制については、ハウスメーカー・工務店・税理士などの専門家に相談しながら、無理のない資金計画を立てることを推奨します。