不動産REIT(リート)とは|仕組み・メリット・リスクと始め方

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/16

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

不動産REITとは|少額から始められる不動産投資の仕組み

不動産投資に興味があるが、現物不動産を購入する資金やリスク許容度がなく、少額から始められる方法を探している方は少なくありません。

この記事では、少額から不動産投資ができる「REIT(リート)」の基本的な仕組み、メリット・デメリット、現物不動産投資との違い、始め方まで網羅的に解説します。投資信託協会や金融庁の公式情報を元に、投資判断に必要な情報を提供します。

初めて不動産投資を検討する方でも、この記事を読めばREITの仕組みを理解し、自分に合った投資判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • REITは不動産投資信託で、投資家から資金を集めて不動産に投資し賃貸収益を分配する金融商品
  • 1万円程度から投資可能で、現物不動産投資(数百万〜数千万円)と比較して初期費用が大幅に低い
  • 収益の90%超を分配する税制優遇により、一般的に3〜5%の利回りを実現
  • 元本割れリスクや価格変動リスクがあり、金利上昇局面では価格が下落する傾向
  • NISA口座を活用することで配当に対する税金(20.315%)を非課税にできる

REITが注目される理由

REIT(Real Estate Investment Trust)は、投資家から集めた資金で複数の不動産を購入・運用し、賃貸収益や売却益を分配する金融商品です。証券取引所に上場されているため、株式と同様にいつでも売買できる流動性の高さが特徴です。

少額から始められる、専門知識が不要、管理の手間がないという点で、現物不動産投資と比較して初心者にも取り組みやすい投資方法として注目されています。

J-REITの市場規模と実績

日本版REITである「J-REIT」は、2001年に初めて上場され、2023年末時点で市場規模約16兆円と米国に次ぐ世界第2位の規模に成長しました。

2025年上期のJ-REIT市場は7.6%上昇し、3年連続下落から底打ちの兆しを見せています。ニッセイ基礎研究所の調査によると、海外投資家が2025年に買い越しに転じ、需給改善が価格上昇を後押ししています。

REITの基礎知識|投資法人の仕組みと税制優遇

REITの定義と投資法人の構造

REITは、投資法人という会社型の組織形態を採用しています。投資法人は投資証券を発行して投資家から資金を調達し、資産運用会社に運用を委託します。

REITの基本構造:

役割 内容
投資法人 投資証券を発行し資金を調達、資産運用会社に運用を委託
資産運用会社 不動産の購入・売却・運用を実施
投資家 投資証券を購入し、分配金を受け取る
不動産 オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテル等

投資法人は実体のある会社として登記されており、不動産の所有権を直接保有します。投資家は投資法人の投資証券を保有することで、間接的に不動産に投資している形になります。

収益の90%超分配による税制優遇

REITの大きな特徴は、収益の90%超を投資家に分配すれば、投資法人の法人税が実質非課税になる税制優遇です。

この仕組みにより、通常の株式会社と比較して高い分配金を実現できます。一般的にREITの利回りは3〜5%程度が目安とされており、銀行預金や国債と比較して高い収益を期待できます。

ただし、元本や利回りは保証されておらず、市場環境により変動する点に注意が必要です。投資判断は自己責任で行い、必要に応じてファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することをおすすめします。

主な物件種別(オフィス・住宅・商業施設等)

J-REITが投資する不動産の種別は多岐にわたります。以下に主な物件種別を示します。

物件種別 特徴 リスク
オフィス 景気連動性が高い、企業業績に左右される 景気悪化時にテナント退出リスク
住宅 景気に左右されにくい、安定した賃料収入 利回りは比較的低い
商業施設 消費動向に左右される ECの台頭で需要減少リスク
物流施設 EC成長で需要増、安定した賃料 特定テナント依存リスク
ホテル 観光需要に連動、高い収益性 景気・感染症で大きく変動

物件種別により収益性やリスクが異なるため、複数のREITに分散投資することでリスクを軽減できます。

REITのメリット|現物不動産投資との違い

少額投資(1万円程度から可能)

REITの最大のメリットは、1万円程度から投資できる点です。現物不動産投資では数百万〜数千万円の初期費用が必要ですが、REITは証券取引所に上場されているため、少額から購入できます。

これにより、資金に余裕のない投資初心者でも不動産投資を始められます。

高い流動性(いつでも売買可能)

REITは証券取引所に上場されているため、いつでも売買できる流動性の高さが特徴です。現物不動産は売却に数ヶ月〜1年以上かかる場合がありますが、REITは取引時間内であれば即座に売却できます。

急な資金需要に対応しやすい点で、現物不動産投資と大きく異なります。

専門知識不要・管理の手間なし

REITでは、資産運用会社が不動産の選定・運用・管理を行うため、投資家は専門知識や管理の手間なく不動産投資ができます。

現物不動産投資では、物件選定、テナント募集、修繕・維持管理など多くの業務が発生しますが、REITではこれらを運用会社に委託できます。

分散投資によるリスク軽減

1つのREITでも複数の不動産に投資しているため、1つの物件が空室になってもリスクが分散されます。さらに、複数のREITに投資することで、物件種別や地域を分散でき、リスクを一層軽減できます。

現物不動産投資で複数物件に投資するには莫大な資金が必要ですが、REITでは少額で分散投資が可能です。

REITのデメリット・リスク|元本割れと価格変動

元本割れリスク(価格変動・市場環境)

REITは元本が保証されていない投資商品です。株式市場に連動し、市場環境や金利動向により価格が変動します。

2024年前半はJ-REIT市場が4.6%下落しました。金利上昇局面では、金利の高い債券に資金が流れ、REITから資金が流出する傾向があります。投資判断は慎重に行う必要があります。

金利上昇による価格下落

REIT価格は金利動向に敏感です。金利が上昇すると、以下の理由でREIT価格が下落する傾向があります。

  • 金利の高い債券に投資家が流れる(REITからの資金流出)
  • 不動産ローンの金利上昇により、不動産購入需要が減少
  • 投資法人の借入金利が上昇し、収益が圧迫される

金利動向を注視しながら投資判断することが重要です。

配当控除が適用されない

REITの配当は、株式の配当と異なり配当控除が適用されません。これは、投資法人の法人税が実質非課税のため、二重課税が発生しないためです。

配当には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が課税されます。NISA口座を活用することで、この税金を非課税にできます。

景気動向による収益減少リスク

REITの収益は、景気動向に左右される場合があります。特にオフィスREITや商業施設REITは、景気悪化時に以下のリスクがあります。

  • テナントの退出増加
  • 空室率の上昇
  • 賃料の下落

これらにより、分配金が減少する可能性があります。景気動向を考慮して物件種別を選ぶことが重要です。

REITの始め方|証券会社での購入手順とNISA活用

証券会社での口座開設と銘柄選び

REITを購入するには、証券会社で口座を開設する必要があります。

手順:

  1. 証券会社を選ぶ(SBI証券、楽天証券、松井証券等)
  2. 口座開設申込(オンラインで完結)
  3. 本人確認書類の提出
  4. 口座開設完了(1週間程度)
  5. 入金
  6. REIT銘柄を検索・購入

銘柄選びの際は、物件種別、利回り、運用実績、分配金の安定性を確認してください。

NISA口座活用による税金の非課税化

**NISA(少額投資非課税制度)**を活用すれば、REIT配当を非課税にできます。通常は20.315%が課税されますが、NISA口座で購入したREITの配当は非課税です。

NISA口座は証券会社で開設でき、年間の非課税枠内であれば配当・売却益が非課税になります。詳細は証券会社や税務署にご確認ください。

物件種別・利回り・運用実績の確認ポイント

REIT銘柄を選ぶ際の主な確認ポイントは以下の通りです。

確認ポイント:

  • 物件種別: オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテルなど、どの種別に投資しているか
  • 利回り: 分配金利回り(年間分配金÷投資金額)が3〜5%程度か
  • 運用実績: 過去の分配金が安定しているか、価格推移はどうか
  • NOI: Net Operating Income(純収益)が安定して増加しているか
  • 稼働率: 保有不動産の稼働率(空室率の逆)が高いか

これらを総合的に判断し、自分のリスク許容度に合った銘柄を選んでください。

まとめ|REIT投資の選択ポイントと注意点

REIT(不動産投資信託)は、少額から不動産投資ができる魅力的な金融商品です。以下の表で、現物不動産投資との違いを整理します。

項目 REIT 現物不動産投資
初期費用 1万円程度から 数百万〜数千万円
流動性 高い(いつでも売買可能) 低い(売却に数ヶ月〜1年)
管理の手間 なし(運用会社が管理) あり(テナント募集・修繕等)
所有権 なし(投資証券を保有) あり(不動産の所有権)
利回り 3〜5%程度 物件により異なる
元本保証 なし(価格変動リスク) なし(価格下落リスク)

REIT投資を始める際は、以下の点に注意してください。

注意点:

  • 元本や利回りは保証されていない
  • 金利上昇局面では価格が下落する傾向
  • 配当控除は適用されない(NISA活用で非課税化可能)
  • 景気動向により収益が減少する可能性

REITは専門知識不要で少額から始められる不動産投資ですが、価格変動リスクや金利リスクを理解した上で投資することが重要です。

複数のREITに分散投資し、NISA口座を活用することで、リスクを抑えながら効率的に運用できます。詳しくは証券会社やファイナンシャルプランナーにご相談ください。

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

広告

よくある質問

Q1REITは最低いくらから投資できますか?

A1REITは1万円程度から投資できます。証券取引所に上場されているため、株式と同様に少額から購入可能です。現物不動産投資では数百万〜数千万円の初期費用が必要ですが、REITは資金に余裕のない投資初心者でも始められる点が大きなメリットです。

Q2REITの利回りはどれくらいですか?

A2REITの利回りは一般的に3〜5%程度が目安です。収益の90%超を分配する税制優遇により、銀行預金や国債と比較して高い利回りを実現しています。ただし、元本や利回りは保証されておらず、市場環境や金利動向により変動します。投資判断は慎重に行う必要があります。

Q3REITと現物不動産投資の違いは何ですか?

A3REITは所有権を持たず投資証券として保有します。少額投資が可能で、流動性が高く、管理の手間がありません。一方、現物不動産投資は所有権を持ち、初期費用が高額で、流動性が低く、テナント募集や修繕などの管理が必要です。少額から始めたい方や管理の手間を避けたい方にはREITが適しています。

Q4REITの配当に税金はかかりますか?

A4REITの配当には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が課税されます。株式の配当とは異なり、配当控除は適用されません。これは、投資法人の法人税が実質非課税のため、二重課税が発生しないためです。NISA口座を活用すれば、配当を非課税にすることができます。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事