住宅ローン40年返済のメリット・デメリット:月々の返済額と総返済額を徹底比較

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

40年住宅ローンが注目される背景

「住宅ローンを35年で組むと、月々の返済額がきつい」と感じている方は少なくありません。物件価格の高騰により借入額が増加する中、月々の返済負担を抑えるために40年ローンを選択する人が増えています。

この記事では、40年住宅ローンの仕組み、35年ローンとの返済額比較、メリット・デメリット、向いている人の条件を、住宅金融支援機構や主要銀行の公式情報を元に解説します。

初めて住宅ローンを組む方でも、40年ローンが自分に適しているかを判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 40年ローンは月々の返済額を約1万円軽減できる(3,000万円借入時、金利1.8%)
  • 総返済額は35年ローンより約160〜249万円増加するため注意が必要
  • 20代半ば〜30代前半の若い世代ほど40年ローンのメリットを活かしやすい
  • 繰上げ返済を計画的に行えば、月々の負担を抑えつつ総返済額も軽減できる
  • 41歳以上は完済時80歳制限により40年ローンを借りられない

40年住宅ローンの仕組みと種類

(1) 40年ローンとは:最長40年で返済できる住宅ローン

40年住宅ローンは、返済期間を最長40年で借りられる住宅ローンです。通常の住宅ローンの最長期間である35年より5年長く設定できます。

返済期間を延ばすことで、毎月の返済額を抑えることができるのが最大の特徴です。

(2) フラット35・フラット50との違い

住宅金融支援機構が提供する住宅ローンには、フラット35(最長35年)とフラット50(最長50年)があります。

フラット50は、長期優良住宅など一定の基準を満たす物件のみが対象となります。一方、40年ローンは民間金融機関が提供する商品で、物件の条件はフラット50より緩やかです。

(3) 40年ローンを扱う金融機関:三井住友信託銀行、住信SBIネット銀行、楽天銀行など

40年ローンを取り扱う金融機関は限定的です。主な金融機関は以下の通りです。

金融機関 最長返済期間 特徴
三井住友信託銀行 40年 メガバンク系で安心
住信SBIネット銀行 50年 2023年8月より取扱開始
楽天銀行 50年 ネット銀行で手続き簡単
SBI新生銀行 50年 2025年11月17日より取扱開始

取扱金融機関が少ないため、複数社の条件を比較することが重要です。

(4) 完済時年齢制限:一般的に80歳まで

多くの金融機関は、完済時の年齢制限を80歳までと設定しています。

逆算すると、41歳以上の方は40年ローンを借りられません。20代半ばなら定年前に完済できる可能性がありますが、30代後半以降は慎重な検討が必要です。

35年ローンとの徹底比較:月々返済額と総返済額

(1) 3,000万円借入時の比較:35年は196,609円/月、40年は182,643円/月(金利1.8%)

3,000万円を金利1.8%で借りた場合の月々の返済額は以下の通りです。

返済期間 月々返済額 差額
35年 196,609円 -
40年 182,643円 約1万4千円軽減

月々約1万円の返済負担を軽減できるため、生活にゆとりが生まれます。

(2) 4,000万円借入時の比較:35年は約5,565万円、40年は約5,814万円で総額249万円の差(金利2.0%)

4,000万円を金利2.0%で借りた場合の総返済額は以下の通りです。

返済期間 総返済額 差額
35年 約5,565万円 -
40年 約5,814万円 約249万円増加

返済期間5年延長で利息負担が大幅に増えることに注意が必要です。

(3) ローン残高の推移:20年後は35年で約2,059万円、40年で約2,394万円

20年後のローン残高を比較すると、以下のようになります。

返済期間 20年後の残高 差額
35年 約2,059万円 -
40年 約2,394万円 約335万円多い

40年ローンは元金の減少が遅いため、ローン残高が高い期間が長くなります。売却や借り換えを検討する際に不利になる可能性があります。

(4) 借入可能額の増加:35年は約4,082万円、40年は4,509万円(金利1.5%)

月々の返済額を同じにした場合、40年ローンでは借入可能額が約424万円増加します。

返済期間 借入可能額 差額
35年 約4,082万円 -
40年 約4,509万円 約424万円増加

(金利1.5%、月々の返済額を同額と仮定)

より高額な物件を購入できる可能性がありますが、総返済額の増加には注意が必要です。

40年ローンのメリット・デメリット

(1) メリット:月々約1万円の返済額軽減、借入可能額が約424万円増加、団信保障が40年間継続

40年ローンの主なメリットは以下の通りです。

  • 月々の返済額を軽減: 35年ローンより約1万円返済額を抑えられる
  • 借入可能額の増加: 約424万円多く借りられる(金利1.5%の場合)
  • 団体信用生命保険(団信)が40年間継続: 万が一のリスクに長期間備えられる
  • 繰上げ返済で柔軟に対応: 40年で組んでも35年で完済することは可能(逆は不可)

団体信用生命保険とは、住宅ローン借入者が死亡または高度障害になった場合、保険金でローンが完済される保険です。

(2) デメリット:総返済額が約160〜249万円増加、ローン残高の減少が遅い、金利が高い傾向

40年ローンの主なデメリットは以下の通りです。

  • 総返済額の増加: 35年ローンより約160〜249万円多く支払う
  • ローン残高の減少が遅い: 20年後の残高が35年より約335万円多い
  • 金利が高い傾向: フラット35は20年を境に金利が上がる。40年ローンはさらに高い
  • 取扱金融機関が限定的: 一部の地方銀行やネット銀行のみ。選択肢が少ない

フラット35などの固定金利型ローンでは、返済期間が20年を超えると金利が上がります。40年ローンではさらに金利が高く設定されることがあります。

(3) 繰上げ返済の活用:40年で組んでも35年で完済可能

繰上げ返済とは、毎月の返済とは別に、元金の一部または全部を返済することです。利息軽減や返済期間短縮が可能です。

40年ローンで組んでも、繰上げ返済を活用すれば35年で完済することができます。逆に35年ローンを後から40年に延ばすことはできません。

繰上げ返済を計画的に行えば、月々の返済負担を抑えつつ総返済額も軽減できます。

(4) 定年後の返済リスク:退職金での一括返済、年金収入での返済継続

40代以上で40年ローンを組むと、定年後も返済が続くリスクがあります。

定年後の返済方法としては、以下の選択肢があります。

  • 退職金での一括返済: 退職金で残債を完済する
  • 年金収入での返済継続: 年金収入の範囲内で返済を続ける

どちらの場合も、退職金や年金収入が想定通りに得られるか不確実です。定年後の収入が不安定な場合は、40年ローンは避けた方が良いでしょう。

向いている人・向かない人:状況別の判断基準

(1) 向いている人:20代半ば〜30代前半、収入増加が見込まれる人、繰上げ返済を計画的に行える人

40年ローンが向いている人の条件は以下の通りです。

  • 20代半ば〜30代前半: 定年前に完済できる可能性が高い
  • 収入増加が見込まれる人: 昇給や転職で収入が増え、繰上げ返済しやすい
  • 繰上げ返済を計画的に行える人: 月々の負担を抑えつつ総返済額も軽減できる
  • 団信保障を長期間つけたい人: 万が一のリスクに40年間備えられる

20代半ばなら40年ローンでも定年退職までに完済できる可能性があります。

(2) 向かない人:40代以上、定年後の収入が不安定な人、総返済額を最小化したい人

40年ローンが向かない人の条件は以下の通りです。

  • 40代以上: 定年後も返済が続く可能性が高い
  • 定年後の収入が不安定な人: 年金収入だけでは返済が厳しい
  • 総返済額を最小化したい人: 35年ローンの方が総返済額を抑えられる
  • 金利上昇リスクを避けたい人: 40年ローンは金利が高い傾向がある

総返済額を抑えたい場合は、35年ローンまたはより短期間のローンを検討しましょう。

(3) 41歳以上は40年ローンを借りられない:完済時80歳制限の影響

多くの金融機関は完済時の年齢制限を80歳までと設定しています。逆算すると、41歳以上の方は40年ローンを借りることができません。

年齢によっては選択肢がないため、早めに検討することが重要です。

(4) ファイナンシャルプランナーへの相談を推奨

個別の返済計画は収入・年齢・家族構成により異なります。

40年ローンが自分に適しているかを判断する際は、ファイナンシャルプランナーや金融機関への相談を推奨します。

まとめ:40年ローンを選ぶ際のポイントと次のアクション

40年住宅ローンは、月々の返済額を約1万円軽減できる一方、総返済額が約160〜249万円増加します。20代半ば〜30代前半の若い世代ほど、40年ローンのメリットを活かしやすいと言えます。

繰上げ返済を計画的に行えば、月々の負担を抑えつつ総返済額も軽減できます。ただし、41歳以上は完済時80歳制限により40年ローンを借りられないため、早めの検討が重要です。

40年ローンは選択肢の一つであり、メリット・デメリットを理解した上での判断が重要です。信頼できる金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。

よくある質問

Q140年ローンと35年ローンで月々の返済額はどれくらい違いますか?

A13,000万円を金利1.8%で借りた場合、35年は196,609円/月、40年は182,643円/月で約1万4千円の差があります。4,000万円なら差はさらに大きくなります。月々の返済負担を軽減できるのが40年ローンの最大のメリットです。

Q2総返済額はどれくらい増えますか?

A24,000万円を金利2.0%で借りた場合、35年は約5,565万円、40年は約5,814万円で約249万円の差があります。返済期間5年延長で利息負担が大幅に増えるため、繰上げ返済を計画的に行うことが重要です。

Q3何歳まで40年ローンを組めますか?

A3完済時80歳までが一般的です。逆算すると41歳以上は40年ローンを借りられません。20代半ばなら定年前に完済できる可能性がありますが、30代後半以降は慎重な検討が必要です。年齢によっては選択肢がないため、早めに検討することが重要です。

Q4繰上げ返済はできますか?

A4可能です。40年で組んでも35年で完済することは可能です(逆は不可)。繰上げ返済を活用すれば、月々の返済負担を抑えつつ総返済額も軽減できます。ただし、繰上げ返済には手数料がかかる場合があるため、金融機関に確認することをおすすめします。

Q540年ローンを扱っている金融機関はどこですか?

A5三井住友信託銀行、住信SBIネット銀行(50年対応)、楽天銀行(50年対応)、SBI新生銀行(2025年11月より50年対応)など限定的です。取扱金融機関が少ないため、複数社の条件を比較して、自分に合った金融機関を選ぶことが重要です。

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Room Match編集部

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