住宅ローン繰り上げ返済のベストタイミングとは【損しない判断基準】

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/31

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住宅ローン繰り上げ返済のタイミングで損得が大きく変わる理由

住宅ローンの繰り上げ返済を検討する際、「いつ実施するのがベストなのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、繰り上げ返済の最適なタイミング、メリット・デメリット、判断基準を全国銀行協会や金融機関の公式情報を元に解説します。金利と住宅ローン控除の比較、緊急予備資金とのバランスなど、個々の状況に応じた判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • 繰り上げ返済は早い時期ほど総支払額の軽減効果が大きい
  • 期間短縮型は返済額軽減型より約82万円多く利息を削減できる(300万円の繰り上げ返済時)
  • 金利が0.7%以下の場合、住宅ローン控除を受け続ける方が得になる可能性がある
  • 緊急予備資金(生活費3〜6ヶ月分)を確保してから実施すべき
  • インターネット経由の繰り上げ返済は手数料無料の金融機関が多い

繰り上げ返済の仕組みと期間短縮型・返済額軽減型の違い

(1) 繰り上げ返済の基本的な仕組み

繰り上げ返済とは、住宅ローンの元金を毎月の返済とは別に前倒しで返済することです。元金が減ることで、その元金にかかるはずだった利息を削減できます。

繰り上げ返済には2つの方式があります。

方式 特徴 向いているケース
期間短縮型 毎月の返済額は変えず、返済期間を短くする 利息削減を優先したい、完済を早めたい
返済額軽減型 返済期間は変えず、毎月の返済額を減らす 毎月の負担を軽くしたい、収入減リスクに備えたい

(出典: 全国銀行協会

(2) 期間短縮型と返済額軽減型の利息削減効果の差(約82万円)

同じ金額を繰り上げ返済しても、方式によって削減できる利息額は大きく異なります。

東証マネ部!のシミュレーションによると、300万円を繰り上げ返済した場合、期間短縮型は返済額軽減型より約82万円も多く利息を削減できます。総返済額を抑えることを優先するなら、期間短縮型が有利です。

一方、返済額軽減型は毎月の返済負担を減らせるため、子育て等で支出が増える時期や、収入減少リスクに備えたい場合に適しています。

繰り上げ返済のメリットとデメリット

(1) 総返済額の削減と心理的負担の軽減

繰り上げ返済の最大のメリットは、総返済額を削減できることです。元金を減らすことで、その元金にかかるはずだった利息を支払わずに済みます。

三菱UFJ銀行によると、繰り上げ返済は以下のメリットがあります。

  • 総返済額の削減: 数十万円〜数百万円の利息を節約できる
  • 心理的負担の軽減: ローン残高が減ることで精神的に楽になる
  • 老後資金準備: 完済を早めることで、老後に向けた貯蓄がしやすくなる

(2) 手元資金の減少・住宅ローン控除額の減少・団信保障額の減少

一方で、繰り上げ返済にはデメリットもあります。

デメリット 内容
手元資金の減少 繰り上げ返済後は資金を引き出せないため、急な出費に対応できないリスクがある
住宅ローン控除額の減少 年末残高が減ることで、控除額(残高の0.7%)も減少する
団体信用生命保険(団信)の保障額減少 ローン残高が減るため、万が一の際の保障額も小さくなる

(出典: 三菱UFJ銀行

特に手元資金の減少は重要なリスクです。住信SBIネット銀行は、緊急予備資金として生活費の3〜6ヶ月分を残してから繰り上げ返済を検討すべきとしています。

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ベストタイミングを判断する3つの基準

(1) 金利と住宅ローン控除0.7%の比較

2025年時点の住宅ローン控除率は0.7%です。金利が0.7%以下の場合、控除額が支払利息を上回る可能性があります。

判断の目安(2025年時点):

  • 金利0.7%以下: 控除期間中は繰り上げ返済を待ち、控除終了後に実施する方が得になる場合がある
  • 金利0.7%超: 繰り上げ返済により利息削減効果が控除額を上回るため、実施を検討

全国銀行協会は、金利が1%以下かつ住宅ローン控除を利用している場合、控除額が利息額を上回る可能性があると指摘しています。

ただし、2025年は固定金利(フラット35)が2%台に上昇傾向にあるため、変動金利を利用している場合は金利動向にも注意が必要です。

(2) 緊急予備資金(生活費3〜6ヶ月分)の確保

繰り上げ返済後は資金を引き出せないため、手元資金が減少します。

実施前のチェックリスト:

  • 生活費の3〜6ヶ月分を現金・預金で確保できているか
  • 近い将来、大きな支出予定(教育費、車の買い替え等)はないか
  • 収入が不安定になるリスクはないか

住信SBIネット銀行は、緊急予備資金を残してから繰り上げ返済を検討すべきとしています。万が一の急な出費に対応できないと、高金利のカードローンに頼ることになり、かえって支出が増えるリスクがあります。

シミュレーション事例と手数料の比較

(1) 300万円繰り上げ返済時の期間短縮型vs返済額軽減型

条件: 借入額3,000万円、金利1.5%、返済期間35年、10年目に300万円繰り上げ返済

項目 期間短縮型 返済額軽減型
削減利息額 約250万円 約168万円
返済期間 約5年短縮 変わらず
毎月の返済額 変わらず 約1万円減

(出典: 東証マネ部!

同じ300万円の繰り上げ返済でも、期間短縮型は返済額軽減型より約82万円多く利息を削減できます。総返済額を抑えたい場合は期間短縮型が有利です。

(2) 主要金融機関の繰上返済手数料(ネット経由無料〜窓口33,000円)

繰り上げ返済には手数料がかかる場合があります。

手続き方法 手数料の目安
インターネットバンキング 無料(多くの金融機関)
窓口 5,500円〜33,000円

(出典: HOME4U

インターネット経由の繰り上げ返済は無料の金融機関が多いため、窓口よりもネット経由での手続きがおすすめです。事前に金融機関の公式サイトで手数料を確認しましょう。

まとめ:繰り上げ返済を成功させるために

住宅ローンの繰り上げ返済は、早い時期に実施するほど総支払額の軽減効果が大きくなります。期間短縮型は利息削減効果が高く、返済額軽減型は毎月の負担軽減に有効です。

一方で、金利が0.7%以下の場合は住宅ローン控除を受け続ける方が得になる可能性があり、緊急予備資金(生活費3〜6ヶ月分)を確保してから実施すべきです。

繰り上げ返済のタイミングは、金利、住宅ローン控除、手元資金、家計状況により異なります。ファイナンシャルプランナーや金融機関に相談しながら、ご自身に合った判断をしましょう。

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よくある質問

Q1住宅ローン繰り上げ返済の手数料はいくらですか?

A1繰り上げ返済の手数料は、手続き方法と金融機関により異なります。インターネットバンキング経由の一部繰上返済は無料の金融機関が多く、窓口での手続きは5,500円〜33,000円程度かかる場合が多いです。事前に金融機関の公式サイトで確認することをおすすめします。

Q2住宅ローン控除を受けている場合、繰り上げ返済は損ですか?

A2金利が0.7%以下の場合、住宅ローン控除額(年末残高の0.7%)が支払利息を上回る可能性があります。この場合、控除期間中は繰り上げ返済を待ち、控除終了後に実施する方が得になる場合があります。金利、控除額、手元資金を総合的に判断しましょう。

Q3期間短縮型と返済額軽減型のどちらを選ぶべきですか?

A3利息削減を優先するなら期間短縮型がおすすめです。同じ300万円の繰り上げ返済でも、期間短縮型は返済額軽減型より約82万円多く利息を削減できます。一方、毎月の負担を軽くしたい場合や、収入減リスクに備えたい場合は返済額軽減型が適しています。

Q4繰り上げ返済はしない方がいい場合はありますか?

A4手元資金が少ない場合(緊急予備資金として生活費3〜6ヶ月分を確保できていない場合)は、繰り上げ返済を控えるべきです。また、金利が0.7%以下で住宅ローン控除を受けている場合、控除額の方が支払利息より大きくなる可能性があるため、控除期間終了後の実施を検討しましょう。

Q5変動金利の場合、繰り上げ返済の注意点はありますか?

A5変動金利には5年ルール(返済額は5年間変わらない)と125%ルール(返済額の増加は前回の1.25倍まで)があります。繰り上げ返済しても返済額がすぐには減らない場合や、金利上昇局面では逆に返済額が増える可能性もあります。詳細は金融機関にご確認ください。

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