不動産売買の手数料・手付金の相場と計算方法|仲介手数料を徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/1

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不動産取引の費用を理解する重要性

不動産の購入や売却を検討する際、「仲介手数料はいくらかかるのか」「手付金はどれくらい用意すべきか」と不安に感じる方は少なくありません。これらの費用は数十万円から数百万円に及ぶため、事前に正確な金額を把握しておくことが重要です。

この記事では、不動産取引における仲介手数料と手付金の仕組み、相場、計算方法、注意点を解説します。情報は国土交通省の公式情報やSUUMOジャーナルなどの専門的な情報源を元にしています。

正しい知識を身につけることで、必要な資金を適切に準備し、トラブルを回避できるようになります。

この記事のポイント

  • 仲介手数料は法律で上限が定められており、400万円超の物件なら「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算できる
  • 2024年7月1日から800万円以下の物件では仲介手数料の上限が最大33万円(税込)に改正された
  • 手付金の相場は売買価格の5~10%で、契約時に現金で支払うのが一般的
  • 手付金は契約が順調に進めば売買代金に充当され、解約する場合は放棄または倍返しとなる
  • 仲介手数料は成功報酬のため、契約が成立しなければ支払う必要はない

(1) 購入・売却時の費用負担の実態

不動産取引では、物件価格以外に以下のような費用が発生します。

  • 仲介手数料: 不動産会社に支払う成功報酬(数十万円~数百万円)
  • 手付金: 売買契約時に支払う保証金(売買価格の5~10%)
  • 登記費用: 登記手続きや司法書士への報酬(10~30万円程度)
  • 税金: 不動産取得税、固定資産税、印紙税など
  • 住宅ローン関連費用: 融資手数料、保証料、団体信用生命保険料など

例えば3,000万円の物件を購入する場合、仲介手数料(約105.6万円)、手付金(150~300万円)、その他諸費用(100万円前後)で、合計250~500万円以上の費用が必要になります。

(2) 事前準備の必要性

これらの費用を事前に把握していないと、以下のようなトラブルに直面する可能性があります。

  • 資金不足: 手付金や諸費用を用意できず、契約を断念せざるを得ない
  • 予算オーバー: 物件価格だけで予算を組み、諸費用分が不足する
  • 不当な請求: 法定上限を超える仲介手数料を請求されても気づかない

(3) この記事で分かること

この記事を読むことで、以下の知識が得られます。

  • 仲介手数料の法定上限額と速算式による計算方法
  • 2024年7月の法改正による変更点(800万円以下物件の特例)
  • 手付金の種類・相場・手付解除の仕組み
  • トラブル防止のための注意点とチェックリスト

仲介手数料とは:法律上の上限と計算方法

(1) 仲介手数料の基本(成功報酬の仕組み)

仲介手数料とは、不動産売買を仲介した不動産会社に支払う成功報酬です。

重要な特徴:

  • 成功報酬: 売買契約が成立して初めて発生。契約不成立なら支払う必要はない
  • 法定上限あり: 宅地建物取引業法により上限額が定められている
  • 下限なし: 値引き交渉は可能(ただしリスクあり)

(2) 法定上限額と速算式(売買価格×3%+6万円+消費税)

国土交通省によると、仲介手数料の上限額は以下のように定められています。

売買価格 仲介手数料の上限(税抜)
200万円以下 売買価格×5%
200万円超~400万円以下 売買価格×4%+2万円
400万円超 売買価格×3%+6万円

速算式(400万円超の物件):

仲介手数料の上限 = 売買価格×3%+6万円+消費税

計算例(3,000万円の物件):

3,000万円×3%+6万円 = 96万円(税抜)
96万円×1.1(消費税) = 105.6万円(税込)

(3) 2024年7月の法改正(800万円以下物件の特例)

LIFULL HOME'S Businessによると、2024年7月1日から800万円以下の不動産売買における仲介手数料の規定が改正されました。

改正内容:

  • 対象: 800万円以下の物件(従来は400万円以下のみ)
  • 上限額: 最大33万円(税込)まで受領可能
  • 目的: 空き家対策推進、低廉な空き家等の流通促進

改正前後の比較(800万円の物件):

時期 上限額(税込)
改正前(2024年6月まで) 30.8万円
改正後(2024年7月以降) 33万円

この改正は国土交通省が2024年6月に策定した「空き家対策推進プログラム」の一環です。

(4) 支払時期(契約時・引渡し時)

仲介手数料の支払時期は、以下の2回に分けるのが一般的です。

  1. 売買契約時: 仲介手数料の半額
  2. 引渡し時(決済時): 残りの半額

例:3,000万円の物件の場合

  • 契約時: 52.8万円(税込)
  • 引渡し時: 52.8万円(税込)
  • 合計: 105.6万円(税込)

(5) 値引き交渉の可否とリスク

法律で定められているのは上限額のみのため、値引き交渉は可能です。

値引き交渉のメリット:

  • 諸費用の総額を抑えられる

値引き交渉のデメリット・リスク:

  • 不動産会社のサービス低下(物件探しの優先度が下がる)
  • 営業担当者の熱意の低下
  • 広告費の削減による販売機会の減少

SUUMOジャーナルによると、値引き交渉は可能ですが、サービス低下のリスクがあることを理解した上で判断することが重要です。

手付金とは:種類・相場・返還条件

(1) 手付金の3つの役割(証約・解約・違約)

手付金とは、売買契約締結時に買主が売主に支払うお金で、以下の3つの役割があります。

種類 役割
証約手付 売買契約が成立したことの証拠
解約手付 買主は手付金を放棄、売主は倍返しで契約を解除できる権利を確保
違約手付 契約違反があった場合のペナルティ

一般的な不動産取引では、これら3つの性質を併せ持つ「手付金」として扱われます。

(2) 手付金の相場(売買価格の5~10%)

SUUMOジャーナルによると、手付金の相場は**売買価格の5~10%**です。

相場の例:

売買価格 手付金の相場(5~10%)
2,000万円 100~200万円
3,000万円 150~300万円
5,000万円 250~500万円

手付金は現金で用意する必要があり、売買契約と同時に支払うのが実務慣行です。

(3) 手付金と頭金の違い

手付金と頭金は混同されやすいですが、以下のような違いがあります。

項目 手付金 頭金
支払時期 売買契約時 住宅ローン契約時
役割 契約の証拠、解約権の確保 住宅ローンを組む際の自己資金部分
充当 売買代金の一部に充当される 物件価格の一部に充当される

(4) 手付解除の仕組みと期限

手付解除とは、手付解除期限までであれば、以下の方法で契約を解除できる制度です。

  • 買主からの解除: 手付金を放棄する(返還されない)
  • 売主からの解除: 手付金の倍額を返還する(手付金の2倍を支払う)

重要な注意点:

  • 手付解除期限は売買契約書に記載される
  • 期限を過ぎると、手付金を放棄しても解約できず、違約金が発生する可能性がある
  • 一般的には売買契約から1~2ヶ月程度が期限

(5) 手付金の法的上限(20%)

宅地建物取引業法により、手付金は売買価格の20%が上限と定められています。

:

  • 3,000万円の物件 → 手付金の上限は600万円
  • 5,000万円の物件 → 手付金の上限は1,000万円

20%を超える手付金を要求された場合は、法律違反の可能性があるため注意が必要です。

その他の諸費用と総額の目安

(1) 登記費用・司法書士報酬

不動産を購入した場合、所有権の移転登記が必要です。

  • 登録免許税: 固定資産税評価額の2%(新築住宅は軽減措置で0.15%)
  • 司法書士報酬: 5~15万円程度
  • 合計: 10~30万円程度

(2) 不動産取得税・固定資産税

  • 不動産取得税: 固定資産税評価額の3%(軽減措置あり)
  • 固定資産税: 年間数万円~数十万円(物件により異なる)
  • 都市計画税: 年間数千円~数万円(地域により異なる)

(3) 住宅ローン関連費用

  • 融資手数料: 数万円~融資額の2%程度
  • 保証料: 融資額の2%程度(または金利上乗せ)
  • 団体信用生命保険料: 金利に含まれる場合が多い
  • 火災保険料: 10年一括払いで20~30万円程度

(4) 諸費用の総額シミュレーション

例:3,000万円の中古マンションを購入する場合

項目 金額
仲介手数料 105.6万円
登記費用・司法書士報酬 20万円
不動産取得税 30万円
住宅ローン関連費用 80万円
火災保険料 25万円
合計 約260万円

これに加えて手付金(150~300万円)を現金で用意する必要があるため、総額で400~550万円程度の自己資金が必要です。

手数料・手付金に関する注意点とトラブル防止

(1) 上限を超える手数料請求への対処

法定上限を超える仲介手数料を請求された場合は、以下のように対処してください。

  1. 根拠を確認: 「法律で上限が決まっているのでは」と確認
  2. 計算方法を照合: 速算式で上限額を計算し、比較
  3. 相談窓口に連絡: 国土交通省や自治体の不動産相談窓口に相談

(2) 手付解除期限の確認

売買契約書の手付解除期限を必ず確認してください。

確認ポイント:

  • 手付解除期限の日付
  • 手付解除の方法(書面による通知が必要か等)
  • 期限を過ぎた場合の違約金の金額

(3) 契約書の重要項目チェック

売買契約書には以下の項目が明記されているか確認してください。

  • 売買価格
  • 手付金の額
  • 手付解除期限
  • 引渡し日
  • 瑕疵担保責任(契約不適合責任)の範囲
  • 違約金の条件と金額

不明点は契約前に宅地建物取引士に必ず確認しましょう。

(4) トラブル時の相談窓口

不動産取引でトラブルが発生した場合は、以下の窓口に相談できます。

  • 国土交通省 不動産相談窓口
  • 各都道府県の宅地建物取引業協会
  • 消費生活センター
  • 弁護士会の法律相談

まとめ:不動産取引の費用準備のポイント

(1) 必要資金の事前計算

不動産取引では、物件価格以外に仲介手数料、手付金、登記費用、税金、住宅ローン関連費用など、数百万円の諸費用が発生します。事前に速算式で仲介手数料を計算し、手付金(売買価格の5~10%)を含めた総額を把握しておくことが重要です。

(2) 契約条件の確認項目

売買契約書には手付金の額、手付解除期限、引渡し日、違約金の条件などが明記されています。これらの項目を十分に確認し、不明点は契約前に宅地建物取引士に質問してください。特に手付解除期限を過ぎると、手付金を放棄しても解約できず、違約金が発生する可能性があるため注意が必要です。

(3) 専門家への相談を推奨

2024年7月の法改正により、仲介手数料の規定も変更されています。個別の契約条件や最新の法律情報については、宅地建物取引士や不動産会社に相談することを推奨します。法定上限を超える手数料を請求された場合は、国土交通省や自治体の相談窓口に連絡してください。

正しい知識を身につけて、安心できる不動産取引を実現しましょう。

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よくある質問

Q1仲介手数料はいくらかかる?

A1法律で上限が決まっており、400万円超の物件なら「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です。例えば3,000万円の物件なら105.6万円(税込)が上限額になります。2024年7月からは800万円以下の物件で最大33万円(税込)に改正されました。仲介手数料は成功報酬のため、契約が成立しなければ支払う必要はありません。

Q2仲介手数料は値引きできる?

A2法律で決まっているのは上限額のみで、値引き交渉は可能です。ただし、値引き交渉をすると不動産会社のサービス低下や営業担当者の熱意の低下につながるリスクがあります。物件探しの優先度が下がったり、広告費が削減されて販売機会が減る可能性もあるため、値引き交渉のメリット・デメリットを理解した上で判断してください。

Q3手付金と頭金の違いは?

A3手付金は売買契約時に支払い、契約の証拠・解約権の確保の役割を持ちます。一方、頭金は住宅ローンを組む際の自己資金部分です。手付金は契約が順調に進めば売買代金の一部に充当されます。支払時期が異なり、手付金は契約時、頭金は住宅ローン契約時に必要です。手付金は現金で用意する必要があります。

Q4手付金はいくら用意すべき?

A4一般的には売買価格の5~10%が相場です。法律上は20%が上限と定められています。3,000万円の物件なら150~300万円程度を現金で用意する必要があります。手付金は売買契約と同時に支払うのが実務慣行です。20%を超える手付金を要求された場合は、宅地建物取引業法違反の可能性があるため注意してください。

Q5手付金は返ってくる?

A5契約が順調に進めば売買代金の一部に充当されます。買主都合で解約する場合は手付金を放棄(返還されない)、売主都合なら手付金の倍額を返還するのが原則です。ただし、手付解除期限を過ぎると手付金を放棄しても解約できず、違約金が発生する可能性があります。手付解除期限は売買契約書に記載されているため、必ず確認してください。

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Room Match編集部

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