マイナス金利解除で住宅ローンはどうなる?金利への影響と今後の対策

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/29

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マイナス金利解除(ゼロ金利解除)とは何か

2024年3月、日本銀行がマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げを実施しました。この政策転換は、住宅ローン金利にどのような影響を与えるのでしょうか。

この記事では、マイナス金利解除(ゼロ金利解除)の背景、住宅ローン金利(変動金利・固定金利)への影響、既存ローン利用者と新規借入検討者それぞれに向けた対策を解説します。

住宅ローン利用者が、今後の金利動向を見据えた賢い選択ができるようになります。

この記事のポイント

  • 2024年3月19日に日銀がマイナス金利政策を解除(17年ぶりの利上げ、政策金利-0.1%→+0.1%)、2024年7月に0.25%へ追加利上げ
  • 変動金利はすぐには上がらない(短期プライムレート据え置き)が、固定金利は2022年以降上昇傾向
  • 2025年11月時点でフラット35は1.900%、変動金利は0.3-0.6%程度
  • 2026年末までに政策金利1.1%程度への上昇予測(ESP予測調査)
  • 既存ローン利用者の対策:固定金利への借り換え検討、繰り上げ返済、借り換えの目安は「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上」

(1) マイナス金利政策とは(2016年1月導入、政策金利-0.1%)

マイナス金利政策は、日本銀行が2016年1月に導入した金融政策です。

マイナス金利政策の仕組み:

  • 金融機関が日本銀行に預ける当座預金の一部にマイナス金利(-0.1%)を適用
  • 金融機関が日銀に預けるとマイナス金利がかかるため、企業・個人への貸出を促進
  • 経済活性化とデフレ脱却を目指す

マイナス金利政策により、住宅ローン金利は歴史的な低水準で推移してきました。

(2) マイナス金利解除=ゼロ金利解除(実質的に同じ意味)

「マイナス金利解除」と「ゼロ金利解除」は実質的に同じ意味です。

用語の整理:

  • マイナス金利解除: 2024年3月に政策金利を-0.1%から+0.1%へ引き上げ、マイナス金利を解除
  • ゼロ金利解除: 政策金利が+0.1%となり、実質的にゼロ金利を解除(その後2024年7月に0.25%へ追加利上げ)

どちらも同じ政策転換を指す表現です。

マイナス金利解除の背景と経緯(2024年3月・7月の利上げ)

(1) 2024年3月19日のマイナス金利解除(17年ぶりの利上げ、政策金利+0.1%へ)

野村総合研究所の分析によると、2024年3月19日、日本銀行が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決定しました。

解除の背景:

  • 賃上げの進展(2024年春闘で平均5%超の賃上げ)
  • インフレ率の上昇(消費者物価指数が2%目標を上回る水準で推移)
  • デフレ脱却の目処が立った

政策金利を-0.1%から+0.1%へ引き上げ、2007年以来17年ぶりの利上げとなりました。

(2) 2024年7月の追加利上げ(政策金利0.25%へ)

2024年7月、日本銀行は追加利上げを実施し、政策金利を0.25%へ引き上げました。

追加利上げの影響:

  • 2025年4月に一部金融機関が変動金利を0.15-0.35%引き上げ
  • ただし、短期プライムレートは据え置かれており、多くの金融機関では変動金利が維持されている

(3) 2026年末までの金利見通し(政策金利1.1%程度への上昇予測)

SBI新生銀行の解説によると、ESP予測調査(2025年8月)では2026年末までに政策金利1.1%程度まで上昇すると予測されています。

今後の金利見通し:

時期 政策金利予測 根拠
2025年末 0.5-0.75% 段階的な利上げ継続
2026年末 1.1%程度 ESP予測調査(2025年8月)

ただし、経済状況により変動するため、あくまで現時点の予測です。

住宅ローン金利への影響はどうなる?

(1) 変動金利の見通し(短期プライムレート据え置き、すぐには上がらない)

野村総合研究所の分析によると、マイナス金利解除後も変動金利はすぐには上がらない見込みです。

変動金利が上がりにくい理由:

  • 短期プライムレート(変動金利の基準金利)が据え置かれている
  • 変動金利の見直しは年2回(4月・10月)のみ
  • 政策金利の小幅な上昇(0.25%程度)では短プラに影響しにくい

2025年11月時点の変動金利:

  • 大手銀行:0.3-0.5%程度
  • ネット銀行:0.3-0.6%程度

ただし、今後の追加利上げで変動金利も上昇する可能性があります。

(2) 固定金利の推移(2022年以降上昇傾向、フラット35は2025年11月1.900%)

固定金利は2022年以降すでに上昇傾向にあります。

固定金利の推移(フラット35):

時期 フラット35金利 変動幅
2021年10月 1.190% -
2024年3月(マイナス金利解除前) 1.820% +0.630%
2025年11月 1.900% +0.080%

(出典: 住宅金融支援機構

固定金利は長期金利(10年国債利回り)に連動するため、マイナス金利解除前から上昇が始まっていました。

(3) 変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか(約80%が変動金利を選択)

住まいサーフィンの調査によると、2025年時点で住宅ローン利用者の約80%が変動金利を選択しています。

変動金利と固定金利の比較(2025年11月時点):

項目 変動金利 固定金利(フラット35)
金利 0.3-0.6% 1.900%
メリット 現在の金利が低い 金利上昇リスクをヘッジ
デメリット 今後の金利上昇リスク 金利が高い
向いている人 短期間で完済予定、繰り上げ返済を積極的に行う人 金利上昇リスクを避けたい、返済額を固定したい人

2025年時点では変動金利が低いですが、今後の金利上昇リスクを考慮すると固定金利も検討価値があります。

既存ローン利用者が今すぐやるべき対策

(1) 変動金利利用者の対策(固定金利への借り換え検討、繰り上げ返済)

変動金利で住宅ローンを借りている場合、今後の金利上昇リスクに備えた対策が必要です。

対策:

対策 効果 注意点
固定金利への借り換え 金利上昇リスクをヘッジ 諸費用(手数料、登記費用等)がかかる
繰り上げ返済 元本を減らして利息負担を軽減 手元資金が減る
返済期間短縮 総返済額を減らす 月々の返済額が増える

(2) 借り換えのタイミング(金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上が目安)

三井住友銀行の解説によると、借り換えの目安は以下の通りです。

借り換えメリットがある目安:

  • 金利差:1%以上
  • 残高:1,000万円以上
  • 残期間:10年以上

借り換えのタイミング:

  1. 金利が上昇する前(現在)
  2. 固定金利特約期間終了時(金利タイプ変更のチャンス)
  3. 健康なうちに団信再加入可能な時期

借り換え時には、諸費用(手数料、登記費用、団信加入等)がかかるため、トータルでメリットがあるか試算が必要です。

(3) 固定金利特約期間終了時の対応(金利タイプ変更の検討)

固定金利特約(3年・5年・10年等)を利用している場合、特約期間終了時に金利が上昇する可能性があります。

対策:

  • 特約期間終了の3-6ヶ月前から金融機関に相談
  • 他の金融機関の金利も比較
  • 変動金利への変更、または別の固定金利特約への変更を検討

特約期間終了後は通常、変動金利に自動切り替えとなるため、事前に対策を立ててください。

これから住宅ローンを借りる人の注意点

(1) 変動金利のリスク(今後の利上げで返済額増加の可能性)

変動金利は現在低いですが、今後の利上げで返済額が増加するリスクがあります。

変動金利のリスク:

  • 政策金利が1.1%程度まで上昇すると、変動金利も上昇する可能性
  • 金利上昇により月々の返済額が増加
  • 返済負担率が上がり、家計を圧迫

変動金利を選ぶ場合は、金利上昇に備えて余裕を持った返済計画を立ててください。

(2) 固定金利のメリット(金利上昇リスクをヘッジ)

固定金利は現在の金利が高いですが、金利上昇リスクをヘッジできるメリットがあります。

固定金利のメリット:

  • 返済額が一定で、家計管理がしやすい
  • 金利上昇リスクを気にせず生活できる
  • 今後の金利上昇に備えた保険としての役割

今後の金利上昇が予想される中、固定金利を選ぶことも賢い選択の一つです。

(3) 返済額シミュレーション(金利上昇時の試算が必須)

住宅ローンを借りる前に、金利上昇時の返済額シミュレーションを必ず行ってください。

シミュレーション例(借入額3,000万円、返済期間35年の場合):

金利 月々の返済額 総返済額
0.5%(現在の変動金利) 約77,875円 約3,271万円
1.0% 約84,685円 約3,557万円
1.5% 約91,855円 約3,858万円
1.900%(フラット35) 約99,378円 約4,174万円

金利が1%上がると月々の返済額が約7,000円増加し、総返済額も約300万円増えます。

金利上昇時でも無理なく返済できるか、事前にシミュレーションしてください。

まとめ:今後の金利動向を見据えた賢い選択を

マイナス金利解除(ゼロ金利解除)により、2024年3月に日銀が政策金利を-0.1%から+0.1%へ引き上げ、17年ぶりの利上げを実施しました。その後2024年7月に0.25%へ追加利上げし、2026年末までに1.1%程度への上昇が予測されています。

変動金利はすぐには上がりませんが、今後の追加利上げで上昇する可能性があります。一方、固定金利は2022年以降すでに上昇傾向にあり、2025年11月時点でフラット35は1.900%です。

既存ローン利用者は、固定金利への借り換え検討、繰り上げ返済を行ってください。借り換えの目安は「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上」です。

これから住宅ローンを借りる人は、金利上昇時の返済額シミュレーションを必ず行い、無理のない返済計画を立ててください。

金利動向は経済状況により変動するため、住宅金融支援機構等の公式サイトで最新情報を確認し、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーへの相談も検討してください。

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よくある質問

Q1マイナス金利解除で住宅ローン金利はすぐに上がりますか?

A1変動金利はすぐには上がりません。短期プライムレート(変動金利の基準金利)が据え置かれており、変動金利の見直しは年2回(4月・10月)のみです。2025年11月時点で変動金利は0.3-0.6%程度を維持しています。一方、固定金利は2022年以降すでに上昇傾向にあり、フラット35は2025年11月時点で1.900%です。今後の追加利上げで変動金利も上昇する可能性があるため、注意が必要です。

Q2ゼロ金利解除とマイナス金利解除の違いは何ですか?

A2実質的に同じ意味です。2024年3月19日に日本銀行が政策金利を-0.1%から+0.1%へ引き上げ、マイナス金利を解除しました(マイナス金利解除)。政策金利が+0.1%となり、実質的にゼロ金利を解除したことから、ゼロ金利解除とも呼ばれます。その後2024年7月に政策金利0.25%へ追加利上げし、2026年末までに1.1%程度への上昇が予測されています(ESP予測調査、2025年8月)。

Q3変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきですか?

A32025年時点では約80%が変動金利を選択していますが、今後の金利上昇リスクを考慮すると固定金利も検討価値があります。変動金利は現在0.3-0.6%程度で低いですが、今後の利上げで上昇する可能性があります。一方、フラット35は1.900%と高いですが、返済額が一定で金利上昇リスクをヘッジできます。短期間で完済予定・繰り上げ返済を積極的に行うなら変動金利、金利上昇リスクを避けたい・返済額を固定したいなら固定金利が向いています。

Q4住宅ローンの借り換えはいつがベストですか?

A4金利が上昇する前(現在)、固定金利特約期間終了時、健康なうちに団信再加入可能な時期がベストです。借り換えの目安は「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上」です。例えば、現在の金利が1.5%で借り換え後0.5%になる場合、借入残高1,000万円・残期間10年であれば、諸費用を差し引いてもメリットが出る可能性があります。ただし、諸費用(手数料、登記費用、団信加入等)がかかるため、トータルでメリットがあるか試算が必要です。

Q5今後の住宅ローン金利はどうなりますか?

A5ESP予測調査(2025年8月)では2026年末までに政策金利1.1%程度まで上昇すると予測されています。2024年3月にマイナス金利解除(政策金利+0.1%)、2024年7月に追加利上げ(政策金利0.25%)を実施し、今後も段階的な利上げが予想されます。ただし、経済状況(インフレ率、賃上げ動向、景気等)により変動するため、あくまで現時点の予測です。最新情報は住宅金融支援機構等の公式サイトで確認してください。

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Room Match編集部

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