土地だけ先に買うことを検討する理由
注文住宅を建てる際、「気に入った土地を見つけたが、建物の設計はこれから」という状況に遭遇することがあります。このとき、土地だけ先に購入すべきか、それとも建物と同時に契約すべきか、判断に迷う方は少なくありません。
土地だけを先行購入する主な理由は、人気エリアの土地確保、土地の形状に合わせた柔軟な設計、施工会社との交渉力向上の3点です。一方で、一般的な住宅ローンが使えない、固定資産税の負担が発生する等のデメリットもあります。
この記事では、国土交通省や国税庁の公式情報を元に、土地だけ先に買うメリット・デメリット、ローンの選び方、失敗を防ぐポイントを解説します。
この記事のポイント
- 土地だけ先に買うと、人気エリアの土地を逃さず、土地の形状に合わせた柔軟な設計が可能
- 一般的な住宅ローンは使えないため、つなぎ融資(無担保、金利高)または土地先行融資(年0.6~1.0%)が必要
- 土地の所有だけで毎年固定資産税・都市計画税が課税され、建物がないと税額が高くなる
- 住宅ローン控除は原則適用されないが、土地取得から2年以内に建物完成なら対象になる
- 資金計画のリスク(二重ローン、金利負担)を慎重に検討し、専門家への相談が推奨される
(1) 人気エリアの土地を確保したい
人気エリアや希少性の高い土地は、市場に出るとすぐに買い手がつくことが多いです。「建物の計画を固めてから土地を探そう」と考えていると、理想的な土地を逃してしまう可能性があります。
土地を先に確保しておけば、その後じっくりと建物の設計を進められます。
(2) 土地の形状や環境を考慮した家づくりをしたい
土地を先に購入すれば、その土地の形状、方角、周辺環境を実際に確認した上で建物の設計を進められます。例えば、変形地や高低差のある土地の場合、土地の特性を活かした設計が可能になります。
(3) 施工会社を比較検討しやすくなる
土地が確定していると、施工会社に具体的な建築プランを依頼しやすくなります。複数の施工会社から見積もりを取り、比較検討する際にも、土地の条件が固まっていることで正確な提案を受けられます。
土地だけ先に買うメリット
土地だけを先に購入する主なメリットは以下の4点です。
(1) 理想の土地を逃さない
人気エリアや好条件の土地は競争が激しく、検討している間に他の買い手に取られてしまうことがあります。土地を先に確保しておけば、「あの土地を買っておけばよかった」という後悔を避けられます。
国土交通省の不動産取引価格情報を活用して、地域の相場を確認することが重要です。
(2) 土地の形状に合わせた設計が可能
土地を先に所有していれば、その土地の特性を最大限に活かした設計ができます。例えば、南向きの土地なら採光を重視した間取り、変形地なら空間を有効活用した設計など、土地に最適化したプランを立てられます。
(3) 施工会社の反応が良くなる
施工会社にとって、土地が確定している顧客は具体的な検討段階に入っていると判断されやすく、より積極的な提案を受けられる傾向があります。
(4) 建築計画をじっくり検討できる
土地を先に購入しておけば、焦らずに建物の設計を進められます。家族構成の変化や予算の調整など、時間をかけて検討できる余裕が生まれます。
土地だけ先に買うデメリットとリスク
一方で、土地だけを先に購入することには以下のデメリットとリスクがあります。
(1) 一般的な住宅ローンが使えない
土地のみを購入する場合、一般的な住宅ローンは利用できません。SUUMOによると、つなぎ融資または土地先行融資(分割融資)を利用する必要があります。
つなぎ融資は無担保で短期融資ですが、金利が高いのが特徴です。土地先行融資は土地を担保とし、住宅ローン並みの低金利(年0.6~1.0%程度)で利用できますが、一定期間内に住宅を建てることが条件となります。
(2) 固定資産税・都市計画税の負担
土地を所有しているだけで、毎年固定資産税(評価額の1.4%が標準税率)が課税されます。市街化区域内の場合は都市計画税(評価額の0.3%が上限)も加わります。
建物の建っていない土地は、住宅用地の特例(固定資産税が1/6に軽減される制度)が適用されないため、税額が高くなります。できるだけ早く家を建てることが推奨されます。
(3) 土地代と家賃の二重ローン
賃貸住宅に住んでいる場合、土地の購入代金と家賃の両方を支払う二重ローンの状態になります。建物が完成するまでの期間が長引くほど、支出が増えます。
(4) 住宅ローン控除が原則適用されない
土地だけを購入した場合、住宅ローン控除は原則として適用されません。ただし、国税庁の適用要件によると、土地の取得から建物完成が2年以内であれば、土地部分のローンも住宅ローン控除の対象になります。
土地だけ購入時のローンと資金計画
土地だけを購入する際のローンには、主に2つの選択肢があります。
(1) つなぎ融資とは(無担保、金利が高い)
つなぎ融資は、住宅ローンの融資開始までに必要なお金を一時的に立て替える短期融資です。無担保で利用できますが、金利が住宅ローンよりも高く設定されています。
借入期間が長引くほど支払う利息が増えるため、建物の完成時期を明確にしておくことが重要です。
(2) 土地先行融資(分割融資)とは(低金利、年0.6~1.0%)
土地先行融資(分割融資)は、一定期間内に住宅を建てることを条件に利用できるローンです。土地を担保とするため、住宅ローン並みの低金利(年0.6~1.0%程度)で借り入れが可能です。
金融機関により1年以内~5年以内に建築することが条件とされています。
(3) つなぎ融資と土地先行融資の比較
| 項目 | つなぎ融資 | 土地先行融資 |
|---|---|---|
| 担保 | 無担保 | 土地を担保 |
| 金利 | 高い | 住宅ローン並み(年0.6~1.0%) |
| 期間 | 短期(数ヶ月~1年程度) | 1年以内~5年以内 |
| 条件 | 住宅ローンの本審査通過 | 一定期間内に建築 |
(4) 建築プランの提出が必要なケース
金融機関から土地先行融資を受ける場合、建築プラン(設計図や見積書)の提出を求められることが多いです。これは、「確実に住宅を建てる意思がある」ことを確認するためです。
(5) 住宅ローン控除の適用条件(2年以内に建物完成)
土地の取得から建物完成が2年以内であれば、土地部分のローンも住宅ローン控除の対象になります。この期間を超えると控除が受けられないため、建築スケジュールの管理が重要です。
土地だけ先に買う際の注意点と失敗を防ぐポイント
土地だけを先に購入する際は、以下の点に注意してください。
(1) 金融機関の融資条件(1年以内~5年以内に建築)
金融機関により融資条件が異なります。「土地購入後、何年以内に建築する必要があるか」を事前に確認しておきましょう。条件を満たせない場合、融資を受けられない可能性があります。
(2) 土地価格の相場確認(国土交通省の公的データ活用)
土地価格の相場を確認せずに購入すると、相場よりも高い価格で購入してしまうリスクがあります。国土交通省の不動産取引価格情報を活用して、周辺の取引事例を確認しましょう。
(3) 建物完成までの期間とコスト計算
土地購入から建物完成までの期間が長引くと、以下のコストが増加します。
- 固定資産税・都市計画税
- つなぎ融資の利息
- 賃貸住宅の家賃(二重ローン)
建築スケジュールを明確にし、総コストを試算しておくことが重要です。
(4) 専門家(ファイナンシャルプランナー、宅建士)への相談
土地だけを先に購入する場合、資金計画やローンの選び方が複雑になります。ファイナンシャルプランナーや宅建士など、専門家への相談を推奨します。
(5) 資金計画のリスク分析
以下のリスクを事前に分析しておきましょう。
- 建築費用が予算を超えた場合の対応
- 金利が上昇した場合の影響
- 建物完成が遅れた場合のコスト増加
まとめ:土地だけ先に買うべきか判断するために
土地だけを先に購入することには、理想の土地を確保できる、土地の特性を活かした設計が可能などのメリットがあります。一方で、一般的な住宅ローンが使えない、固定資産税の負担が発生する、二重ローンのリスクがあるなどのデメリットもあります。
土地だけ先に買うべきかどうかは、以下の点を考慮して判断してください。
- 人気エリアで土地を逃したくない場合は先行購入を検討
- 資金に余裕がない場合は、建物と同時契約を推奨
- つなぎ融資と土地先行融資の金利・条件を比較
- 住宅ローン控除を受けるため、2年以内に建物完成のスケジュールを確保
ファイナンシャルプランナーや宅建士など、専門家に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。


