不動産投資の利回り計算方法を徹底解説|表面利回りと実質利回りの違いとは

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/19

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なぜ不動産投資で利回り計算が重要なのか

不動産投資を始める際、「物件価格に対してどれくらいの収益が得られるのか」を判断する指標が利回りです。表面利回りと実質利回りの違いを正しく理解していないと、期待した収益が得られず、投資判断を誤るリスクがあります。

この記事では、利回り計算の基本から実践まで、表面利回り・実質利回り・想定利回りの違いを明確に解説し、具体的な計算例を提示します。エリア別の平均利回り相場、高利回り物件の注意点、リスク評価のポイントを網羅しています。

この記事のポイント

  • 表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」で簡易計算できるが、経費を考慮しないため参考値として使用
  • 実質利回りは「(年間家賃収入−年間経費)÷(物件価格+購入時諸経費)×100」でより正確な収益性を把握
  • 2025年11月時点の全国平均利回りは区分マンション6.60%、一棟アパート7.98%が相場
  • 広告の利回りは表面利回りまたは満室想定であり、実際の利回りとは乖離があることを理解する必要がある
  • 高利回り物件は空室リスクや物件の瑕疵が潜んでいる可能性があり、利回りだけで判断せず総合的に評価すべき

不動産投資の収益性を評価する上で、利回りは最も基本的な指標です。物件価格に対して年間どれくらいの収入が得られるかを数値化することで、複数の物件を比較したり、投資判断の基準とすることができます。

利回りを正しく計算しないと、以下のリスクがあります。

  • 広告の表面利回りだけで判断し、諸経費や空室リスクを見落とす
  • 購入後に想定外の経費が発生し、収支が赤字になる
  • 高利回り物件に飛びついて、立地や物件状態の問題を見逃す

投資判断には、表面利回りだけでなく、実質利回りを自分で計算し、空室リスクや修繕費を考慮することが不可欠です。

利回りの種類と基礎知識

不動産投資の利回りには、主に以下の3種類があります。

表面利回り(グロス利回り)とは

**表面利回り(グロス利回り)**は、年間家賃収入を物件購入価格で割った簡易的な利回りです。経費を考慮しないため、物件の収益性を大まかに把握する参考値として使用されます。

広告やポータルサイトに掲載されている利回りは、ほとんどが表面利回りです。

実質利回り(ネット利回り)とは

**実質利回り(ネット利回り)**は、年間家賃収入から年間経費を差し引き、物件価格に購入時諸経費を加えて算出する正確な利回りです。

投資判断の基準となるのは、この実質利回りです。表面利回りと実質利回りの差は、物件によって2-4%程度になることもあります。

想定利回りと現行利回りの違い

想定利回りは、満室を前提とした理論上の利回りです。実際には空室リスクがあるため、実現しない可能性が高い数値です。

現行利回りは、現在の入居状況に基づいた実際の利回りです。空室がある場合は、想定利回りよりも低くなります。

購入前には、現行利回りと実質利回りの両方を確認し、空室リスクを織り込んだ収支シミュレーションを行うことが重要です。

表面利回りの計算方法

表面利回りの計算式

表面利回りは、以下の計算式で算出されます。

表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100

例えば、物件価格3,000万円、年間家賃収入240万円の場合:

240万円 ÷ 3,000万円 × 100 = 8.0%

計算例:区分マンションの場合

以下の区分マンション物件の表面利回りを計算してみます。

項目 金額
物件価格 2,500万円
月額家賃 10万円
年間家賃収入 120万円

表面利回り = 120万円 ÷ 2,500万円 × 100 = 4.8%

都心部の区分マンションとしては標準的な水準です。

表面利回りの使い方と限界

表面利回りは、物件を比較する際の目安として便利ですが、以下の限界があります。

  • 購入諸経費(仲介手数料、登記費用、不動産取得税など)を考慮しない
  • 管理費、修繕積立金、固定資産税などの年間経費を考慮しない
  • 空室リスクや家賃下落リスクを考慮しない

このため、表面利回りだけで投資判断をすることは避け、必ず実質利回りを計算する必要があります。

実質利回りの計算方法

実質利回りの計算式

実質利回りは、以下の計算式で算出されます。

実質利回り = (年間家賃収入 − 年間経費) ÷ (物件価格 + 購入時諸経費) × 100

この計算式により、実際に手元に残る収益率を正確に把握できます。

購入時諸経費の内訳

購入時諸経費には、以下のようなものが含まれます。

項目 目安額
仲介手数料 物件価格の3%+6万円+消費税
登記費用(登録免許税・司法書士報酬) 30-50万円
不動産取得税 固定資産税評価額の3-4%
融資手数料・保証料 融資額の1-3%
火災保険料 10-20万円

合計で物件価格の約6-10%が目安です。

年間経費の内訳

年間経費には、以下のようなものが含まれます。

項目 目安額
管理費・修繕積立金(区分マンション) 月額1-3万円
固定資産税・都市計画税 物件価格の0.3-0.5%
PM委託費(賃貸管理委託料) 家賃の3-5%
火災保険料 年間2-5万円
修繕費(戸建て・一棟物件) 家賃の5-10%

合計で家賃収入の約20-30%が目安です。

計算例:一棟アパートの場合

以下の一棟アパート物件の実質利回りを計算してみます。

物件情報

  • 物件価格:5,000万円
  • 年間家賃収入:600万円(満室時)
  • 購入時諸経費:400万円(物件価格の8%)
  • 年間経費:120万円(家賃収入の20%)

計算 実質利回り = (600万円 − 120万円) ÷ (5,000万円 + 400万円) × 100 = 480万円 ÷ 5,400万円 × 100 = 8.9%

表面利回りは12.0%ですが、実質利回りは8.9%と、約3%低くなります。

エリア別利回り相場と注意点

2025年最新の利回り相場

2025年11月時点の全国平均利回りは以下の通りです。

物件種別 全国平均利回り
区分マンション 6.60%
一棟アパート 7.98%
一棟マンション 7.35%

価格上昇に伴い、利回りは圧縮傾向にあります。

(出典: LIFULL収益物件市場動向マンスリーレポート

エリア別・物件種別の目安

利回りの目安は、エリアや物件種別によって異なります。

エリア 実質利回り目安
都心部(東京23区、大阪市中心部など) 4-6%
地方都市(県庁所在地など) 6-8%
地方・郊外 8-10%

都心部は物件価格が高いため利回りは低めですが、需要が安定しており空室リスクが低い傾向があります。地方は利回りが高い一方、空室リスクや人口減少リスクを考慮する必要があります。

高利回り物件のリスク

高利回り物件は魅力的に見えますが、以下のリスクが潜んでいる可能性があります。

  • 立地が悪い: 駅から遠い、周辺環境が良くないなど
  • 築年数が古い: 修繕費が想定以上にかかる可能性
  • 設備が劣化: 給排水設備、電気設備の更新が必要
  • 空室リスクが高い: 賃貸需要が低く、満室想定の利回りが実現しない

利回りだけで判断せず、立地・需要・建物状態を総合的に評価することが重要です。現地調査や専門家(宅地建物取引士、不動産鑑定士など)への相談を推奨します。

まとめ:利回りで失敗しないための判断基準

不動産投資の利回り計算では、表面利回りと実質利回りの違いを理解し、購入前に実質利回りを自分で計算することが重要です。広告の利回りは表面利回りまたは満室想定であり、実際の収益とは乖離があることを認識しましょう。

高利回り物件に飛びつく前に、立地・需要・建物状態を総合的に評価し、空室リスクや修繕費を織り込んだ収支シミュレーションを行ってください。

不動産投資はリスクを伴います。詳細は宅地建物取引士、税理士、ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。

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よくある質問

Q1表面利回りと実質利回りの違いは何ですか?

A1表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」で経費を考慮しない簡易計算です。実質利回りは「(年間家賃収入−年間経費)÷(物件価格+購入諸経費)×100」で諸経費を含めた正確な収益率を示します。投資判断には実質利回りを重視すべきです。表面利回りと実質利回りの差は、物件によって2-4%程度になることもあります。

Q2不動産投資の利回りは何%が理想ですか?

A2都心部で実質利回り4-6%、地方で8-10%が目安です。2025年11月時点では区分マンション6.60%、一棟アパート7.98%が全国平均です。ただし立地・物件状態・賃貸需要により大きく変動します。都心部は利回りが低めですが空室リスクが低く、地方は利回りが高い一方で空室リスクや人口減少リスクを考慮する必要があります。

Q3広告の利回りは信用できますか?

A3広告の利回りは表面利回りまたは満室想定の利回りであり、実際の利回りとは乖離があります。購入前に実質利回りを自分で計算し、空室リスクや経費を考慮してください。購入時諸経費(物件価格の6-10%)や年間経費(家賃収入の20-30%)を織り込むと、実質利回りは表面利回りより3-4%低くなることもあります。

Q4利回りが高い物件ほど良いのですか?

A4高利回り物件は立地が悪い・築年数が古い・設備劣化などの問題を抱えている可能性があります。利回りだけで判断せず、立地・需要・建物状態を総合的に評価することが重要です。駅からの距離、周辺環境、賃貸需要、修繕履歴などを現地調査や専門家(宅地建物取引士、不動産鑑定士など)に相談して確認しましょう。

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Room Match編集部

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