マンション購入予算の決め方の基本
マンション購入を検討する際、「自分の年収でどのくらいの価格のマンションが買えるのか」「頭金はいくら必要か」「無理のない返済額はどのくらいか」と悩む方は多いのではないでしょうか。
マンション購入予算は、年収、頭金、住宅ローンの借入可能額を踏まえて決定します。この記事では、年収別の適正な購入価格、頭金の相場、返済比率の考え方を、最新の統計データを元に解説します。
無理のない予算を設定し、安心してマンションを購入できるようになります。
この記事のポイント
- マンション購入予算は「頭金+住宅ローン借入可能額」で計算
- 購入価格の目安は年収の5~7倍(2024年平均:全国7.1倍、首都圏7.5倍)
- 返済比率は手取り収入の20~25%が理想、最大でも35%以内
- 頭金の相場は物件価格の1~2割(平均20.4%)、諸費用も別途必要
(1) 購入予算の計算式(頭金+借入可能額)
SUUMOによると、マンション購入予算は以下の式で計算します。
購入予算 = 頭金 + 住宅ローンの借入可能額
住宅ローンの借入可能額は、年収、返済比率、金利、返済期間によって決まります。金融機関の審査では、年間返済額が年収の30~35%以内に収まるかが重要な基準です。
(2) 物件価格以外にかかる費用(諸費用・維持費)
物件価格だけでなく、以下の費用も必要です。
初期費用(諸費用):
- 新築: 物件価格の3~6%
- 中古: 物件価格の6~9%
内訳: 登記費用、印紙税、住宅ローン保証料、事務手数料、修繕積立基金、不動産仲介手数料、不動産取得税、火災保険料等
(出典: SUUMO)
購入後の維持費:
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税・都市計画税
これらの費用を含めた総額で家計を圧迫しないか確認することが重要です。
年収別の適正な購入価格
(1) 年収倍率の目安(5~7倍)
HOME'Sによると、購入価格は年収の5~7倍が目安です。
年収倍率とは、「購入価格 ÷ 年収」で計算される指標で、自分の年収に対してどのくらいの価格の物件が適正かを判断する目安になります。
(2) 2024年の平均年収倍率データ(全国7.1倍、首都圏7.5倍)
SUUMOによると、2024年の年収倍率は以下の通りです。
| エリア | 年収倍率 |
|---|---|
| 全国 | 7.1倍 |
| 首都圏 | 7.5倍 |
| 近畿圏 | 7.0倍 |
| 東海圏 | 6.6倍 |
| その他地域 | 6.2倍 |
(出典: SUUMO)
フラット35利用者調査(2022年度)では、新築7.2倍、中古5.9倍となっています。
(3) 年収別の購入価格例
年収倍率5~7倍を目安に、年収別の購入価格例を示します。
| 年収 | 購入価格目安(5倍) | 購入価格目安(7倍) |
|---|---|---|
| 400万円 | 2,000万円 | 2,800万円 |
| 500万円 | 2,500万円 | 3,500万円 |
| 600万円 | 3,000万円 | 4,200万円 |
| 800万円 | 4,000万円 | 5,600万円 |
| 1,000万円 | 5,000万円 | 7,000万円 |
ただし、これはあくまで目安であり、返済比率や頭金の有無、他のローンの状況により適正価格は変動します。
頭金と諸費用の目安
(1) 頭金の相場(物件価格の1~2割、平均20.4%)
SUUMOによると、頭金の全国平均は以下の通りです。
- 全国平均: 購入価格5,245.4万円、頭金1,188.7万円(20.4%)
- 首都圏平均: 購入価格5,801.2万円、頭金1,396.9万円(20.4%)
物件価格の1~2割を頭金として用意するのが一般的です。
(2) 新築と中古の頭金の違い(新築16.3%、中古11.3%)
新築と中古では、頭金の相場に差があります。
- 新築: 16.3%
- 中古: 11.3%
新築のほうが頭金の割合が高い傾向にあります。
(3) 諸費用の内訳と相場(新築3~6%、中古6~9%)
SUUMOによると、諸費用の相場は以下の通りです。
- 新築: 物件価格の3~6%
- 中古: 物件価格の6~9%
諸費用の内訳:
- 登記費用
- 印紙税
- 住宅ローン保証料
- 事務手数料
- 修繕積立基金
- 不動産仲介手数料(中古のみ)
- 不動産取得税
- 火災保険料
中古のほうが不動産仲介手数料がかかるため、諸費用が高くなります。
(4) 頭金ゼロ(フルローン)のリスク
頭金ゼロ(フルローン)で購入することも可能ですが、以下のリスクがあります。
- 借入額が増加: 支払利息が高くなり、総支払額が増える
- 月々の返済額が増加: 家計への負担が大きくなる
- 審査が厳しくなる: 金融機関によっては頭金を求める場合がある
可能であれば、物件価格の1~2割の頭金を用意することを推奨します。
住宅ローンの返済比率と借入可能額
(1) 返済比率の計算方法
返済比率(返済負担率)は、年収に占める年間返済額の割合です。
返済比率 = 年間返済額 ÷ 年収 × 100
年間返済額には、住宅ローンだけでなく、マイカーローン、カードローン、奨学金返済などすべてのローンが含まれます。
(2) 理想的な返済比率(手取り収入の20~25%)
三菱UFJ銀行によると、理想的な返済比率は手取り収入の20~25%です。
額面年収で計算すると実際の家計負担が重くなるため、手取り収入を基準に考えることが重要です。
(3) 金融機関の審査基準(30~35%)
金融機関の審査基準は、額面年収に対して30~35%以内です。35%を超えると審査が厳しくなります。
SUUMOによると、2023年度の新築マンション購入者の平均返済負担率は22.4%です。
(4) 年収別の借入可能額シミュレーション
返済比率35%、金利1.90%、返済期間35年の場合の借入可能額例:
| 年収 | 借入可能額(目安) |
|---|---|
| 400万円 | 約3,577万円 |
| 500万円 | 約4,472万円 |
| 600万円 | 約5,366万円 |
| 800万円 | 約7,145万円 |
| 1,000万円 | 約8,931万円 |
(出典: 金利1.90%、返済期間35年、返済比率35%で計算)
ただし、これは金融機関の審査基準に基づく借入可能額であり、実際には返済比率20~25%で無理のない範囲に抑えることを推奨します。
購入前に確認すべき注意点
(1) 購入後の維持費(管理費・修繕積立金)
購入後は、住宅ローン返済額に加えて、以下の維持費が毎月必要です。
- 管理費: マンションの共用部分の維持管理費
- 修繕積立金: 大規模修繕に備えた積立金
- 固定資産税・都市計画税: 年1回または年4回払い
これらの維持費は住宅ローン返済額に含まれないため、総額で家計を圧迫しないか確認することが重要です。
(2) 返済比率には他のローンも含まれる
三菱UFJ銀行によると、年間返済額には住宅ローンだけでなく、以下のローンも含まれます。
- マイカーローン
- カードローン
- 奨学金返済
これらを含めた総返済額で返済比率を計算する必要があります。
(3) 変動金利の金利上昇リスク
変動金利で住宅ローンを組む場合、金利上昇により将来の返済額が増加するリスクがあります。金利が上昇しても返済できる余裕を持った資金計画が重要です。
(4) 共働き世帯の収入計算
共働き世帯の場合、ペアローンや収入合算により借入可能額を増やすことができます。ただし、どちらか一方の収入が減少した場合のリスクも考慮し、無理のない範囲で設定することを推奨します。
まとめ:無理のない予算でマンションを購入するポイント
マンション購入予算は、「頭金+住宅ローンの借入可能額」で計算します。購入価格の目安は年収の5~7倍(2024年平均:全国7.1倍、首都圏7.5倍)ですが、返済比率が手取り収入の20~25%に収まるかを確認することが重要です。
頭金の相場は物件価格の1~2割(平均20.4%)で、諸費用は新築で3~6%、中古で6~9%が別途必要です。購入後は管理費・修繕積立金などの維持費も毎月かかります。
返済比率には住宅ローン以外のローンも含まれ、変動金利の場合は金利上昇リスクも考慮する必要があります。ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士などの専門家に相談しながら、無理のない予算でマンションを購入しましょう。
