島根県など地方エリアで不動産売却・購入が難しい理由と現状
島根県・滋賀県(彦根市)などの地方エリアで不動産売却・購入を検討する際、「都市部と比べて難しいのではないか」「人口減少で価格が下がり続けるのではないか」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、地方エリアの不動産市場の特徴、島根県の具体的な相場、売却・購入時の注意点、業者選びのポイントを解説します。
地方エリアは人口減少が進む一方で、世帯数増加や供給不足により価格が上昇する地域もあり、二極化が進んでいます。現状を正しく理解し、適切な対策を講じることが重要です。
この記事のポイント
- 地方エリアでは人口減少が進む中でも、世帯数増加・供給不足・外国人投資により価格が上昇する地域がある
- 全国の空き家総件数は899万戸で過去最多、2024年4月から相続登記義務化と管理不全空家制度が施行
- 島根県の相場は戸建て1,333万円、マンション1,971万円、土地1,185万円だが、前年比で戸建ては-4.00%下落
- 売却期間は6ヶ月が最多、査定額との差額100万円未満で成約するケースが75%
- 地域密着型業者は地元ネットワーク・空き家情報に強く、複数社査定で適正価格を把握することが重要
地方エリアの不動産市場の特徴:価格帯・人口動態・空き家問題
(1) 人口減少が進む中で不動産価格が上がる理由(世帯数増加・供給不足・外国人投資)
日本全体で人口減少が進んでいるにもかかわらず、不動産価格が上昇している地域があります。これには以下の要因があります。
世帯数の増加:
- 人口が減少しても、核家族化・単身世帯の増加により世帯数は増加
- 世帯数が増えると住宅需要が拡大し、価格が上昇
住宅供給の減少:
- 建築工事費の上昇により新築住宅の供給が減少
- 供給が減ると、既存住宅の価格が上昇
外国人投資家の需要:
- 円安により日本の不動産が割安に見える
- 外国人投資家が日本の不動産を購入し、価格を押し上げる
価格推移の例(全国平均):
- 2014年:中古マンション平均2,700万円
- 2024年:中古マンション平均4,900万円(約1.8倍)
ただし、この傾向は都市部や好立地に限られ、地方の平均的な物件は緩やかに下落する二極化が進んでいます。
(2) 全国の空き家総件数899万戸と地方エリアへの影響
2023年の全国空き家総件数は899万戸で過去最多となりました(2024年4月発表)。2018年から51万戸増加しています。
空き家の内訳:
- 賃貸・売却用:約440万戸(賃貸物件・売却予定物件)
- 二次的住宅:約50万戸(別荘等)
- 賃貸・売却用を除く空き家:385万戸(最も問題となる空き家、5年で37万戸増加)
地方エリアへの影響:
- 空き家が増えると、供給過剰になり価格が下落
- 周辺環境の悪化(治安・景観)により、地域全体の不動産価値が低下
- 相続登記がされていない空き家が多く、所有者不明で管理が困難
地方エリアでは、空き家問題が深刻化しており、早めの対応が求められます。
(3) 相続登記義務化と管理不全空家制度(2024年4月施行)
2024年4月から、空き家対策を強化する以下の制度が施行されました。
相続登記の義務化:
- 相続により不動産を取得した場合、3年以内に相続登記を行う義務
- 違反すると10万円以下の過料の対象
- 2024年4月1日より前に相続した不動産も対象(経過措置あり)
管理不全空家制度:
- 適切に管理されておらず、放置すれば特定空家になる恐れのある空き家を「管理不全空家」に指定
- 指定されると、固定資産税の住宅用地特例(1/6減額)が解除され、税額が最大6倍に
- 空き家を放置すると、税負担が大幅に増加
空き家を所有している場合、早めに売却・解体・管理のいずれかを選択することが推奨されます。
島根県の不動産相場と取引動向(戸建て・マンション・土地)
(1) 島根県の物件種別ごとの相場(戸建て1,333万円、マンション1,971万円、土地1,185万円)
島根県の2024年の不動産相場は以下の通りです。
| 物件種別 | 平均相場 | 前年比 |
|---|---|---|
| 戸建て | 1,333万円 | -4.00% |
| マンション | 1,971万円 | データなし |
| 土地 | 1,185万円 | データなし |
(出典: すまいステップ「島根県の不動産売却・相場・査定」2024年版)
島根県の戸建て相場は前年比-4.00%とやや下落傾向にあります。今後も人口減少の影響を受け、緩やかに下落する可能性があります。
(2) 売却期間と成約価格の実態(6ヶ月が最多、査定額との差額100万円未満が75%)
島根県で不動産を売却する際の実態データは以下の通りです。
売却期間:
- 6ヶ月が最多(売却開始から成約まで)
- 都市部と比べて取引件数が少ないため、買い手が見つかるまで時間がかかる
成約価格:
- 査定額との差額が100万円未満で成約するケースが75%
- 査定額が適正であれば、大幅な値下げなしで売却できる可能性が高い
複数社で査定を受けて適正価格を把握し、早めの売却検討が有効です。
(3) 売却理由の傾向(不要物件の処分が41.93%)
島根県の不動産売却理由の傾向は以下の通りです。
売却理由トップ3:
- 不要物件の処分:41.93%(相続した空き家等)
- 住み替え:約30%
- 資産整理:約15%
地方エリアでは、相続した空き家の処分が売却理由の大半を占めています。相続した不動産を放置すると、固定資産税の負担や管理不全空家の指定リスクがあるため、早めの売却検討が推奨されます。
地方エリアで不動産を売却・購入する際の注意点とリスク
(1) 価格下落リスク(島根県戸建て前年比-4.00%)と今後の見通し
島根県を含む地方エリアでは、人口減少により価格下落リスクがあります。
価格下落の要因:
- 人口減少により買い手が減少
- 空き家増加により供給過剰
- 築年数が古い物件の価値低下(築50年超で大幅下落)
今後の見通し:
- 地方の平均的な物件は緩やかに下落する見込み
- 好立地(駅近、商業施設近く)は横ばい〜微増の可能性
- 築30年以上の物件・変形地・接道狭小物件は価格が下がりやすい
地方エリアで不動産を購入する場合、将来の資産価値を慎重に検討する必要があります。
(2) 空き家を放置した場合の固定資産税特例解除リスク
空き家を放置すると、以下のリスクがあります。
固定資産税の住宅用地特例解除:
- 通常、住宅用地は固定資産税が1/6(200平米以下)または1/3(200平米超)に減額
- 管理不全空家に指定されると、この特例が解除され、税額が最大6倍に増加
固定資産税の例(土地200平米、評価額1,000万円の場合):
- 通常:約2.3万円/年
- 特例解除後:約14万円/年(約6倍)
空き家を所有している場合、早めに売却・解体・管理のいずれかを選択することが推奨されます。
(3) 築30年以上の物件・変形地・接道狭小物件の扱い
地方エリアでは、以下のような物件は価格が下がりやすい傾向があります。
築30年以上の物件:
- 築年数が古いほど価格が下落(築50年超で15万円/平米まで低下)
- 耐震基準を満たしていない場合、住宅ローン控除が受けられない可能性
変形地:
- 敷地が変形している土地(三角形、L字型等)
- 建築制限があり、有効活用が難しい
接道狭小物件:
- 道路に接する部分が狭い(2m未満)
- 建築基準法の接道義務を満たさず、再建築不可の可能性
これらの物件を売却する場合、早めの売却検討が有効です。時間が経つほど価格が下がる可能性が高いためです。
地域密着型業者を選ぶメリットと業者選びのポイント
(1) 地域ネットワークと地元情報の活用(空き家情報等)
地方エリアでは、地域密着型業者の地元ネットワーク・地元情報の活用が強みになります。
地域密着型業者のメリット:
- 地元ネットワーク:地元の住民・企業・地主との独自ネットワークを持ち、空き家情報等を把握
- 地域相場の把握:地域内の住宅相場を綿密に把握しており、高精度な査定が期待できる
- 地元情報:学校区、治安、商業施設、災害リスク等、地域生活に密着した情報を提供
- 柔軟な対応:地域の実情に合わせた柔軟な営業スタイル
地方エリアでは、地域密着型業者が大手よりも強い場合が多いため、複数社から話を聞いて比較することをおすすめします。
(2) 複数社査定の重要性と適正価格の見極め方
不動産会社によって、査定額は大きく異なります。複数社で査定を受けて適正価格を見極めることが重要です。
複数社査定のポイント:
- 最低3社から査定を受ける
- 査定額の根拠を聞く(近隣の成約事例、市場動向等)
- 査定額が極端に高い会社は注意(釣り査定の可能性)
島根県の場合、査定額との差額が100万円未満で成約するケースが75%のため、査定額が適正であれば、大幅な値下げなしで売却できる可能性が高いです。
(3) 売却・解体・管理の判断基準(活用は難しい現実)
空き家を所有している場合、売却・解体・管理のいずれかを選択する必要があります。
選択肢の比較:
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 売却 | 固定資産税の負担がなくなる、管理不要 | 売却に時間がかかる場合がある |
| 解体 | 更地にして売却しやすくなる | 解体費用がかかる(100-300万円) |
| 管理 | 将来的に活用できる可能性 | 固定資産税・管理費用の負担が続く |
活用は難しい現実:
- 空き家相談内容が「活用」から「売却・解体」へシフト(2018年30%→2023年14%)
- 地方エリアでは賃貸需要が少なく、リフォーム費用も高額
- 空き家を活用する場合、相当な費用と労力が必要
空き家を所有している場合、早めに売却・解体を検討することが推奨されます。
まとめ:地方エリアの不動産取引で成功するための次のステップ
地方エリアでは人口減少が進む中でも、世帯数増加・供給不足・外国人投資により価格が上昇する地域がある一方、平均的な物件は緩やかに下落する二極化が進んでいます。島根県の戸建て相場は1,333万円ですが、前年比-4.00%と下落傾向にあります。
2024年4月から相続登記義務化と管理不全空家制度が施行され、空き家を放置すると固定資産税の特例解除や過料のリスクがあります。
地域密着型業者は地元ネットワーク・空き家情報に強いため、複数社で査定を受けて適正価格を把握し、早めに売却・解体・管理のいずれかを選択してください。活用は難しい現実があるため、売却・解体を優先的に検討することが推奨されます。
