不動産売買の基本ガイド:売却・購入の流れと成功のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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不動産売買の基本:なぜ正しい知識が必要なのか

不動産売買は人生で最も大きな取引の一つであり、多額の資金が動く重要な決断です。「どのような流れで進むのか」「費用はどれくらいかかるのか」「トラブルを避けるにはどうすればよいのか」など、初めて取引をする方や久しぶりに取引する方は多くの不安を抱えています。

この記事では、不動産売買の全体像を売却・購入の両面から解説し、7ステップの具体的な流れ、必要な費用・税金、よくあるトラブルと対処法を網羅します。国土交通省の公式データや不動産取引価格情報検索などの信頼できる情報源をもとに、正確な知識をお届けします。

初めて不動産取引をする方でも、必要な知識と次のアクションを明確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産売買には「仲介」「買取」「個人間売買」の3種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なる
  • 売却は7ステップで構成され、一般的に5~6カ月かかる
  • 仲介手数料は400万円超の物件で「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限、2024年7月以降は800万円以下の空き家で上限33万円(税込)
  • 諸費用は仲介手数料以外に印紙税・登記費用・税金などがあり、総額で売買価格の4~6%が目安
  • 2025年も不動産価格は上昇傾向にあり、特に中古マンション価格の伸びが大きい

不動産売買の基礎知識:取引の種類と全体像

(1) 不動産の売り方:仲介・買取・個人間売買の違い

不動産を売却する方法には主に3つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。

売却方法 特徴 メリット デメリット
仲介(媒介) 不動産会社が売主と買主を仲介 市場価格で売却できる可能性が高い 売却まで時間がかかる(5~6カ月)
買取 不動産会社が直接買主となる 早期売却が可能(数週間~1カ月) 売却価格は仲介より低くなる傾向
個人間売買 不動産会社を介さず個人間で取引 仲介手数料が不要 契約手続きやトラブル対応を自己責任で行う必要

**仲介(媒介)**は最も一般的な方法で、不動産会社が売主と買主の間を取り持ち、売買契約の成立をサポートします。成功報酬として仲介手数料を受け取ります。

買取は不動産会社が直接買主となるため、早期売却が可能ですが、売却価格は仲介より低くなる傾向があります。急いで売却したい場合や、相続した物件を現金化したい場合に適しています。

(2) 売買契約の流れと所要期間

不動産売買は売る側・買う側ともに完了までの工程が長く複雑です。売却の場合、相場調査から引き渡しまで一般的に5~6カ月かかります。購入の場合も、物件探しから契約・引き渡しまで同程度の期間が必要です。

売買契約の基本的な流れは以下の通りです:

  1. 事前準備(相場調査・資金計画)
  2. 不動産会社への依頼(査定・物件探し)
  3. 媒介契約の締結(売却の場合)
  4. 売却活動・物件探し
  5. 売買条件の交渉
  6. 売買契約の締結
  7. 引き渡し・決済

(3) 重要事項説明と宅地建物取引士の役割

重要事項説明は、売買契約締結前に宅地建物取引士が行う、物件の権利関係・法令制限・契約条件等の説明です。宅地建物取引業法により、売買契約締結時には必ず宅地建物取引士による重要事項説明が義務付けられています。

重要事項説明では以下の内容が説明されます:

  • 物件の登記状況(所有権の有無、抵当権の設定等)
  • 法令上の制限(都市計画法、建築基準法等)
  • 契約条件(支払条件、引き渡し時期、契約不適合責任等)
  • インフラ設備の整備状況(上下水道、電気、ガス等)

内容を理解してから契約書に記入・捺印することが重要です。不明点があれば遠慮なく質問し、納得してから契約を進めましょう。

不動産売却の流れと7つのステップ

不動産売却は7つのステップで構成され、各段階で必要な準備と注意点があります。

(1) 相場調査と査定依頼:簡易査定と訪問査定の違い

ステップ1:相場調査

まずは自分の物件がいくらで売れるのか、相場を把握することが重要です。国土交通省の不動産取引価格情報検索では、全国の実際の不動産取引価格データを検索できます。

ステップ2:査定依頼

査定には「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定」の2種類があります。

査定方法 特徴 メリット デメリット
簡易査定(机上査定) 所在地・築年数・面積等の情報で概算 短時間で結果が得られる 詳細な状態を反映できない
訪問査定 担当者が現地訪問し詳細調査 正確な査定額が得られる 時間がかかる(1~2週間)

効率的な査定の進め方

  1. まず簡易査定で複数社(3~5社)を比較
  2. 査定額や対応が良い2~3社に訪問査定を依頼
  3. 最終的に1社を選んで媒介契約を締結

査定額は不動産会社によって大きく異なるため、1社だけでなく複数社に依頼して比較することが重要です。

(2) 媒介契約の種類と選び方

ステップ3:媒介契約の締結

不動産会社に売却を依頼する契約を媒介契約といいます。3種類の媒介契約があり、それぞれ特徴が異なります。

契約種類 複数社への依頼 自己発見取引 レインズ登録 報告義務
専属専任媒介契約 不可(1社のみ) 不可 必須(5日以内) 週1回以上
専任媒介契約 不可(1社のみ) 必須(7日以内) 2週間に1回以上
一般媒介契約 可(複数社) 任意 なし

選び方のポイント

  • 信頼できる不動産会社が見つかった場合:専属専任媒介契約または専任媒介契約
  • 複数社に競争させたい場合:一般媒介契約

(3) 売却活動から売買契約・引き渡しまで

ステップ4:売却活動

不動産会社が物件情報をレインズ(不動産流通標準情報システム)や自社サイトに掲載し、買主を探します。内覧の準備や価格交渉の対応を行います。

ステップ5:売買契約の締結

買主が見つかったら、売買条件を交渉し、合意できれば売買契約を締結します。契約時には以下の項目を慎重に確認する必要があります:

  • 売却価格・支払条件
  • 引き渡し時期
  • 物件の状態
  • 契約不適合責任(旧「瑕疵担保責任」)の範囲
  • 解約条項(手付金の扱い、ローン特約等)

売買契約書は柔軟にカスタマイズ可能ですが、重要項目の確認が必須です。

ステップ6:決済・引き渡し

買主が住宅ローンの審査を通過したら、決済と引き渡しを行います。残代金の受領、所有権移転登記、物件の引き渡しを同時に行います。

ステップ7:確定申告

不動産を売却した翌年には原則として確定申告が必要です。譲渡所得(売却益)が発生した場合は譲渡所得税を納付します。

不動産購入の流れと重要ポイント

(1) 物件探しと資金計画の立て方

物件探しでは、希望エリア・物件種別(マンション・戸建て・土地)・予算を明確にします。不動産ポータルサイトや不動産会社に相談して、条件に合う物件をリストアップします。

資金計画では、以下の項目を考慮します:

  • 物件価格
  • 諸費用(物件価格の4~6%が目安)
  • 住宅ローンの借入額と返済計画
  • 頭金の準備額

諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金で用意が必要です。

(2) 内覧と価格交渉のポイント

内覧では、物件の状態を実際に確認します。以下のポイントをチェックしましょう:

  • 建物の構造・経年劣化の状況
  • 日当たり・風通し
  • 周辺環境(交通アクセス、商業施設、学校等)
  • 騒音や臭いなどの生活環境

価格交渉では、周辺の取引事例や物件の状態をもとに、適正価格を見極めて交渉します。

(3) 契約締結と住宅ローン審査

購入する物件が決まったら、売買契約を締結します。契約時には手付金(物件価格の5~10%が一般的)を支払います。

住宅ローンの審査は契約後に行われます。審査に通過できなかった場合、ローン特約により契約を白紙撤回できることが一般的です。

費用・税金・仲介手数料の詳細

(1) 仲介手数料の計算方法と上限額

仲介手数料は成功報酬型で、売買契約が成立したときのみ発生します。国土交通省の公式情報によると、400万円超の物件の場合、以下の計算式が上限となります:

仲介手数料の上限 = 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

例えば、3,000万円の物件の場合:

  • 3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円
  • 消費税(10%)を含めると:105.6万円

空き家の特例措置:2024年7月1日以降、800万円以下の空き家については仲介手数料の上限が30万円(税込33万円)に変更されました。

支払いタイミング:契約時に50%、引き渡し時に50%が一般的ですが、不動産会社により異なります。

(2) 印紙税・登記費用・不動産取得税などの諸費用

仲介手数料以外にも、以下の諸費用が発生します:

費用項目 売却時 購入時 目安額
仲介手数料 売買価格の3%+6万円+消費税
印紙税 1~3万円(契約金額により異なる)
登記費用 ○(抵当権抹消) ○(所有権移転) 5~15万円
不動産取得税 - 固定資産税評価額の3%
住宅ローン返済手数料 - 1~3万円
住宅ローン融資手数料 - 3~5万円
火災保険 - 10年一括で20~30万円
引っ越し費用 10~30万円

総額で売買価格の4~6%程度が目安です。物件価格や取引内容により異なるため、事前に確認が必要です。

(3) 譲渡所得税と確定申告の必要性

不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、譲渡所得税を納付する必要があります。譲渡所得は以下の計算式で求めます:

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

税率は所有期間により異なります

所有期間 区分 所得税 住民税 合計税率
5年以下 短期譲渡所得 30% 9% 39%
5年超 長期譲渡所得 15% 5% 20%

軽減措置を活用することで、譲渡所得税を抑えられる場合があります。詳細は税理士への相談を推奨します。

まとめ:成功する不動産売買のために

(1) 複数社の査定比較が重要な理由

不動産売買で失敗しないためには、複数社の査定を比較することが重要です。査定額は会社によって大きく異なるため、1社だけに依頼すると適正価格を見誤る可能性があります。

まず簡易査定で複数社を比較し、その後訪問査定を依頼すると効率的です。大手だけでなく地域密着型の会社も含めて比較し、得意分野や地域の知識を確認しましょう。

(2) 2025年の不動産市場動向と今後の見通し

JLLの調査によると、2025年の日本不動産市場は投資額が3.19兆円(前年比22%増)に達し、東京は世界の都市別投資額で第1位を記録しました。

東急リバブルの分析によると、2025年の中古マンション価格は上昇傾向が続き、東京圏の平方メートル単価は2024年8月の74.77万円から2025年8月には84.85万円へ13%上昇しました。

2025年4月から新築住宅の省エネ基準が義務化され、建築費上昇により中古住宅の流通拡大が予想されます。「2025年問題」で不動産価格の暴落が懸念されていましたが、実際には価格は上昇を続けています。

(3) 専門家への相談と次のアクション

不動産売買は多額の資金が動く重要な取引です。税金や契約条件については、専門家(宅地建物取引士、弁護士、税理士等)への相談を推奨します。

次のアクション

  1. 複数社(3~5社)に査定を依頼して比較する
  2. 信頼できる不動産会社を選び、媒介契約を締結する
  3. 売買契約書の内容を慎重に確認し、不明点は質問する
  4. 諸費用・税金を含めた資金計画を立てる
  5. 必要に応じて専門家に相談する

信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

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よくある質問

Q1不動産売買の仲介手数料は誰が払うのか?

A1売主・買主それぞれが自分が依頼した不動産会社に支払います。400万円超の物件の場合、「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限となります。2024年7月以降、800万円以下の空き家については上限が30万円(税込33万円)に変更されました。支払いタイミングは契約時に50%、引き渡し時に50%が一般的ですが、不動産会社により異なります。詳細は媒介契約時に確認しましょう。

Q2不動産売却には確定申告が必要?

A2不動産を売却した翌年には原則として確定申告が必要です。譲渡所得(売却益)が発生した場合は譲渡所得税を納付します。所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得(税率39%)、5年超の場合は長期譲渡所得(税率20%)となり、税率が大きく異なります。軽減措置を活用することで税金を抑えられる場合があるため、税理士への相談を推奨します。

Q3査定額は不動産会社によって違う?

A3査定額は会社によって大きく異なります。1社だけでなく複数社(3~5社)に依頼して比較することが重要です。まず簡易査定(机上査定)で複数社を比較し、査定額や対応が良い2~3社に訪問査定を依頼すると効率的です。大手だけでなく地域密着型の会社も含めて比較し、得意分野や地域の知識を確認しましょう。

Q4不動産売買にかかる諸費用はいくら?

A4仲介手数料、印紙税、登記費用、住宅ローン返済手数料、引っ越し費用、譲渡所得税などが発生します。総額で売買価格の4~6%程度が目安です。例えば3,000万円の物件の場合、120~180万円程度の諸費用がかかります。物件価格や取引内容により異なるため、事前に不動産会社や金融機関に確認することが重要です。諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金で用意が必要です。

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Room Match編集部

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