住宅ローンの平均金利とは?最新の相場を把握する
住宅ローンを検討する際、「変動金利と固定金利、どちらを選べばいいのか」「今の金利相場はどれくらいなのか」と悩む方は少なくありません。金利タイプの選択は、数十万〜数百万円の利息負担の差を生む重要な判断です。
この記事では、2025年11月時点の最新の平均金利、変動金利と固定金利の仕組み・メリット・デメリット、金利タイプの選び方、今後の金利動向を解説します。住宅金融支援機構・全国銀行協会等の公的機関の情報を元に、初めての方でも最適な選択ができるようになります。
この記事のポイント
- 2025年11月時点で変動金利は0.590%〜、10年固定金利は1.8〜2.2%台が相場
- 変動金利は金利が低いが将来の上昇リスクがあり、固定金利は金利は高めだが返済計画が立てやすい
- 家計に余裕があり自己資金が多い場合は変動金利、余裕がない場合は固定金利が基本的な選択基準
- 2024年3月のマイナス金利解除以降、金利は上昇基調が続いており、今後も上昇する可能性が高い
- 利用者の約7割が変動金利を選択しているが、最終判断はライフプランに応じて専門家への相談を推奨
1. 住宅ローンの平均金利とは?最新の相場を把握する
(1) 2025年11月時点の金利相場
2025年11月時点の住宅ローン金利相場は以下の通りです。
| 金利タイプ | 最低金利 | 相場 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 0.179% | 0.6〜0.7%台 |
| 10年固定金利 | 0.280% | 1.8〜2.2%台 |
| 全期間固定金利(フラット35) | 0.940% | 1.9%〜 |
金融機関により金利が異なるため、複数社を比較することが重要です。価格.comやイー・ローン等の比較サイトを活用すると、132行以上の金融機関の金利を一括比較できます。
(2) 金利タイプ別の利用割合
住宅ローン利用者の金利タイプ選択割合は以下の通りです。
- 変動金利: 約70%
- 固定金利選択型(10年固定等): 約20%
- 全期間固定型(フラット35等): 約10%
利用者の約7割が変動金利を選択していますが、これは低金利のメリットを重視した選択です。ただし、金利上昇リスクを考慮し、自身の家計状況に応じた選択が重要です。
(3) 金利を決める要因
住宅ローン金利は以下の要因で決まります。
変動金利:
- 短期プライムレート(短プラ): 金融機関が優良企業に貸し出す際の最優遇金利
- 日本銀行の政策金利: 2025年1月時点で約0.5%
固定金利:
- 長期金利(10年物国債利回り)
- 日本銀行の国債購入政策
2024年10月以降、メガバンク3行の短プラが0.15%引き上げられ、多くの金融機関で約0.15%の金利上昇が発生しています。
2. 変動金利の特徴と平均金利
(1) 変動金利の仕組み
変動金利は、半年ごとに金利が見直されるタイプです。金利は短期プライムレート(短プラ)に連動し、市場金利の動きに応じて変動します。
金利が低い一方で、将来の金利上昇リスクがあります。ただし、「5年ルール」と「125%ルール」により、急激な返済額の増加は緩和されます。
(2) 変動金利の平均金利(2025年11月時点)
2025年11月時点の変動金利は以下の通りです。
- 最低金利: 0.179%
- 一般的な相場: 0.6〜0.7%台
- イー・ローン掲載商品の最低金利: 0.590%(10月時点、前月比+0.015%)
過去の推移を見ると、平成2年10月には8.5%まで上昇したことがありますが、平成11年2月以降は歴史的低金利水準が続いています。
(3) 5年ルールと125%ルール
変動金利には、金利上昇時の負担を緩和する2つのルールがあります。
5年ルール:
- 金利が変動しても、5年間は返済額が変わらない
- ただし、金利上昇分は元本返済に回る割合が減る形で影響する
- 返済額は変わらないが、元本の減りが遅くなる
125%ルール:
- 金利が上昇しても、返済額の上昇は従前の1.25倍までに制限される
- 急激な返済額の増加を防ぐ仕組み
これらのルールは負担を緩和しますが、金利上昇リスクそのものを解消するわけではないため、注意が必要です。
(4) 変動金利のメリット・デメリット
メリット:
- 金利が低く、初期の返済額を抑えられる
- 金利が上昇しなければ、総返済額を大きく抑えられる
- 5年ルール・125%ルールで急激な返済額増加を緩和
デメリット:
- 将来の金利上昇リスクがある
- 返済計画が立てにくい
- 金利上昇局面では総返済額が増える可能性
3. 固定金利の特徴と平均金利
(1) 固定金利の種類(期間選択型・全期間固定型)
固定金利には2つの種類があります。
期間選択型(10年固定等):
- 一定期間(3年、5年、10年等)は金利が固定
- 固定期間終了後は、再度金利タイプを選択
- 固定期間中は返済計画が立てやすい
全期間固定型(フラット35等):
- 借入時の金利が全期間(最長35年)固定
- 返済計画が立てやすく、金利上昇リスクがない
- 住宅金融支援機構が提供するフラット35が代表的
(2) 固定金利の平均金利(10年固定・フラット35)
2025年11月時点の固定金利は以下の通りです。
| 金利タイプ | 最低金利 | 相場 |
|---|---|---|
| 10年固定金利 | 0.280% | 1.8〜2.2%台 |
| 全期間固定金利(フラット35) | 0.940% | 1.9%〜 |
2025年11月時点で、10年固定金利と35年固定金利は引き上げ傾向にあります。日銀が国債購入を段階的に削減する方針(月6兆円から2026年1-3月までに約3兆円へ)を発表しており、長期金利・固定金利の上昇リスクがあります。
(3) 固定金利のメリット・デメリット
メリット:
- 返済計画が立てやすい
- 金利上昇リスクがない(固定期間中)
- 家計管理がしやすい
デメリット:
- 変動金利より金利が高い
- 金利が下がった場合でも恩恵を受けられない
- 借り換え時に手数料がかかる
4. 変動金利と固定金利の選び方
(1) 家計状況別の選択基準
全国銀行協会によると、以下の基準で金利タイプを選ぶことが推奨されています。
変動金利が向いている人:
- 家計に余裕があり、金利上昇時にも対応できる
- 自己資金が多く、借入額が少ない
- 繰り上げ返済を計画的に行える
固定金利が向いている人:
- 家計に余裕がなく、返済計画を確定したい
- 金利上昇リスクを避けたい
- 長期的な家計管理を重視する
(2) ライフプラン別の選択基準
ライフプランに応じた選択も重要です。
| ライフプラン | 推奨金利タイプ | 理由 |
|---|---|---|
| 子育て期(支出増加予定) | 固定金利 | 返済額を確定し、家計管理を安定させる |
| 共働き・高収入 | 変動金利 | 金利上昇リスクに対応できる余裕がある |
| 退職前・老後 | 固定金利 | 収入減少に備え、返済計画を確定 |
(3) 複数金融機関の比較方法
金融機関により金利・手数料・団体信用生命保険の条件が異なるため、必ず複数社を比較しましょう。
比較サイトの活用:
- モゲチェック: 132行以上の金融機関の金利を一括比較
- 価格.com: 24金融機関の比較データ
- イー・ローン: 金利推移データも確認可能
比較ポイント:
- 優遇後の実質金利
- 手数料(事務手数料、保証料)
- 団体信用生命保険の条件
(4) 金利以外のチェックポイント(手数料・団信)
金利だけでなく、以下のポイントも確認しましょう。
事務手数料:
- 借入額の2.2%が一般的
- 金融機関により固定額(数万円)の場合もある
保証料:
- 借入額の2%程度が一般的
- 金融機関により不要な場合もある
団体信用生命保険(団信):
- 基本の団信は金利に含まれることが多い
- 三大疾病保障・八大疾病保障等は金利上乗せ(+0.1〜0.3%)
5. 今後の金利動向と見通し
(1) 2024年3月のマイナス金利解除の影響
2024年3月、日本銀行がマイナス金利政策を解除しました。これは2016年から続いていた政策の転換点で、住宅ローン金利は17年ぶりに金利のある世界へ移行しました。
マイナス金利解除により、短期金利が0〜0.1%へ引き上げられました。
(2) 2025年1月の追加利上げの影響
2025年1月、日本銀行が追加利上げ0.25%を実施し、政策金利は約0.5%に引き上げられました。これにより、変動金利の基準となる短期プライムレートも上昇しています。
2024年10月以降、メガバンク3行の短プラが0.15%引き上げられ、多くの金融機関で約0.15%の金利上昇が発生しています。
(3) 今後の金利上昇リスク
今後も金利は上昇基調が続く可能性が高いと見られています。
主な要因:
- 日銀の金融政策: 政策金利の段階的な引き上げ
- 国債購入削減: 月6兆円から2026年1-3月までに約3兆円へ段階的削減
- 経済状況: インフレ圧力や賃金上昇
ただし、金利の将来予測は不確実性が高いため、日銀の金融政策と経済動向に注意が必要です。
(4) 借り換えのタイミング
変動金利から固定金利への借り換えは、金利上昇局面で検討価値があります。
借り換えの目安:
- 金利差: 1%以上
- 残債: 1,000万円以上
- 残期間: 10年以上
ただし、借り換え手数料(数十万円)がかかるため、総返済額を試算し、借り換えのメリットを確認しましょう。
6. まとめ:金利タイプ選択のポイント
(1) 変動金利が向いている人
変動金利は以下の方に向いています。
- 家計に余裕があり、金利上昇時にも対応できる
- 自己資金が多く、借入額が少ない
- 繰り上げ返済を計画的に行える
- 低金利のメリットを最大限活用したい
(2) 固定金利が向いている人
固定金利は以下の方に向いています。
- 家計に余裕がなく、返済計画を確定したい
- 金利上昇リスクを避けたい
- 長期的な家計管理を重視する
- 子育て期や退職前で支出増加・収入減少が予想される
(3) 専門家への相談を推奨
住宅ローン選びは個人の家計状況・リスク許容度により最適解が異なります。最終判断はライフプランに応じて、ファイナンシャルプランナーや金融機関の担当者に相談することを推奨します。
2025年11月時点で、金利は上昇基調が続いています。複数の金融機関を比較し、金利・手数料・団体信用生命保険の条件を総合的に判断しましょう。最新の金利情報は各金融機関の公式サイトで確認してください。
