賃貸併用住宅ローンとは?仕組み・審査基準・メリット・デメリットを解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/11

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賃貸併用住宅ローンとは?仕組み・審査基準・メリット・デメリットを解説

「賃貸併用住宅を購入したいが、住宅ローンは使えるのか」「賃貸住宅ローンの金利はどのくらいなのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。

この記事では、賃貸住宅ローンの仕組み、賃貸併用住宅で住宅ローンを活用する方法、審査基準・金利相場、住宅ローンから賃貸ローンへの借り換えについて、住宅金融支援機構国税庁の公式情報を元に解説します。

賃貸住宅ローンの選び方と注意点を正確に理解し、自分に合った資金計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 賃貸併用住宅なら自己居住部分が50%以上で住宅ローンが利用可能、金利を大幅に抑えられる
  • 賃貸住宅ローン(アパートローン)の金利は3-4%以上と住宅ローンより高く、返済期間も短い
  • メガバンクは金利約2%(審査厳しい)、日本政策金融公庫は1.1%~(女性・若年層向け優遇あり)
  • 住宅ローン返済中の物件を無断で賃貸化すると、金融機関から一括返済を求められる可能性がある
  • 2024年3月に日銀がマイナス金利政策を終了、2025年以降は金利上昇が見込まれる

賃貸住宅ローンとは何か

賃貸住宅ローン(アパートローン)の定義

賃貸住宅ローン(アパートローン)とは、賃貸収入を目的とした不動産の建設・購入・リフォームに使えるローンです。

主な用途:

  • アパート・賃貸マンションの建設
  • 賃貸用の戸建て・区分マンションの購入
  • 既存物件のリフォーム・リノベーション

賃貸住宅ローンは、投資用不動産ローンとも呼ばれ、自己居住用の住宅ローンとは異なる商品です。

住宅ローンとの違い

賃貸住宅ローンと住宅ローンには、以下の違いがあります。

項目 住宅ローン 賃貸住宅ローン
金利 0.3〜1.5%程度 3〜4%以上
返済期間 最長35年 20〜25年程度
審査 本人の返済能力重視 物件の収益性・事業計画も重視
用途 自己居住用 賃貸収入を目的
住宅ローン控除 適用可能 適用不可

(出典: 住宅金融支援機構、各金融機関情報を元に作成)

賃貸住宅ローンは、金利が高く返済期間も短いため、月々の返済負担が大きくなります。

対象となる物件と用途

賃貸住宅ローンの対象となる物件:

  • アパート(木造・鉄骨造・RC造)
  • 賃貸マンション(区分所有・一棟)
  • 賃貸併用住宅(自己居住部分が50%未満の場合)
  • 賃貸用戸建て

対象外となる物件:

  • 自己居住用のみの住宅
  • 別荘・セカンドハウス
  • 店舗・事務所用途のみの物件

金融機関により対象物件が異なるため、事前に確認してください。

賃貸併用住宅と住宅ローンの活用

賃貸併用住宅とは何か

賃貸併用住宅とは、自己居住部分と賃貸部分を併せ持つ住宅です。

例:

  • 1階を賃貸スペース、2階を自宅として使用
  • 同じ建物内に複数の住戸があり、一部を賃貸

賃貸併用住宅は、賃貸収入を得ながら自宅としても使用できるため、住宅ローンの返済負担を軽減できます。

自己居住部分50%以上で住宅ローンが使える

賃貸併用住宅で住宅ローンを利用するには、自己居住部分が建物全体の50%以上である必要があります。

この条件を満たすと、以下のメリットがあります。

  • 金利が低い: 住宅ローン金利(0.3〜1.5%程度)を適用
  • 返済期間が長い: 最長35年の返済期間
  • 住宅ローン控除の適用: 税制優遇を受けられる

例:

  • 建物全体の床面積: 200㎡
  • 自己居住部分: 110㎡(55%)
  • 賃貸部分: 90㎡(45%)

この場合、住宅ローンが利用可能です。

(出典: 各金融機関の融資条件を元に作成)

住宅ローン控除の適用条件

賃貸併用住宅で住宅ローン控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

国税庁の適用要件:

  • 自己居住部分が建物全体の50%以上
  • 床面積が50㎡以上(自己居住部分のみ)
  • 返済期間が10年以上
  • 合計所得金額が2,000万円以下
  • 新築または取得から6ヶ月以内に入居

住宅ローン控除により、年末時点のローン残高の0.7%(最大21万円/年)が最長13年間、所得税・住民税から控除されます。

注意: 将来、自己居住部分を賃貸化すると、住宅ローン控除が受けられなくなります。

賃貸住宅ローンの審査基準・金利相場

審査で重視されるポイント(属性・物件価値・事業計画)

賃貸住宅ローンの審査では、以下のポイントが重視されます。

1. 借主の属性:

  • 年収・勤続年数
  • 既存の借入状況
  • 信用情報(過去の返済履歴)

2. 物件の価値:

  • 立地(駅からの距離、周辺環境)
  • 築年数・構造(RC造は評価が高い)
  • 賃料相場・空室リスク

3. 事業計画:

  • 賃貸収入の見込み
  • 返済計画の妥当性
  • 空室率の想定

住宅ローンは本人の返済能力のみを審査しますが、賃貸住宅ローンは物件の収益性も重視されます。

金融機関別の金利相場(メガバンク・地銀・公庫)

賃貸住宅ローンの金利は、金融機関により大きく異なります。

金融機関 金利相場 審査の厳しさ 特徴
メガバンク 約2% 厳しい 低金利だが審査基準が高い
地方銀行・信用金庫 2〜4% 中程度 地域密着、柔軟な審査
ノンバンク 約4% 緩い 審査が緩いが金利が高い
日本政策金融公庫 1.1%〜 中程度 女性・若年層向け優遇あり

(出典: HOME4Uを元に作成、2025年時点)

日本政策金融公庫は、政府系金融機関であり、女性・若年層・シニア向けの優遇金利制度があります。

審査の厳しさと金利は反比例する傾向があります。低金利を狙う場合は、事前に自己資金や事業計画を準備してください。

審査期間と必要書類

賃貸住宅ローンの審査期間は、約1ヶ月程度です。

審査の流れ:

  1. 事前審査(約1週間): 建築計画・収支計画の確認
  2. 本申込(約3週間): 正式な書類審査
  3. 融資実行: 契約・抵当権設定後

必要書類:

  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
  • 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書)
  • 物件資料(建築計画書・販売図面)
  • 事業計画書(収支シミュレーション)
  • 既存借入の返済予定表

事業計画書は、賃料収入・管理費・修繕費・税金を含めた詳細な収支計画が必要です。

住宅ローンから賃貸ローンへの借り換え

借り換えが必要なケース

以下のようなケースでは、住宅ローンから賃貸ローンへの借り換えが必要です。

  • 転勤・海外赴任で自宅を賃貸に出す
  • 親の介護で実家に戻り、自宅を賃貸化する
  • 投資用物件として運用したい

住宅ローンは自己居住用が原則であり、賃貸化する場合は金融機関への連絡と賃貸ローンへの借り換えが必要です。

無断賃貸化のリスク(一括返済請求)

住宅ローン返済中の物件を無断で賃貸に出すと、以下のリスクがあります。

契約違反:

  • 住宅ローンは自己居住用が条件
  • 無断賃貸化は契約違反に該当

一括返済請求:

  • 金融機関が契約違反を確認した場合、残債の全額返済を請求される可能性がある
  • 期限の利益を喪失し、分割返済の権利を失う

住宅ローン控除の返還:

  • 賃貸化すると住宅ローン控除が受けられなくなる
  • 過去に受けた控除額の返還を求められる場合がある

必ず金融機関に相談し、賃貸ローンへの借り換え手続きを行ってください。

借り換えにかかる費用

住宅ローンから賃貸ローンへの借り換えには、以下の費用がかかります。

項目 金額の目安
繰上返済手数料 無料〜5万円程度
新規ローンの事務手数料 借入額の2%程度
印紙税 2〜6万円(借入額による)
抵当権設定費用 借入額の0.4%程度
司法書士報酬 5〜10万円

例: 借入額3,000万円の場合

事務手数料: 3,000万円 × 2% = 60万円
抵当権設定費用: 3,000万円 × 0.4% = 12万円
印紙税: 2万円
司法書士報酬: 7万円
合計: 約81万円

借り換え費用は高額になるため、金融機関に事前確認が必要です。

賃貸住宅ローンのメリット・デメリット

メリット:賃貸収入で返済負担を軽減

賃貸住宅ローンの主なメリットは以下の通りです。

1. 賃貸収入で返済負担を軽減:

  • 賃料収入でローン返済の一部をカバー
  • 家賃保証会社を利用すれば、空室リスクを抑えられる

2. 資産形成:

  • 完済後は安定した賃貸収入が得られる
  • 将来の年金代わりになる

3. 相続対策:

  • 不動産は相続税評価額が低くなる
  • 賃貸物件は評価額がさらに下がる

賃貸併用住宅の場合、住宅ローン金利(0.3〜1.5%程度)で借りられるため、返済負担を大幅に抑えられます。

デメリット:金利が高い・審査が厳しい

賃貸住宅ローンのデメリットは以下の通りです。

1. 金利が高い:

  • 住宅ローンと比べて金利が2〜3倍高い
  • 返済総額が大幅に増える

2. 審査が厳しい:

  • 物件の収益性・事業計画も審査される
  • 自己資金が多く必要

3. 空室リスク:

  • 賃料収入が途絶えると返済が困難になる
  • 管理費・修繕費の負担がある

4. 住宅ローン控除が使えない:

  • 賃貸住宅ローンは住宅ローン控除の対象外
  • 税制優遇を受けられない

賃貸住宅ローンは、収支計画を慎重に検討し、空室リスクを想定した返済計画が必要です。

2024年以降の金利動向

2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を終了し、政策金利を-0.1%から0.1%に引き上げました。

これにより、賃貸住宅ローンの金利も以下の影響を受けています。

2024年以降の金利動向:

  • 短期金利・長期金利ともに上昇傾向
  • アパートローン金利も徐々に上昇
  • 2025年以降も金利上昇が見込まれる

(出典: 大和ハウス工業

賃貸住宅融資を検討する際は、金利動向を注視し、固定金利と変動金利のメリット・デメリットを比較してください。

まとめ:賃貸住宅ローンの選び方と注意点

賃貸併用住宅なら、自己居住部分が50%以上で住宅ローンが利用可能です。金利を大幅に抑えられ、住宅ローン控除の適用も受けられます。

賃貸住宅ローン(アパートローン)の金利は3〜4%以上と住宅ローンより高く、返済期間も短いため、月々の返済負担が大きくなります。メガバンクは金利約2%(審査厳しい)、日本政策金融公庫は1.1%~(女性・若年層向け優遇あり)です。

住宅ローン返済中の物件を無断で賃貸化すると、金融機関から一括返済を求められる可能性があります。必ず金融機関に相談し、賃貸ローンへの借り換え手続きを行ってください。

2024年3月に日銀がマイナス金利政策を終了し、2025年以降は金利上昇が見込まれます。賃貸住宅融資を検討する際は、金利動向を注視し、収支計画を慎重に検討してください。

賃貸住宅ローンは金利が高く審査も厳しいため、物件の収益性・事業計画をしっかり準備し、専門家(ファイナンシャルプランナー、不動産業者等)に相談しながら進めることをおすすめします。

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よくある質問

Q1住宅ローン返済中の物件を賃貸に出せますか?

A1無断で賃貸に出すと契約違反となり、金融機関から一括返済を求められる可能性があります。住宅ローンは自己居住用が原則であり、賃貸化する場合は必ず金融機関に相談し、賃貸ローンへの借り換えが必要です。無断賃貸化により、期限の利益を喪失し分割返済の権利を失うリスクがあります。また、住宅ローン控除を受けている場合、過去に受けた控除額の返還を求められる場合もあります。

Q2賃貸住宅ローンと住宅ローンの違いは何ですか?

A2賃貸住宅ローンは金利が3〜4%以上と高く、返済期間も20〜25年程度と短いです。住宅ローンは自己居住用で金利0.3〜1.5%程度、返済期間最長35年です。審査も異なり、住宅ローンは本人の返済能力を重視しますが、賃貸住宅ローンは物件の収益性・事業計画も重視されます。賃貸併用住宅なら、自己居住部分50%以上で住宅ローンが使え、金利を大幅に抑えられます。

Q3アパートローンの金利相場はどのくらいですか?

A3金融機関により大きく異なります。メガバンクは約2%(審査厳しい)、地方銀行や信用金庫は2〜4%程度、ノンバンクは約4%(審査緩い)、日本政策金融公庫は1.1%~(女性・若年層向け優遇あり)が相場です。審査の厳しさと金利は反比例する傾向があります。低金利を狙う場合は、自己資金や事業計画をしっかり準備してください。2024年3月以降、金利は上昇傾向にあります。

Q4賃貸併用住宅で住宅ローン控除は受けられますか?

A4自己居住部分が建物全体の50%以上で住宅ローン控除が適用可能です。年末時点のローン残高の0.7%(最大21万円/年)が最長13年間、所得税・住民税から控除されます。ただし、将来自己居住部分を賃貸化すると控除が受けられなくなるため、長期的な計画も考慮する必要があります。床面積50㎡以上、返済期間10年以上、合計所得金額2,000万円以下などの要件も確認してください。

Q5賃貸ローンへの借り換え費用はいくらかかりますか?

A5繰上返済手数料、新規ローンの事務手数料(借入額の2%程度)、印紙税、抵当権設定費用(借入額の0.4%程度)、司法書士報酬(5〜10万円)など各種費用がかかります。例えば借入額3,000万円の場合、総額約81万円程度が目安です。借り換え費用は高額になるため、金融機関に事前確認が必要です。総額で判断し、借り換えのメリットとコストを比較してください。

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Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

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