1. 固定資産税が変更される仕組みとタイミング
固定資産税の評価額が変更され、「税額が上がった」と感じた経験をお持ちの方もいるでしょう。
この記事では、総務省や各自治体の公式情報を元に、固定資産税の評価額の見直しタイミング、異議申し立ての方法、減額の可能性について解説します。
固定資産税の評価や課税に疑問をお持ちの方でも、仕組みと対処法を理解できるようになります。
この記事のポイント
- 評価替えは3年に1度。2024年度が基準年度、2025年度・2026年度は据置年度
- 評価額が上昇しても負担調整措置により税負担は段階的に上昇する仕組み
- 異議申し立て期限は納税通知書受付後3ヶ月以内(期限厳守が必須)
- 新築住宅軽減、住宅用地特例、耐震改修軽減など減額制度あり(申告が必要)
(1) 評価替えは3年に1度
固定資産税の評価替えは、3年に1度実施されます。
評価替えの仕組み
- 実施頻度: 3年に1度
- 基準年度: 評価替えが実施される年度(直近は2024年度)
- 据置年度: 基準年度の翌年度・翌々年度(2025年度・2026年度)
据置年度では原則として評価額が据え置かれますが、分筆や新築、増改築などの特別な事情がある場合は見直されます。
(参考: 固定資産の評価替え - 大阪市)
(2) 2024年度が基準年度、2025年度・2026年度は据置年度
2024年度(令和6年度)が直近の基準年度で、2025年度・2026年度は据置年度です。
基準年度と据置年度
- 2024年度(令和6年度): 基準年度(評価替え実施)
- 2025年度(令和7年度): 据置年度(原則据え置き)
- 2026年度(令和8年度): 据置年度(原則据え置き)
- 2027年度(令和9年度): 次の基準年度(評価替え実施予定)
据置年度でも、地価が下落している地域では価格修正が可能な措置があります。
(3) 負担調整措置による段階的な税額変更
評価額が上昇した場合でも、負担調整措置により税負担は段階的に上昇するよう設計されています。
負担調整措置の仕組み
- 評価額上昇時: 一気に税額が増えない仕組み
- 段階的な調整: 数年かけて税額を引き上げ
- 急激な負担増の防止: 納税者への配慮
負担調整措置は市町村の方針により異なる場合があるため、詳細は各地域の税務担当課に確認してください。
2. 固定資産税評価額の決定方法と評価替え
(1) 土地の評価方法(路線価・標準宅地)
土地の評価は、路線価や標準宅地を基準に行われます。
土地の評価方法
- 路線価: 道路に面する土地の1平方メートルあたりの価格
- 標準宅地: 地域の代表的な宅地の価格
- 評価額: 路線価×面積×補正率
土地の評価は国税庁の路線価を参考に、市町村が独自に評価します。
(参考: No.4602 土地家屋の評価 - 国税庁)
(2) 家屋の評価方法(再建築価格方式)
家屋の評価は、再建築価格方式で行われます。
再建築価格方式とは、評価時点で同じ場所に同じ家屋を新築する場合に必要な建築費を基準に評価額を算出する方法です。
家屋の評価方法
- 再建築価格: 同じ家屋を新築する際の建築費
- 経年減点補正率: 建物の古さによる価値の減少を反映
- 評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率
(3) 再建築費評点補正率と物価変動の影響
再建築費評点補正率は、建築資材の物価変動を反映して毎年度見直される係数です。
2024年度の補正率
- 木造: 1.11(前年度から上昇)
- 非木造: 1.07(前年度から上昇)
物価上昇時は評価額が上がりやすくなるため、2024年度は評価額が上昇した物件が多く見られました。
(参考: 【最新2024年】土地・家屋の固定資産税評価の評価替えとは? - フジ相続税理士法人)
3. 評価額や税額に不服がある場合の異議申し立て
(1) 固定資産評価審査委員会への審査申出
評価額に不服がある場合、固定資産評価審査委員会への審査申出ができます。
審査申出の対象
- 固定資産税評価額に不服がある場合のみ
- 評価額以外(課税標準額、税額)は対象外
審査申出の期限は納税通知書受付後3ヶ月以内、かつ公示日から4ヶ月以内です。
(参考: 固定資産の価格等に不服がある場合 - 町田市)
(2) 市長への審査請求との違い
評価額以外(課税標準額、税額)に不服がある場合は、市長(知事)への審査請求を行います。
審査申出と審査請求の違い
| 項目 | 審査申出 | 審査請求 |
|---|---|---|
| 対象 | 評価額 | 課税標準額、税額 |
| 申出先 | 固定資産評価審査委員会 | 市長(知事) |
| 期限 | 納税通知後3ヶ月以内 | 納税通知後3ヶ月以内 |
(3) 申出期限(納税通知後3ヶ月以内)の厳守
異議申し立ての期限は厳格です。期限を過ぎると申し立て権を失います。
期限厳守の重要性
- 納税通知書受付後3ヶ月以内
- 公示日から4ヶ月以内
- 期限を過ぎると申し立て不可
納税通知書を受け取ったら、早期の確認と判断が重要です。
4. 固定資産税の軽減措置と減額の可能性
(1) 新築住宅軽減(3年間・5年間)
新築住宅に対する固定資産税の減額制度があります。
新築住宅軽減の内容
- 対象: 2026年3月31日までに新築された住宅
- 減額期間: 一般住宅は3年間、耐火構造は5年間
- 減額率: 1/2に減額
- 長期優良住宅: さらに2年間延長(合計5年間または7年間)
(参考: 住宅:新築住宅に係る税額の減額措置 - 国土交通省)
(2) 住宅用地特例(1/6・1/3に減額)
住宅用地に対して課税標準を減額する特例があります。
住宅用地特例の内容
- 小規模住宅用地(200平方メートル以下): 1/6に減額
- 一般住宅用地(200平方メートル超): 1/3に減額
住宅用地特例は自動的に適用される場合が多いですが、認定漏れがあるケースもあるため、確認が推奨されます。
(3) 耐震改修・バリアフリー改修の軽減
耐震改修やバリアフリー改修を行った場合、固定資産税の軽減措置があります。
各種軽減措置
- 耐震改修: 1/2に減額(一定期間)
- バリアフリー改修: 1/3に減額(一定期間)
- 省エネ改修: 1/3に減額(一定期間)
軽減措置を受けるには自ら申告手続きが必要です。申告しないと適用されないケースが多いため注意してください。
(参考: 固定資産税は減額できる?軽減措置の種類や条件、申請方法を解説 - HOME4U)
5. 異議申し立ての手続きと必要書類
(1) 審査申出書の記載方法
異議申し立てを行う場合、審査申出書を提出します。
審査申出書の記載内容
- 納税者の氏名・住所
- 対象となる固定資産(所在地、地目、面積等)
- 不服の内容(評価額が高すぎる理由等)
- 証拠資料(周辺の取引事例、鑑定評価額等)
(2) 必要書類(固定資産評価証明書等)
審査申出には、以下の書類が必要です。
必要書類
- 審査申出書
- 固定資産評価証明書
- 納税通知書のコピー
- 証拠資料(任意)
固定資産評価証明書は、市区町村の税務担当課で取得できます。
(3) 申立期間中の納税義務
異議申し立て中でも、納税義務は変わりません。
納税義務の継続
- 申立期間中でも納期限は延長されない
- 納付義務は変わらない
- 異議が認容された場合、納め過ぎの税金は返納される
- ただし、申立期間中の滞納金は請求される
期限内の納付が必須です。
6. まとめ:固定資産税の評価見直しと専門家相談のすすめ
固定資産税の評価替えは3年に1度実施され、2024年度が基準年度、2025年度・2026年度は据置年度です。評価額が上昇した場合でも、負担調整措置により税負担は段階的に上昇する仕組みになっています。
評価額に不服がある場合、固定資産評価審査委員会への審査申出ができますが、期限は納税通知書受付後3ヶ月以内(厳守が必須)です。評価額以外の課税標準額・税額に不服がある場合は、市長への審査請求を行います。
新築住宅軽減(2026年3月31日まで)、住宅用地特例、耐震改修・バリアフリー改修の軽減措置など、減額制度があります。ただし、自ら申告手続きが必要で、申告しないと適用されないケースが多いため注意してください。
評価額見直しは複雑な計算法に基づくため、納税者の自力判断では正確性の検証が困難です。異議申し立てを検討する場合は、不動産鑑定士や税理士への相談を強く推奨します。


