不動産リート(REIT)とは?仕組みとメリット・デメリットを解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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不動産リート(REIT)とは何か

不動産投資に興味があるけれど、「実物不動産は数千万円以上必要で敷居が高い」「管理が大変そう」と感じている方は少なくありません。そんな方に注目されているのが不動産リート(REIT)です。この記事では、REITの仕組み、メリット・デメリット、実物不動産との違いを、三井住友トラスト・アセットマネジメントなどの公式情報を元に解説します。

少額から始められる不動産投資の選択肢として、REITが自分に合っているか判断できるようになります。

この記事のポイント

  • REITは投資家から資金を集めて不動産を運用し、賃料収入や売却益を分配する投資信託
  • J-REITは1口数万円程度から投資可能で、証券取引所で株式と同様に売買できる
  • 過去10年間の平均予想分配金利回りは3.02%~6.17%で推移(2024年現在は約5%)
  • 専門家による運用で管理の手間がなく、複数物件への自動分散投資が可能
  • 価格変動リスク、上場廃止リスク、配当控除非適用などのデメリットもある
  • 2024年の日本不動産投資額は前年比63%増の5兆4,875億円を記録し、市場が活況

(1) REITの定義と歴史

REIT(リート)は「Real Estate Investment Trust」の略で、投資家から集めた資金で不動産を購入・運用し、賃料収入や売却益を分配する投資信託です。米国で1960年に誕生し、日本では2001年に初めて上場されました(J-REIT)。

三井住友トラスト・アセットマネジメントによると、REITは証券取引所に上場しており、株式と同様に売買できる点が特徴です。実物不動産を購入するには数千万円以上必要ですが、REITなら1口数万円程度から投資可能です。

(2) J-REIT(日本版REIT)の特徴

J-REIT(ジェイリート)は日本版REITのことで、2001年に初上場されました。証券会社を通じて株式と同様に購入でき、流動性が高いのが特徴です。

項目 J-REITの特徴
最低投資額 1口数万円程度
売買方法 証券取引所で株式と同様
流動性 高い(即座に売買可能)
管理 専門家が運用(投資家の手間なし)
配当 年2回が一般的

(3) REITの法人税免除の仕組み

REITには税制上の優遇措置があります。三井住友トラスト・アセットマネジメントによると、J-REITは利益の90%超を投資家に分配することで法人税が免除されます。この仕組みにより、投資家に対して高い配当利回りを実現できるのです。

2. REITの仕組みと種類

(1) REITの基本的な仕組み(投資→運用→分配)

REITの仕組みは以下のように流れます。

1. 投資家から資金を集める(証券取引所での上場)
   ↓
2. 集めた資金で不動産を購入・運用(専門家が管理)
   ↓
3. 不動産から得られた賃料収入や売却益を投資家に分配

専門家(不動産投資法人)が不動産の選定・管理・運用を行うため、投資家自身が物件管理をする必要はありません。

(2) 単一用途特化型REIT(オフィス・ホテル・住居・物流・商業・ヘルスケア)

単一用途特化型REITは、特定の不動産のみを運用するREITです。以下の6種類があります。

種類 主な投資対象 特徴
オフィス型 オフィスビル 企業業績に連動、景気感応度高い
ホテル型 ホテル・旅館 インバウンド需要に影響、成長性高い
住居型 賃貸マンション 安定収益、景気影響小
物流型 物流施設・倉庫 Eコマース拡大で需要増、安定性高い
商業型 ショッピングモール 消費動向に影響、景気感応度高い
ヘルスケア型 医療・介護施設 高齢化で需要安定

JLL(ジョーンズ ラング ラサール)によると、2024年はホテルセクターがインバウンド回復を背景に1兆円超の投資額を達成し、市場観測開始以降初の快挙となりました。

(3) 複数用途型REIT(複合型・総合型)

複数用途型REITは、2種類の不動産に投資するものを「複合型」、3種類以上を「総合型」と呼びます。リスク分散を重視する投資家に適しています。

(4) 投資対象となる不動産の種類

REITの投資対象は多様です。

  • マンション: 賃貸マンション、タワーマンション
  • オフィスビル: 都心部の大規模ビル、地方の中小ビル
  • ホテル: シティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテル
  • 商業施設: ショッピングモール、郊外型商業施設
  • 物流施設: 大型倉庫、物流センター
  • 医療・介護施設: 病院、有料老人ホーム

3. REITのメリット

(1) 少額から投資可能(1口数万円程度)

REITは1口数万円程度から投資可能です。実物不動産投資には数千万円以上必要ですが、REITなら少額で不動産投資を始められます。

(2) 高い流動性(証券取引所で売買可能)

REITは証券取引所に上場しており、株式と同様に即座に売買できます。実物不動産の売却には数ヶ月かかることが多いのに対し、REITは流動性が高く換金しやすいのが特徴です。

(3) 専門家による運用で管理の手間なし

専門家(不動産投資法人)が不動産の選定・管理・運用を行うため、投資家自身が物件管理をする必要はありません。入居者募集、家賃回収、修繕対応などの手間がかかりません。

(4) 自動的な分散投資によるリスク分散

REITは複数の不動産を運用しているため、自動的に分散投資によるリスク分散が期待できます。1つの物件で空室が発生しても、他の物件の賃料収入でカバーできる可能性があります。

(5) 安定した配当利回り(過去10年間平均3.02%~6.17%)

J-REITの過去10年間の平均予想分配金利回りは3.02%~6.17%で推移しており、2024年現在は約5%です。利益の90%超を分配することで法人税が免除されるため、高い配当利回りを実現できます。

4. REITのデメリットとリスク

(1) 価格変動リスク(市場動向・経済状況の影響)

REITは証券取引所に上場しているため、市場動向や経済状況により価格が変動します。景気後退期には物件価値が下がり、収益も減少する可能性があります。

(2) 上場廃止リスク(運営会社の経営悪化)

運営会社の経営が悪化すると、上場廃止となり投資金を回収できないリスクがあります。投資する際は運営会社の財務状況を確認することが重要です。

(3) 自然災害による物件価値の下落リスク

地震、台風、水害などの自然災害により物件が損傷すると、物件価値が下がり収益も減少します。日本は自然災害が多い国のため、このリスクは無視できません。

(4) 税制上の不利(配当控除が適用されない)

REITの配当は全額課税対象となり、配当控除が適用されません。株式配当には配当控除が適用されますが、REITには適用されないため税制上不利な面があります。

ただし、2024年以降は新NISA制度により、NISA口座での投資なら配当が非課税になります。建美家によると、新NISA制度の導入により国内REIT市場への資金流入が期待されています。

(5) 用途特化型REITの景気感応度

用途特化型REITは景気の影響を受けやすく、特にオフィス型・商業施設型は景気後退期に業績が落ち込む可能性があります。一方、住居型・物流型は景気影響が小さく安定性が高い傾向です。

5. REITと実物不動産投資の比較

(1) 必要資金の違い(REITは数万円、実物は数千万円以上)

項目 REIT 実物不動産投資
必要資金 1口数万円程度 数千万円以上
参入障壁 低い 高い
頭金 不要 物件価格の1-3割

(2) 流動性の違い(REITは即座に売買可能、実物は数ヶ月)

項目 REIT 実物不動産投資
売却期間 即座(証券取引所で売買) 数ヶ月(買主探し、契約、決済)
流動性 高い 低い
換金性 優れている 劣る

(3) 管理の手間(REITは不要、実物は管理業務が発生)

REITは専門家が運用するため、投資家は管理の手間がかかりません。一方、実物不動産投資では入居者募集、家賃回収、修繕対応などの管理業務が発生します(管理会社に委託することも可能)。

(4) リスク分散(REITは自動分散、実物は物件集中)

REITは複数の不動産に投資しているため、自動的にリスク分散されます。実物不動産投資では1-2物件に集中するため、空室リスク・災害リスクが高くなります。

(5) 税制の違い

REITの配当は全額課税対象で配当控除が適用されません。実物不動産投資では減価償却費を計上できるため、所得税・住民税の節税効果があります。ただし、売却時には譲渡所得税が課税されます。

6. まとめ:REITに投資する際のポイント

REITは投資家から資金を集めて不動産を運用し、賃料収入や売却益を分配する投資信託です。1口数万円程度から投資可能で、証券取引所で株式と同様に売買できるため、流動性が高く換金しやすい点が特徴です。

過去10年間の平均予想分配金利回りは3.02%~6.17%で推移しており、2024年の日本不動産投資市場は前年比63%増の5兆4,875億円を記録し活況を呈しています。

ただし、価格変動リスク、上場廃止リスク、配当控除非適用などのデメリットもあります。投資判断は個人の責任で行い、必要に応じてファイナンシャルプランナーや証券会社の専門家に相談しながら、自分のリスク許容度や投資目的に合った商品を選びましょう。

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よくある質問

Q1REITの最低投資額はいくらですか?

A1J-REITは1口数万円程度から投資可能です。証券会社を通じて株式と同様に購入できるため、実物不動産投資(数千万円以上必要)に比べて参入障壁が低いのが特徴です。例えば、2024年現在、多くのJ-REITは5万円~20万円程度で購入できます。少額で不動産投資を始めたい方に適しており、複数の銘柄に分散投資することも可能です。

Q2REITの配当利回りはどのくらいですか?

A2過去10年間の平均予想分配金利回りは3.02%~6.17%で推移しており、2024年現在は約5%です。J-REITは利益の90%超を投資家に分配することで法人税が免除されるため、高い配当利回りを実現できます。ただし、配当利回りは市場動向、物件の稼働率、経済状況により変動するため、投資時点での利回りが将来も保証されるわけではありません。過去のデータとして参考にしてください。

Q3REITと実物不動産投資はどちらが良いですか?

A3REITは少額投資(数万円)、高流動性(即座に売買可能)、管理不要が特徴で、分散投資を重視する人に向いています。実物不動産投資は自己管理で資産形成したい人、減価償却による節税効果を求める人に適しています。投資目的とリスク許容度により選択すべきです。初心者や少額から始めたい人にはREIT、不動産管理の経験がある人には実物不動産投資が適している傾向です。

Q4REITの税金はどうなりますか?

A4REITの配当は原則全額課税対象となり、株式配当に適用される配当控除は適用されません。そのため税制上不利な面があります。ただし、2024年以降の新NISA制度により、NISA口座での投資なら配当が非課税になります。新NISA制度の導入により国内REIT市場への資金流入が期待されており、税制メリットを活かした投資が可能です。詳細は証券会社またはファイナンシャルプランナーにご相談ください。

Q5どの種類のREITを選ぶべきですか?

A5投資目的に応じて選択します。安定収益を重視するなら住居型・物流型REIT(景気影響が小さい)、成長性を重視するならホテル型・商業型REIT(インバウンド需要やEコマース拡大の恩恵)、リスク分散を重視するなら複数用途型(総合型)が適しています。2024年はホテルセクターがインバウンド回復を背景に1兆円超の投資額を達成しました。各REITの投資対象物件、稼働率、エリア、築年数を確認し、自分のリスク許容度に合った商品を選びましょう。

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Room Match編集部

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