固定資産税の税率とは
不動産を所有する方にとって、固定資産税は毎年納める大きな税負担の一つです。「固定資産税の税率は全国一律なのか」「自治体によって違うのか」という疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、固定資産税の標準税率と制限税率、自治体別の税率の違い、具体的な計算方法を、総務省や各自治体の公式情報を元に解説します。
初めて不動産を購入した方でも、固定資産税の税率の仕組みを正確に理解し、適正な納税額を把握できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税の標準税率は全国一律1.4%だが、市町村の判断により異なる税率を定めることができる
- 人口が少ない市町村ほど税率が高くなる傾向があり、1.5%、1.6%、1.7%の税率を定めている自治体がある
- 税率は同じでも、評価額の違いにより東京と大阪で税額に大きな差が生じる
- 住宅用地の特例や新築住宅の軽減措置により、実際の税額を抑えられる場合がある
- 2024年は3年に1回の評価替えの年で、材料費高騰の影響により税額が上がる可能性がある
固定資産税の基礎知識(標準税率と制限税率)
(1) 標準税率1.4%とは
固定資産税の標準税率は、総務省により全国一律**1.4%**と定められています。この標準税率は、市町村が税率を定める場合に通常よるべきものとされている税率です。
2023年度の固定資産税の税収は9兆8,073億円で、市町村税収の約41%を占める重要な財源となっています。
(2) 制限税率2.1%まで(市町村の裁量)
市町村は財政上の必要があるときは、標準税率と異なる税率を定めることができます。固定資産税の制限税率は**2.1%**までとされています。
ただし、多くの自治体では標準税率1.4%を適用しており、税率を変更している自治体は限られています。
(3) 税率が異なる市町村の特徴
人口が少ない市町村ほど税率が高くなる傾向があります。これは、人口が少ないと固定資産税の税収が少なくなるため、税率を上げることで財政を確保する必要があるためです。
税率が1.5%以上の自治体の例:
- 三重県名張市: 1.7%
- 岐阜県加茂郡七宗町: 1.7%
- その他、人口が少ない地域で1.5%、1.6%の税率を定めている自治体がある
自治体別の固定資産税率一覧
(1) 全国の標準税率1.4%適用自治体
ほとんどの市町村では、標準税率1.4%を適用しています。東京都、大阪府、京都府、愛知県等の大都市圏では、一般的に標準税率1.4%が適用されます。
(2) 税率が1.5%以上の自治体(人口が少ない市町村ほど高くなる傾向)
人口が少ない市町村では、財政上の必要から税率を1.5%以上に定めている場合があります。以下は税率が1.7%の自治体の例です。
| 自治体 | 税率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 三重県名張市 | 1.7% | 人口約7.5万人 |
| 岐阜県加茂郡七宗町 | 1.7% | 人口約3,000人 |
(出典: 各自治体公式サイト、2025年時点)
注意: 税率は変更される可能性があるため、必ずお住まいの市町村の公式サイトで最新情報をご確認ください。
(3) 東京23区(都税として課税、税率1.4%)と大阪市(税率1.4%)
東京23区内の固定資産税は、東京都主税局により都税として課税されます。税率は標準税率と同じ**1.4%**です。
大阪市でも、税率は標準税率**1.4%**が適用されています。
ただし、税率が同じでも、評価額の違いにより税額に大きな差が生じます。東京都の固定資産税評価額は坪単価115万5,000円、大阪府は坪単価38万800円と、地価の違いが税額に影響します。
固定資産税の計算方法と実例
(1) 計算式:固定資産税評価額 × 税率
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率
税率が標準税率1.4%の場合:
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%
(2) 課税標準額と評価額の違い(特例措置・負担調整措置)
課税標準額は、固定資産税の税額計算の基礎となる金額です。評価額をもとに算定されますが、特例措置や負担調整措置が適用される場合は評価額より低くなります。
住宅用地の特例:
- 200㎡までの部分: 評価額の6分の1に軽減
- 200㎡超で床面積の10倍までの部分: 評価額の3分の1に軽減
この特例により、住宅用地の実際の税額は大幅に抑えられます。
(3) 実例:東京都と大阪府の税額比較
土地50㎡(約15坪)、固定資産税評価額2,000万円の場合:
標準税率1.4%で計算:
東京都(評価額坪単価115.5万円):
- 評価額: 約1,733万円(115.5万円 × 15坪)
- 住宅用地の特例適用後: 約289万円(1,733万円 ÷ 6)
- 固定資産税額: 約4万円(289万円 × 1.4%)
大阪府(評価額坪単価38万円):
- 評価額: 約570万円(38万円 × 15坪)
- 住宅用地の特例適用後: 約95万円(570万円 ÷ 6)
- 固定資産税額: 約1.3万円(95万円 × 1.4%)
税率は同じでも、評価額の違いにより税額に大きな差が生じることがわかります。
税率以外に知っておくべきポイント(軽減措置・評価替え)
(1) 住宅用地の特例(200㎡まで6分の1、200㎡超で3分の1)
住宅用地には課税標準の特例措置があり、200㎡までの部分は課税標準が6分の1に軽減されます。200㎡超で床面積の10倍までの部分は3分の1に軽減されます。
この特例により、住宅用地の固定資産税は大幅に抑えられます。
(2) 新築住宅の軽減措置(税額が2分の1)
新築住宅が一定要件を満たす場合、新築後一定期間、固定資産税額が2分の1に軽減されます。
軽減期間:
- 一般住宅: 新築後3年間
- 3階建以上の耐火・準耐火建築物: 新築後5年間
(3) 評価替え(3年に1回:2024年、2027年等)
固定資産税の評価額は3年に1回見直されます。土地と家屋は2024年、2027年等に評価替えが実施されます。
2024年は材料費高騰の影響で、木造家屋は1.11、非木造家屋は1.07の再建築費評点補正率が適用され、固定資産税が上がる可能性があります。
(4) 免税点(土地30万円、家屋20万円未満は課税されない)
課税評価額が免税点未満であれば課税されません。
- 土地: 30万円未満
- 家屋: 20万円未満
まとめ:固定資産税率を理解して適正な納税を
固定資産税の標準税率は全国一律1.4%ですが、市町村の判断により異なる税率を定めることができます。人口が少ない市町村ほど税率が高くなる傾向があり、1.5%、1.6%、1.7%の税率を定めている自治体があります。
税率は同じでも、評価額の違いにより東京と大阪で税額に大きな差が生じます。住宅用地の特例や新築住宅の軽減措置により、実際の税額を抑えられる場合があります。
2024年は3年に1回の評価替えの年で、材料費高騰の影響により税額が上がる可能性があります。お住まいの市町村の公式サイトで最新の税率を確認し、適正な納税を心がけましょう。


