なぜ今、住宅ローン金利の過去10年推移を知るべきか
住宅ローンを組む際、「変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか」という悩みは多くの方が抱える課題です。
この記事では、過去10年(2014-2024年)の住宅ローン金利推移を変動・固定別に分析し、日銀の金融政策や経済環境との関連、今後の見通しを解説します。
住宅金融支援機構の公式統計と日本銀行の政策金利データを元に、金利タイプ選択の判断基準を提示します。
この記事のポイント
- 過去10年は日銀の異次元緩和政策により変動金利0.3-0.6%、フラット35 1.0-1.9%の超低金利が継続
- 2024年3月のマイナス金利解除を起点に金利上昇局面へ転換、2025年12月の政策金利は0.75%(30年ぶり)
- 変動金利は短期プライムレート連動、固定金利は長期金利(10年国債利回り)連動で決定される
- 2026年までに政策金利1%到達予測、変動金利は5-10年かけて段階的に上昇する見通し
- 変動金利は5年ルール・125%ルールで急激な負担増を抑制するが、元金返済の遅れに注意が必要
2024年3月マイナス金利解除で転換期を迎えた住宅ローン市場
2024年3月、日本銀行がマイナス金利政策を解除したことで、住宅ローン市場は大きな転換期を迎えました。2016年1月から約8年間続いたマイナス金利政策の終了により、住宅ローン金利は上昇局面に入っています。
SBI新生銀行によると、2024年3月のマイナス金利解除、7月の政策金利0.25%、2025年1月の0.5%、12月の0.75%と段階的に引き上げられました。
過去10年は超低金利時代、今後は上昇局面の可能性
過去10年(2014-2024年)は、日銀の異次元緩和政策により変動金利0.3-0.6%台、フラット35は1.0-1.9%程度の超低金利時代でした。しかし、2024年3月以降は金利上昇局面に転じ、今後も上昇が続く可能性が高いとされています。
過去の推移を知ることで将来のリスクを予測できる
過去10年の金利推移を理解することで、将来の金利変動リスクを予測し、適切な金利タイプを選択できます。変動金利と固定金利のどちらが自分のライフプランに合っているかを判断する材料となります。
住宅ローン金利の基礎知識(変動・固定の仕組み)
住宅ローンの金利タイプを理解することは、適切な選択をするための第一歩です。
変動金利とは:短期プライムレート連動型
変動金利は、短期プライムレート(銀行が優良企業に短期で貸し出す際の最優遇金利)に連動して半年ごとに見直される金利です。金利変動リスクがありますが、固定金利より低金利であることが魅力です。
2024年9月には、短期プライムレートが約17年ぶりに引き上げられ、1.475%から1.625%になりました。これにより変動金利にも影響が出ています。
固定金利とは:長期金利(10年国債利回り)連動型
固定金利は、借入時の金利が返済期間中一定に保たれる金利です。長期金利(新発10年物国債の利回り)に連動して決定されます。金利変動リスクがないため、返済計画が立てやすいですが、変動金利より金利が高めに設定されます。
フラット35の特徴と全期間固定金利の仕組み
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。最長35年間金利が固定されるため、金利上昇リスクを回避できます。
2025年12月のフラット35金利は1.970%(前月比+0.07%)で、2016年8月の史上最低0.90%から約2倍に上昇しています。
5年ルール・125%ルールとは(変動金利の保護機能)
変動金利には、返済者を保護する2つのルールがあります。
- 5年ルール: 金利変動があっても5年間は返済額が変わらないルール
- 125%ルール: 返済額見直し時も前回返済額の125%までに抑えるルール
これらのルールにより、急激な返済負担増を防ぎますが、元金返済が進まず未払い利息が発生するリスクがあります。
過去10年(2014-2024年)の金利推移データ
過去10年の住宅ローン金利は、異例の超低金利時代でした。
変動金利の推移:0.3-0.6%台の超低金利継続
2014年から2024年までの変動金利は、0.3-0.6%台の超低金利が継続しました。日銀の異次元緩和政策により、短期プライムレートが低水準に抑えられたためです。
モゲチェックによると、2024年10月より変動金利が0.15%引き上げられ年1.820%になり、2025年4月には0.15-0.35%上昇しています。
フラット35の推移:1.0-1.9%で推移、2016年に史上最低0.90%
フラット35公式サイトのデータによると、フラット35の金利は1.0-1.9%程度で推移し、2016年8月に年0.90%の史上最低金利を記録しました。その後、2022年11月より上昇傾向に転じています。
2024年9月の短期プライムレート引き上げ(約17年ぶり)
2024年9月、三菱UFJ銀行が短期プライムレートを1.475%から1.625%に引き上げました。これは約17年ぶりの引き上げで、変動金利に直接影響を与えています。
2025年12月のフラット35金利1.970%(2016年比約2倍)
2025年12月のフラット35金利は1.970%で、2016年の史上最低0.90%から約2倍に上昇しています。固定金利も上昇傾向が続いています。
日銀の金融政策と住宅ローン金利の関係
日本銀行の金融政策は、住宅ローン金利に大きな影響を与えます。
異次元緩和政策(2013-2024年)と超低金利時代
2013年4月から日銀が実施した異次元緩和政策により、短期金利・長期金利ともに低水準に抑えられ、住宅ローン金利は超低金利時代を迎えました。マイナス金利政策(2016年1月~)とイールドカーブ・コントロール(YCC)により、長期金利も一定範囲に抑えられました。
2024年3月マイナス金利解除、7月ゼロ金利政策解除
2024年3月、日銀はマイナス金利政策を解除し、7月には政策金利を0.25%に引き上げました。これによりゼロ金利政策も事実上終了し、金利上昇局面に転じました。
2025年1月・12月の段階的利上げ(政策金利0.75%へ)
2025年1月に政策金利は0.5%、12月には0.75%に引き上げられました。これは約30年ぶりの水準で、今後も段階的な利上げが予想されています。
金利上昇による返済額への影響(4500万円借入で月1.4万円増)
SBI新生銀行によると、4500万円借入の場合、2024年7月以降の利上げで毎月返済額が約1万4000円増(借入当初比)となります。金利上昇は返済負担に直接影響します。
今後の金利見通しと借入タイプの選び方
今後の金利動向を踏まえた借入タイプの選び方を解説します。
2026年までに政策金利1%到達予測(ESPフォーキャスト調査)
住まいサーフィンが紹介するESPフォーキャスト調査によると、2026年までに政策金利は1%に到達すると予測されています。長期金利も1.63%まで上昇する見通しです。
変動金利は5-10年かけて段階的に上昇する見通し
変動金利は、政策金利の引き上げに伴い5-10年かけて段階的に上昇すると予測されています。急激な上昇ではなく、段階的な上昇が見込まれます。
固定金利もさらに上昇リスク、2025年12月時点で1.970%
固定金利(フラット35)も、2025年12月時点で1.970%とすでに2016年比約2倍に上昇しており、今後もさらに上昇するリスクがあります。
金利上昇リスクを取るか、固定で安心を取るか(状況別の選び方)
変動金利が向いている方:
- 金利上昇リスクを許容できる
- 低金利で返済額を抑えたい
- 繰り上げ返済を積極的に行える
固定金利が向いている方:
- 金利変動リスクを避けたい
- 返済額を固定して計画を立てたい
- 長期の安心を重視する
借入金利の実態データ(2025年4月調査:0.5-1.0%が最多45.2%)
住宅金融支援機構の住宅ローン利用者調査(2025年4月)によると、借入金利「年0.5%超1.0%以下」が45.2%で最多、「年0.5%以下」は減少傾向にあります。
まとめ:過去10年の教訓と今後の住宅ローン選び
過去10年の住宅ローン金利推移を振り返ると、異例の超低金利時代であったことがわかります。しかし、2024年3月のマイナス金利解除以降、金利は上昇局面に転じており、今後も上昇が続く可能性が高いです。
変動金利は5年ルール・125%ルールでリスクを抑制しますが、元金返済の遅れにより未払い利息が発生するリスクがあります。固定金利は金利変動リスクを回避できますが、変動金利より金利が高めです。
金利タイプの選択は、長期的な返済計画とライフプランで判断することが重要です。住宅ローン選びは人生で最も大きな金融判断の一つです。ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士などの専門家に相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。


