新築一戸建て購入の完全ガイド:流れと成功のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/19

新築一戸建て購入の基礎知識

新築一戸建ての購入を検討する際、「どんな流れで進めるのか」「建売と注文住宅のどちらを選ぶべきか」「予算はどれくらい必要なのか」と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、新築一戸建て購入の基本的な流れ、建売住宅と注文住宅の違い、価格相場、住宅ローン控除や補助金などの税制優遇を、国土交通省の公式情報を元に解説します。

初めて新築一戸建てを購入する方でも、購入の流れを理解し、自分に合った選択ができるようになります。

この記事のポイント

  • 建売住宅は土地・建物セットで平均約3,605万円、入居まで約1ヶ月。注文住宅は自由設計で平均約4,455万円、契約から約1年かかる
  • 新築一戸建ての諸費用は物件価格の5〜10%が目安(仲介手数料、登録免許税、印紙税など)
  • 2024年以降、住宅ローン控除を受けるには省エネ基準適合が原則必須。年末残高の0.7%を最大13年間控除
  • 子育て世帯向けには子育てエコホーム支援事業で最大100万円の補助金が受けられる
  • 引渡し前の内覧検査で傷・汚れ・不具合を徹底的にチェックすることが重要

(1) 新築一戸建て購入の流れ

新築一戸建て購入は、以下のステップで進みます。

  1. 情報収集: 物件検索サイト、ハウスメーカー、不動産会社で物件情報を集める
  2. 内見: 気になる物件を実際に見学し、間取り・設備・立地を確認
  3. 購入申し込み: 購入意思を示し、住宅ローンの事前審査を受ける
  4. 売買契約: 重要事項説明を受け、契約書に署名・押印(手付金の支払い)
  5. 住宅ローン本審査: 金融機関の本審査を受け、融資承認を得る
  6. 引渡し前検査: 傷・汚れ・不具合を徹底的にチェック(引渡し後の修理は有料になる可能性がある)
  7. 決済・引き渡し: 残代金を支払い、鍵を受け取る
  8. 入居: 新生活スタート

建売住宅の場合は申し込みから引渡しまで約1ヶ月、注文住宅の場合は契約から引渡しまで約1年かかるのが一般的です。

(2) 引渡しまでの期間(建売約1ヶ月・注文約1年)

新築一戸建ての引渡しまでにかかる期間は、建売住宅と注文住宅で大きく異なります。

項目 建売住宅 注文住宅
引渡しまでの期間 約1ヶ月 約1年
特徴 既に完成しているか、建築中 契約後に設計・建築を開始

建売住宅は土地と建物がセットで販売され、既に完成しているか建築中のため、入居まで短期間で済みます。一方、注文住宅は契約後に設計・建築を開始するため、引渡しまで約1年かかります。

「いつまでに入居したいか」を明確にし、引渡し時期を考慮して物件を選ぶことが重要です。

(3) 購入諸費用の目安(物件価格の5〜10%)

新築一戸建て購入時には、物件価格以外に諸費用がかかります。諸費用は物件価格の5〜10%が目安で、以下のような内訳があります。

項目 内容 目安額(物件価格3,500万円の場合)
仲介手数料 物件価格の3%+6万円+消費税 約122万円(建売住宅の場合)
住宅ローン諸費用 融資手数料、保証料、印紙税 約30〜80万円
登録免許税 所有権移転登記、抵当権設定登記 約10〜30万円
印紙税 売買契約書、金銭消費貸借契約書 約1〜3万円
火災保険料 10年一括払い 約20〜40万円
その他 引越し費用、家具・家電購入費等 -

諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金で用意する必要があります。物件価格3,500万円の場合、諸費用は約175〜350万円かかると見込んでください。

建売住宅と注文住宅の違いと選び方

新築一戸建てには「建売住宅」と「注文住宅」の2つの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルに合った選択をしましょう。

(1) 建売住宅の特徴(土地・建物セット、平均約3,605万円)

建売住宅は、土地と建物がセットで販売される新築一戸建てです。以下のような特徴があります。

  • 価格: 全国平均約3,605万円(2024年フラット35利用者調査)
  • 引渡し期間: 約1ヶ月
  • 間取り: 既に決まっている(変更不可)
  • 設備: 標準装備が決まっている
  • 購入層: 早く入居したい方、予算を抑えたい方

建売住宅は既に完成しているか建築中のため、実際の間取りや設備を確認してから購入できる点がメリットです。また、注文住宅より平均約850万円安く購入できます。

(2) 注文住宅の特徴(自由設計、平均約4,455万円)

注文住宅は、施主が購入・所有する土地に自由設計で建てる住宅です。以下のような特徴があります。

  • 価格: 全国平均約4,455万円(2024年フラット35利用者調査)
  • 引渡し期間: 契約から約1年
  • 間取り: 施主が自由に設計できる
  • 設備: 施主が選択できる
  • 購入層: 自分好みの住まいを実現したい方、時間に余裕がある方

注文住宅は間取り・設備を自由に選べるため、ライフスタイルに合わせた住まいを実現できます。ただし、建売住宅より高額で、引渡しまで時間がかかる点に注意が必要です。

(3) メリット・デメリットの比較

建売住宅と注文住宅のメリット・デメリットを比較しましょう。

比較項目 建売住宅 注文住宅
価格 安い(平均約3,605万円) 高い(平均約4,455万円)
引渡し期間 短い(約1ヶ月) 長い(約1年)
間取り・設備 決まっている 自由に選べる
完成品の確認 可能 不可(完成まで不確定要素がある)
予算管理 しやすい 難しい(オプションで予算超過のリスク)

(4) 向いている人の特徴

建売住宅と注文住宅、それぞれ向いている人の特徴は以下の通りです。

建売住宅が向いている人

  • 早く入居したい(転勤・子供の入学等の理由)
  • 予算を抑えたい
  • 間取りや設備に強いこだわりがない
  • 完成品を確認してから購入したい

注文住宅が向いている人

  • 自分好みの住まいを実現したい
  • 間取りや設備にこだわりがある
  • 時間に余裕がある(引渡しまで約1年)
  • 予算に余裕がある(建売より平均約850万円高い)

新築一戸建ての価格相場と予算の立て方

新築一戸建ての価格相場は地域により大きく異なります。全国平均と地域別の相場を確認し、無理のない予算を立てましょう。

(1) 全国平均相場(建売約3,826万円)

2024年のフラット35利用者調査によると、建売住宅の全国平均価格は約3,826万円です。

住宅タイプ 全国平均価格
建売住宅 約3,826万円
注文住宅(土地購入費含む) 約4,455万円
価格差 約850万円

建売住宅の方が注文住宅より平均約850万円安く、予算を抑えて新築一戸建てを購入できます。

(2) 地域別相場(首都圏4,544万円・東京23区6,915万円)

新築一戸建ての価格相場は地域により大きく異なります。2024年7月時点の地域別相場は以下の通りです。

地域 建売住宅の平均価格
全国平均 約3,826万円
首都圏 約4,544万円
東京23区 約6,915万円
近畿圏 約3,500〜4,000万円(推定)
その他地域 約3,000〜3,500万円(推定)

東京23区の平均価格は全国平均の約1.8倍と、地域による価格差が大きいことがわかります。物件を探す際は、希望エリアの相場を事前に確認しましょう。

(3) 建売と注文の価格差(平均約850万円)

建売住宅と注文住宅の価格差は平均約850万円です。この価格差の主な理由は以下の通りです。

  • 設計費用: 注文住宅は個別設計のため設計費用がかかる
  • 施工効率: 建売住宅は複数戸をまとめて建築するため、スケールメリットで建築コストを抑えられる
  • 仕様の自由度: 注文住宅は設備や仕様を自由に選べるため、グレードアップすると高額になる

予算に余裕がない場合は建売住宅、自由設計にこだわりたい場合は注文住宅を選ぶと良いでしょう。

(4) 諸費用と維持費の計画

新築一戸建て購入時には、物件価格だけでなく諸費用と維持費も考慮した資金計画が必要です。

諸費用(物件価格の5〜10%)

物件価格3,500万円の場合、諸費用は約175〜350万円が目安です(前述の表を参照)。

維持費(年間約30〜50万円)

新築一戸建て購入後は、以下の維持費が毎年かかります。

項目 目安額(年間)
固定資産税 約10〜20万円
火災保険料 約2〜4万円
修繕費 約10〜20万円(10年後の外壁塗装等に備える)
光熱費 約15〜25万円

住宅ローンの返済に加え、年間約30〜50万円の維持費がかかることを見込んで、資金計画を立てましょう。

住宅ローン控除と補助金・優遇制度

新築一戸建て購入時には、税制優遇や補助金を活用することで費用を抑えることができます。ただし、2024年以降は制度が変更されているため、最新の情報を確認することが重要です。

(1) 住宅ローン控除の概要(年末残高の0.7%を最大13年間)

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して家を購入した場合、年末のローン残高の0.7%が最大13年間、所得税や住民税から控除される制度です。

控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 住宅ローン: 返済期間10年以上の住宅ローンを利用
  • 床面積: 床面積が50㎡以上(登記簿上の面積)
  • 入居時期: 取得から6カ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで居住
  • 省エネ基準: 2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は省エネ基準適合が原則必須

詳細は国土交通省の公式サイトでご確認ください。

(2) 2024年以降の適用条件(省エネ基準適合が原則必須)

2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、住宅ローン控除を受けるには省エネ基準適合が原則必須となりました。

省エネ基準とは、建物の断熱性能などに関する基準で、省エネ性能の高い住宅への需要が高まっています。物件を検討する際は、省エネ基準に適合しているかを必ず確認してください。

(3) 子育て世帯向け借入限度額(最大5,000万円)

住宅ローン控除の借入限度額は、住宅の性能や世帯の種類により異なります。

世帯の種類 借入限度額
子育て世帯 最大5,000万円
それ以外の世帯 最大4,500万円

子育て世帯は借入限度額が高く設定されており、住宅ローン控除をより多く受けることができます。

(4) 子育てエコホーム支援事業(最大100万円補助)

子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯向けの新築住宅補助金で、最大100万円の補助が受けられます(2024年)。

対象世帯:

  • 子育て世帯:18歳未満の子供がいる世帯
  • 若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯

補助金額:

  • 最大100万円(住宅の性能により異なる)

注意点:

  • 予算上限に達すると、条件を満たしていても補助金を受け取れない可能性があるため、早めの申請が重要

詳細はHOME4Uの公式サイトでご確認ください。

(5) その他の補助金(給湯省エネ2024事業・ZEH補助金)

新築一戸建て購入時には、以下のような補助金も活用できます。

給湯省エネ2024事業

省エネ性能の高い給湯器を導入する際に補助金が受けられます。

給湯器の種類 補助金額
エコキュート 8万円
ハイブリッド給湯機 10万円
エネファーム 18万円

ZEH補助金

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになる住宅です。ZEH補助金では、ZEH基準を満たす住宅に最大100万円の補助が受けられます。

購入時の注意点と失敗しないポイント

新築一戸建て購入時には、以下のポイントを必ずチェックしましょう。購入後に後悔しないよう、事前の確認が重要です。

(1) 引渡し前の内覧検査と不具合チェック

引渡し前の内覧検査では、傷・汚れ・不具合を徹底的にチェックしましょう。引渡し後の修理は有料になる可能性があるため、事前確認が重要です。

チェックポイント:

  • 壁・床・天井の傷や汚れ
  • ドア・窓の開閉状態
  • 水回り(キッチン・浴室・トイレ)の動作確認
  • 電気・照明の動作確認
  • 外壁・屋根の状態

不具合を発見したら、引渡し前に販売会社に報告し、修理を依頼してください。

(2) 地盤調査と災害リスクの確認

新築一戸建てを購入する際は、地盤の状態や過去の土地利用を確認し、災害リスクを把握しましょう。

確認方法:

  • 市町村のホームページでハザードマップを確認
  • 古地図で過去の土地利用を調査
  • 地盤調査報告書を販売会社に確認

地盤が弱い場合は、地盤改良工事が必要になる場合があります。販売会社に地盤改良の有無と費用を確認してください。

(3) アフターサービスと10年間の瑕疵担保期間

新築住宅には、構造上重要な部分に10年間の瑕疵担保期間があります。この期間中に欠陥が見つかった場合、売主が責任を負い、無償で修理を行います。

ただし、アフターサービスの内容や保証期間は販売元によって異なります。購入前に以下の点を確認しましょう。

  • 瑕疵担保保険の加入有無
  • アフターサービスの内容(定期点検の回数・内容等)
  • 保証期間(10年を超える保証があるか)

(4) オプション装備(網戸・カーテンレール等)の確認

新築一戸建てでは、網戸やカーテンレールなどがオプション扱いで別途費用が必要な場合があります。標準装備の範囲を事前に確認し、オプション費用を予算に含めましょう。

オプションになりやすい設備:

  • 網戸
  • カーテンレール
  • 照明器具
  • エアコン
  • テレビアンテナ

オプション費用が予想外に高額になることがあるため、見積もりを取って予算を確認してください。

(5) 補助金の予算上限と早めの申請

補助金は予算上限に達すると、条件を満たしていても受け取れない可能性があります。早めの申請が重要です。

例えば、子育てエコホーム支援事業は2024年に実施されていますが、予算上限に達すると申請受付が終了します。補助金を活用したい場合は、早めに物件を決定し、申請手続きを進めましょう。

まとめ:新築一戸建て購入成功のための行動計画

新築一戸建て購入は、人生で最も高額な買い物の一つです。建売住宅と注文住宅の違いを理解し、自分のライフスタイルに合った選択をしましょう。

建売住宅は土地・建物セットで平均約3,605万円、入居まで約1ヶ月と短期間で済みます。注文住宅は自由設計で平均約4,455万円、契約から約1年かかりますが、自分好みの住まいを実現できます。

2024年以降、住宅ローン控除を受けるには省エネ基準適合が原則必須となったため、物件を検討する際は省エネ基準に適合しているかを必ず確認してください。

子育て世帯向けには子育てエコホーム支援事業で最大100万円の補助金が受けられます。ただし、予算上限に達すると受け取れない可能性があるため、早めの申請が重要です。

購入諸費用(物件価格の5〜10%)と維持費(年間約30〜50万円)を含めた総合的な資金計画を立て、信頼できるハウスメーカーや不動産会社に相談しながら、無理のない新築一戸建て購入を進めてください。

よくある質問

Q1建売住宅と注文住宅はどちらが安いですか?

A1建売住宅が平均約850万円安く購入できます。建売住宅は全国平均約3,605万円、注文住宅は全国平均約4,455万円です(2024年フラット35利用者調査)。また、引渡しまでの期間も建売住宅は約1ヶ月、注文住宅は約1年と大きく異なります。建売住宅は既に完成しているか建築中のため、実際の間取りや設備を確認してから購入できる点がメリットです。予算を抑えて早く入居したい方は建売住宅、自由設計にこだわりたい方は注文住宅を選ぶと良いでしょう。

Q22024年以降の住宅ローン控除の条件は?

A22024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、住宅ローン控除を受けるには省エネ基準適合が原則必須となりました。年末のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税や住民税から控除されます。借入限度額は子育て世帯が最大5,000万円、それ以外の世帯が最大4,500万円です。省エネ基準とは建物の断熱性能などに関する基準で、物件を検討する際は省エネ基準に適合しているかを必ず確認してください。詳細は[国土交通省の公式サイト](https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html)でご確認ください。

Q3新築一戸建ての諸費用はいくらかかりますか?

A3新築一戸建ての諸費用は物件価格の5〜10%が目安です。主な内訳は、仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)、住宅ローン諸費用(融資手数料・保証料・印紙税で約30〜80万円)、登録免許税(約10〜30万円)、火災保険料(10年一括払いで約20〜40万円)などです。例えば物件価格3,500万円の場合、諸費用は約175〜350万円かかります。諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金で用意が必要です。

Q4子育て世帯向けの補助金はありますか?

A4子育てエコホーム支援事業で、子育て世帯・若者夫婦世帯向けに最大100万円の補助金が受けられます(2024年)。子育て世帯は18歳未満の子供がいる世帯、若者夫婦世帯は夫婦のいずれかが39歳以下の世帯が対象です。ただし、予算上限に達すると条件を満たしていても補助金を受け取れない可能性があるため、早めの申請が重要です。また、給湯省エネ2024事業(エコキュート8万円、ハイブリッド給湯機10万円等)やZEH補助金(最大100万円)も活用できます。

Q5新築一戸建ての瑕疵担保期間は?

A5新築住宅には、構造上重要な部分に10年間の瑕疵担保期間があります。この期間中に欠陥が見つかった場合、売主が責任を負い、無償で修理を行います。ただし、アフターサービスの内容や保証期間は販売元によって異なるため、購入前に瑕疵担保保険の加入有無、アフターサービスの内容(定期点検の回数・内容等)、保証期間(10年を超える保証があるか)を確認することが重要です。また、引渡し前の内覧検査で傷・汚れ・不具合を徹底的にチェックしましょう。

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Room Match編集部

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