億ションの固定資産税の基礎知識
億ション(1億円以上のマンション)の購入を検討する際、固定資産税の負担額が気になる方は多いでしょう。「年間いくらかかるのか」「新築マンションの軽減措置はあるのか」といった疑問を持つのは当然です。
本記事の要点
- 1億円のマンションの固定資産税は年40-50万円が目安(都市計画税込みで46-59万円)
- 新築マンションは5年間、固定資産税が2分の1に軽減される
- タワーマンションは2017年税制改正で高層階ほど税額が高くなる
- 維持費全体では年100万円超が一般的、長期的な資金計画が重要
固定資産税と都市計画税の仕組み
固定資産税とは、土地や建物などの固定資産に対して課される地方税です。毎年1月1日時点の所有者に課税され、年4回に分けて納付します。
都市計画税は、都市計画区域内の土地・建物に課される地方税で、固定資産税と同時に課税されます。税率は0.3%です。
マンション所有者は、この2つの税を合わせて納付する必要があります。
1億円のマンションの固定資産税は年40-50万円が目安
1億円のマンションを購入した場合、固定資産税の年間負担額は約40-50万円が目安です。都市計画税を含めると約46-59万円程度になります。
ただし、この金額は以下の条件により変動します:
- 新築マンションの軽減措置の有無
- タワーマンションの階層
- 床面積(280㎡超は軽減措置対象外)
- マンションの構造(鉄筋コンクリート造か否か)
課税標準額は物件価格の約70%
固定資産税の計算基準となる課税標準額は、固定資産税評価額をもとに決定されます。おおよそ物件価格の**約70%**程度です。
例えば、1億円のマンションの場合:
- 物件価格:1億円
- 課税標準額:約7,000万円(物件価格の70%)
この課税標準額に税率を掛けて、固定資産税・都市計画税を計算します。
1億円のマンション固定資産税の計算方法
固定資産税の計算式(課税標準額×1.4%)
固定資産税は、以下の計算式で算出されます:
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
1億円のマンションの場合:
- 課税標準額:7,000万円(物件価格の70%)
- 固定資産税:7,000万円 × 1.4% = 98万円
ただし、この金額は軽減措置適用前の金額です。
都市計画税の計算式(課税標準額×0.3%)
都市計画税は、以下の計算式で算出されます:
都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%
1億円のマンションの場合:
- 課税標準額:7,000万円
- 都市計画税:7,000万円 × 0.3% = 21万円
固定資産税と都市計画税を合計すると、約119万円になります。ただし、実際には住宅用地特例などにより、この金額より低くなります。
具体的な計算シミュレーション
1億円のマンションの固定資産税を、より実際に近い形で試算してみます。
条件:
- 物件価格:1億円
- 課税標準額:7,000万円(物件価格の70%)
- 床面積:100㎡
- 構造:鉄筋コンクリート造
軽減措置適用なし(6年目以降)の場合:
| 税目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 7,000万円 × 1.4% × 0.7(住宅用地特例等) | 約47万円 |
| 都市計画税 | 7,000万円 × 0.3% × 0.7 | 約10万円 |
| 合計 | 約57万円 |
実際には、マンションの戸数が多いほど1戸あたりの土地の評価額が下がるため、年40-50万円程度になることが多いです。
新築マンションの軽減措置と注意点
5年間(長期優良住宅は7年間)固定資産税が2分の1に減額
新築マンションには、固定資産税の軽減措置が適用されます:
- 一般の新築マンション:5年間、固定資産税が2分の1に減額
- 長期優良住宅:7年間、固定資産税が2分の1に減額
軽減措置の適用条件:
- 床面積:50㎡以上280㎡以下
- 適用期限:令和8年(2026年)3月31日まで
この軽減措置は固定資産税のみで、都市計画税には適用されません。
購入当初は年32-33万円、6年目以降は年47-48万円程度
軽減措置を適用した場合の固定資産税・都市計画税の推移は以下の通りです:
購入当初(1-5年目):
- 固定資産税:約47万円 × 1/2 = 約23.5万円
- 都市計画税:約10万円(軽減なし)
- 合計:約33.5万円
6年目以降(軽減措置終了後):
- 固定資産税:約47万円
- 都市計画税:約10万円
- 合計:約57万円
6年目から税額が約1.7倍に増加するため、長期的な資金計画が必要です。
床面積50㎡以上280㎡以下が軽減措置の対象
軽減措置の適用条件である床面積の範囲は、50㎡以上280㎡以下です。
億ションの中には、床面積が280㎡を超える物件もあります。このような物件は軽減措置の対象外となり、購入当初から本来の税額(年47-48万円程度)が課税されます。
購入前に、床面積と軽減措置の適用可否を確認することを推奨します。
タワーマンションの税制改正と階層別税額差
2017年税制改正で高層階ほど税額が高くなる
2017年の税制改正により、2018年以降に建設された**タワーマンション(高さ60m以上、おおむね20階建て以上)**は、階層により固定資産税の補正がかけられるようになりました。
この改正の目的は、高層階ほど眺望・日当たりが良く分譲価格が高いため、実勢価格に応じた税負担の公平性を確保することです。
改正前:
- 全階同一の税額(低層階と高層階で不公平が生じていた)
改正後(2018年以降):
- 階層別専有床面積補正率により、高層階ほど税額が高くなる
階層別専有床面積補正率(階ごとに0.256%差)
階層別専有床面積補正率とは、タワーマンションの1階を100として、階が1つ増えるごとに10/39(約0.256%)ずつ加算する補正率です。
計算式:
階層別補正率 = 100 + (階数 - 1) × 10/39
具体例:
| 階数 | 補正率 | 1億円の場合の固定資産税(目安) |
|---|---|---|
| 1階 | 100.0 | 約47万円 |
| 10階 | 102.3 | 約48万円 |
| 20階 | 104.9 | 約49万円 |
| 30階 | 107.4 | 約50万円 |
| 40階 | 110.0 | 約52万円 |
| 50階 | 112.6 | 約53万円 |
1階と50階で約6万5,000円の差
1億円のタワーマンションの場合、1階と50階の固定資産税の差は約6万5,000円になります。
試算例:
- 1階の固定資産税:約35.7万円(軽減措置適用後)
- 50階の固定資産税:約42.2万円(軽減措置適用後)
- 差額:約6.5万円
この差は、軽減措置終了後も同様に発生します。高層階を購入する場合は、この税額差も考慮した資金計画を立てましょう。
固定資産税を含む年間維持費の全体像
固定資産税・都市計画税(年46-59万円)
前述の通り、1億円のマンションの固定資産税・都市計画税は、軽減措置終了後で年46-59万円程度です。
軽減措置期間中(1-5年目):
- 年32-33万円程度
軽減措置終了後(6年目以降):
- 年47-57万円程度(一般的なマンション)
- 年50-59万円程度(タワーマンション高層階)
管理費・修繕積立金の目安
億ションの管理費・修繕積立金は、以下の金額が目安です:
| 費用項目 | 月額目安 | 年額目安 |
|---|---|---|
| 管理費 | 2-4万円 | 24-48万円 |
| 修繕積立金 | 1-3万円 | 12-36万円 |
| 駐車場代 | 2-5万円 | 24-60万円 |
| 合計 | 5-12万円 | 60-144万円 |
タワーマンションの場合、高層階の設備維持費が高額になるため、修繕積立金が高めに設定されることがあります。
年間維持費100万円超が一般的
固定資産税・都市計画税と管理費等を合わせると、億ションの年間維持費は100万円超が一般的です。
年間維持費の内訳(軽減措置終了後):
| 費用項目 | 年額目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 47-57万円 |
| 管理費・修繕積立金 | 36-84万円 |
| 駐車場代 | 24-60万円 |
| 火災保険料 | 2-5万円 |
| 合計 | 109-206万円 |
億ション購入層の平均年収は3,000万円以上とされており、年間維持費100万円超は年収の3-4%程度です。購入前に、維持費を含めた長期的な資金計画を立てることが重要です。
まとめ:億ションの固定資産税と維持費計画
億ションの固定資産税は、年40-50万円が目安です(都市計画税込みで46-59万円)。新築マンションは5年間の軽減措置で年32-33万円程度ですが、6年目以降は本来の税額に戻り、約1.7倍に増加します。
タワーマンションの場合、2017年税制改正により高層階ほど税額が高くなり、1階と50階で約6.5万円の差が生じます。また、床面積が280㎡を超える物件は軽減措置の対象外となるため、購入前に確認が必要です。
固定資産税と管理費等を合わせた年間維持費は100万円超が一般的です。長期的な資金計画を立て、6年目以降の税額増加も考慮しましょう。
次のアクション:
- 購入を検討する億ションの床面積と軽減措置適用可否を確認
- タワーマンションの場合、階層別の税額差を試算
- 固定資産税・都市計画税・管理費等を含む年間維持費の総額を把握
- 6年目以降の税額増加を考慮した長期的な資金計画を作成
- 税金に関する詳細は、市区町村の資産税課または税理士に相談
億ションの購入は大きな投資です。固定資産税を含む維持費を正確に把握し、無理のない資金計画を立てて、豊かな住まいを実現しましょう。


