ネット銀行の住宅ローンとは?メリット・デメリットと選び方

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

ネット銀行の住宅ローンとは

住宅購入を検討する際、「ネット銀行の住宅ローンは金利が低い」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。一方で、「審査が厳しいのでは」「対面で相談できないのは不安」といった懸念もあるかもしれません。

この記事では、ネット銀行の住宅ローンの特徴、メリット・デメリット、審査の厳しさ、選び方のポイントを、最新の金利データや業界動向を踏まえて解説します。

初めて住宅ローンを検討する方でも、自分に合った住宅ローンを選べるようになります。

この記事のポイント

  • ネット銀行は店舗を持たない分コストを削減でき、金利を低めに設定できる(2025年1月時点で変動金利平均0.49%、メガバンク0.56%)
  • パソコンやスマホで24時間いつでも申し込みができ、銀行窓口のために仕事を休む必要がない
  • 団体信用生命保険(団信)が充実しており、がん・三大疾病保障が金利上乗せなしで付帯する銀行が多い
  • 審査基準が厳格で、自己資金比率、勤務先規模、勤続年数、雇用形態などを厳しく審査する
  • 事務手数料は借入額の2.2%程度と高額だが、保証料や繰上げ返済手数料が無料

ネット銀行の住宅ローンとは?メガバンクとの違い

ネット銀行の住宅ローンは、店舗を持たないネット専業銀行が提供する住宅ローンです。メガバンクと比較してどのような違いがあるのでしょうか。

(1) ネット銀行の定義:店舗を持たずオンラインで取引

ネット銀行とは、インターネット専業銀行のことで、店舗を持たずオンラインで取引を行う銀行です。

代表的なネット銀行には、以下のような銀行があります。

  • 住信SBIネット銀行
  • auじぶん銀行
  • PayPay銀行
  • ソニー銀行
  • 楽天銀行
  • イオン銀行

店舗を持たない分、人件費や店舗運営費を削減でき、その分を金利の低減やサービスの充実に還元しています。

(2) 金利比較(2025年1月時点:ネット銀行0.49% vs メガバンク0.56%)

2025年1月時点での変動金利の平均を比較すると、以下のようになります。

銀行種別 変動金利平均
ネット銀行 0.49%
メガバンク 0.56%
地方銀行 0.69%

ネット銀行の金利は、メガバンクより約0.07%、地方銀行より約0.2%低い水準です。

3,000万円を35年返済で借りた場合、金利0.49%と0.56%の差は、総返済額で約50万円の差になります。

(3) 手続きの違い(来店不要・24時間申込可)

ネット銀行の住宅ローンは、申し込みから契約まで全てオンラインで完結します。

メガバンク:

  • 店舗窓口での相談・手続きが必要
  • 営業時間内(平日9-15時)に来店
  • 対面で相談できる安心感

ネット銀行:

  • パソコン・スマホで24時間申込可
  • 来店不要で仕事を休む必要なし
  • 電話・チャットサポートのみ

ネット銀行住宅ローンのメリット-低金利・手続き簡便・団信充実

ネット銀行の住宅ローンには、以下のようなメリットがあります。

(1) 低金利の理由(店舗コスト削減で金利を抑える)

ネット銀行が低金利を実現できる理由は、店舗を持たないことによるコスト削減です。

削減できるコスト:

  • 店舗の賃料・維持費
  • 店舗窓口の人件費
  • 紙の書類・印刷費

こうしたコスト削減により、金利を低めに設定できます。

(2) 事前審査の早さ(最短数時間~翌営業日)

ネット銀行の住宅ローンは、事前審査の結果が早く出ます。

  • ネット銀行: 最短数時間、遅くとも翌営業日に結果
  • メガバンク: 数日~1週間程度

事前審査が早いため、物件購入のスケジュールを立てやすくなります。

(3) 団信の充実(がん・三大疾病保障が金利上乗せなし)

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン契約者が死亡・高度障害時にローン残高が保険で完済される保険です。

ネット銀行の団信は、以下のような保障が充実しています。

  • がん保障: がんと診断されたらローン残高が50%または100%免除
  • 三大疾病保障: がん・急性心筋梗塞・脳卒中でローン残高免除
  • 八大疾病保障: 三大疾病に加え、高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎でも保障

多くのネット銀行では、こうした保障が金利上乗せなしで付帯します(メガバンクは金利+0.1-0.3%が一般的)。

(4) 保証料・繰上返済手数料が無料

ネット銀行の住宅ローンは、以下の手数料が無料です。

  • 保証料: 保証会社に支払う手数料。メガバンクは借入額の2%程度(3,000万円なら60万円)が相場だが、ネット銀行は多くが無料
  • 繰上返済手数料: 毎月の返済とは別に、ローン残高の一部または全額を返済する際の手数料。ネット銀行は無料、メガバンクは1回あたり数千円~数万円

ネット銀行住宅ローンのデメリット-対面相談なし・審査厳格・事務手数料高額

一方で、ネット銀行の住宅ローンには以下のようなデメリットもあります。

(1) 対面相談できないため多額借入時に不安

ネット銀行は店舗を持たないため、対面で相談できません。

多額の借入を進める際には、以下のような不安材料になる可能性があります。

  • 返済計画の相談ができない
  • 契約内容の詳細な説明を直接受けられない
  • トラブル時の対応が不安

不安な場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)や住宅ローンアドバイザーへの事前相談を推奨します。

(2) 審査基準が厳格(自己資金比率・勤務先規模・勤続年数・雇用形態を厳しく審査)

ネット銀行は、業界最低水準の金利を実現するため、審査基準も厳しめです。

厳しく審査される項目:

  • 自己資金比率: 物件価格に対する自己資金の割合(20%以上が望ましい)
  • 勤務先規模: 大企業・公務員が有利、中小企業は不利になる場合も
  • 勤続年数: 3年以上が目安、転職直後は不利
  • 雇用形態: 正社員が有利、契約社員・派遣社員は審査通過が難しい場合も

(3) 事務手数料が高額(借入額の2.2%、3,000万円なら66万円)

ネット銀行の住宅ローンは、保証料が無料の代わりに事務手数料が高額です。

事務手数料の比較:

  • ネット銀行: 借入額の2.2%程度(3,000万円なら66万円)
  • メガバンク: 定額3-5万円程度

ただし、メガバンクは保証料が借入額の2%程度(3,000万円なら60万円)かかるため、総合的なコストはネット銀行の方が安くなる場合が多いです。

(4) 審査期間が長い(平均1ヶ月 vs メガバンク3週間)

ネット銀行の住宅ローンは、審査期間が長い傾向があります。

  • ネット銀行: 平均1ヶ月程度
  • メガバンク: 3週間程度

審査期間が長いため、物件購入のスケジュールに余裕を持つ必要があります。

審査の厳しさと審査期間-審査基準と必要書類

ネット銀行の住宅ローン審査は、なぜ厳しいのでしょうか。審査の流れと必要書類も確認しましょう。

(1) なぜ審査が厳しいのか(業界最低水準金利のためリスク管理を慎重化)

ネット銀行の住宅ローンは、業界最低水準の金利を実現するため、収益が小さい傾向があります。

そのため、リスク管理を慎重に行う必要があり、審査基準も厳しくなります。

審査が厳しい理由:

  • 低金利で利益率が低い
  • 貸し倒れリスクを最小限に抑える必要
  • 属性の良い顧客(返済能力が高い顧客)を選別

(2) 審査の流れ(事前審査→本審査→契約→融資実行)

住宅ローンの審査は、以下の流れで進みます。

  1. 事前審査(仮審査): 最短数時間~翌営業日で結果。簡易的な審査
  2. 本審査: 事前審査通過後に必要書類を提出。通常2週間~1ヶ月程度
  3. 契約: 本審査通過後に契約書を締結
  4. 融資実行: 契約締結後、引渡し日に融資が実行される

(3) 必要書類(本人確認書類・収入証明・物件関連書類)

本審査では、以下のような書類が必要です。

本人確認書類:

  • 運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等

収入証明書類:

  • 源泉徴収票(会社員)
  • 確定申告書(自営業)
  • 給与明細(直近3ヶ月分)

物件関連書類:

  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 登記簿謄本
  • 建築確認済証(新築の場合)

ネット銀行住宅ローンの選び方-金利・団信・手数料の比較ポイント

ネット銀行の住宅ローンを選ぶ際の比較ポイントを確認しましょう。

(1) 金利タイプの選び方(変動金利・固定金利のメリット・デメリット)

住宅ローンには、変動金利と固定金利の2種類があります。

変動金利:

  • メリット: 金利が低い(2025年1月時点で0.49%程度)
  • デメリット: 市場金利の変動に応じて適用金利が変わる。将来上昇リスクあり

固定金利:

  • メリット: 借入期間中の金利が固定される。将来の返済額が確定し安心
  • デメリット: 変動金利より高い(2025年1月時点で1.5-2.0%程度)

金利上昇リスクを避けたい方は固定金利、低金利を優先したい方は変動金利がおすすめです。

(2) 団信の保障内容比較(がん・三大疾病・八大疾病)

団信の保障内容は、銀行により異なります。

銀行 がん保障 三大疾病保障 八大疾病保障
住信SBIネット銀行 ○(金利上乗せなし)
auじぶん銀行 ○(50%保障) ×
PayPay銀行 ○(100%保障)
ソニー銀行 ○(金利+0.1%) ×

※2025年1月時点の情報。詳細は各銀行の公式サイトで確認してください。

(3) 事務手数料と保証料の総合比較

事務手数料と保証料の総額を比較しましょう。

3,000万円を借りた場合の例:

銀行種別 事務手数料 保証料 合計
ネット銀行 66万円(2.2%) 無料 66万円
メガバンク 3-5万円 60万円(2%) 63-65万円

総合的なコストは同程度ですが、ネット銀行は初期費用(事務手数料)が高く、メガバンクは分割払い(保証料)が可能な場合があります。

(4) 2025年オリコン顧客満足度ランキング活用

2025年のオリコン顧客満足度調査では、ネット銀行の住宅ローンランキングが発表されています。

顧客満足度の高い銀行を選ぶことで、サポートの質やサービスの充実度を確保できます。

ランキングは、以下のような項目で評価されています。

  • 金利の満足度
  • 手数料・保証料
  • 手続きの簡便性
  • サポート体制
  • 団信の充実度

まとめ:自分に合った住宅ローンの選び方

ネット銀行の住宅ローンは、店舗を持たない分コストを削減でき、金利を低めに設定できます。2025年1月時点で変動金利平均0.49%、メガバンク0.56%です。

団体信用生命保険(団信)が充実しており、がん・三大疾病保障が金利上乗せなしで付帯する銀行が多いです。保証料や繰上げ返済手数料が無料な点も魅力です。

一方で、審査基準が厳格で、自己資金比率、勤務先規模、勤続年数、雇用形態などを厳しく審査します。事務手数料は借入額の2.2%程度と高額ですが、総合的なコストはメガバンクと同程度です。

低金利を優先したい方、自己資金が十分にある方、審査に通る自信がある方は、ネット銀行の住宅ローンがおすすめです。対面相談を希望する方、審査に不安がある方は、メガバンクとの併願や、FP・住宅ローンアドバイザーへの相談を検討しましょう。

金利タイプ、団信の保障内容、事務手数料を比較し、自分に合った住宅ローンを選ぶことが重要です。

よくある質問

Q1ネット銀行の住宅ローンとメガバンクの違いは?

A1ネット銀行は店舗を持たない分、人件費や店舗運営費を削減でき、金利を低めに設定できます。2025年1月時点で、ネット銀行の変動金利平均は0.49%、メガバンクは0.56%です。オンラインで手続きが完結し、24時間いつでも申し込みができます。一方、メガバンクは店舗窓口での対面相談が可能で、初めての住宅ローンで不安な方に向いています。

Q2ネット銀行の住宅ローン審査は厳しい?

A2ネット銀行は業界最低水準の金利を実現するため、収益が小さく、リスク管理を慎重に行う必要があります。そのため、審査基準も厳しめです。自己資金比率(20%以上が望ましい)、勤務先規模(大企業・公務員が有利)、勤続年数(3年以上が目安)、雇用形態(正社員が有利)などを厳しく審査します。審査に不安がある方は、メガバンクとの併願も検討しましょう。

Q3対面相談できないのは不安だが大丈夫?

A3ネット銀行は店舗を持たないため、対面での相談はできません。多額の借入で不安な場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)や住宅ローンアドバイザーへの事前相談を推奨します。また、メガバンクと併願して、対面相談できる選択肢も残しておくことをおすすめします。ネット銀行でも電話・チャットサポートは充実しているため、不明点は問い合わせできます。

Q4事務手数料が高いのはなぜ?

A4ネット銀行は保証料が無料の代わりに、事務手数料が借入額の2.2%程度と高額です。3,000万円を借りた場合、66万円かかります。一方、メガバンクは事務手数料が定額3-5万円程度ですが、保証料が借入額の2%程度(3,000万円なら60万円)かかります。総合的なコストは同程度ですが、ネット銀行は初期費用が高く、メガバンクは分割払いが可能な場合があります。

Q5審査期間はどのくらいかかる?

A5ネット銀行の住宅ローンは、事前審査が最短数時間~翌営業日で結果が出ます。本審査は平均1ヶ月程度かかります(メガバンクは3週間程度)。審査期間が長いため、物件購入のスケジュールに余裕を持つ必要があります。引渡し日が決まっている場合は、早めに審査を開始しましょう。

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Room Match編集部

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