住宅ローン金利が上がる影響と対策|変動金利・固定金利の選び方

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/31

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住宅ローン金利上昇の背景と最新動向

「住宅ローンの金利が上がるかもしれない」という不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。2024年3月のマイナス金利解除以降、日本の金融環境は転換点を迎えています。

この記事では、住宅ローン金利上昇の背景、返済額への影響シミュレーション、変動金利・固定金利の違い、金利上昇時の対策(繰り上げ返済・金利交渉・借り換え)を解説します(2025年12月時点の情報)。

この記事のポイント

  • 日銀は2024年3月にマイナス金利解除、以降段階的に利上げを実施
  • 金利1%上昇で3,000万円35年ローンは月額約2万円、総額約840万円増加
  • 変動金利には「5年ルール」「125%ルール」があるが、未払利息リスクに注意
  • 借り換えの目安は「金利差1%以上、残高1,000万円以上、残期間10年以上」

(1) 日銀の利上げタイムライン(2024年3月〜2025年12月)

日本銀行は2024年以降、段階的に政策金利を引き上げています。

時期 政策金利 内容
2024年3月 マイナス金利解除 17年ぶりの利上げ
2024年7月 0.25% 追加利上げ
2025年1月 0.5% さらなる利上げ
2025年12月 0.75% 段階的な引き上げ継続
2026年12月(予測) 約1.1% 今後も上昇の見通し

2025年12月の利上げは、一般的に2026年7月頃から返済額に反映されます(半年遅れが一般的)。

(2) 変動金利・固定金利の最新水準

変動金利と固定金利では、金利上昇のタイミングが異なります。

金利タイプ 基準 最新動向
変動金利 短期プライムレート 2024年10月から大手5行が0.15%引き上げ
固定金利 長期プライムレート フラット35は1.970%(2025年12月)、18年半ぶり高水準

固定金利は2022年頃から上昇傾向にあり、変動金利は2024年10月から本格的な上昇局面に入っています。

金利上昇が返済額に与える影響シミュレーション

(1) 金利1%上昇時の返済額増加額

金利が1%上昇した場合、返済額にどのような影響があるかをシミュレーションします。

条件:借入額3,000万円、返済期間35年の場合

金利 月々返済額 総返済額 増加額(金利1%時と比較)
1.0% 約8.5万円 約3,557万円 -
2.0% 約10.5万円 約4,397万円 月+約2万円、総額+約840万円
3.0% 約12.3万円 約5,163万円 月+約3.8万円、総額+約1,606万円

金利1%の上昇は、35年間で約840万円の総返済額増加につながります。現在変動金利で借りている方は、この影響を把握しておく必要があります。

(2) 5年ルール・125%ルールの仕組みと注意点

変動金利には、返済額の急激な増加を防ぐ保護措置があります。

5年ルール: 金利が上昇しても、返済額は5年間変わりません。

125%ルール: 返済額が見直される際、前回の125%が上限となります。

注意点: これらのルールは返済額を抑える効果がありますが、金利上昇分が完全に反映されないため、未払利息が発生するリスクがあります。

未払利息とは: 金利上昇により、月々の返済額だけでは利息が払いきれず、元本返済が進まない状態です。最悪の場合、返済期間終了時に残債が残る可能性があります。

変動金利と固定金利の違いとリスク

(1) 短期プライムレートと長期プライムレート

変動金利と固定金利は、参照する基準金利が異なります。

金利タイプ 基準金利 特徴
変動金利 短期プライムレート 日銀の政策金利に連動
固定金利 長期プライムレート 10年国債利回りに連動

変動金利は日銀の金融政策の影響を直接受け、固定金利は長期金利の動向に左右されます。

(2) 変動金利のメリット・デメリット

メリット:

  • 固定金利より金利が低い(低金利局面で有利)
  • 金利低下時に返済額が減少

デメリット:

  • 金利上昇時に返済額が増加
  • 5年ルール・125%ルールで未払利息が発生するリスク
  • 将来の返済額が読めない

(3) 固定金利のメリット・デメリット

メリット:

  • 返済額が一定で家計管理しやすい
  • 金利上昇の影響を受けない

デメリット:

  • 変動金利より金利が高い
  • 金利低下時に恩恵を受けられない
  • 固定期間終了後の金利が不透明

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金利上昇時の対策(繰り上げ返済・金利交渉・借り換え)

(1) 繰り上げ返済で元本を減らす

繰り上げ返済は、金利上昇の影響を軽減する有効な対策です。

繰り上げ返済の種類:

  • 期間短縮型:返済期間を短くする(総返済額の削減効果大)
  • 返済額軽減型:月々の返済額を減らす(家計の余裕確保)

効果: 元本を減らすことで、金利上昇時の利息増加額を抑制できます。手元資金に余裕がある場合は、繰り上げ返済を検討してください。

(2) 金融機関への金利交渉

現在借りている金融機関に、金利引き下げを交渉する方法もあります。

交渉のポイント:

  • 他行の住宅ローン金利を調べて比較材料にする
  • 他行の事前審査を通過していると交渉材料になる
  • 長年の取引実績をアピール

注意点: 金利交渉は必ず成功するとは限りません。断られた場合は、借り換えを検討してください。

(3) 他行への借り換え

金利差が大きい場合、他行への借り換えでメリットが得られる可能性があります。

借り換えで得られるメリット:

  • 月々の返済額削減
  • 総返済額の削減
  • 金利タイプの変更(変動→固定など)

借り換え時の諸費用:

  • 事務手数料:数万円〜借入額の2.2%
  • 保証料:0円〜借入額の2%
  • 登記費用:10〜30万円程度
  • 合計:50〜100万円程度

借り換えにはコストがかかるため、メリットと比較した判断が必要です。

借り換えの判断基準とタイミング

(1) 金利差1%・残高1,000万円・残期間10年の目安

借り換えでメリットが得られるかどうかの目安は以下の3条件です。

条件 目安
金利差 1%以上
残高 1,000万円以上
残期間 10年以上

この3条件をすべて満たす場合、諸費用を考慮しても借り換えメリットがある可能性が高いです。

(2) 借り換え時の諸費用と損益分岐点

借り換えを検討する際は、諸費用と返済額削減効果を比較してください。

損益分岐点の考え方:

借り換えメリット = 返済額削減効果 − 借り換え諸費用

例えば、諸費用80万円、月々返済額削減1.5万円の場合:

  • 損益分岐点:80万円 ÷ 1.5万円 ≒ 54ヶ月(約4年半)
  • 4年半以上返済が続く場合、借り換えにメリットあり

借り換えのベストタイミング:

  • 固定期間終了時
  • 変動金利の見直しタイミング(半年ごと)
  • 転職前(審査条件のため)
  • 健康状態が良い時期(団体信用生命保険の加入条件)

まとめ:金利上昇局面での住宅ローン戦略

住宅ローン金利は、2024年のマイナス金利解除以降、上昇局面に入っています。変動金利で借りている方は、返済額増加に備えた対策を検討してください。

金利上昇への対策まとめ:

対策 内容 向いている人
繰り上げ返済 元本を減らして利息負担軽減 手元資金に余裕がある人
金利交渉 現在の金融機関に引き下げ交渉 長年の取引実績がある人
借り換え 他行の低金利ローンに切り替え 金利差1%以上の人
固定金利への変更 返済額を確定させる 返済計画を安定させたい人

今すぐ確認すべきこと:

  • 現在の金利タイプと適用金利
  • 5年ルール・125%ルールの適用有無
  • 繰り上げ返済の条件と手数料
  • 借り換え時の諸費用見積もり

金利動向は予測が難しいため、複数のシナリオを想定した資金計画を立てることを推奨します。個別の家計状況に応じた判断は、ファイナンシャルプランナーや金融機関への相談をご検討ください。

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よくある質問

Q1住宅ローン金利はいつから上がった?

A12024年3月に日銀がマイナス金利を解除し、7月に0.25%、2025年1月に0.5%、12月に0.75%と段階的に引き上げられています。変動金利は2024年10月から大手5行が既存契約の金利を0.15%引き上げ、本格的な上昇局面に入りました。

Q2金利が1%上がると返済額はどれくらい増える?

A2借入額3,000万円、返済期間35年の場合、金利1%上昇で月々約2万円、総返済額で約840万円の増加が目安です。金利2%上昇なら月々約3.8万円、総額約1,600万円以上の増加となります。

Q35年ルール・125%ルールとは?

A3変動金利の保護措置です。5年ルールは金利が上がっても返済額は5年間変わらない制度、125%ルールは見直し時の返済額上限を前回の125%とする制度です。ただし、返済額を抑える代わりに未払利息が発生するリスクがあります。

Q4借り換えの目安は?

A4金利差1%以上、残高1,000万円以上、残期間10年以上の3条件を満たす場合にメリットがある可能性が高いです。借り換えには諸費用50〜100万円程度がかかるため、返済額削減効果と比較して判断してください。

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